『百年戦記 ユーロ・ヒストリア 』×angela 10年の時を経て“あの”名曲が再び!
2013年12月よりサービス開始されているカプコンのオンラインゲーム『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』。本作は中世ヨーロッパの『百年戦争』をモデルにしたシミュレーションRPGで、テーマソングを務めるのは昨年デビュー10周年を迎えた人気音楽ユニット・angelaだ。
『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』の開発チームの熱烈なラブコールを受けたangelaは、10年前にリリースされた1stアルバム『ソラノコエ』のオープニングを飾った『over the limits』を『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』用にリメイク。疾走感がプラスされ、ゲームの世界観を一層盛り立てる楽曲に仕上がったが、angelaのお二人はどんな気持ちで楽曲と向き合ったのだろうか? 1月8日に発売されたangela の “10年戦記”を凝縮したアイテム『angela TREASURE Blu-ray BOX』のお話も含め、今の気持ちをじっくりと聞いていった。
●「(制作サイドの)熱量がすごくて、わたしたちも嬉しかったんです」(atsuko)
――今日はよろしくお願いします! まずは『百年戦記 ユーロ・ヒストリア 』の主題歌を歌うことになった経緯を教えて下さい。
Atsukoさん(以下、敬称略):これが突然だったんです。カプコンさんのほうから『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』の主題歌を歌って欲しいという企画書をいただきまして。私たち自身はカプコンさんとはまったく面識がなくて、個人的に『モンスターハンター』シリーズを買っていたりするくらいの関係だったんですけど(笑)。そんな会社さまから、こんな大きなプロジェクトのお話をいただけるとは思ってなかったので……ビックリしましたね。
KATSUさん(以下、敬称略):僕は今回の話を聞いたとき、怒られるかと思ったんですよ(笑)。ファンクラブで『モンスターハンター』のイベント(FCイベント「伝説のモンハン大会」)をやっているんです。しかも今回2回目をやってしまったので、荒稼ぎをしていると思われたのかなと(一同笑)。
atsuko:してないしてない!(笑)
――荒稼ぎというよりは、純粋にみなさんでゲームを楽しまれているイメージですが(笑)。
KATSU:実際はそうなんですけどね(笑)。そういうワケで、ついに怒られるのかなと思っていたんですが……(笑)。『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』の企画書を読ませてもらって、もうビックリしたんですよ。こんなゲームに参加させてもらっていいの!? みたいな驚きからスタートしたというか。
atsuko:いただいた企画書に「ぜひ主題歌はangelaさんにお願いしたい!」みたいなことが書かれていて。その熱量がすごくて、わたしたちも嬉しかったんですよ。デビューして10年経つんですが、ここにきて、自分たちのいるフィールド以外のかたがたがangelaのことを思ってくださっているんだなと実感することが多くなって。これが10年続けるということなんだなと改めて思いました。
――それは嬉しいですね。じゃあ、二つ返事でオッケーした感じだったんですか?
atsuko:そうですね。もちろん新曲を作りたい気持ちはあったんですが、タイムリミットが迫っていた段階だったので悩んでいたんです。でも、カプコンさんが「それでもお願いしたい」と言って下さって。好きの具合がホンモノだ!と驚きました(笑)。そこで、なんとかご一緒できる方法を探したときに『over the limits』という曲が挙がってきたんです。
KATSU:僕達もその気持ちに応えたいなと思って、アレンジとトラックダウンをもう一度やり直して、ゲームに合った疾走感を取り入れました。テンポは変えてないんですけど、音をハイファイに変えたんですよ。それで勢いが出たんじゃないかなと思います。やっぱりスピード感があるほうがいいかなと。歌いなおすことも可能だったんですけど……歌いなおしてしまうと、今回この曲を使ってもらう意味がなくなってしまう気がして。というのも、『over the limits』の10年の歴史はそのまま残したかったんですよ。『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』も歴史のお話ですからね(笑)。それでアレンジとミックスを施して、『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』バージョンに進化させていきました。
実はもともとこの曲は──言っていいのかな。デビュー曲の『明日へのbrilliant road 』(2003年5月発売)がテレビアニメ『宇宙のステルヴィア』の主題歌だったんですが……『宇宙のステルヴィア』の第二期があったらこれをオープニングにしたいなと思って書いた曲だったんです。勝手に(笑)。
――そうだったんですか!?
