『ノブナガ・ザ・フール』アフレコ現場潜入レポート

宮野真守さんら総勢25名のキャストが集うテレビアニメ『ノブナガ・ザ・フール』アフレコ現場に潜入! レポート&河森正治氏コメントをお届け

 ――それは、我々が住む世界とは別の世界線での物語。

 東と西のふたつの星では、戦乱が絶えず起こり一向に鎮まる気配がなかった。

 そんな折、世を憂う西の星の少女、ジャンヌ・カグヤ・ダルクは“救星王誕生の天啓”に導かれ、レオナルド・ダ・ヴィンチとともに東の星へと降り立つ。そして、「東の星のうつけ者」と言われる男、オダ・ノブナガと出逢うこととなる……。



 戦国時代の日本文化に西洋文化を織り交ぜた、独自の世界観で描かれる歴史ファンタジー『ノブナガ・ザ・フール』。河森正治氏が手がける一大プロジェクト「The Fool」の第一弾として立ち上げられ、演劇(三次元)とアニメーション(二次元)両方のアプローチが成される“多次元プロジェクト”だ。

 演劇は、役者陣のアクションと声優陣のボイスを融合させる試みで2013年12月から順次公演が行われ、アニメーションは演劇と同じ声優陣を起用し2014年1月より放送中となっている。そこで、アニメイトTVでは、テレビアニメ版『ノブナガ・ザ・フール』のアフレコ現場に潜入! 取材を敢行した。

●大人数で挑む音声収録――アフレコ現場は緊張と緩和の連続

 某月某日。都内某所にあるアフレコスタジオのブース内には、テレビアニメ『ノブナガ・ザ・フール』の声優陣がズラリと顔を揃えていた。大人数での収録が特徴である本作。この日も、総勢25名ものキャストがアフレコに訪れた。壁際にコの字に置かれた長椅子には、主役の宮野真守さん(オダ・ノブナガ役)をはじめ、梶 裕貴さん(トヨトミ・ヒデヨシ役)、日笠陽子さん(ジャンヌ・カグヤ・ダルク役)、杉田智和さん(レオナルド・ダ・ヴィンチ役)、茅原実里さん(イチヒメ役)らが座り、個々に台本の読み込みや談笑をしながら収録開始を待っていた。

 開始時間になると、キャスト陣の自己紹介を経て、ひとまず本作監督・佐藤英一氏による作品やキャラクター説明へ。この日はじめて収録に参加するキャストも多く、佐藤監督から「東の星と西の星の関係性」や「本作キャラの史実とのギャップ」などが改めて解説されたのだ。

 自己紹介のときの穏やかムードからは一変、食い入るような表情で佐藤監督の話を聞くキャスト陣たち。ひと通り説明が終わった後も、個別に演技プランを相談する姿も見られた。

 そして、いよいよアフレコへ。収録は、大きくわけてAパート、Bパートの順に行われた。各パートは、まずテストを録り、それを基に音響監督や佐藤監督、河森正治氏らが気になったセリフの演出を相談。その後、キャスト陣に該当部分の演技指導をし、本番を収録していくという流れだ。

 Aパートの演技指導では「ジャンヌに対するノブナガのセリフがキツい(あたりが強い)」との指摘に、「気持ちが出ちゃってるかあ(笑)」(宮野さん)、「えー!?」(日笠さん)といった和やかなやりとりも。とはいえ、緊迫したシーンからスタートするパートだっただけに、「黙れ!」「覚悟!」と声を荒らげるセリフや、剣を振り上げる際の発声などを中心に繊細な指導があり、熱心に台本に書き込むキャスト陣の姿が印象的だった。また、演技指導が終わった途端、本番に向けて一斉にセリフを練習しはじめる光景には圧倒された。

 通しでの本番を終えると、次はオンリー。さらに詰めたいセリフを、キャストごとに録っていく行程だ。台本には記されていなかった、ジャンヌが辺りを見回す際の芝居なども加えられ、セリフ一つひとつが丁寧に収録されていく。徐々に洗練されていく芝居……。とくに、レオナルド・ダ・ヴィンチ役、杉田さんの演技には、最終的にアドリブも加えられ、監督陣からは思わず笑みがこぼれていた。

 Bパートは、Aパートとは一転、キャラクター同士の会話からはじまるパートだからか、テストは終始穏やかムード。テスト後の休憩時も、談笑が絶えない。ともあれ、ひと度本番となるとマイク前で圧巻の芝居を見せるキャスト陣。セリフ回しや息遣いの細部にまで気を配り、納得がいかなければ自己申告して録り直しをしていた。そして、ガヤ録りのほか、櫻井さんら途中参加したキャスト陣の個別収録を経て、約5時間に及ぶアフレコが終了した。

 収録時は、まだアニメーションが未完成の状態であり、キャラクターの細かな所作や表情が読み取りづらい状況。にも関わらず、キャラクターの性格を捉え、監督らの演出にも確実に応えていく“プロ”の芝居には、驚嘆するばかりだった。

 また、特筆すべきは宮野さん。これまで、様々な作品で主役を任された宮野さんでも、ここまで大所帯の現場をまとめることはそう多くないはず。しかし、キャスト陣の士気を高めるため全力で芝居に挑むだけでなく、ときに場を和ませるなど雰囲気作りに徹する姿には、恐れ多くも主役としての責任感と貫禄を感じてしまった。

