6月8日放送スタートする『キングダム』第2シリーズに出演の森田成一さん、福山潤さん、細谷佳正さん、野島裕史さんにインタビュー! 生きるということとは?――
2013年6月8日よりNHK BSプレミアムで放送が開始するテレビアニメ『キングダム』第2シリーズ(原作・原泰久)。原作は「週刊ヤングジャンプ」にて好評連載中で、テレビアニメ第1シリーズも同じくBSプレミアムで放送され大人気を博し、現在、総合テレビでも再放送中と、その人気は留まることを知らない。
今回は信(シン)役の森田成一さん、嬴政(エイセイ)役の福山潤さん、王賁(オウホン)役の細谷佳正さん、蒙恬(モウテン)役の野島裕史さんに作品についてお話を伺った。
●熱い思いで溢れている収録現場はまるで部活!
――信役の森田さんと嬴政役の福山さんへの質問です。第2シーズンになって成長したキャラクターについて気をつけていることがあれば教えてください。
森田成一さん(以下、森田):第1期では戦で親をなくした下僕の子ということで荒々しく、剣の振り方にしても斬るというより砕く感じで演じていました。王騎(オウキ)の死以前から比べると、隊を率いる彼の行動は、本能で動くよりも少しずつ頭脳を使って動くようになっています。そのため、頭でまず考えてから話すということを意識して演じています。信はすぐ激情に駆られて行動する場面が多かったのですが、ぐっと抑える部分が出てきたと思います。それは成長した信が自分の強さを分ってきたからではないかなと。ただベースとしてはいつもの勢いはパワーアップして演じています。
福山潤さん(以下、福山):嬴政は、呂不韋(リョフイ)という大きな超えられない壁があり、そして気を張って誰にも心を許さないところがありました。第2期では信という心を通わせている友といるときの柔らかさだったり、幼いときにはなかなか出せなかった人間らしさや少年らしい部分といったところを会話の中で演じられたらなと思っています。
――蒙恬役の野島さんと王賁役の細谷さんに質問です。キングダムの出演が決まった心境と今後の意気込みについてお聞かせください。
細谷佳正さん(以下、細谷):『キングダム』の出演が決まったとき、錚々たるキャストさんの中に自分が入っても大丈夫なのかなという不安がありました。歴史ものを演じるということにも自分の中ではひとつの課題なので『キングダム』の世界観を崩さないようにとにかく一生懸命頑張ろうと思っています。
野島裕史さん(以下、野島):僕は男くさい作品が大好きなので、この作品に関われることをとてもうれしく思っていたら、自分の役が全然男くさくなくて(笑)。『キングダム』の世界を壊さないように入り込んでいくのはすごく難しく感じました。これからうまく体に染み込ませて演じていければなと思っています。
――作品や演じているキャラクターへの印象、演技を通して伝えたいことを教えてください。
森田:信も少し人間らしくなったかなと思っています。初めは飢えた狼のような印象を持っていました。そのため僕も第1期が始まる前に減量したんです。そうしないと飢餓感というものを出せないかなと思いまして。そこから考えてみると、彼もたくましくなり青年に成りかけているのかなというのが今の印象です。ただ、荒々しさというところでは飢えた狼というよりも、狼の王に至る途中の若頭のようなイメージを持っています。
また、『キングダム』は生き抜くということをテーマにしているので、ここは変わらずに伝えていきたいと思っています。現代社会においても似通った部分はあると思いますね。時代や背景は違っていても、その中で人間がいかに強く生きていくのか、どのようにすればその意思を持っていけるのかという熱いメッセージを伝えていきたいです。
福山:役の印象としては、少年らしからぬ胆力と先を見据える眼力を持った少年だなと思っています。嬴政は後の始皇帝ということで様々な文献などが残っていますが、これからどのような経緯で始皇帝になっていくのかなと楽しみです。実在した人物ではありますが、この作品の中での彼の人格や生きてきた環境があって、その生き抜く力であったり信念に順ずる意思の強さ、楽に生きていけない時代だからこその人間の強い思い、そういったものをお届けできたらなと思っています。
細谷:なんで信に対してこんなに身分を気にするようなことを言うのかな、というところが最初の王賁に対しての印象でした。原作を読み進めているうちに、偉大な父を持つことで王賁の中にはプレッシャーや寂しさがあるのではないかなと思っています。エリートで堅物という強固な外面で装っていても、弱い部分もあるんじゃないのかな、というのが今の印象です。選択肢が少ない時代で生き残るには何かを成しえないといけないという必死さの中で、本気で何かを取りにいくということを伝えていきたいと思っています。
野島:個性豊かな男臭いキャラクターがたくさんいる中で、意外とイケメンで飄々とした役だなというのがキャラクターに対しての印象です。イケメンを演じさせてもらえるのでうれしかったですね(笑)。キングダムという作品の世界観を作るひとつのピースとして、生き抜くということの緊張感を表現できたらと思っています。
――現場の雰囲気やおもしろいエピソードなどはありますか?
