声優
18年連続参加の山寺さんだから語れる『ポケモン映画』への感謝

18年連続ゲスト声優で参加! そんな山寺さんだから語れる『ポケモン映画』への感謝

今年も『ポケモン映画』の最新作が公開される夏が来た。毎年の恒例行事とも言えるビッグイベントは今回の『ポケモン・ザ・ムービーXY「光輪の超魔神 フーパ」同時上映「ピカチュウとポケモンおんがくたい」』(2015年7月18日(土)より公開)で18作品目を数えることとなる。これだけの歴史の中で常に新たな挑戦をし続けているのが、山寺宏一さんだ。18作品全てに出演し、なおかつ全て違うキャラクターを演じるという、とてつもない偉業は“ミスター『ポケモン映画』”と言っても過言ではないだろう。

そんな山寺さんが今回演じるのは、まじんポケモン「フーパ(ときはなたれしすがた)」。18年目の夏へ向けて山寺さんはどのような気持ちで役を演じたのだろうか。そして、山寺さんにとって『ポケモン映画』とはどのような位置づけなのだろうか。本稿では、山寺さんの熱い思いが垣間見えたインタビューの模様をお伝えしていこう。

 

■ 僕は毎回、役がハマっていなくてはいけない立場

――今日はよろしくお願いします。今回のインタビューにあたり試写を見させていただいたのですが、熱い展開ばかりで感動しました! 子供のころからアニメやゲームで触れてきた伝説のポケモンたちもたくさん登場して、しかも山寺さんが映画第2作目『幻のポケモン ルギア爆誕』で演じたルギアも登場して……。

山寺宏一さん(以下、山寺):子供のころから『ポケモン』に触れてきた人たちには嬉しい展開ですよね。逆に今の子供たちは昔の作品を遡って見てくれればいいですけど、さすがに第2作目を見ている子は少ないでしょうからね。

――子供のころに『ポケモン』を見ていた世代が大人になって、劇場に子供を連れてくることもあるのではないでしょうか?

山寺:そうですね。親子で見に来るというのはよく聞きますね。18年というのは演じている側からするとあっという間にも感じますが、小学生だった子供たちが親になっていてもおかしくないですから。それだけ長く関わらせていただいているんだなと実感しています。

――『ポケモン映画』は、山寺さんにとっても毎年の恒例行事になっているそうですが、18年目を迎えていかがですか?

山寺:僕の場合は毎回違うキャラクターを演じているので、毎回がチャレンジという気持ちが大きいです。毎回出演しているという経験値はありますが、役は初めてのキャラクターですから、初めての作品に出るというくらいの意気込みです。レギュラーキャストは作品によって様々ですが、それでもスタッフとキャストは旧知の仲で、サトシ(松本梨香さん)、ピカチュウ(大谷育江さん)、ロケット団(林原めぐみさん、三木眞一郎さん、犬山イヌコさん)は相変わらずですが(笑)、僕は2回同じキャラクターは演じませんから。

「なんで毎年特別出演なの?」という質問をされたことがありますが、毎回のキャラクターをしっかり演じないと「やっぱり無理があるじゃん」「役にハマってないのに無理やり出ている」と思われてしまいます。でも、そうは思われたくないですよね。僕は毎回出演して、毎回役がハマっていなくてはいけない立場なんです。そうは思っていても結果はどうかわかりませんけどね(笑)。

――公式のインタビューでは「いつオファーがなくなるかヒヤヒヤしていた」とも仰っていましたが(笑)。

山寺:出演するのが決まっているわけではないですから、呼ばれなかったらしょうがないですよね(笑)。『ポケモン映画』も毎年、当たり前のように最新作が公開されていますが、当たり前じゃないですからね。

僕は今でも若手の気持ちでいますが、どんどん年を重ねていって、そうは言ってもいられなくなって(笑)、アニメの現場ではキャストの中で自分が一番年上ということがよくあります。その中でも活躍するには常に演技や勢いを磨いて、どんな役が来ても「流石だね」「役にピッタリだね」と言われるようにしないといけません。みなさんの期待もありますし、今回みたいに大事な役どころに挑戦することもありますから。

――個人的には山寺さんのいない『ポケモン映画』は、なんだか寂しい気がします……。

山寺:いえいえ! 声優はいっぱいいますから(笑)。

――またまた(笑)。先ほど役柄についてのお話が少し出ましたが、「フーパ(ときはなたれしすがた)」を演じる上で気を付けた部分などはありますか?

