TVアニメ『うさぎドロップ』がいよいよスタート…というわけでアニメイトTVでは亀井幹太監督にインタビュー! ――「僕のりんに対する想いは大吉と一緒。それを皆さんに伝えていきたいです」
7月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”枠ほかにて放送を開始したアニメ『うさぎドロップ』。宇仁田ゆみ氏による同名原作は漫画雑誌『FEEL YOUNG』にて2005年から6年間に渡って連載されており、現在は番外編が連載中の大人気漫画だ。
今回アニメイトTVでは、待望のアニメ化となった本作の監督を務める、亀井幹太監督にインタビューを実施。劇中で描かれる大吉と同じ目線で、りんに対する扱いに試行錯誤していると言う亀井監督。アニメ版『うさぎドロップ』について盛りだくさんに語っていただいた。
――まず、原作を読んだ感想からお聞かせください。
亀井:とても面白くて続きが気になる作品でした。お話が進むにつれて、どんどんりんが可愛くなってくる部分が印象に残ったのと、そこまで子育ての部分をクローズアップしているわけではないんだなと感じました。日々の中で「こういうことってあるよね」みたいな、ちょっとしたことを膨らませて、読んでいる人を楽しませてくれる漫画だと思いました。
――ここは特に難しそうだな、と思った部分などありましたか?
亀井:6歳の女の子の行動の部分です。セリフで可愛さを出そうとしているわけではなく、動きや芝居などちょっとしたしぐさで、子供らしさを出したいと思っています。
――『うさぎドロップ』が掲載されていた雑誌『FEEL YOUNG』は、女性向けの漫画雑誌ですよね。
亀井:当然、その辺りは意識しました。大吉は女性からの人気も高いようなので、女性がターゲットになってくると思います。言葉や行動から、大吉をかっこよく見せようと言う努力をしています。
――りんと大吉の関係については、どう思われましたか?
亀井:状況を考えると、あまりない家族の形ですよね。そういった設定は、ファンタジー要素だと感じました。ただ、りんを引き取って大吉が苦労している部分や、生活の中で起こる事件やちょっとした出来事は先生(原作者の宇仁田ゆみさん)のリアルから生み出されているものなので、見ている人にも共感してもらえる。そこが面白いと思いました。
――確かになかなか経験することの無い家族の形だと思うのですが、アニメ化にあたって描き方にこだわりなどありますか?
亀井:こだわりと言うよりも、自分がどうして良いかわからない時は、周りの人に聞いて、アドバイスを求めるようにしています。そうすると、これは大吉じゃないとか、こんな風にりんを扱ったりしないとか、色々と教えてくれるので、かなりに周りに頼っています。だから僕のりんに対する扱いも、劇中の大吉と一緒なんですよ。「これをやったら、この子はどう思ってしまうんだろう」とか、試行錯誤しながら描いています。あと、力を入れて描きたいなと思ったのは、大吉がりんを通して、人間として成長していく過程です。大吉は、最初は戸惑ったりもしてバタバタしているんですが、次第にりんに対するウェイトが大きくなってくるんです。その部分が、11話にかけて皆さんに伝わると嬉しいです。
――脚本家の岸本卓さんとは、どのようなやり取りで進められているのですか?
亀井:岸本さんは、制作の現場に席を置いてやらせてほしい、とリクエストしてくださいました。普段あまり、そういうことはないんです。岸本さんご自身はお子さんがいらして、そこも含めてプロデューサーの方が起用したんです。
――岸本さんのご経験が、反映されている部分もあるんですね。
亀井:そうですね。ただ、自分の子育ての経験を大吉に反映しようとしてくれるんですが、それが僕の頭で描いている大吉ではない時もあって。そこをこちらが軌道修正する、と言った感じです。りんの描き方については、さすがに子育て中と言うこともあり、色々とアイディアを盛り込んでくださっているので、面白いです。
――そう言った部分も含めて、監督からリクエストしたことなどありますか?
亀井:最初はりんにストレスを与えて、そこから彼女を引き上げる、という構成が多かったんです。でも、原作ではそう言うことはあまりやっていない。そうなる前に、ライトな方向に持っていくのが原作の持ち味だと思っているので、その部分は何度もやりとりをしました。
――キャラクターデザインについてはいかがでしたか?
亀井:苦労した部分などは特にないです。キャラクターデザインの面ではすべて山下祐さんに一任していますので。ただ悩んだのは、原作だと白黒なので、りんの目が黒くつぶされているんです。それがカラー原稿になると、髪の毛の色や目の色が薄かったりと色素が薄いので、印象が随分違う。でも一般的なりんの印象は黒目なので、そこをどうするか、最初に考えました。始めは目と髪の色は同じ色にしたんですが、結局目の色は少し濃くしました。あとは、割とスムーズに進みました。
――監督ご自身がお好きなキャラクターはいますか?
亀井:大吉の従姉妹の春子(前田春子)です。原作にも脚本にもないのに、絵コンテの段階で出番を増やしてます。
――どうしてお好きなんですか?
亀井:可愛いからです(笑)。春子のチェックはすごく厳しくやっています。
――なるほど(笑)。では最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
亀井:一話で描かれているのはお葬式で、割と地味な内容なんです。でも、一話で諦めないでください。お話が進むにつれて、二人にとっての大事件が起こっていきます。世間的に見れば、世界も救わないし、小さな出来事なんですが、二人にとってはハラハラドキドキの生活なんです。そう言った部分を、重くならないように面白く作っていますので、楽しんで頂けたら嬉しいです。
<取材・文:杉山玲菜>
TVアニメ『うさぎドロップ』
毎週木曜24:45~フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送中
関西テレビ毎週火曜25:58~放送中、東海テレビ:7月14日より毎週木曜26:05~、BSフジ:8月6日より毎週土曜25:30~(毎月最終週のみ26:00~放送予定)
テレビ西日本にて放送決定!7月20日(水)25:00~隔週で2話ずつ放送
詳細は随時テレビ西日本公式サイトにて→テレビ西日本公式サイトへはこちらから!
>>TVアニメ『うさぎドロップ』公式サイト