関智一さん率いる劇団ヘロヘロQカムパニー第21回公演『ウマいよ!地球防衛ランチ~残さず食べてね~』レポート
関智一さんが座長を務める劇団ヘロヘロQカムパニー第21回公演『ウマいよ!地球防衛ランチ~残さず食べてね~』が6月3日から7日まで、東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて行なわれた。
出演は関さん、長沢美樹さん、小西克幸さんほか、ヘロQの劇団員に加え、作・演出に元『TEAM発砲・B・ZIN』のきだつよしさん、客演にヘロQ初登場の能登麻美子さん、ミュージカル『テニスの王子様』などで人気の大河元気さん、ヘロQは2回目の出演となる華麗なアクションが魅力の小川輝晃さんを迎えての新作。
関さんは「今回、初めての方と舞台を作り上げるのが楽しみ」と語っていた。きださんとは同じ特撮好きということで意気投合。テーマもズバリSF! ヘロQのSFものは久々だ。しかも地球防衛軍の基地が舞台とウルトラシリーズをほうふつとさせる設定に、へロQファンならずとも特撮好きなら興味津々。そこにヘロQらしいコメディ、アクション、ドラマの要素がどのように注入されていくのかも注目された。
●地球防衛軍基地に襲いかかる植物モンスター! 正義感に燃えるコックが立ち上がる!!
ストーリーは近未来の地球防衛軍、FRY(Future-science Reserch Youth-team)の基地内にある食堂から始まる。地球を守る一員として使命感に燃える食堂班のコック長・セガ(関さん)はユマ(松本和子さん)とトビイ(大河さん)と共に食堂を切り盛りしているがハリキリすぎて隊員達とトラブルが絶えない。
見かねた隊長のフロスナ(小西さん)とも一触即発状態に。訓練も受けていない民間人と指摘されて落ち込むセガ。そんな中、基地の人間が次々と植物化し、花人間となって人を襲う原因不明の緊急事態に。無事な隊員はクレイ(永松寛隆さん)と戦闘班の元リーダー・コネリ(小川さん)、基地の女医・ミウラ(長沢さん)、掃除婦・リンダ(林智子さん)、そしてセガ達、食堂班の3人のみ。この状況で地球防衛軍魂に燃えるセガ。次々に襲い来る花人間達から何とか逃れると今度は挙動不審な女性・マチル(能登さん)も登場。打開策が見えないまま、追い詰められていく一同だったが、ひょんなことから解決策を発見。刻々と迫る危機の中、地球防衛軍基地と地球を救うための反撃が始まった……。
●新鮮だがヘロQらしい熱いSFコメディの傑作完成
平和な空間がガラリと変わる瞬間、降りかかる恐怖にパニックする人々の様子はウルトラシリーズにつながるSFであり、基地の中での密室劇はヒッチコックが思い浮かんだ。モンスターへの対抗策、事件の原因などの奇想天外な伏線と展開、結末も驚かされた。それだけでなくヘロQのステージの根底に流れる、どんなにへこんでも夢をあきらめないこと、一生懸命頑張ることの大切さなど熱いメッセージもしっかり込められ、最後は笑いながらもホロっとさせるところはヘロQらしかった。
更に客演陣の熱演も素晴らしく、関さんが公演前に「ミステリアスな役」と予告した通り、不可思議な登場シーンから、きわどくドキっとさせるシーン、そして結末に関わる重要な役を体当たりで演じた能登さん、冷静で熱血漢なキャラをかっこよく演じた小川さん、頼りない男の子が一念発起し、ラストでまさに大活躍だった大河さんなど印象的だった。新しい個性との融合で、より進化したヘロQの姿が見えた気がする。なおこの公演はDVD化され、9月末日に劇団HPなどで発売予定。
●2009下半期も躍進するヘロQ!
この公演後も続々とうれしいお知らせが。7月11日(長沢さんの誕生日!)に新公式HP『ヘロQTV』が開設(http://heroq.com/)。「劇団のこれまでの歴史を振り返る豊富な資料、劇団員の動画、ゲーム的な要素を盛り込んだエンターテイメントサイトです(関さん)」。
8月20日から23日まで例外公演『タイム・ドカ~ン~嘘への扉~』が下落合・TACCS1179で開催。新人公演で関さん、長沢さん、小西さんほかが日替わりで出演する(チケットは7月19日より劇団HPで発売)。そして12月13日から19日には吉祥寺・前進座にて本公演が行なわれる。ヘロQの果てなき野望はまだまだ続く!