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『オーバーロード』ED歌唱・MYTH & ROIDに直撃

「アニソンというジャンルのNEXTな変革を」──TVアニメ『オーバーロード』EDを飾るMYTH & ROIDに直撃

 2015年7月放映のTVアニメ『オーバーロード』のエンディングテーマ=MYTH & ROID(ミスアンドロイド)の『L.L.L.』がシングルとしてリリースされる。MYTH & ROIDは、新進気鋭のボーカリスト・Mayuさんと、『けいおん!』などでもお馴染みの実力派プロデューサー・Tom-H@ckさんを中心としたコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニット。本作が記念すべきデビュー作となる。主人公・モモンガに対するアルベドの「忠義と愛を狂気的に抱いている心情」を描いたという『L.L.L.』について、そしてMYTH & ROIDについて、メールインタビューで教えてもらった。

 

●「アニソンというジャンルのNEXTな変革を」

――まずはユニットの成り立ちから教えて下さい。Mayuさんは幼少時から音楽に親しんでいたとのことですが、具体的にどんなアーティストに影響を受けたか、自分はどんなアーティストになりたいと思ったか教えていただけますか。

Mayuさん(以下、Mayu):私の事務所とTom-H@ckさんの事務所でやり取りしている中、私のデモ音源を聴いたTom-H@ckさんが「この歌手と一緒に音楽をやっていきたい」と仰ってくださったことが始まりです。両親共に洋楽が好きで、幼少期の頃から常に家や車でBGMとして洋楽やディズニー(英語版のもの)が流れていました。そんな中で自然と歌やダンスに親しむようになり、物心が付く頃にはAvril LavigneやBritney SpearsやBeyonceなど、誰もが知っているような超大物ポップアーティストを見て、「私、こうなりたい!」と思ったことがアーティストを志したキッカケでした。志したというよりも、感覚で思った、という感じでしょうか。なので、そういった王道の海外アーティストのシンガーになりたいと思っていました。


――お互いのどんなところに惹かれてユニットを組みたいと思ったのでしょうか。また第一印象として覚えていることがあれば教えて欲しいです。

Mayu:Tom-H@ckさんが私の歌声の中に可能性を感じてくださったことが始まりで、私もそのお話を光栄に思い、ぜひTom-H@ckさんとユニットを組んでみたいと思いました。実はTom-H@ckさんの楽曲は一人のアニメファンとして素敵だなと思っていまして、「キャッチーさと斬新さを共存させて魅せる」という楽曲をつくられる方だなという印象を持っていました。

そんなTom-H@ckさんとユニットを組む以上、新しいテクニックや表現力が必要となる覚悟をしつつ、自らそこに挑んでいくことによって、自分自身の引き出しも様々な角度から得られるだろうと感じています。それはきっと私の歌う人生に必ず必要なことだろうし、全うできるよう精進せねば!と非常に刺激的です。

Tom-H@ckさん(以下、Tom):実はMayuちゃんとのユニットの話は、所属事務所のF.M.F社長から「お前はアーティスト活動をした方がいい」と勧められたのがきっかけで、自分発の行動では当時ありませんでした。逆に「自分が人前にたってアーティストになる?」という疑問が、先に自分の中で膨らんでいったのを覚えています。

そんな中で数人のボーカリストの資料を手渡され、純粋に歌声から感じる『ソウル』でMayuちゃんを選ばせてもらいました。初めて顔合わせで会った際の印象は「むちゃくちゃ若いな……」でした(笑)。


――MYTH & ROIDは互いのルーツを掛け合わせて新たな世界を切り開きたいという思いで考案されたと聞きました。具体的にどんな音楽を鳴らしていきたいと思っていますか?

Mayu:アニメソングというひとつのジャンルに、小さい頃から培ってきたルーツやそこから得た個性や特徴を持つ私の歌声と、斬新かつキャッチーでありながら今までのTom-H@ckさんの楽曲とはまたひとつ違った色を持つ楽曲が合わさることで、新しいサウンドをみなさんにお届けできたらと思っています。また、ジャンルをひとつに固めることなく、Tom-H@ckさんのインスピレーションの幅と、私の歌声のひとつの特徴である「楽曲によって歌い方のアプローチを変えられる」という表現力を使って、様々な表情を持つ楽曲を幅広く提案していきたいとも思っています。もちろん、音楽面に限らず、パフォーマンスやビジュアルといった面でも、そういった「振り幅の広さ」を魅せていけたらと考えています。

Tom:もう頭の中では先の先の先くらいまでやりたいことの想像が膨らんでいて(笑)、良い意味で、アニソンというジャンルのNEXTな変革を、新しい境地をこのユニットでは開拓していきたいと考えています。実は自分の中で「アニソン」という区分けのようなものも概念として存在していないので、最終的には至高な存在になりたいですね。オーバーロードタイアップだけに(笑)。


