細田守監督最新作『バケモノの子』役所広司さんらメインキャスト発表

細田守監督最新作『バケモノの子』、役所広司さんらメインキャスト発表! 宮崎あおいさん・染谷将太さん・広瀬すずさん・宮野真守さん・諸星すみれさんら豪華キャスト陣のコメントも到着!

 2006年『時をかける少女』、2009年『サマーウォーズ』、2012年『おおかみこどもの雨と雪』と、手掛けた作品すべてが傑作として評価され、国内外の映画賞を席巻し、今や世界で最も注目を集めるアニメーション映画監督となった細田守氏。

 その3年ぶりとなる最新作『バケモノの子』は、バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちの棲む異世界「渋天街(じゅうてんがい)」での修行と冒険、リアルな渋谷を舞台にした壮大なアクション、そして親子の絆やヒロインとの淡い恋愛など、あらゆる世代が共感できる、エンターテインメントのすべての要素が詰まった《新冒険活劇》です。このたび、そんな本作の声優キャストがこの度発表となり、キャストコメント、細田監督のキャスト起用についてのコメントも到着したので、あわせてご紹介しましょう!

▲左から細田守監督、宮崎あおいさん、役所広司さん、染谷将太さん、広瀬すずさん

▲左から細田守監督、宮崎あおいさん、役所広司さん、染谷将太さん、広瀬すずさん

◆キャストがついに決定!
 主人公のバケモノ【熊徹(くまてつ)】に、日本を代表する名優・役所広司さん。その熊徹の弟子となった【九太(きゅうた)】の少年期を宮﨑あおいさんが、青年期を染谷将太さんがそれぞれ演じます。

 宮﨑さんは前作『おおかみこどもの雨と雪』の母親役とは一転、初の少年役への挑戦となりました。
 染谷さんは『おおかみこどもの雨と雪』でも小学校教師役で出演。今回はメインキャストとして参加を果たします。

 また、細田作品には欠かせないヒロイン【楓(かえで)】に大抜擢されたのは、広瀬すずさん。初声優でありながら、作品の核ともいえる大役を任されることになりました。

 他にも、熊徹の悪友【多々良(たたら)】に大泉洋さん。同じく悪友【百秋坊(ひゃくしゅうぼう)】にリリー・フランキーさん。バケモノを長年束ねる老人【宗師(そうし)】に津川雅彦さんと、錚々たる顔ぶれがそろいました。

◆アフレコ終了後の出演者コメントを公開!

熊徹役・役所広司さん:バケモノのような人間は演じたことがありますが、本当のバケモノ役は今回が初めてだったので良い経験でした。
細田監督とは初めての仕事でしたが、まず絵コンテを読ませて頂きました。とても素晴らしかったです。監督の中ではもう既に映画が全てできている。本当にすごいと思いました。それに、路地から入ると別の世界が現れるという渋谷が舞台で、そこでバケモノたちが暮らしているという、その発想が素晴らしい。【九太】が初めてバケモノの世界に入っていくシーンはとてもわくわくしました。世界が違う者たちが一緒に描かれることが、この物語をより複雑で深いものにしているように思います。
僕は必死で慣れないアフレコをやりましたが、宮﨑あおいちゃんにしろ、染谷将太くんにしろ、広瀬すずちゃんにしろ、やはりアニメで育った世代は本当にうまい。
彼らを見ていると、声がキャラクターの人格にぴったりハマっている感じがしますが、自分でやると何か足りないものがある気がして、反省、反省の繰り返しでした。
【熊徹】というのは、大変だろうけど人生で一回は出会いたい男ですね。こういう人に出会わない人生も幸せかもしれないけど、出会っちゃうと非常に豊かな人生になるんじゃないでしょうか。この作品は大人が観なければいけない映画だと思います。【九太】をとりまくバケモノたちの存在を通して「いい大人に出逢えば、いい子供が育つ。」ということを考えました。【九太】にとっては全ての大人の比較基準は【熊徹】です。我々にとって親が絶対的にそうであるように。また【九太】の面倒をみることによって、【熊徹】が育ててもらっているという側面もある。作品を観ていると、人間の方がバケモノより恐ろしい生き物に見えてきます。