●「ノブナガの突き抜け具合は見どころのひとつ」。河森正治氏ミニインタビュー

 さらに、アフレコの合間に河森正治氏からコメントをもらうことができた。本作の魅力や見どころなどが語られたので以下で紹介しよう。

――前情報のみの段階ではありますが、『ノブナガ・ザ・フール』は、歴史を扱った物語のなかでも異色といった印象を受けました。

河森正治氏(以下、河森):そうですね。歴史上の人物をモデルにした作品はたくさんあるので、「そこからどう飛躍するか」というところもポイントでした。この企画自体、“舞台とアニメーション”という異なるエンターテイメントがほぼ同時に立ち上がり進行しています。なので物語のなかでも“西の星と東の星”、“戦いと恋愛”といった“異質な物同士”のぶつかり合いから、新しいものがどんどん生まれていくダイナミズムを表現できればいいなと。

――そこで選んだのが、歴史ファンタジーだったと。

河森:いわゆるifモノですよね。「もしジャンヌ(・ダルク)とノブナガとダ・ヴィンチが出会ったら……」っていう史実にはない面白さ。出会うことで、彼らが個々に持っている価値観は変わらざるを得ないだろうけど、じゃあどういうふうに刺激し合い、変わっていくのか? そしてそこからどんな新しいものが生まれるのか?と。これを、大イクサヨロイ(本作に登場する、ダ・ヴィンチが作ったロボット)とともに大スケールで見せていきます。

――つまりは、人との関わりあいが本作のキーのひとつになるんですね。

河森:そのなかでは恋愛も。……と言っても、いわゆる学園モノだったり、ベタベタなものではないですよ。戦国時代っていう、命のやりとりをしていた時代の恋愛なので、そこでの潔さとか、逆に大義があるが故に言えない気持ちとか、この時代らしい心情を描こうと。

――そんななかで、主人公・ノブナガがどう立ち回っていくのか楽しみです。

河森:史実では残虐さも目立つ織田信長ですが、本作ではそこよりも「何をしでかすかわからない危うさがあるけど、なんか引きこまれてしまう」といった、若きカリスマ的なノブナガ像を見せたいですね。そのうえで、周りの男女の人間模様とか、時代に風穴を開けていく男たちの姿とかが展開されるので。オダ・ノブナガの“突き抜け具合”は見どころだと思いますよ。

 河森氏の言葉からも読み取れる、独特な世界観が特徴の『ノブナガ・ザ・フール』。演劇とアニメーション双方で“声”という命を吹き込む声優陣の芝居は、果たして、観る者にどう映るのか? ぜひ、確かめて欲しい!

[取材&文・松本まゆげ]

【放送情報】
テレビ東京:2014年1月5日(日)25:05~ ※初回放送は25:35~
テレビ大阪:2014年1月6日(月)25:15~
テレビ愛知:2014年1月6日(月)27:05~
テレビせとうち:2014年1月8日(水)26:10~
テレビ北海道:2014年1月7日(火)26:35~
TVQ九州放送:2014年1月9日(木)27:00~ ※初回放送は27:30~
AT-X:2014年1月10日(金)22:30~
[AT-X リピート放送]
1月12日(日)09:30~
1月14日(火)28:30~
1月16日(木)16:30~
※放送日時は変更になる可能性がございます。

【STAFF】
原作:「多次元プロジェクト"The Fool"」河森正治・サテライト/ALC/GP
原作/シリーズ構成/メインメカデザイン:河森正治
監督:佐藤英一
キャラクター原案:カズキヨネ
キャラクターデザイン:丸藤広貴
総作画監督:丸藤広貴、清水貴子、椛島洋介
CGプロデューサー:橋本トミサブロウ
CGディレクター:原田丈
イクサヨロイデザイン:河森正治、ブリュネ・スタニスラス、池田幸雄
メカデザイン:大河広行
ザ・フールメインモデリング:池田幸雄
モニターグラフィックデザイン/オリジナル家紋デザイン:石川寛貢
コンセプトデザイン:ロマン・トマ、ブリュネ・スタニスラス、ニエム・ヴィンセント
プロップデザイン:秋篠denforword 日和
色彩設計:品地奈々絵
美術設定・美術監修:加藤浩(ととにゃん)
美術監督:栫ヒロツグ(ととにゃん)
撮影監督:岩崎敦、志村豪(T2 Studio)
音楽:横山克
音響監督:明田川仁
編集:兼重涼子
タイトル文字・題字:憲真
アニメーション制作:サテライト
製作:ノブナガ・ザ・フール製作委員会

【CAST】
オダ・ノブナガ:宮野真守
ジャンヌ・カグヤ・ダルク:日笠陽子
アケチ・ミツヒデ:櫻井孝宏
トヨトミ・ヒデヨシ:梶裕貴
レオナルド・ダ・ヴィンチ:杉田智和
イチヒメ:茅原実里
ヒミコ:東山奈央
ガイウス・ユリウス・カエサル:中村悠一
ネル:木戸衣吹
ビアンキ:石田晴香
オダ・ノブカツ:島﨑信長
タケダ・シンゲン:小山力也
ウエスギ・ケンシン:七海ひろき
アレクサンダー:中井和哉
マゼラン:松岡禎丞
チャチャ:奈波果林
ハツ:梅村結衣
ゴウ:高橋紗妃

【ストーリー】
 これは世界が東と西、2つの星に分かたれていた時空の物語。世界が戦乱の渦中にあるなかで、西の星の少女、ジャンヌ・カグヤ・ダルクは、星を救う「救星王」誕生のビジョンを見る。東の星の若武者オダ・ノブナガは、矛盾に満ちた乱世を統一する力を欲していた。彼らが選択するのは、救済か、それとも破壊か。二人の運命が巡り会ったとき、世界変革の物語が幕を開ける!愛よ、世界を破壊せよ!

>>テレビアニメ『ノブナガ・ザ・フール』公式サイト
>>テレビアニメ『ノブナガ・ザ・フール』公式Twitter 【推奨ハッシュタグ:#nobunaga_tv】

(C)河森正治・サテライト/ALC/GP/ノブナガ・ザ・フール製作委員
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