●「狂気的な愛」をコンセプトに

――シングルのタイトル『L.L.L.』の由来、コンセプトを教えて下さい。

Mayu:タイトルの『L.L.L.」は、3つの単語の頭文字をとったものです。正式には「Leashed Luminant Love」といいます。意味は「鎖で繋がれた輝かしい愛」というもので「オーバーロード」に出てくる「アルベド」という女性キャラの、主人公に対して心酔し、忠義と愛を狂気的に抱いている心情を歌詞にしているため、タイトルもその名の通り「狂気的な愛」というコンセプトに忠実なものとなっています。

狂気的な雰囲気を醸し出すということと、その中にある「愛」というもののふたつを共存させるということ、また、それらと「MYTH & ROID」というユニットの世界観をサウンドに落とし込むということに重きを置きました。

Tom:「人間が持ち得る一番衝動的な感情」を楽曲やユニットの世界観で表現したいと思っていました。言うなれば人の心の最果てのような、一つの到達点のようなものを作品として具現化したいなと。アルベドの心境とも重ね合うように精密に歌詞も作られているので、『オーバーロード』が好きな方が聴いていただければ、作品の世界観をより深く堪能できる楽曲に仕上がったと思っております。


――作詞/作曲名義がユニット名になっていますが、お二人でどんな風に制作されていくのでしょうか。また、その作業のなか、もしくはレコーディングで「このユニットにしかできないこと」と言いますか、マジックみたいなものも多々感じることもあったと思うのですが、それはどんなことですか?

Mayu:今回の楽曲に関しては『L.L.L.』とカップリング曲にあたる『The first ending』、両曲とも作編曲をTom-H@ckさん、作詞をhotaruさんに担当していただいています。ただ、長い目で見たときに、例えば作曲を私が担当している曲もあれば、作詞を私が担当しているものもある……定まった担当は決めずに楽曲テーマによって変動していければと考えていますので、作詞/作曲名義はMYTH & ROIDとユニット名で表記しています。「ユニット」というよりひとつの「プロジェクト」というイメージが近いのかも知れませんね。

音楽的なアイデアが豊富なTom-H@ckさんやhotaruさんと、歌での表現に長けた私が合わさるからこそそのようなスタイルをとり、MYTH & ROIDとして進めていくことができると思っておりますので、そこがこのユニットにおけるいちばんの「このユニットにしかできないこと」ではないかと考えています。

Tom:MYTH & ROIDをプロデュースする上で、楽曲にしろビジュアルにしろコンセプトにしろ、ボーカルMayuが持つ魅力を十二分に引き出せるような精密な作り方をしているので、その時点での作り込みの深さがこのユニット独自の独特な世界観に繋がっていると感じています。制作を続けていく中で毎回想像のハードルを軽々と超えるようなものが出来上がるので、常にマジックは起きている印象ですね。


――畳み掛けるようなヴォーカルで、パートによって声質も激しく変わっていきますが、レコーディングはいかがでしたか?

Mayu:何よりいちばん苦労したのは「狂気的」と「愛」をひとつの楽曲に歌声で表現する、共存させる、ということでした。また、歌詞も英語と日本語がほぼ半々となっていて、とてもテクニカルな歌詞となっているため、英語に韻をふむように日本語を歌わなければならず、そこも苦労した点でした。今回この楽曲ではプリプロを3回程行って、何回も何回も歌って、話し合って、意見を出し合いました。だからこそパートによって「明るく」狂気を出したり「静かに」狂気を出したり…など、声質もかなり激しく変化させています。そちらもぜひ聴きながら楽しんでいただけたらと思います。

Tom:Mayu本人が世に出る最初の曲になるので、ボーカルの表現の落としどころの調整は、普段ありえない程のプリプロやリハーサルを重ねていきその中で探っていきました。本番のレコーディングでは、それまでの尋常じゃない程のプリプロの回数の結果もありまして、それほど苦労はしなかった印象があります。


――『L.L.L.』が完成したときの手ごたえを教えて下さい。

Mayu:かなり細かく、かつ綿密につくりあげたので、やりきった!という達成感と、このような特殊な楽曲がみなさんに浸透するのかどうか(MVも含め)、という緊張感の両方が混在していました。

Tom:キャッチーでありながらも、独創的なアーティスト性も持った楽曲が出来上がったなと。でも正直出来上がるまでに、色んな意味でこの楽曲に費やす時間が長かった為に、逆に「うむ。出来上がったな。」と端的に思いましたね(笑)。


――では、カップリングの『The first ending』はどんな曲になっていますか?

Mayu:この楽曲は『L.L.L.』とはうって変わって音数も少なく、歌い方もガラッと変えている一曲になっています。きっと『L.L.L.』を聴いたあとにこの曲を聴いたら「え、同じ人!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません(笑)。しかし、そんな楽曲だからこそ「MYTH & ROIDとしての楽曲の幅の広さ」を耳で感じ取っていただけるんじゃないかと思っています。誰しもに訪れる「始まりの終わり」にそっと寄り添う、そんな一曲になりました。こちらもぜひ聴いていただきたいです!