atsuko:頼まれてもないのに(笑)。
KATSU:そう(笑)。なんの依頼もないし、『宇宙のステルヴィア』第二期の制作の存在もないんですけど、それをテーマにして作った曲だったんです。でもそのこと自体を忘れていて(笑)。今回のお話をいただいたときに、キングレコードのハードディスクから『over the limits』のデータを探していたんですけど、この曲だけ見つからなくて。「おかしい」と思って探していたら、『明日へのbrilliant road 2』というフォルダがあって(笑)。それがこの曲で、「ああ、そうだ! “明日ブリ2”とか呼んでいたわ」って思い出したんです。そういう経緯があったので、そのイメージのままこのゲームに当てはめてもらうのは、自分のなかでなんか違うなと思って。アレンジを加えて作りなおしたんですよ。
――なるほど! そう言われてから歌詞を読みなおすとすごく感慨深いものがあります。
KATSU:そういう意味では、デビュー曲にいちばん近い感覚で作っている曲ですね。
atsuko:『over the limits』は、当時の気持ちがすごく反映されているんですよ。デビューしてちょっとしか経ってないけど「この状態に甘んじてはいけない」「前に進んでいかなければいけない」って気持ちがすごく表れていて。歌詞を改めて読んで「そういうことを思いながら書いたんだろうなぁ、わたし」ってしみじみしました(笑)。
――具体的にお伺いしてもいいですか?
atsuko:それまでは路上で歌い、レコーディングといえばKATSUの家の窓を締め切って歌を入れる……みたいな状態だったのが、デビューしてすぐアルバムを出しましょうって言っていただいて、レコーディングできる環境にも恵まれるようになって。でも、その環境に甘えて、ぬるま湯状態になってはいけないなってすごく思っていたんです。それで<いつの間にか ぬるい世界に 慣れてしまうのは嫌で/叶えたい 体中に響き渡った あの日の想い>という言葉が出てきたんでしょうね。
改めて聴いて「良いこと言ってるなぁ」「熱いなぁ」って自画自賛したくなりました(一同笑)。書いているときは必死なので、そんなことを思う余裕はないんですが……時間が経ってそういう風に思えることって意外と多いんですよ。また、歌いながら自分自身が励まされることも実は多いんです。
――では再びトラックダウンして、曲に向き合ったときの気持ちというのは?
atsuko:今回トラックダウンをしてくださったかたは、10年前にトラックダウンしてくれたかたとは違うかたで。もちろん10年前の曲も良いんですが、新しいエンジニアさんには10年前の曲を聴かない状態でトラックダウンをしてもらったんですよ。エンジニアさんは「前の曲を聴かない状態でトラックダウンして大丈夫かな?」とおっしゃっていたんですけど、そのおかげで新しい聴こえ方になったのかなって。
「この音が聴こえて当然だ」と思っていたものがそこまで聴こえなくなっていたり、「え、こんな音入ってたの!?」みたいな埋没していた音が前に出てきてたりして、「KATSUさん、この音新しく入れたの?」って聞いたら「入れてない」って(笑)。 自分たちでも気づくことがたくさんありました。10年前に気持ちが戻る感じもあって、いろいろな想いがこみ上げてきましたね。
KATSU:今回の曲は周りの方も「良い」って言ってくれるんです。普段あまり褒めてくれない人も褒めてくれたりして「なにかの営業トークかな?」とか疑っちゃうくらい(笑)。
atsuko:基本的に褒められ慣れてないからね、angelaは(笑)。
●「なにが一番スゴイって、このクオリティのゲームが無料なこと(笑)」(KATSU)
――『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』は重厚な世界観が特徴的ですが、実際にビジュアルを見た印象はどうでしたか?
