上映後にはSPなトークを！「『伏鉄砲娘の捕物帳』公開記念イベント第一弾宮地昌幸監督×大河内一楼トークショー」レポート！　ふたりが語るアニメ『伏』の裏側とは！

　東京・テアトル新宿にて、先日封切られたばかりの映画『伏鉄砲娘の捕物帳』。そんな同作について2012年10月27日(土)、監督を務める宮地昌幸氏と脚本・大河内一楼氏によるトークショーが行われた。

トークショーではアニメ『伏』の深い話が語られた

　本作は、桜庭一樹氏の原作『伏贋作・里見八犬伝』をアニメ映画化したもの。猟師の少女・浜路と、“伏”と呼ばれ、人と犬の血を引く青年・信乃の物語を描いている。文芸春秋創立90周年記念作品で、全国でロードショー中だ！

　この日の『伏』上映分を終え、ステージには、宮地監督、大河内氏が登壇。2人は、さまざまな裏話を披露してくれ、観客達は興味津々であった。

●浜路ってどんな主人公？

　まず、「今作の主人公・浜路についてどう思うか？」という話題で、大河内氏は「変わっていく女の子なので、何にもないところから色がついていくという印象」と言い、宮地監督は「最初は男でも女でもないっていうところから、どんどん女の子になっていく。例えて言えば、花が咲くのをハイスピードカメラで撮っているような感じにと思ったんです」と話してくれた。

　以前から宮地監督は、「少女を主人公にして、大人になる話」を作りたいと考えていたそうだ。そこで今回は、少女漫画に精通している大河内氏に脚本をお願いしたという。

　監督によれば、「浜路は山にいて、おじいちゃんに育てられてて、自分のことを“俺”って呼んでる。その子が最後に“私”って言って、着物を着て、好きな子に会いに行くってまでをどうやって描くかって話しになったんです。で、信乃からもらった着物を戦闘服として着て、信乃に会いに行かせたいっていうアイディアは、大河内さんだったんです」とのこと。大河内氏からも色々なアイディアが出て、アニメにも大きな影響を与えているのだ。

　そして「制作で大変だったところは？」という話題で、大河内氏は、原作の要素を減らして、尺におさめるのが大変だったと話してくれた。実は、原作の『伏贋作・里見八犬伝』は3部構成なっていて、分量も多い。すべてをアニメにするのは尺的にも難しいので、前後にある浜路と信乃のお話に焦点を当てているのだ。たが大河内氏曰く、原作を読めば読むほどお話を好きになり、エピソードをカットしたくないという未練が出て、それを断ち切るのが大変だったそうだ。

●冥土が男性になったのは何故？

　また原作と大きな違いとして、原作で男性だった冥土が、アニメでは浜路と同世代の少女になっている。これは何故なんだろうか？　これについて大河内氏は「浜路っていう女の子が、上京してきて、大人になるって段階で必要なのは“友達”だろうと考えたんです」とコメント。宮地監督も「ただ原作を変えました！じゃあ、気づかない内に改悪してしまうってこともあります。冥土を女にしたら物語がどう進むか、考えに考えて、それから桜庭先生に許可をいただきました」と話してくれた。実際に劇中でも、冥土が女の子になっていることが、浜路の成長に大きな助けとなっているのだ。

劇中のキャラクターで言えば道節タイプだという宮地監督

脚本の大河内氏は自身を冥土タイプだという

　ほかにも、宮地監督からは「浜路役の寿(美菜子)さんは、自分が子供の頃に聞いていた声優さんのような、正統派でまっすぐな感じの人。収録でこうして欲しいって言うと、反応が凄く良くて、調節が上手いです。信乃役の宮野(真守)さんは、休み時間は冗談ばかり言っているんですが、本番はパッと切り替わってカッコよくなるんですよね(笑)」と、アフレコ現場の様子も飛び出していた。

　さまざまな制作裏話が飛び出した後は、ふたりのサイン会タイムに突入！　大勢のファンが列をつくり、宮地監督達と、短いながらも言葉を交わし、作品へ想い確かめ合っていた。

　なお、今週の11月3日(土)には、公開記念イベント第二弾として、宮地監督と米林宏昌監督(『借りぐらしのアリエッティ』監督)とのスペシャル対談が予定されている(※詳細は公式サイト参照)。こちらも是非ともチェックしてほしい！

■映画『伏鉄砲娘の捕物帳』
【キャスト・スタッフ】
浜路／寿美菜子、信乃／宮野真守、冥土／宮本佳那子、道節／小西克幸、船虫／坂本真綾、凍鶴／水樹奈々、馬加／神谷浩史、家定／野島裕史、住職／竹中直人
世四郎／劇団ひとり、滝沢馬琴／桂歌丸

原作／桜庭一樹著「伏贋作・里見八犬伝」（文春文庫刊）
監督／宮地昌幸
脚本／大河内一楼
ビジュアルイメージ／okama
人物設計／橋本誠一
美術監督／吉原俊一郎
美術設計／青木薫
音楽／大島ミチル
主題歌／Chara『蝶々結び』（Ki/oon Music）
アニメーション制作／トムス・エンタテインメント
配給／東京テアトル

>>映画『伏鉄砲娘の捕物帳』公式サイト
>>寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ！

［取材＆文・小俣猛］