『吉田尚記がアニメで企んでる』、第13回放送のゲストは『銀魂』の藤田陽一監督、樋口弘光プロデューサー
NOTTVで毎週火曜日、20時から生放送中の番組『吉田尚記がアニメで企んでる』(再放送は日曜12:00〜12:58)。司会はアニメ好きとして知られるニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。この番組は毎回アニメクリエイターをゲストに招き、制作現場の裏側を紹介するバラエティートーク番組だ。
7月9日に放送された第13回のゲストは、現在劇場公開中『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』の監督・藤田陽一さんと、プロデューサー・樋口弘光さんのおふたり。『劇場版 銀魂 完結篇』は現在大ヒットを記録しており、公開初週のランキングは4位。3日間で3億2000万円の興行収入を達成した。これは前作の映画『新訳紅桜篇』に比べて140%の成績だそうだ。
そんな輝かしい記録について吉田アナがゲストにコメントを求めると、藤田監督は「実感がない」と謙虚な返答。そして樋口プロデューサーは、「予想以上の滑り出しで怖いです。来週から『ポケモン』やジブリが始まりますし……」と語るが、すかさず吉田アナは「どちらもアニメだけど、お客さんはかぶらないですよ!」と語り、スタジオを爆笑させた。
■7年作り続けているアニメ『銀魂』を振り返る
アニメ『銀魂』はスタートから7年が経ち、全265話が放送されている。この大部分に関わっているゲストのおふたりは、「長期的なことをあまり考えたことない。目の前のことをやり続けてきた」と語った。『銀魂』の特徴のひとつであるパロディや下ネタについて吉田アナが質問すると、樋口プロデューサーは「いままで何回かピンチはあった。ものすごく怒られたことがある」と苦労話を紹介した。
その怒られたときは、なんと朝の9時から夕方の6時まで、●●や●●など、いろいろな人から怒られたそうだ。怒られた理由はもちろん「過激なパロディ」だったそうだが、よほどひどく怒られたようで詳しい内容は語られなかった。なお、そのシーンはかなり手を加えてテレビで放送され、DVDにもなっているとのこと。
■制作スタイルは藤田さんのフルスロットルと、樋口さんのブレーキ
アニメ『銀魂』を制作するに当たって、フリーランスの監督である藤田さんと、サンライズ所属のプロデューサーの樋口さんが、とてもいい関係を保っている。藤田さんが自分がやりたい作品を全力で作り、樋口さんが関係各所を回って調整をしている。このバランスが絶妙で、ふたりがコンビを組まなければ、いまのアニメ『銀魂』はありえない。番組中のトークでは、「藤田さんがフルスロットルで、樋口さんがブレーキ役」と紹介された。
さらに、フリートークでは「モザイク」に関するこだわりも語られた。藤田監督は「モザイクの下もきちんと絵が描かれています。描いてないとモザイクが単なる色のブロックになってしまうから」とコメントした。また、シーンによってはモザイクではなく黒く塗りつぶしたり、キャラクターの顔をかぶせたりするなど、演出と表現手法には相当な苦労とノウハウがあるそうだ。
■画面タッチ機能を使ってキャラクター人気投票
番組の終盤に、視聴者参加型のキャラクター人気投票が行なわれた。視聴者は番組が選んだ8人の主要キャラクターのなかから好きなキャラクターに投票するという、NOTTVならではのコーナーだ。結果は視聴者の26%が選んだ「銀時」が1位。2位は「神楽」と「エリザベス」が24%ずつだった。
また、番組の最後は6月29日に両国国技館で開催された『劇場版 銀魂 銀幕前夜祭り2013』の取材映像も流された。会場に集まった『銀魂』ファンからのメッセージVTRが流れると、藤田監督と樋口プロデューサーは真剣な表情でモニターを見入っていた。
■番組終了後に藤田監督と樋口プロデューサーへのインタビュー!
——番組の感想をお聞かせください。
藤田陽一さん:ちょっとしゃべりすぎたかな? ラジオ放送のときは「ピー」入れてほしいなぁ(笑)
樋口弘光さん: 僕は会社員なので、明日ヤバいかもしれません(笑)。
——今日は番組開始前から楽屋でビールを飲んだとのことでしたが、普段からおふたりで飲む機会は多いのでしょうか?
藤田:打ち合わせの後に飲むことはありますね。
樋口:仕事とからめて飲むことはあります。プライベートだけではあまり飲まないけど、毎日仕事で会ってますからね。
——藤田さんと樋口さんはサンライズの同期入社で13年の付き合いがあるとおっしゃっていましたが、入社当時から仲がよかったのでしょうか?
樋口:『銀魂』の初代監督の高松さんから藤田君に監督をお願いしたのがきっかけです。13年前に入社したとき、まさかこうなるとは思っていませんでした。
樋口:新入社員として入ったときは離れていました。藤田君は第1スタジオで、僕は第5スタジオだったんです。
藤田:その当時はお互いが「どうせ辞めるんだろうな」って思ってました(笑)。
樋口:『銀魂』に関わってくれるようになってからは、いろいろなことを相談してます。
藤田:「腐れ縁」というか「戦友」というか、そんな関係ですね。
樋口:そうですね。各社さんから届く要望をふたりで解決してきました。僕はプロデューサーなのでスケジュールや予算などを担当し、藤田君は内容面を担当しています。そこからずっとふたりで協力し合っていますね。
——とても仲がよいおふたりですが、これからもずっと一緒でしょうか?