Tom:一般的に認識されているであろう「アニソン」というジャンルの枠からは良い意味で逸脱した楽曲になっていると思います。メロディや楽曲の音像など含め、ハイセンスなアプローチが散りばめられている楽曲です。


●「(オーバーロードは)理論武装され、計算され尽くされた作品」

――ここで改めて、TVアニメ『オーバーロード』の魅力を教えて下さい。

Mayu:いわゆる「ネトゲ」「ソシャゲ」というものが流行する中、それらを題材にしたアニメは今までにいくつかありましたが、この『オーバーロード』という作品は今までのそれとは全く違った面白さがあると感じました。今回このお話をいただいてから原作小説を読みましたが、悪役・ラスボスのようなキャラが主人公であることと、その主人公の非道さや残虐さ、そして確かな強さというものが「ゲームに課金したりレベルをあげた」故のものである、という「身近さ」が共存しているところにあると感じました。

ただ強くて極悪非道なキャラが主人公なわけではなく、あくまで普通のゲーム課金に力を入れていた一般人が、ゲームに心も時間もお金も入れ込み、つぎ込んだ故……といいますか。実際アニメーションとなって見てみると、素の自分であるときと、モモンガとして振舞うときと、30分間の中でも声の表情がくるくると変化していて、とても楽しませていただいています。そこがこのアニメの独特な魅力だと感じました。

Tom:理論武装され、計算され尽くされた作品だなと。でもそれだけじゃないシンプルに「これはおもしろいな!」と感じることのできる、エンターテイメント性が本当に高い作品だと思います。
キャラもみんな魅力的です。


――『オーバーロード』ゲームの世界が舞台となっていますが、お二人が好きなゲームを教えて下さい。

Mayu:私は小さい頃からゲームにはかなりお世話になっていまして(笑)、スーパーファミコン、(Nintendo )64、ゲームキューブは今でもしょっちゅう遊びます。中でも『Dance Dance Revolution』はマットをつないで汗だくになりながら頻繁にやります!(笑) 大好きです!(笑)

Tom:実は僕は格闘ゲームの全国大会で上位に食い込んだことがある程のゲーマーです。格闘ゲーム以外で思い出深い作品としては『グランディア』、『NiGHTS』といった作品でしょうか。今でもゲームの世界観に魅了されることが多いです。


●「我々がひとつの芸術で在り続けていきたい」

――ところで、オープニングはTom-H@ckさんとオーイシさんのユニット・OxTが手がけられています。どちらの曲が先に上がったかは分からないのですが『Clattanoia』を聴いたときはどんな印象を持ちましたか?

Mayu:以前からオーイシさんの楽曲が大好きだったので、聴く前から「もう絶対にいい曲じゃん!!」とわくわくしながら確信していたのですが、実際にオーイシさんのメロディーにhotaruさんの歌詞が乗り、Tom-H@ckさんのアレンジが加わり、そしてそれをオーイシさんが歌われた『Clattanoia』というひとつの大コラボレートを目の当たりにした瞬間、あまりのカッコよさに鳥肌がたちました。OPという、作品の始まりを彩るに相応しい「キャッチーさ」「OPらしさ」の中に、きちんと『オーバーロード』の世界観が有り、さらにAメロ→Bメロ→サビ と、ワンコーラスだけでも、まるでひとつの物語の様々な場面に切りかわっているかのように、メロディーが表情を変えていく……言葉足らずですが「素晴らしい!」の一言でした。今も毎週聴くのを楽しみにしています。

Tom:『L.L.L.』とは向いている方向が同じなようで、全く違うベクトルの楽曲が出来上がったと感じました。順番的には『Clattanoia』の方が先に出来上がりましたが。ラウドですが、とてもキャッチーな楽曲ですよね。


――最後にMYTH & ROIDが今後やっていきたいことをタイトルにちなんで3つ教えて下さい。

Mayu:クオリティ高く、かつジャンルは幅広く、でもみなさんに寄り添える、みなさんの日常を彩れる……そんな楽曲を、早くたくさんお届けしたいです。そしてそれらの楽曲を引き連れて、ライブなどの活動を通し、みなさんときちんとお会いして繋がりたいです。あとは……純粋に「MYTH & ROID」というユニットが生み出す「MYTH & ROID」の楽曲として、みなさんに楽しんでいただけるよう、我々がひとつの芸術で在り続けていきたいですね。この3つです!

Tom:「ライブ」「ファンクラブ」「クリエイティブな創造」でしょうか!



■MYTH & ROID「L.L.L.」
TVアニメ『オーバーロード』エンディングテーマソング


発売日:2015年8月26日
価格:1,200円(税別)
発売・販売:株式会社KADOKAWA


>> MYTH & ROID[ミスアンドロイド]公式サイト
>>TVアニメ『オーバーロード』公式サイト

(C) 丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード製作委員会
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