KATSU:ビックリしました。すっげぇキレイだなと。BGMに掛かっているクラシックのアレンジ(※クラシック楽曲のアレンジは、プロキオン・スタジオの光田康典氏や桐岡麻季氏が担当)も素晴らしくて……「僕らが参加させてもらってゴメンナサイ」というか(笑)。
atsuko:ね、クラシックの名曲も、まるでゲーム用に作った曲のように響くというか。さきほど、先駆けてゲームさせてもらったんですけど(※このインタビューは12月19日『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』正式サービス前に行われています)、音楽もゲームの内容もすごく興味深くて。実は私ゲーム育ちじゃないんです。だから「できるかな」という不安もあったんですけど、いま少しプレイしただけでも「私でもできるかも」って。街を作るのが楽しくて、さっそく菜園を作っちゃいました(笑)。
KATSU:畑を作ってお金を貯めて街を作っていったり、カードゲームの要素があったり、オンラインしているひとたちとチャットができたり、フレンド申請もできて実際にゲームをやっているひとたちと交流が持てたりとか。とにかくいろいろなゲームの要素が入っていて。カードもすごくキレイで、キャラもひとりひとりすごく個性的で。英雄たちを酒場で雇って編成を組むんですけど、バトルに勝つにはカードの編成の組み方がポイントみたいですね。なにが一番スゴイって、このクオリティのゲームが無料なこと。本当にビックリしますよ。凄いです。でも、見れば見るほど……曲を作りたくなりますね(笑)。ああ、早くプレイしたいです。
●「いまは恥ずかしいですけど、10年後読み直したい」(KATSU)
――1月29日は『angela TREASURE Blu-ray BOX』がリリースされますが、5枚組の超豪華アイテムで。angelaのデビュー10周年を記念して、最新PV「ANGEL」を含むこれまでの全てのPVや、2012年5月21日開催の“全部が主題歌ライヴ”等々がパッケージされています。
atsuko:もうね……大変な作業でした(苦笑)。去年くらいからお話はいただいていて。もともとは私たちのことを拾ってくれたキングレコードのプロデューサー中西さんの発案だったんです。それで持っている映像をかき集めて。
――まさにangela の“10年戦記”を凝縮した内容となっていますが、映像を改めて観ていかがでしたか。
atsuko:インタビューやドキュメンタリーも入っているんですが、本当にこの間のことのような、昔のことのような不思議な感覚でした。VHSから引っ張ってきた映像を入れているモノもありますし、録画するメディアもどんどんと変わっていって映像を観ているだけで時代を感じるというか。メディアの進化みたいなものも感じました。
KATSU:僕は、昔の映像を観て……ただただ恥ずかしかったですけどね(笑)。
atsuko: (笑)私は感慨深いモノがありましたね。映像にはときどきスタッフさんやライヴ制作チームが映っているんですが、この10年でどれだけの人たちに出会えたんだろうなぁって。最初は私たちとマネージャーの3人だけで始めた会社だったのに、どんどん輪が広がっていって……本当に周りのスタッフに恵まれているなぁと改めて思いました。
――それはatsukoさんとKATSUさんのお人柄も関係していると思いますが……。
atsuko:まぁまぁ(笑)。
KATSU:そう思っておこう(笑)。自分たちで何かを変えたというよりかは、本当に周りのひとたちに支えられてきたというか。そうじゃないと、angela自体はただの路上ミュージシャンなんですよ。
――なるほど。でも、スケール感は違うんですけど、当時の熱いマインドはいまだに変わってないような気がします。
atsuko:うん、変わってないです。路上ライヴでは常に「通行人の足を止めたい!」みたいな気持ちで歌っていたんですよ。惹きつけたいって気持ちがすごく強くて。その気持ちはいまも忘れてなくて。イベントでは特に。
KATSU:歌で止まらなかったらトークで止めようというか(笑)。路上ライヴ時代はそんな感じでしたね。