山寺:「フーパ(ときはなたれしすがた)」は場面場面によって様々な表情を見せるキャラクターです。過去に遡ったり、「フーパ(いましめられしすがた)」と話すシーンがあったり、その辺りの変化を見せるのが、今回僕の役目だと思っていました。「フーパ(ときはなたれしすがた)」は大暴れして力を封印されて、「フーパ(いましめられしすがた)」になってしまいます。ですが、大暴れするけど決して悪者ではない、調子こいちゃうポケモンだったんです。みんなを喜ばせようとするのがエスカレートしていって大暴れしてしまうわけですね。

元から邪悪なものがあって、人を貶めようとか苦しめようという気持ちがあってやっているわけではない、とってもピュアなポケモンなんです。冒頭の大暴れするシーンや、みんなを喜ばせようとする過去のシーン、そしてラストシーンと、シーンによって演じ方も変えています。どのシーンでどのように変えるかは音響監督さんと話し合って決めています。「ここはまだ純粋なシーン」「ここの台詞から力強く!」などと、意外と細かく相談するんですよ。『ポケモン映画』はそういったところを細かくやっています。


――そうなんですね。素人の考えで恐縮ですが、山寺さんレベルになると一発OKだと思っていました。

山寺:いえいえ! 一度テストをしてみて「こうやったほうがいいですよ」とアドバイスをもらって「それいいですね!」としっかりディスカッションを必ずしています。どの役もやっぱりそうですね。それって大事なことだと思うんです。観ているお客さんに作品を理解してもらうために大事なことですし、上辺でやってはダメだと思うので工夫しています。


■ 声優という仕事の大切さを教えてくれるのが『ポケモン映画』

――同じフーパを演じている釘宮理恵さんとは、フーパを演じる上でなにか話されたことはありますか?

山寺:「お互いに演じられて嬉しいね」って話していました。最初はどちらのフーパも僕が演じるかもしれなかったので、さすがにそれは無理だろうと思っていました(笑)。僕は彼女の声も演技も大好きで、「フーパ(いましめられしすがた)」の無邪気で、いたずらっ子で、可愛らしい姿を上手く表現しているなと思いました。絵にもピッタリと合っているし、「イシシ」と笑う姿とか、「よかったよかった」と喜ぶところとか、見事に演じていますよ。アフレコでは隣に座ってお互いの演技を見ながら、どこか心に留めておいて演じようと思っていました。

前に同じレギュラーがあったり、共演したこともありますし、ずっと一緒に演じている松本梨香さんや大谷育江さんもそうですし、仲のいい仲間とコミュニケーションを取りながら仕事をするのは楽しいですね。

――今まで18作品に出演されて大変だったこともあるのではないでしょうか?

山寺:一番最初の映画『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』では「ミュウ」でしたからね(笑)。高い声が出る女性の声優が出演するのが普通なのに、なぜ僕だったのか……。台詞は「ミュウ」しかないんですけどね(笑)。当時は「どうしたもんだろう」とすごく悩んだ覚えはあります。

――意外とポケモンの役は少ないんですよね。

山寺:少ないですね。ルギアはポケモンでしたが、テレパシーでサトシと話していましたし。台詞にその人となりが書かれていれば演じやすいですが、台詞が少ない分だけの難しさはあります。でも、大変なほうが楽しかったりするので、苦ではないですよ。