九太(少年期)役・宮﨑あおいさん:細田監督の作品は前作『おおかみこどもの雨と雪』に続き2作目ですが、アフレコ前日は緊張で気持ちが悪くなり、初日の最初の1時間はずっと不安でドキドキしていました。大好きな細田監督の作品にまた呼んで頂けてすごく嬉しい反面、【九太】という少年の声を演じると聞いて、どんな声を出せばいいのだろうととても心配でした。さらに、成長した【九太】を染谷さんが演じると伺って、プレッシャーを感じました。アフレコをはじめていくうちに、役所さん演じる【熊徹】との掛け合いや、罵り合いのシーンが増えていくにつれ、だんだん男の子の声が掴めてきて、そこからは楽しさが増してきました。
役所さんの【熊徹】は本当にチャーミングで魅力的。今まで何度もご一緒させて頂いている役所さんに、「ばかやろう」なんて言えてしまうのは、この【九太】という役ならではですよね(笑)。役所さんと普段なら絶対使わない憎まれ口での掛け合いが出来て、これが声のお仕事ならではの醍醐味だな、と思いました。
細田監督作品の魅力は、非現実的な設定ではあっても、必ず共感できるものや、感情移入できるものがあるところです。作品全体に優しい雰囲気が漂っていて、それはまさに監督の人となりそのものだと思います。細田監督から「女性が男の子の声をやる艶っぽさがありつつ、ちゃんと男の子の声になっていて凄く良いです。」と言って頂いて、本当に安心しました。

九太(青年期)役・染谷将太さん:細田監督の作品は昔から大好きで、細田監督の前作『おおかみこどもの雨と雪』が初めての声の仕事でその時は数シーンの出演でしたので、今回このような役を頂いて嬉しかったです。アフレコは尺が決まっていて芝居も自分のリズムとはいかないですし、毎シーン模索しながら進めていました。でも細田監督が的確な指示を出してくださって、その中で見えてくるものを理解しようとしました。
細田監督の映画にある、たくさんの人たちのあいだに渦巻く感情の力の表現は、当たり前ですが、実写映画にはできないことです。且つ、とても繊細であり、心躍るエンタテインメントにもなっている。全てを兼ね備えた映画という印象です。『バケモノの子』は少年の成長ものというストーリーに加え、アクションもすごい。観たことのない映像がつまっていたので、鳥肌がたちました。
まっすぐであり、ピュアな【九太】はある種健全な闇も持っていて、健全であるからこそ周りの人を包んでしまう力を持っている男の子。とても好きなキャラクターです。
【九太】は特種な環境で育ったので、人間の世界とバケモノの世界を行き来する時に浦島太郎的な「ズレ」を常に意識して演じました。ただ、その「ズレ」はきっと、【九太】位の年齢では誰しも感じることなのではないかとも思います。その「ズレ」のなかで自分なりに答えを見つけていくことで人は成長するんだと、今回演じながら学びました。

楓役・広瀬すずさん:声のお仕事は初めてでしたが、会話の尺も決まっているし、自分のニュアンスと絵の表情が微妙に違ったりもするので難しかったです。大きい声を出しているつもりでも、絵とあわせて見るとそうでもなかったりするので、思い切って、より強調して声を出すようにしました。また、台詞以外の吐息やアドリブのリアクションなど、絵にあわせないと違和感が生まれてしまうので、そういったことを考えながらお芝居をしたのは今までにない経験です。アフレコ初日、「人間ってこんなに緊張するんだ」というくらい緊張して、とても焦っていました。共演者の皆さんのアフレコを見学させて頂いて、ずっと勉強していました。【楓】は自分よりも低く堂々とした声の持ち主というイメージ。なかなかうまく表現できず、不安がありましたが、せっかくやらせて頂けるのだから、ちゃんと【楓】を自分のイメージを越えたものにしたいというプライドを持って挑みました。
非現実的な世界観だからこそ、役者さんたちがリアルに近づけることで感動を与えることができる、と今回の経験から学びました。人間の【九太】とバケモノの【熊徹】が本当の親子のようになっていくのも、非現実的な中にもリアルな愛情が描かれていて、これが細田監督の世界観なんだと思いました。監督自身の愛情がそのまま画面に写っている気がします。

宗師役・津川雅彦さん:声だけで表現するのは、カメラの前で芝居するのとは随分違います。セリフを覚えず台本を読みながらできるのは楽なのですが、この身体を使わない分、ニュアンスの表現が何倍も難しくなるし、音色でキャラクターが決まってしまうわけですから、少しオーバーなニュアンスでも丁度よかったりもします。そこの塩梅が難しいです。細田監督は、バケモノ界を束ねる【宗師】には、「品」が必要だと言われました。粗暴な【熊徹】と、バケモノの世界では異端な人間の子【九太】の二人を【宗師】が無条件で好きになることを通じて、まずこの二人が何かやりそうだと観客に期待して貰うことが必要だからです。【宗師】の品が観客の期待への保証になる訳です。品は技術で表現出来るものではありません。これまでの役者人生を通じて培った最高値のプライドを持って反映したつもりです。私は不器用ですから、努力しなければならなかった役者です。だから、努力の中にこそ本当の品が生まれることを信じています。これからの俳優は実人生での生き方こそが観客に問われると思ってきました。でも現場では100%、細田監督を頼りに演じました。こんなに演出家を頼りにして芝居したのは初めてです。