atsuko:「今このCDを買うと後々高くなりますよ~!」みたいな、通販みたいなことも言っていたよね(笑)。寒いなか歌って「こんな生活がいつまで続くんだろう」みたいな気持ちがあったんですけど、あれはあれで素晴らしい経験だったなと思うし、どんな大きなステージでもあの経験は活かされていると思います。
●「2014年も忙しくなりそう」(KATSU)
――今、KATSUさんのお手元には出来立てのブックレット(特典)のサンプルがあるわけですが、すごく内容の濃いものになっていて。しかも500ページという、厚みのある一冊になっています。
KATSU: (ページをめくりながら)後半に「10年後の自分へ」というメッセージを書いているんです。これはすごく良いアイディアだなと思って。いまは恥ずかしいですけど、10年後読み直したいなと。
atsuko:読み直したら、「全然俺できてねーよ」って思ったりして(笑)。
KATSU:思うかもしれないね(笑)。
――KATSUさんは「10年以内に結婚」と書いてありますが(笑)。
KATSU:ハイ……。
atsuko:え~、できるの~? どうかなぁ(一同笑)。
――また映像の内容として「365日×10年分のカレンダーを大公開」という項目があるんですが、これはどんな内容なんですか?
atsuko:手帳をかき集めました。カレンダーが画面に出てくるようになっていて、映像や雑誌の記事が残っているものは、日付をクリックするとその詳細が見られる仕様になっています。面白いのが、デビューする2週間前に「アルバイト・面接」って書いてあったりして。「このタイミングで面接かよ!」って(笑)。
――(笑)angela さんの2014年のスケジュールも気になるところです。
atsuko:まだ詳細は発表できないのですが、すでにレコーディングの予定が入っているので、2014年もバタつきそうです。2013年は早いのだか遅いのだか分からないくらい働いたので、冗談で「2014年はもう仕事しないからね!」と言っていたんですけど、たぶんそうもいかないと思います(笑)。
KATSU:すでにここ何か月かの仕事は2014年の仕込みって感じだったしね。2014年も忙しくなりそうです。『百年戦記 ユーロ・ヒストリア』もやりたいし(笑)。
atsuko:そうだね。はやくプレイしたい!
――2014年も休めなさそうですね(笑)。ご活躍を楽しみにしております! ありがとうございました。
インタビュー記事掲載を記念して、抽選で2名さまにangela直筆サイン入りポスターをプレゼント!
詳しくはアニメイトTV内プレゼントページをチェック!!
■『百年戦記 ユーロ・ヒストリア 』
対応プラットフォーム:パソコン(Windows/Mac OS)
ジャンル:愛と悲しみの中世騎士道シミュレーションRPG
プレイ人数:多人数ネットワークプレイ
プレイ料金:アイテム課金制
■angela TREASURE Blu-ray BOX【完全限定生産版】
発売日:2014年1月29日(水)
商品番号:KIXM-90139~43 (Blu-ray5枚組)
価格: 24,150円(税込)/23,000円(税抜)
【収録内容】
・今までのPVを全部収録!
・2012年5月21日開催の「全部が主題歌ライヴ」をまるっと収録!!
・365日×10年分のカレンダーを大公開!!
・angela10年を語る!ロングインタビュー収録!!
・ZEROツアーの完全密着映像を収録!!
他映像特典満載!!
・2011年12月29日開催の「angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス2011 ~NON STOP MUSIC~」を一部収録!!
・2012年12月30日開催の「angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス2012 抜刀祭」を一部収録!!
【封入特典】
・500Pブックレット
・タオル
>>『百年戦記 ユーロ・ヒストリア 』公式プロモーションサイト
>>『百年戦記 ユーロ・ヒストリア 』公式メンバーサイト
>>angelaアーティスト ホームページ
[インタビュー&文・逆井マリ]