福山:現場自体はスムーズに進むんですけど、スムーズに進むからこそ誰かが失敗すると総ツッコミが入るんですよね(笑)。ちょっとした読み間違いだったりとかおもしろいとちり方とか誰でもあると思うんですけど、そういうのを見ると絶対とちりたくねえなって思いますね。
森田:この現場は人の揚げ足を取るのが好きな現場なので、弱みを見せちゃいけないなと(笑)。戦国の世の習いというか、弱みを見せると首を取られるので気をつけないといけないんですが、細谷くんはすでに洗礼を受けていますね(笑)。この現場を嫌いにならないでね。(笑)。
細谷:いや、もう大好きです!
森田:でも、これだけ殺伐とした雰囲気の作品をやっているんですが、現場の雰囲気はいいですね。しかも、ほぼ男子しかいないので部活みたいですね。
福山:スタジオの狭いスペースに20人以上で合戦のシーンをやったりするんですよ。朝の現場が女性の多いところでいい匂いがするなぁと思っていたら、次にこっちの現場に来てみたら本当に汗臭いんだなって思いましたね(笑)。
森田:合戦シーンの収録は、信は先頭きって突っ込むのでものすごく叫ぶんですよ。汗をだくだく流しながら演技するので室温を上げてしまうんです。それがたまに来る女性陣には熱いって嫌がられていますね(笑)。
野島:人の揚げ足を取るって言っていましたが、そういうことができる仲のいい人たちが揃っているっていうことですよね。そんな中に新しく入っていくので、僕も早く揚げ足を取られるように頑張ります(笑)。
細谷:森田さんがおっしゃったように現場の雰囲気はよくて、すごく皆さんがフレンドリーなんですよ。僕は新しいキャストということで転校生状態なのですが、本当に部活みたいな感じで楽しくやらせて頂いています。
――自分の演じるキャラクター以外に気になるキャラクターはいますか? またその理由はなんですか?
森田:蒙恬と王賁はものすごくキャラが立っていて好きですね。以前で言うと、嬴政と河了貂(カリョウテン)と信がトリオで活躍していて、今度は信と蒙恬と王賁で千人将を目指していくのが面白いなと思います。気に入っているキャラクターでもあるし、信として足元をすくわれかねない相手としてものすごく気になっています。
福山:まだアニメには登場していないのですが、桓騎(カンキ)と王翦(オウセン)というキャラクターが好きですね。
細谷:僕は李牧(リボク)が好きですね。すごい知性派ながらも見る人が見るとものすごい武将であるというところが気になります。
野島:蒙恬を一番大事に気にしていきたいと思っているので、まだ他のキャラクターには気を向けられる余裕がないですね(笑)。
●"生きる"ということを伝えたい。森田さん、衝撃の実体験とは――
――『キングダム』は非常に人気のある作品ですが、一言で言うならその魅力は何だと思いますか?
福山:「熱量」ですね。
森田:「激しさ」。
福山:さぁ、「熱量」「激しさ」ときて!?
細谷:「みんな必死で生きている」。
福山:「熱量」「激しさ」「みんな必死で生きている」さぁ!
野島:「そんな時代がありました」。
一同: (笑)。
――1~2話の放送での見所は?