百秋坊役・リリー・フランキーさん:細田監督と最初にお会いしたのは10数年前のCMの仕事でしたが、今回映画のアフレコで再びご一緒させて頂き光栄でした。細田監督の作品は、監督ご本人に凄くリンクしていて、ご本人が邪気のない方だというのが、作品をご覧頂ければよく分かるのではないかと思います。例えば、絵も美しいし、出てくるキャラクターもみんな活き活きしてますから。
現場では、監督の中にある確かな正解に向かって丁寧に演出して下さいました。私が演じた【百秋坊】という役は大泉さん演じる【多々良】、役所さん演じる【熊徹】の3人と幼なじみのような間柄なんですが、みんなで一緒に演じていると、だんだんキャラクターと僕らの顔が似てきているような不思議な感覚になりました(笑)。
『バケモノの子』のお話の面白いところは、バケモノではなく、人間の方に悲哀や闇があることを描いているところでしょうか。なんなら、バケモノたちの世界の方が、人間にとっての理想世界なんじゃないかとすら感じましたね。

多々良役・大泉洋さん:アニメの声の仕事は何度かさせて頂いていますが、1人で収録していることが多かったので、実写でもなかなかご一緒できないような豪華な共演者の方々と一緒にアフレコが出来て本当に楽しかったです。しかし、毎回声の仕事は難しくて慣れないですし、今回の作品は出番、台詞量が凄く多かったので大変でした。
僕が演じた【多々良】という役は、主人公【熊徹】の幼なじみで、仲間の【百秋坊】と共に、この物語の語り部的な存在です。
細田監督は今回初めてご一緒したのですが、演出がすごく丁寧で、脚本もご自身で作られているので指示が非常に的確でした。監督から頂いたアドバイスで、皮肉屋な中にも聡明さと愛情深さを持つ、【多々良】という役の多面性を理解することが出来きました。
細田監督の作品は、リアルな現代社会の人間を描いていて、メッセージ性もあり、なおかつエンターテイメントとしても楽しめる素晴らしい作品だと思います。
『バケモノの子』も、まだ完成前ですが、間違いなく名作だと思います。

猪王山役・山路和弘さん:声の仕事はたくさんしているのですが、絵コンテの台本というものを僕は初めて頂いたので、寝る前に読み出したら面白くて、気がついたら朝になってしまいました。細田監督の絵コンテは、その緻密さに圧倒されます。監督の中で作り上げられた世界観に、声を入れることができるんだと、ものすごく楽しみにして現場に来ました。今回はこれまでの声優業を一旦忘れて挑みました。アフレコの仕事は尺があることが一番大きいんですが、この作品では、たとえ尺が合わなくても、感情を込める方が大事なんじゃないか、という気持ちで演じました。

一郎彦(少年期)役・黒木華さん:前作『おおかみこどもの雨と雪』に続き、細田守監督の作品に参加できて凄く嬉しいです。監督の作品は共通のテーマとして「葛藤」を描いていることが多いと思います。最初に『バケモノの子』の脚本を読んだ時にも、壮大なストーリーだなと思いましたが、バケモノたちが人間的な葛藤をしている所が心に刺さりました。【一郎彦】というバケモノの男の子役でしたので、最初は声を低くしようかとも考えましたが、アフレコ現場に入ってみて、その部分は意識せず、より自然体に演じることを心がけました。短い時間の中でバケモノらしさを掴むのが難しかったですが、本作でもまた新しい経験をさせて頂きました。

一郎彦(青年期)役・宮野真守さん:普段なかなかご一緒する機会のない役者さんと今回の作品で共演できたことで、すごく刺激を受けました。親と子のあり方は本当に様々で、この『バケモノの子』はファンタジーを交えて、観た人がうらやむほどの大きな家族愛を描いているな、と思います。そして面白いのが、『バケモノの親』もまだまだ未熟なところ(笑)。親と子がお互いの穴を埋めあっていて、互いに成長し、未熟もの同士だからこそ得られる絆が、本当に温かくてすごく印象的です。

