夜トの強さと毘沙門のもろさを描き出した毘沙門編―タムラコータロー監督と振り返る『ノラガミ ARAGOTO』制作の真意
『月刊少年マガジン』連載中の人気マンガ『ノラガミ』(あだちとか作)。2014年1月には、TVアニメ第1期が放送。2015年10月には第2期『ノラガミ ARAGOTO』が放送され、繊細な人物描写と世界観で多くのアニメファンを魅了しました。
そんな同アニメシリーズの人気の裏側を知りたい! というわけで、本稿ではタムラコータロー監督にインタビューを実施。放送を終えた今の心境や、第2期で主に描かれた「毘沙門編」「黄泉編」の制作秘話について語っていただきました。今回は【前編】と題し、第1期・第2期制作開始時の知られざるエピソードから、「毘沙門編」の演出についてまでたっっっぷりご覧いただきましょう!
そして、2月13日(土)19:00より、ニコニコアニメスペシャル「ノラガミ ARAGOTO」全13話の一挙放送が実施されます。インタビュー記事と併せて是非チェックを!!
■ 初期からあった第2期への希望 「毘沙門編」と「黄泉編」を描いた理由
――第2期の制作が決定したのは、2014年の7月頃だと聞きました。第1期の放送が同年の1月から3月までなので……第1期の段階では、まだ決まっていなかったんですね。
タムラコータロー監督(以下、タムラ):そうなんですよ。ただ、もともと2期はやりたいなと思っていたんです。原作も盛り上がっていて、この先の話も面白いっていうのはわかっていましたし。だからこそ、原作を前倒しにしてむりやり圧縮したものを見せるのも、ちょっとなあという思いがあって。1期は“世界観をちゃんと見せる”“メイン三人のキャラクターをちゃんと描く”というところを大事にして作りました。
――人気長編「毘沙門編」を1期で描かなかったのは、そういう理由からなんですね。
タムラ:今2期を観てみると、毘沙門編って全6話なので「(第1期に入れようと思えば)入るじゃん!」って思う方もいるかもしれないんですが、入らないんですよねやっぱり。1期でやらなければいけなかったことが多すぎるので。しかも、原作の毘沙門編はシナリオ開発の時点ではまだ終わっていなくて、シナリオのメドが見えてきた頃に終わったので、同時並行で作るのは無理があったんですよ。それに毘沙門編ってどうしても毘沙門と兆麻の話になるので、1期で「毘沙門と兆麻よかったよね」ってなって、メインキャラである夜トとひよりと雪音は添え物になってしまうのもどうかな?という考えもありました。
――だからまずは、メインキャラクターを軸に基盤を作ったと。
タムラ:そうです。あと、1期ラストの案として「毘沙門編のあとに描かれた、夜トがお社をもらう話を入れてはどうか?」「それなら夜トたちの話で終わるんじゃないか」っていうお話もいただいたんですけど、それをやっちゃうと今度は2期があったときに矛盾するところができてしまうんですよね。例えば、毘沙門編でお社を持ってないから天神様に高天原に飛ばしてくれっていう話をするくだりがあるんですけど、もうお社持ってんじゃんって話になってしまうので。そこまで強引にくっつけてしまうくらいなら、2期があるときのためにとっておきたいと言ったんです。
――当初から、2期の希望を持って緻密に構成を練っていたんですね。
タムラ:最初は、2期の話なんて本当になにもなかったんですけどね。お客さんの反応が厳しければこのまま終わりだろうなっていうのはありましたし。
――ともあれ、かなり早い段階で第2期製作が決まりました。
タムラ:実は、制作スタッフのみんなも薄々やりたいなと思ってて、すぐに他の大きな仕事を入れなかったっていうのはあったんですよ(笑)。決まんないかなあ?みたいな。
――チラチラ見てた時期が(笑)。
タムラ:そう(笑)。それに、神谷さん(神谷浩史さん/夜ト役)たちとも打ち上げのときに「またやれたら良いですよね」っていう話はしていましたし。
――キャストも含め、みなさんモチベーションが高かったんですね。
タムラ:キャストのみなさんは、1期の禊(みそぎ)の話をやったあたりから気分が乗ってくれたみたいですね。アフレコでは未完成の映像に声を吹き込むから、最終的なイメージがわからずどうしても不安になるみたいなんです。でも、禊の話の頃にようやく完成したものが観られるようになってきて。それを観て「あ、こういう作品なんだ」「意外とマジメなのね」と全体像を把握できるようになったんです。これが大きかったみたいですね。
――そうして、満を持しての第2期。毘沙門編と黄泉編が描かれましたが、この二編にしたのはどんな理由からなのでしょうか?
タムラ:企画の最初の時点ではハッキリと二編を描くというのは決まってなくて、「毘沙門編だけを全10話で描く」という選択肢も出ていたんですよ。ただ全体の構成バランスを幾通りも考えた結果、「黄泉編もやるからもうちょっと話数を増やせない?」って話をさせてもらったんです。
――そんな裏話が……!