森田:第1期から作品上で少し時間がたっている第2期なのですが、信が成長しているところを見て頂きたいです。イメージでは親戚の小学生の男の子が2~3年会わない間に声が低くなってきたり、微妙な変化みたいなものを出せたらなと思っています。
他のキャラクターもそうだと思うのですが、第1期との変化を見てくれたらなと思います。2話で李牧と信が再会を果たすシーンがあるのですが、そのときの李牧に対しての台詞は信の成長や今まで持っていた熱さなどが込められているので、そこは聞いて頂きたいです。
福山:第1期のラストの激しい万対万の「動」の戦いが終わったらすぐに第2期で知略に長けた人たちの「静」の戦いが幕を開けます。そこでの手練手管を使う大人たちのひりつく戦いは見所です。
また、新しいキャラクターたちの活躍もありますし、第1期に戦いが多かった分、第2期ではそれぞれのキャラクターの心情や内に秘めているものが色濃く出ています。外の戦いだけでなく内の戦いというのも『キングダム』のひとつの魅力なので見て頂きたいです。嬴政は、先を見据える聡明さもあったり意思も強いのですが、まだ本人の力は微々たるものです。その中でどのように大王として進んでいくのかが信との会話などでしっかりと出ているので、ぜひ嬴政を見守ってください。
――蒙恬と王賁の登場シーンの見所は?
細谷:王賁が信に対して身分を分からせようとするシーンがあるのですが、一見冷たくしてはいるものの信をものすごく意識しているところを見て頂きたいです。恐らく彼は信に対してライバル心だったり、ある種危機感を持っていると思うので、その辺りを感じ取ってもらいたいです。
野島:とにかく熱い世界の中にふらっと軽やかな飄々としたやつが現れるので、「何だこいつは?」と思って頂けたらうれしいです。
――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
細谷:この『キングダム』という作品に関わらせて頂いて本当に幸せだなと思います。男性ファンが多い作品なので男性の方から「王賁、いいね」と言われるように頑張りたいと思います。
野島:アニメも原作に負けず劣らずの迫力で熱量が感じられる作品になっています。僕もその熱量のウェーブに乗って世界観を壊さないように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
福山:原作ファンの方もアニメからファンになった方も多くいる中で第2期を新たなメインキャラクターの2人を加えて、素晴らしいスタッフも集結して贈り届けることができます。第1期や原作に負けないように熱量を持って台詞を紡いでいきますのでぜひご覧ください。そして原作を読んでいると演じる側として、「早くこの台詞言いたいなっ」て思うものがあるんですよ! そういったものにも期待しつつ一緒についてきてくれたら幸いです。
森田:『キングダム』という作品は今時、原作も劇画タッチで今時にしては珍しい作品だと思います。それをアニメーションにして僕たちもさらに迫力を加えていきたいと思っていますので、熱さや猛りというものを受け取って頂きたいなと思っています。その中で『キングダム』のテーマである生き抜くということがどういうことなのかをお伝えできたらなと思っています。
僕自身つい最近アナフィラキシーショックで死にそうになりました。アナフィラキシーショックとその後の心筋梗塞と副作用で、実は3回死にそうになったんです。そのとき病院を退院して強く思ったのが、「生きるが勝ちだな」ということです。逆にあんなに簡単に死というものが訪れることに驚きでした。
その中で今、生というものを拾ってこの作品をやらせて頂いています。ならばなおさらこの作品で、生きるということを画面やスピーカーを通し、皆さんに訴えかけられればと思っています。ぜひ"生きる"ということの意味をまじめに捉えて頂けたらと思っています。
<放送情報>
◆『キングダム』第2シリーズ
NHK BSプレミアムにて2013年6月8日から 毎週土曜日 23:45より
第1期は総合テレビで毎週月曜午前1:10より放送中。
[STAFF]
原作:原泰久
監督:岩永彰
シリーズ構成:荒川稔久
キャラクターデザイン:竹田逸子、徳永久美子
美術監督:金鉉洙
色彩設計:甲斐けいこ
撮影監督:吉田 寛
編集:松村正宏
3DCG監督:奥村優子
音響監督:高桑一
音楽:関 美奈子
アニメーションプロデューサー:礒谷麻依子
制作統括:斉藤健治、柴田裕司、上田憲伯
アニメーション制作:ぴえろ
制作・著作:NHK・総合ビジョン・ぴえろ
[CAST]
信:森田成一
嬴政:福山潤
蒙恬:野島裕史
王賁:細谷佳正
河了貂:釘宮理恵
羌カイ:日笠陽子
騰:加藤亮夫
昌文君:仲野 裕
壁:遊佐浩二
肆氏:高瀬右光
呂不韋:玄田哲章
昌平君:諏訪部順一
蒙武:楠大典
蔡沢:千田光男
澤圭:佐藤晴男
尾平:鳥海浩輔
麃公:斎藤志郎
蒙毅:水沢史絵
李牧:森川智之
公孫龍:斉藤次郎
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