二郎丸(少年期)役・大野百花さん:前回の『おおかみこどもの雨と雪』に続いて細田守監督の作品に出られてすごく嬉しいです。今回は初めての男の子役、しかも猪のバケモノの子ども役なので気合いを入れて毎日家で練習しました。猪の声なんて誰も聞いたことがないので、最初は自分で自由に声を作ってみました。そこから監督のアドバイスを聞きながら、【二郎丸】の少年期の声を作り上げました。監督から「猪っぽかった、ぴったりだったよ」と言ってもらえてすごく嬉しかったです。

二郎丸(青年期)役・山口勝平さん:細田監督との作品作りは10年振り。またご一緒したいと思っていたので、今回念願かなって本当に嬉しいです。一人ぼっちの少年と一人ぼっちのバケモノが出会い、家族を形成していく物語の中で、その対局的なボジションにあるもうひとつの家族の一人【二郎丸】を演じました。共演の方たちの、役に対するアプローチや表現の仕方と、自分のやり方を照らし合わせながらアフレコすることができ、非常に良い刺激を頂くことができました。

チコ役・諸星すみれさん:言葉ではなく鳴き声だけで表現するお仕事は初めてで、画を頼りに、いかに【チコ】の感情を表現できるのかを、考えました。最初に細田監督から、鳴き声だけど、【九太】に話しかけるような感じや、危険を知らせるようなイメージでなど、気持ちの部分の細かいアドバイスをたくさん頂いたので、とても演じやすかったです。常に【九太】の側にいつもくっついていて、彼に危険を知らせて導くお守り的な役目だということを意識して演じました。この作品では、言葉を使わず感情を伝える難しさを実感し、声優としても幅を広げられるとてもいい経験をさせて頂きました。

九太の父役・長塚圭史さん:アニメに声をあてるのは初めてでしたが、とても面白かったです。声を入れる前に僕が演じる【九太の父】が動くのをみて、早く声を入れてあげたい、という不思議な愛着を持ちました。これも面白い体験でした。細田監督の作品の世界が持つ、子どもの想像力というか、常識から転換して発想を広げ、思いもよらないものが目の前に広がる感覚は非常に共感する部分です。僕は渋谷生まれの渋谷育ちなんですが、具体的な渋谷の街の裏側に異界が見えるというこの作品の発想がすごく好きです。

九太の母役・麻生久美子さん:細田監督の作品は前作の『おおかみこどもの雨と雪』に続き2作目の参加です。【九太の母】役としてアフレコ自体は短い時間でしたが、すごく大事な台詞を頂いたと思っています。こういう短いけれど重要な台詞という出方が一番緊張しますが、参加させて頂いて嬉しかったです。監督は物腰が柔らかくて、作品から伝わってくる優しさ、そのままのイメージの方です。もちろん監督の作品も大好きで、ほとんど全作品観ています。

◆細田守監督からキャストに関するコメント到着!
●役所広司さん:熊徹について

細田守監督:あの役所さんが主演で、しかも【熊徹】という熊のバケモノの役を引き受けてくださって映画を作れることは、幸運であり、もの凄く光栄です。最初にテストを聞いたときに
「【熊徹】はこんな声だったんだ、【熊徹】に会えた!」という気持ちになったのですが
アフレコを続けていくと、役所さんがどんどん熊化していくんです(笑)。役所さんを見ると、熊の生まれ変わりなんじゃないか、と思うくらい【熊徹】に一体化していました。そして、【熊徹】の不器用で、粗暴で、そういった欠点だけど愛すべき部分を役所さんはお芝居の技術的なところで演じられるんだろうな、と最初は想定していたのですが、アフレコブースから見える役所さんは、一本気で不器用な人そのものに映るんです。それが本当にキュートで、本当に不思議で、どうしてこんなことが出来るんだろうと驚きの連続でした。

●宮﨑あおいさん:九太(少年期)について

細田守監督:前作『おおかみこどもの雨と雪』が完成してすぐ、宮﨑さんの別の面を見たい、またご一緒したいと作品の内容も決まらないうちから思っていました。『バケモノの子』というお話が出来て、宮﨑さんに少年役をオファーしました。アニメの世界では、大人の女性が少年の声を見立てて演じるのは、伝統的ですが、宮﨑さんが【九太】を演じてくれたら、彼女の持っているいい意味での頑固さと、九太の持っている頑固さが共鳴して、キャラクターに力強さが反映されるだろうと思っていました。女性が演じることの艶っぽさを出しつつ、きちんと少年の声に聞こえる。それは少年風に演じようとする技術ではなく、彼女の魂がそうさせているんです。宮﨑さんそのままのお芝居で、少年になっている、その想像以上のはまり具合に感動しました。

