若い青春と欲望(笑)がほと走るハイスピード・ラブコメディ!TVアニメ『B型H系』リレーインタビュー企画 PART.1 山本裕介監督
10代の心のなかをひもとけば、大部分は“H”なことでいっぱい(笑)。もちろん女の子だって一緒。誰もがあこがれる超美少女なのに、まだ“未経験”の山田と、彼女が“初めて”の相手に選んだ平凡な少年・小須田崇のドタバタラブコメディ。それがアニメ『B型H系』!
放送はいよいよクライマックスだけど、8月6日には“こわいもの知らず(笑)無修正版”のDVD&Blu-rayも発売決定で、もっとわくわくしちゃう展開に!
胸躍らせてるファン&「TV放送を途中から観始めたからDVDで改めてチェックしたい!」ってキミのために、アニメイトTVが特別インタビュー企画を実施。山本裕介監督にいろんなお話、聞いちゃったよ!さぁ!行ってみよう!
●高校時代の“モヤモヤ”&“大好きな写真”をテーマに!
――まず原作を読んだ印象とアニメ化する時に考えたことをお聞かせください
山本監督(以下山本):ラブコメ作品はたくさんあるけど、『B型H系』はかなり“本音”。そこがいいですね。高校時代の“モヤモヤ”ってしたものを堂々と描けるんじゃないかなって。
あと小須田が写真部という設定も自分的にヒットしました。以前からカメラや写真をテーマに描きたいと思ってたので、これはチャンスじゃないかと。
――原作のさんり(ようこ)さんとはお話や打ち合わせはされたんですか?
山本:さんりさんとも何度もお会いしてお話しましたし、シナリオ会議でもまず集英社さんにうかがって、さんりさんの担当編集さん立会いのもと、本読みをやっています。たくさんのご意見もいただきました。最初に「山田は、外見は美少女だけど、内面は男子中学生の魂を宿しているんです」と言われて、僕を含めて男性の演出は「ああ、なるほど」と。
――原作は4コマなのにストーリーがつながっているのが特徴ですね
山本:4コマでオチはついてるけど、ちゃんとストーリーラインがあるので、1本にまとめる時、普通の4コマより楽でした。逆に言うとストーリーマンガよりもめちゃめちゃ密度が高くて、いろいろな要素があって、展開が速いので30分にまとめる時は圧縮しないと入らないんです。泣く泣く落とさざるをえなかったエピソードもあって、ファンの方すみません(笑)。
――エッチな場面はあるけど、どれも笑えるんですよね
山本:この作品はエッチさがセールスポイントのひとつだけど、それ以上に笑える作品にしたくて。そのバランスはずっと意識してきました。
●監督史上最速のテンポに負けない田村ゆかりさんの瞬発力に注目!
――1回の放送を2本立ての構成にした理由は?
山本:最初、シリーズが12本あるから、1本で1か月ずつ描こうと思ってました。1話が4月で最終回は3月という感じで。それでもテンポが速いけど“もっとテンポを上げないと”と思いなおし、実際には12本で1年9カ月消化することになりました。だからできるだけすきまなく、セリフも少し早めにとって詰め込もうと。
――テンポも速くて、セリフも速くとなるとキャストも大変そうですね
山本:キャストさんの力も大きいんです。特に山田は感情の変化が激しくて、落ち込んでたと思ったら急に復活したりしますが、田村ゆかりさんの瞬発力はさすがだなと思いました。こちらの意図が伝わらず、その場で「こんなふうにやってください」とお願いすることもあるんですが、すぐに「わかりました」とガラっと変えられる対応力もすごい。声自体の力も強いですね。叫びにしても笑いにしても。どんな音楽がついても負けない力があります。
――今回のキャスティングのポイントは?
