本好きの女の子の日常を描いた『今日の早川さん』がドラマCD化 ──キャストの実体験を反映させた台本にも注目「どれが誰のエピソードか想像して聴いてください！」

　本が好き、特に文庫好きなアナタに、今年最高の1作が早くも登場。それがドラマCD『今日の早川さん』だ。ブログSF小説が好きな早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さんという、それぞれ好きなジャンルは違えど、本が大好きな女の子たちの、本と読書をめぐる日常を描いた同名の原作コミックは、現在までに2巻が発売。待望の3巻も発売が決定している。そして今回“本好き”のキャストを集めて、待望のドラマCD化が決定した。

　注目のドラマCDでは、SF好きの早川量子（はやかわりょうこ）を池澤春菜さんが、帆掛舟（ほかけふね）を浅野真澄さんが、岩波文子（いわなみふみこ）を大原さやかさんが、富士見延流（ふじみのべる）を広橋涼さんが、国生寛子（こくしょうひろこ）を沢城みゆきさんが。さらに舟の従妹のてん子＆ドラマCDオリジナルキャラクターである“本の女神さま”を平野綾さんが演じる。大のSF好きの池澤さんを筆頭に、キャスト陣も本好きということで、なんとキャストにアンケートを実施。その内容を台本に反映させているという。制作スタッフと出演キャストの“本”に対するこだわりや想いがつまったドラマCDになっている。

　今回、収録直後のメインキャスト陣にインタビュー。役以上にすごい（！？）みなさんの本好きトークをどうぞ！！

――ドラマCDの収録を終えての感想をお願いします

平野綾さん（てん子＆本の女神さま）：台本より先にアンケートをいただきまして、“本に対する思い入れを書いてください”とお願いされたんですが、そこに書いたエピソードなどが台本に活かされていて、すごく凝った作品なんだなと感じました。

大原さやかさん（岩波文子役）：最初はみんな手探り感いっぱいで、“どうなるんだろう？（と思っていたんですが、最後の方ではみなさんとの距離感が心地良くて、終わってしまうのが残念でした。

池澤春菜さん（早川量子役）：最初に『今日の早川さん』の収録が入ると聞いたとき、“これで早川さん役じゃなかったら、今まで読んできた“青背”（※）は何なんだったんだろう！？“と思ったんですけど（笑）、無事早川さんでよかったです。

浅野真澄さん（帆掛舟役）：すごくディープな台本＆世界です。私も本は好きなんですが、わからないことだらけで、逆に興味が湧いて、SFやホラーも読んでみたいと思わせてくれる作品でした。

広橋涼さん（富士見延流役）：台本を読んでいるときもそうでしたが、音声で聴くと、より身につまされる話が多くて、楽しいような、切ないような気分になりました（笑）。

沢城みゆきさん（国生寛子）：私たちの趣味などが反映された台本だったので、どれが誰のエピソードなのか、思い浮かべながら聞いていただけたら嬉しいです。池澤さんの家にはパトカーが来そうだなと思いました（笑）。


――演じたキャラクターへの感想をお願いします。

平野：“本の女神さま”は原作にないキャラクターなので、どう役作りしようかと探りながら演じました。てん子に関しては、演じていて自分の中でも吹っ切れるように演じました。かわいいけれど奥が深い、すごく面白い役でした。

大原：岩波さんは純文学読みということで、純文学知らないと演じられないんじゃないかと不安だったんですが、とりあえず純文学が好きで、みんなより少し年上で、体も胸も大きくて（笑）、圧迫感のある存在ということだったので、常に上から目線で、時にはきついことも言うけれど、時には包容力もみせつつというキャラクターで、非常に楽しかったです。

池澤：原作を読んでいて、あまりの“あるある感”と、自分のなかにあるSFリストとの、あまりの合致の仕方に、ついつい夢中になって全部読んだあとに、どうやって早川さんを演じたらいいだろうと非常に悩みました。演じ切ったところで、「あっ、そのまんまの私が、早川さんだったんだ」ってことに、ようやく気が付きました。

浅野：このメンバーのなかでは唯一モテて、そしてネコをかぶるときもあるって感じで、作品では仲間と一緒に打ち解けているときが多かったです。本が好きで、同性の友達と本屋に行ったり、本の話をしたりというのは、自分でもすごくわかるし、今まで経験してきたことなので、近すぎず、遠すぎずの距離を出せたらいいなと思いました。