●染谷将太さん:九太(青年期)について

細田守監督:前作『おおかみこどもの雨と雪』のときに、オーディションでお会いして、素晴らしい才能だなと感じていたんですが、残念ながらお話の中で、彼の年齢にちょうどあう役が無かったんです。その時は、小学校の先生の役として短い出番の中で参加して頂いたのですが、もっとメインの役どころでがっつりご一緒したいと思っていたので、今回の【九太】の話が決まって、すぐオファーしました。ご一緒したかった宮﨑さんと染谷さんが、まさか同一人物を演じることになるとは思っていなかったのですが、宮﨑さんからバトンを受け継いで成長した【九太】を染谷さんが演じていることに、違和感は全くないです。実はアフレコより少し前に宮﨑さんと染谷さんの顔合わせとテスト収録をしたのですが、そこから2人にもお互いを意識してもらって役に臨んで頂いていたのが良かったのかもしれません。

●広瀬すずさん:楓について

細田守監督:今回が初声優とお聞きしていたのですが、凄い才能の方だなと思いオファーさせて頂きました。ヒロインという役どころではありますが、お姫様的なヒロインではなく、【九太】と同志になるような存在なのが【楓】です。広瀬さんは声もかわいいのですが、女の子を感じさせないイメージで、【九太】と魂で共鳴しあえるような気がしていました。
【楓】は【熊徹】とはまた違う、人間界での【九太】の師匠なので、そこを担えるのは広瀬さんだなと。実際にアフレコをしてみて、想像以上の素晴らしい表現力でひっくり返りました。演技とか、芝居という一面的な部分だけじゃなくて、その表現力のダイナミックさ、情報量の多さに、なんでこんなことが出来るんだろうと、現場で驚くことが多かったです。

●大泉洋さん:多々良/リリー・フランキーさん:百秋坊について

細田守監督:役に顔まで似ていますよね。顔が似ているからお願いした、というのもあります(笑)。存在が、キャラクターそのものです。モデルは実は全然別のところにあるのですが、大泉さんとリリーさんが声を出すと、2人をモデルにしてキャラクターをあて書きしたんじゃないか、という感じがしてきます。
大泉さんは、【多々良】が猿のバケモノということで猿的な人を考えたときに、大泉さんがまず浮かびました。こんなにぴったりくるなんて、想像以上でした。【多々良】は皮肉屋なだけではなく、すごく頭のいいキャラクターなのですが、それを大泉さんがしっかり表現して下さって嬉しいです。【多々良】の聡明さ、多々良の魅力を逆に大泉さんに教えられました。
リリーさんは、柔らかくて優しい声が昔から好きで、凄く独特で良い声だなぁと思っていました。【百秋坊】は僧侶でいろんなことを知ったうえで誰にでも優しいキャラクターで、リリーさんの聡明で優しい声にぴったりです。【百秋坊】の奥深さも、リリーさんから教えられました。
2人にお願いできて、2人の最高のコンビが見られて、本当によかったです。

●津川雅彦さん:宗師について

細田守監督:オファーさせて頂いたのは、僕が津川さんのファンだからです(笑)。長年バケモノ界を束ねてきた【宗師】は圧倒的な品格と説得力を持ち合わせた存在です。まさに津川さんにしかできない役だと思いますし、一緒に映画を作れるなんて本当に光栄です。しかも『サマーウォーズ』が好きだと言って頂いてとても感慨深いです。なんて、ファン丸出しですね(笑)。もともと伊丹十三映画のファンで、津川さんは伊丹映画にはなくてはならない存在。津川さんが好きとおっしゃって下さった『サマーウォーズ』は、実は自分なりの伊丹映画なんです。日本映画の中でエンターテインメントをどうやりきるかという挑戦的な部分が。

◆「バケモノの子」作品情報
★2015年7月11日(土)ROADSHOW

<STORY>
この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。
人間界【渋谷】とバケモノ界【渋天街(じゅうてんがい)】。
交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。
ある日、少年はバケモノの世界に迷い込み、バケモノ・熊徹の弟子となり、九太という名前を授けられる。
その偶然の出会いが、想像を超えた冒険の始まりだった――

<STAFF>
監督・脚本・原作:細田守
作画監督:山下高明 西田達三
美術監督:大森崇 髙松洋平 西川洋一
音楽:高木正勝

<CAST>
役所広司 / 宮﨑あおい 染谷将太
広瀬すず / 山路和弘 宮野真守 山口勝平
長塚圭史 麻生久美子 黒木華 諸星すみれ 大野百花 / 津川雅彦
リリー・フランキー 大泉洋

>>映画「バケモノの子」公式サイト

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