――例えば山寺さんが吹き替えで出演されている『マルコムX』では演説シーンが大変だったと仰っていたことがありましたが、台詞が多いのも、もちろん大変だそうですね。

山寺:圧倒的に台詞が多すぎてリハーサルが追い付かないとか、練習しすぎて声が枯れそうになるとかはありますよ。我々には収録時間が無限にはないですから。プロでやっている限り、決められた時間内でみんなが納得する演技をしないといけないので、あまりに大変な量があると苦労しますね。

今回の役は、ああいった見た目で、大きくて、強いので、自分の素直な声では「フーパ(ときはなたれしすがた)」にはならないなと思ったので、太い声でシーンごとに演じ分けるようにしています。少し喉がつぶれても、キャラクターに合っていれば多少は無理をしてでも出そうとしちゃいますね。みなさんが聴いている分には無理に聞こえないけど、自分の中では無理をしていることはありますよ。「フーパ(ときはなたれしすがた)」も意外とそうなんです。自分ではちょっと無理をして出している声なので、長く叫んでいると大変だなと思いました(笑)。

まあ、収録が終わった後にビールを飲みに行けるくらいの体力的な余裕はありましたけどね(笑)。

一同:(笑)。

山寺:いつもは、全体の収録がその日のうちに録りきれないんじゃないかと思うくらいに時間がかかるんですけど、久々に収録が終わった後に時間が合うメンバーで飲みに行きましたよ。「ちょっと行くか!」って(笑)。「今日はああだったね。こうだったね」と話し合いながら飲みました。そのくらいの余裕はあったので大丈夫だったんでしょう(笑)。

松本梨香さんも言っていましたが、「伝説のポケモンがたくさん出てきて、バトルもあって、音もすごいことになるだろうから、それに台詞は負けられない!」っていう気持ちはみんなあったと思いますよ。声の大きさではなく、“圧”っていうものは伝わるだろうからって。音量はスタッフさんが調整すればいくらにでもなりますけど、そうじゃないと。「だったら負けられない!」という気持ちですね。

――確かにその“圧”はひしひしと感じました! まだまだ聞きたいことはあるんですが、そろそろお時間です……。では最後に、『ポケモン映画』の皆勤賞である山寺さんにとって『ポケモン映画』とはなんでしょうか?

山寺:夏の風物詩で、『ポケモン映画』とともに夏を感じるというのもありますが、実は僕は映画の予告の収録をずいぶんと前から録っていて数か月前から関わっているんです(笑)。その度にいろいろなスタッフと顔を合わせて、「今回はこうやって進めていこう」という話をうかがってます。『ポケモン映画』では舞台挨拶もやらせていただきますし、完成披露ではものすごい数の関係者が集まるんです。どの作品もそうだと思いますが、こんなにたくさんの方が関わっていて、その人たちの努力が一番見えるのが『ポケモン映画』なんですよ。どの人が何をやって映画が完成するかを知るとビックリしますよ。みんな子供たちに笑顔になってもらいたい、元気になってもらいたいという気持ちで集まって、その姿が一番わかるんです。

そして、映画を楽しみにしている子供たちの顔が見れるのも『ポケモン映画』なんです。声優という仕事のありがたみや大切さ、いろいろなことを教えてくれるんです。

他と比べてどうこうとかではありませんが、だからこそ『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が日本映画で唯一アメリカで1位になって、世界の人々に愛される作品になったのかもしれません。日本の誇る文化であるということも教えてくれるのが『ポケモン映画』ですね。

僕にとって『ポケモン映画』は「こういう人たちが支えて、頑張って作ってくれているのか。そして、その先には子供たちの笑顔があるのか」と目の当りにできるものです。

――深いですね。感動しました……。

山寺:簡単に言うとそうですね。だから声優をやっていてよかったな、頑張らなきゃなと思います。『ポケモン映画』のためにずっと働いている人たちがいるんです。声優は、レギュラーは毎週ですが、映画はその1日限りのアフレコで済むんです。ところが、スタッフはこの作品が終われば次の『ポケモン映画』に向けて動き出すんです。大の大人がみんなで考えて子供たちを喜ばせようと努力しているんです。これがループしているんです。何年かに一度ではなく、毎年ですよ。これはすごいことですよ。

――ありがとうございました。

 
いよいよ公開の迫る映画ポケットモンスター、『「光輪(リング)の超魔神 フーパ」同時上映「ピカチュウとポケモンおんがくたい」』は7月18日よりロードショー! この夏もご家族一緒に、劇場でピカチュウたちに会いに行こう!