広橋：延流さんは“萌えキャラ寄り”なんだそうですが、そこを意識しないで演じてしまいました（笑）。高校生の女の子が、こんなに“濃い～”お姉さんたちと一緒で劇中でも本の神さまに「先が心配です」と言われてましたが、私も同感です。私も延流ちゃんを演じながら「この子、この先大丈夫かな」と心配になっちゃいます（笑）。

沢城：寛子は変わった子なんでしょうけど、でも結局上手く生きていけるポジションにいる子なのかなと。あれだけレア本と自分という世界に居るのに、なんとなく友達の輪のなかにもちゃんと居られて（笑）。なんとなくこの先も、彼が出来て結婚できて、でもレア本との関係も続いて……みたいな。ラッキーな立ち居地にいるのかなと思いました。

コミック『今日の早川さん』第1巻
発売中
1050円
発行：早川書房

コミック『今日の早川さん』第2巻（通常版）
発売中
1050円
発行：早川書房

──今回“ツボ”だったシーンは？

平野：自分たちのエピソードが盛り込まれているだけあって、「こんな経験あった！」っていうエピソードばっかりでした。でも印象的だったのはやっぱり、パトカーが来ちゃったりとか、地下室が書庫だったりとか（笑）。

池澤：もっぱら私じゃないですか～（笑）。

平野：書庫を持つのが夢なので、“実際にそれをしている方がこんな身近にいるなんて！”と思いました。

大原：どなたのエピソードかはわからないのですが、机が飛んできて初めて教室での大乱闘に気づいたというのに、すごい集中力だな、やっぱり本好きなんだなと思いました（笑）。夢中になって電車を乗り過ごしたりとか、「あっ、同じなんだな」っていう“同志愛”みたいなものを感じられて、それが嬉しかったです。

池澤：思い返すと早川さんはずっと泣いている感じがします。他のキャラクターと違って、いまだに早川さんだけに春が来なさそうな感じが不安ではあります。私も、“今後SFを読まなかったら彼が出来るよ”といわれたら、「じゃ彼は入りません」と言いそうな気もします（笑）。

浅野：個人的には岩波さんが破水したふりをするのが、「そのウソはダメだろ～」みたいな（笑）。岩波さんらしいというか、そのシーンがすごく好きで楽しかったです。

広橋：最後の部分の、早川さんの訴えがすごく良くて、ぜひみなさんに聴いて欲しいです。いろんなものが変わると大変なんだなっていうのが、すごく胸に響いて。私も自分が買っている本のデザインとかがいきなり変わったら、「なんで変えちゃったんだろうな……」と思うし。胸に来ましたね。

沢城：やっぱり春菜さんの「5mm」エピソードが強烈でした（苦笑）。役を飛び越えてこんなに主張したいことがある人を久々に見たなという。その憤りを是非聴いていただければ。


――最後にファンのみなさんにメッセージをください。

平野：私も本が好きでしたが、まだひよっ子だったんだなって何度も思いました。“自信がある”という方は是非聴いていただいて、自分の本好き度を試していただきたいと思います。

大原：本好きには“上には上がいるな”ということを実感できたドラマで、非常に勉強になりました。本好きの叫びを堪能してください。

池澤：本を好きな方だったら誰もがニヤリとしそうなネタが、散りばめられています。私は、衣食住本のなかでどれを削っていくかとなったら、まず衣は削れる。住も削れる。食も削れる。……けど本は削れないと思うんですが、ぜひ、本の後ぐらいに“このCDを買う”というのを入れてください。

浅野：本が好きな人もそうでない人も、このCDを聴いたら、「こんなに面白いんだ、じゃあ手にとってみようかな」と思うきっかけになるような気がします。ぜひぜひ、いろんな人に聴いていただきたいなと思います。

広橋：本当に身につまされる話がいっぱい入っていて、ぜひ身につまされる感じを味わいながら聴いていただけたら嬉しいなと思います。本好きな人なら「わかる、わかる」。そうじゃない人は「クラスにこういうやついたな」と（笑）、どちらも違う目線から楽しめるんじゃないかと思います。

沢城：私、シェイクスピアとか三島由紀夫の戯曲が好きなんです。戯曲好きはどこに入るんでしょう？純文学ですか？戯曲好きな方はお友達になりましょう。ご一報ください（笑）。

＜取材・文：だーくまたお＞

ドラマCD『今日の早川さん』
2010年4月下旬発売予定
3150円（税込）
発売：キャラアニ

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