樋口:これからご縁がある仕事をやらせてもらえるのなら、一緒に作業するかもしれませんね。ただ、僕が頼んでも藤田君がやってくれるかどうかはわかりませんが。
一同:(笑)
藤田:こうやって同期が同じ作品を7年も一緒に作ってるって、とても珍しいと思います。アニメが7年も続くことも少ないですし。なので今回はいろいろな偶然が重なったんです。
——番組中に「パロディ」について語ったとき、スタジオは大爆笑でした。樋口プロデューサーが怒られた話でしたが、具体的に誰から怒られたか語られなかったので、吉田アナが何度も聞いていました。
藤田:餌を出しておいて答えを出さないんだもん、ひどいよね!(笑)
樋口:だって、まさかあそこまで食いついてくるとは思わなかったんですよ。「わはは!」って笑って終わりにしてくれるかと思ったのに(笑)。
——「パロディ」とは、どこまでやっていいものでしょうか?
樋口:「パロディ」と「パクり」の違いって難しいんですよね。僕の場合は、ワンシーンでクスッと笑ってもらえるまでがパロディです。
——藤田監督は?
藤田:印象の問題だと思います。番組中にも言いましたが、5秒くらいなら人糞を映してもいいけど、10分間ずっと人糞をテーマに話を作ると怒られます。
一同:(笑)
——樋口プロデューサーが怒られたエピソードは番組中に紹介されていましたけど、藤田監督は怒られたことは?
藤田:僕は怒られずに、「ここはなんとかしてくれ」って頼まれるほうです。
樋口:監督はフリーランスなので、怒られるのは僕ですね。
藤田:そうそう。僕の場合は怒られるんじゃなくて、作品から外されます。
一同:(爆笑)
樋口:監督に面倒なことはさせたくないんです。監督には作品のなかで、「おもしろい」とか「楽しい」と思うことだけに意識を向けて作業をしてほしいんです。
——公開中の映画『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』ですが、これが本当に最後の作品なのでしょうか? また「終わる終わる詐欺」でしょうか?
藤田:業界内でも誰も信じてくれないんですよね(笑)。スタッフにも「終わらないでしょ?」って言われます。でもね、どうなんでしょうね?
樋口:現時点ではわからないですね。僕たちはその都度「やり切る」のを目標にしてますから。
藤田:いままでも「終わる終わる詐欺」とか言われてますけど、「もう原作がないから終わりたいんだ!」って切実なときもありました(笑)。
樋口:空知先生の原作以外はあまり作ってこなかったので。我々のテーマの一つとして、「空知英秋の映像化」ということもありますから。
藤田:自分が見る側だったら、原作にないオリジナルって微妙じゃないですか? 原作が映像になったときに「おもしろくなってる」というのをファンに届けたいというのが根底にあるんです。僕はジャンプアニメの黄金期に育ってきた人間なので、いまアニメを作っているときに想定するお客さんは、過去の自分だったりします。過去の自分が見たとき、ちゃんとワクワクしてるかどうかを考えて作っています。
——では最後に、まだ『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』を見ていない読者にメッセージをお願いします。
藤田:テレビアニメ『銀魂』は、テレビで見ないと損をする作りにしてきました。なので今回の映画は、劇場で見ないと損をする作りになっています。メディアとタイミングは特に意識して作った作品です。ぜひ映画館で見てほしいですね。
——なるほど! 興行成績がよいのは、メディアとタイミングにこだわったからですか?
藤田:でもわからないですよ。『モンスターズ ・ユニバーシティ』も上映していますからね。あんな学校、●●になっちゃえばいいのに!(笑)
一同:(爆笑)
——さすが藤田監督です。これ、ほんとに書いちゃっていいんですか?(笑)
藤田:だって、●●サーから仕事こないですよ(笑)。
——『銀魂』の監督だと、どんなコメントをしても怖いものナシですね(笑)。では樋口さんも、ファンにメッセージをお願いします。
樋口:『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』はジャンプでも読めない、テレビでも見られない作品です。映画館でしか見られない、空知先生のアニメーションです。昔から『銀魂』を追いかけ続けてくださるファンの方々はもちろんですけど、しばらく『銀魂』から遠のいている人でも、過去に『銀魂』に触れたことがある人なら楽しめる作品です。かといって、『銀魂』を知らない人は楽しめないわけでもありません。エンターテイメント作品として作っているので、これを機会に『銀魂』に触れてほしいです。とにかくいろいろな人に楽しんでいただきたいと思います。
藤田:(コメントが)長い!
一同:(爆笑)
「吉田尚記がアニメで企んでる」
NOTTV 毎週火曜 20:00~20:58 生放送 (再放送:毎週日曜 12:00~12:58)
ニッポン放送 毎週日曜 25:30~26:00
今後のゲスト
7月23日 第15回 『ファンタジードール』 谷口悟朗監督
7月30日 第16回 『シリーズ セカンド』、『化物語』 神前暁さん(サウンドクリエーター)
<放送内容>
“今、自分がいちばん見たい番組を作る”というコンセプトのもとに吉田尚記が話題のアニメに仕掛けます!
アニメ界にその名を轟かすカリスマアナウンサー、ニッポン放送の吉田尚記(よしだひさのり)が“今、自分がいちばん見たい番組を作る”というコンセプトのもとに、ラジオだけではできない、テレビだけでもできない、NOTTVだからできる「企み」を話題のアニメ作品に仕掛けていきます。
作品作りにこだわりぬいたクリエイターの核心に迫るアニメファンのためのアニメ新番組。
<出演者>
吉田尚記
<ツイッターハッシュタグ>
#よアニ
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