山本:田村さんが山田というのが最初に決まって、親友の竹下は堀江由衣さんというのもうまくハマりました。田村さんのテンションの高い演技によく合わせてますね。
小須田の阿部敦君は好青年で嫌味のない声というイメージ通りでした。スタッフともよく話しますが田村さん、阿部君、堀江さんというメインの3人は鉄壁ですね。絵を描く側もすごく喜んでました。エロ神の宍戸留美さんに関しては、パターンにはまらないのが宍戸さんの魅力かなと思っていて、誰もイメージがわからない声をやらせてみたらどうなるだろうと。大成功だったと思っています。
●意外な広がりをみせたアニメオリジナルの“鬼印”(笑)
――原作になかった鬼印のアイテムが出てくるシーンはすごく笑えます!
山本:“そのもの”の名前は作品で出しにくいけど、象徴するものとして鬼印という言い方だったらOKだろうと。意外なことに「鬼印を使えば何でもありだな」と、石けんとか車内吊りポスターとかいろいろ登場させて。どこまで大企業なんだろう鬼印(笑)。
――テーマソングもインパクト抜群ですよね!
山本:あれはElements Gardenさんの力ですね。バージョンもいくつかあって、豪華なのとか子供が歌っているのとか。聴き比べると面白いですよ。ここまでしてもらったら、できるだけ使おうと、1話か2話くらいしか使わないのかと思ったら、運動会のシーンまで流れるようになって(笑)。
●話題のDVD&Blu-ray“こわいもの知らず(笑)無修正版”とは?
――アニメのクライマックスのみどころを教えてください
山本:山田は自分の相手が小須田じゃなくてはいけないのかを、もう一度考えます。でも結局また小須田に戻るわけですが、そんな山田と小須田にいろいろな障害が訪れます。
最後にどんな結末が待っているのかは、さんりさんにも許可をいただいてアニメ流のアレンジを加えました。山田と小須田は一度入りかけたけど入れなかった“あの場所”に行きます。そこはかなり面白いシーンになったと思います。それもお楽しみに。
――8月6日にはDVDとBlu-rayが発売されますね。「こわいもの知らず(笑)無修正版」とはどんな感じになるんですか?
山本:“鬼印”で隠された部分も見られて、雑音が入っていたセリフもクリアに聴けます。“答え合わせ”をするつもりで見てください。鬼印がないと新鮮に感じると思いますよ。最終回には鬼印が相当出る予定です!ギャグではなく“大まじめ”に作った最終回だけは“鬼印なし”にしたかったので、最終回だけは放送じゃなくDVD、Blu-rayで見て欲しいくらい(笑)。
●田村さんが歌う主題歌、Elements Gardenが作る音楽
――音楽も凝った作品ですね。山田役の田村さんが歌うOP曲「教えてA to Z」とED曲「裸足のプリンセス」もかわいらしくて、まさに山田そのものです
山本:まず山田“本人”が歌っているのがいいですね。そしてアニメの内容を読み込んで生まれた詞で嬉しかったです。本編とマッチして“画”が作りやすい曲で、何度も聴いても飽きない曲だと思います。
――BGMもクラシックからジャズまでかなり凝った音楽が使われていて驚きました
山本:コメディっぽい音楽にはしないでくださいという意図を汲んで、いい曲を作ってくれました。ギャグものはまじめなほど笑えるということがわかってるんでしょうね。
いろいろな表情を持つ曲が多いので、途中にシリアスなシーンが入ってもその曲で突っ切っていけるんです。音楽には助けられているし、本当に心強い存在です。
――ずばり『B型H系』という作品の魅力とは?
山本:この作品のテーマは“元気”です。小須田は元気に演じてほしいと言ったし、作家さんにも元気に動かしてほしいとお願いしたし、音楽もガンガン付けていってほとんどすきまを作らないようにして、むやみに元気になるようなアニメになったと思います。
――次回はElements Gardenの藤田淳平さんと藤間仁さんにお話をうかがいますが、監督から質問したいことはありますか?
山本:怒らないので本音を聞かせてほしいです。作ってくださった曲に対して僕らの使い方に不満がないか?たった12回しかないのにあんなに作らせやがってとか(笑)。
あとはどのように曲を作ってるのか?どこで作っているのかを教えてほしいです!
<TEXT:永井和幸>
>>『B型H系』アニメ公式サイト