TVアニメ新番組『心霊探偵八雲』の完成試写会&記者会見開催――主役・八雲役とOP曲を担当する小野大輔さんが熱き想いを語る
10月3日23時よりNHK BS2で放送開始予定のTVアニメ『心霊探偵八雲』の完成披露試写を兼ねた記者会見が、9月8日、NHKにて行われました。
内容は第1話「開かずの間」の上映、黒川智之監督、NHK・斉藤健治チーフプロデューサー、主役の斉藤八雲を演じる小野大輔さんによるごあいさつと質疑応答。またシリーズ構成・脚本の川崎ヒロユキさん、音楽担当のR・O・Nさん、ED曲「Missing You」を歌うコミネリサさんも会場を訪れました。
なおOP曲は小野さんがJungled Catとして歌う「Key」で、3話ごとに変化を遂げます。第1~3話の「Key-Phase1-」、第4~7話の「Key-Phase2-」とED曲「Missing You」が収録のシングルCDは11月17日に発売されます。
●『心霊探偵八雲』はドキドキする展開とカタルシスを感じる人間ドラマ
『心霊探偵八雲』は神永学さんのミステリー小説で、これまでコミック化、テレビドラマ化、舞台化、ドラマCD化を果たした人気作品。斉藤プロデューサーが「このアニメゾーンでは本格ミステリー小説原作は初めての試みで、局としても期待してます。ハラハラドキドキする展開、最後にカタルシスを感じることができる完成度が高い作品になっています」と話すほどの自信作。
黒川監督も「原作を読んだ時、ただのミステリーものではなく、濃密で素晴らしい人間ドラマが描かれた作品だと感じました。スペシャリストが集まって魂を込めて作ったので一人でも多くの方に伝わるといいなと思っています」と手応えを語りました。
●30分弱の作品なのに長編劇場用作品を見たような満足感
この日、初めて完成版を見た小野さんは「とても重い作品だなと。30分弱の尺が長く感じました。まるで長編劇場用作品を見た後のような満足感といい意味での疲労感があります。八雲は霊が見える目を持っていることからストーリーが動いていきますが、霊現象から起こった事件を解決することが真のゴールでなく、目の前の闇に逃げず、その先にある光を仲間達と追い求める作品なのかなと思っています。そしてこの作品の本質は人と人との絆なんだなと改めて感じました」と充実感に満ちた表情で語っていました。
この後に行われた質疑応答でもこの作品が八雲の成長や人間ドラマを描いた作品であることを黒川監督や小野さんが重ねて強調していました。
●ボリューム感のある物語を13話に濃縮。オリジナルエピソードも
(質疑応答)
――監督が映像化する上で苦労されたところは?
黒川監督:メイン扱いのキャラの数が多いので、それぞれの魅力を13話の中でどれだけ描けるか、でした。この作品を、僕は本音と建前の物語だと解釈していて、登場人物はみんな不器用で本当の自分を隠して生きているところがあります。そこにスポットライトを当てて、例え物語の軸にならなくても見え隠れさせることで、視聴者の方にキャラの魅力や悲しみなどが伝わればいいなと。ストーリー軸の中にキャラをどう絡ませていくかは、シナリオ上も演出上も一番気をつかったところです。
――アニメならではという部分があったら教えてください。
黒川監督:オリジナルエピソードが何話か入っています。原作の文庫本巻末に“添付ファイル”という短編の心温まるお話もあって、大きな事件の合間に、ちょっと気分転換的な、ライトで心温まるエピソードを挟みました。
原作のボリューム感や情報量が相当多いので、13話の中でどこまで描けるかという難しさはありますが、エピソードの幹はしっかり守って、それによって八雲がどう変化していくかはきちんと原作に沿って作っているつもりです。
小野さん:ご本人(川崎氏)が来ている前で言うのもなんですけど、構成が見事です。あれだけのボリュームのある原作を、短い本数の中に収めるのは不可能じゃないかと思っていましたが、一番大切なところは崩さず、アニメならではの展開だったり、演出が入ってて。また温かいオリジナルエピソードが入ったことで作品の本質が見えやすくなったんじゃないかと思います。
●“八雲=苦しみ”を感じながらもその先の希望を見ながら演じた
――小野さんはアニメ化の前にリリースされたドラマCDでも八雲を演じていますが、その時とアニメでの演じ方の違いはありましたか?
小野さん:そこはあまり差はないですね。演じててずっと思っていたのは「苦しいな」、“八雲=苦しみ”でした(笑)。でも苦しみや闇の先にはちゃんと光があって。八雲と一緒に自分も成長できたのかなと思ってます。
――(ミステリー)ものにつき物の怪奇現象などに遭遇されませんでしたか?
小野さん:特になかったですね(笑)。収録の前の週にみんなで神社に行って、お祓いをしてもらいました。その時から『八雲』チームの絆が作られていたのかなと思います。
●OP曲は小野さんがJungled Cat名義で歌う「Key」。曲も3段階に成長!?
――小野さんはOP曲の「Key」はJangled Cat名義で歌っていますが、聴きどころを教えてください。
小野さん:アーティスト名は八雲の一部を表現していて"いらいらした猫"という意味です。八雲がずっとためていた、いろいろな闇が音楽の中でも盛り込まれていると思うし、人と人とのつながり、絆の中で八雲が成長していく様子も歌の中でも表現されています。八雲が成長していくように、曲も3話ごとに変化していくので、そこも注目していただければと思います。
黒川監督:誰だかわからないようにして段階を踏んでいくうちに明らかにする形を音楽チームから提案を受けておもしろそうだなと思いました。アニメだけでなく、映像作品でもなかなかない形だし、作品の中身にも符合するのも含めて演出というのもOPからEDまで本編である考え方も共感できました。
●コミネリサさんが歌うED映像に込められた想い
――ED映像に次々と出てくる写真の絵はメインキャラではないようですが、何か意図があるのでしょうか?
黒川監督:コミネリサさんが歌うED曲を聴いた時、イメージがすごく湧いてきて。最初は登場人物が誰も出てなくてもいいかなとさえ思いました。でも主役の二人が出ないのはさすがにまずいだろうと(笑)。あのEDのコンセプトは「名もなき人々の小さな幸せ」で、日常的なスナップ写真の羅列ですが、見てくれる人達が自分のアルバムを見ているかのような錯覚に陥って、しみじみといい気持ちになってもらえたらいいなと思っています。
小野さん:この作品に携わってる時に、人と人が手を取り合ってモノを作ることや、一つの目標に向かって一緒に何かを成し遂げることの素晴らしさを実感していて。「誰も一人で生きていないんだ。人との絆で生きているんだ」とED映像を見て、改めて感じることができて素敵だなと思いました。
<取材・文:永井和幸>
TVアニメ『心霊探偵八雲』
2010年10月3日(日)23時よりNHK BS2にて放送開始予定
<STAFF>
原作:神永学
キャラクター原案:小田すずか
監督:黒川智之
シリーズ構成・脚本:川崎ヒロユキ
総作画監督:番由紀子・天﨑まなむ
音楽:R・O・N
アニメーション制作:ビィートレイン
制作:総合ビジョン
制作・著作:NHK
<CAST>
斉藤八雲:小野大輔
小沢晴香:藤村歩
後藤和利:東地宏樹
石井雄太郎:川島得愛
斉藤一心:関俊彦 ほか
<主題歌シングル>
OP曲「Key」Jangled Cat(CV:小野大輔)/
ED曲「Missing You」コミネリサ
11月17日発売
1,260円(税込)
発売:フライングドッグ
>>TVアニメ『心霊探偵八雲』公式サイト