【キャスト】
サトシ:松本梨香
ピカチュウ:大谷育江
セレナ:牧口真幸
シトロン:梶裕貴
ユリーカ:伊瀬茉莉也
ムサシ:林原めぐみ
コジロウ:三木眞一郎
ニャース:犬山イヌコ
ナレーション:石塚運昇

【スタッフ】
原案:田尻 智
スーパーバイザー:石原恒和 久保雅一
アニメーション監修:小田部羊一
エグゼクティブプロデューサー:浅井 認 宮原俊雄

監督:湯山邦彦
プロデューサー:下平聡士 松山進 新井賢一 岡本順哉
脚本:冨岡淳広(長編) 園田英樹(短編)
アニメーションプロデューサー:亀井康輝
キャラクターデザイン:一石小百合 松原徳弘 広岡トシヒト
総作画監督:佐藤和巳 中野悟史 毛利和昭(長編) 一石小百合(短編)
音響監督:三間雅文
音楽:宮崎慎二



■作品紹介
【イントロダクション】
 夏はポケモン! 毎年300万人以上を動員し大ヒットを記録し、2014年から新章に突入し益々勢いづく『ポケモン・ザ・ムービーXY』シリーズ。待望の第2弾「光輪(リング)の超魔神 フーパ」同時上映「ピカチュウとポケモンおんがくたい」が2015年7月18日に公開が決定しました!
 サトシとピカチュウの新たな冒険がさらにパワーアップして繰り広げられることは必須! ストーリーもバトルもかつてないスケールで展開され、さらなる高みを目指したポケモン史上最高のプロジェクトがスタート! 今からワクワクドキドキが止まらない煌めくリングの謎に隠された冒険が今始まる!!

【ストーリー】
<長編>
 サトシとピカチュウたちは旅の途中、“なんでも取り出すことができるリング”を持つ幻のポケモン・フーパと出会う。いたずらっ子のフーパは、その不思議なリングでいろんなものを取り出しては、みんなを驚かせていた。無邪気なフーパと仲良くなったサトシたちは、一緒に旅をすることに。
 一方、砂漠の街デセルシティでは、かつて街を壊したポケモンが封印されているという「いましめのツボ」に異変が起きていた。ツボからは邪悪な気配がただよい、やがて大きな影となっていく。徐々に姿をあらわす影の正体。それは――フーパ本来の「ときはなたれしすがた」=「超フーパ」だった!
 なんと、かつて街で大暴れしたポケモンの正体は超フーパ。ツボに封印された強大な力が長い時を経て“怒り”へと変化し、ついには黒い影をまとった超フーパとして蘇ってしまった! 解き放たれた超フーパは暴走し、リングから伝説のポケモン、ゲンシグラードン、ゲンシカイオーガ、ディアルガ、パルキア、ギラティナ、そしてキュレムを呼び寄せた! このままでは街が危ない――。
 フーパは街を守るため、リングで新たに伝説のポケモンたちを“おでまし”した! まさに「伝説vs伝説」! そのバトルは、地を裂き、海を割り、空間をも歪ませる! サトシたちは、デセルシティを守ることができるのか!? フーパと超フーパの戦いの行方は!? いま、ポケモン映画史上もっとも壮絶なバトルが始まる!

<短編>
世界初!ポケモンの鳴き声による大合唱!!ポケモンたちが素敵なハーモニーを奏でるよ♪

>>映画『ポケットモンスター』公式
>>『「光輪(リング)の超魔神 フーパ」同時上映「ピカチュウとポケモンおんがくたい」』公式サイト

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