タムラ:それに、ワンクール丸々毘沙門編はキツイなという点も。というのも、毘沙門編のひよりがさらわれてから夜トがケリをつけるまでって、作中では一晩しか経ってないんですよ。
――あ、確かに。
タムラ:それをワンクール、つまり3ヶ月に伸ばすのは……長い!(笑) それはさすがに長いんですよね。サブキャラのサイドエピソードも魅力的ではあったんですが主軸の話を進めないとどうしてもダレて見えちゃう。しかも毘沙門と兆麻の話がメインになってしまうので、仮に10本で毘沙門編を作るんだとしても、最後に夜トとひよりと雪音の3人の話に戻して終わらせるっていう形にして、オリジナルを付けざるをえないなとは思ってたんですよね。
――そこで、もう一展開入れるわけですね。
タムラ:でも、1期でオリジナルをやったとはいえ、別にオリジナルをやりたいわけではないんですよ。『ノラガミ』をアニメ化したかっただけだから。できれば、原作の要素でやったほうがいいだろうと。そういう意味では、黄泉編も描ければ原作に沿った形でちゃんと夜ト、ひより、雪音の3人の話に戻せるだろうというのがあったんです。というか、夜トの話にはなるだろうと。
――黄泉編では、夜トの過去を含めていろんな面が見られますからね。
タムラ:それに、黄泉編も作中では1か月くらいの話ですけど、これだけでワンクールにまとめるのはちょっと長いんですよ。夜ト、ひより、雪音がみんなバラバラになっちゃうので、ワンクールずっと離れっぱなしっていうのもツラいし。2期から入るお客さんも多いわけだから、仮にワンクール丸々黄泉編をやった場合、3人が揃ってるところもある程度見せないと、離れたときの“別離感”とか、「それでも絆はある」っていうのって伝わらないじゃないですか。だから毘沙門編にしろ黄泉編にしろ、両方セットでやらないと厳しいだろうなあとは思っていたんです。
あと、別の理由もあって。毘沙門編って毘沙門が“ダメな人”だなっていうところがどうしても見えちゃうんです。暴走してしまうし、毘沙門にも悪いところがあるっていうのがわかってしまうし。だから、毘沙門編だけ描いてしまうと、毘沙門を落としただけで終わっちゃう可能性もあるんですよね。
――キャラクターの認識がそうじゃない方向で固まってしまうというか。
タムラ:そうなんです。多くの犠牲を伴う話でもありますから、戦いの後に毘沙門と夜トが普通に会って仲直りしたところで表面上のものに見えてしまうかもしれません。やっぱりベースは少年漫画ですから、戦いの中で絆を再確認してもらったほうがいいと思うんです。最初敵対していた毘沙門が、黄泉編で助けに来てくれるっていう展開は、すごいアツいじゃないですか。これって別々のシリーズでやると、時間が空いたことで「何を今さら」になっちゃうんですよね。一緒のシリーズにキュッと詰まっていることで、「前半であんなにぶつかってた奴が助けに来てくれた!これはアツい!」になると思うんです。
――だから、第2期を最後まで観たときのキャラクター観に奥行きが感じられたんですね。どのキャラにも情がわく、みたいな。
タムラ:原作だと花見のエピソードがあって、そこで距離が近づくっていうのもあるんですけど。バトル物としてはそれだけだとちょっと弱いじゃないですか。戦いの中で恩返しするほうが燃えるよなっていうのはあったので。毘沙門編と黄泉編をセットで描く意味はちゃんとあるだろうなと思ったんですよね。
――では、そんな第2期をやるにあたり、“挑戦”したことはありますか?
タムラ:“1話完結”を意識していた1期にくらべて、2期は全編の繋がりを意識しました。もちろん、1期もストーリーは全編つながっているんですけど、2期のほうが“次回への引き”をより強くしたというか。各話の盛りあがりももちろん作るけど、そこからさらにもう一歩盛りあがりがあって、「ここで終わるの!?」という感覚に持っていく。これは1期よりは強めですね。構成表を作った段階で、すでに決めていたところです。
■ 「我ながらすごい構成になってしまった(笑)」毘沙門編を振り返る
――第2期前半の「毘沙門編」ですが、“テーマ”としていたものってあったんでしょうか?
タムラ:でた! よく聞かれるやつですね(笑)。テーマと言ったらアレなんですけど、シリーズ全体の毘沙門編の位置づけとして、“夜トの強い側面を出したい”と思ったんですよ。ひよりがさらわれて助けに行くところとかも含め、ヒーロー性を強く出して、「夜ト、強いじゃん!」「かっこいいじゃん!」っていうところを押していこうかなと。というのも、黄泉編では弱く見えるから。ワンシリーズで毘沙門編、黄泉編を描くことで、はじめて“ギャップ”が成立するんですよね。
――先ほどのお話にもあったところですね。
タムラ:あと、毘沙門と兆麻の話で言うと、“神器(しんき)と神の関係性”の発展バージョンができればと。1期で描いた夜トと雪音の関係性は、お互いが唯一無二の存在じゃないですか。
――天神や毘沙門のような神と比べると、特殊かもしれませんね。
タムラ:そうなんですよ。天神様や毘沙門のように神器がいっぱいいた場合どうなるんだろうっていうのを、毘沙門と兆麻と、そのまわりの巴の一族、過去の麻の一族を通して描こうと。そうして、この世界のシステムの面白さっていうのが出せれば良いなあと思ったんです。原作を読んだ時に僕が特に惚れ込んだ部分でもありましたからね。
――その一方で、毘沙門の弱さであり、一族が崩れかけてしまうという危機も。
タムラ:そのあたりは、1期で描いた“主人公たちの絆”が揺るがないでいてくれれば、毘沙門たちとの対比になるんですよね。
――2期の夜トたち3人は、ブレなかったですよね。
タムラ:そう。ブレなかったからこそ、毘沙門たちのウィークポイントが浮き彫りになる。その対比がしっかり見えればいいなあと思いました。2期でこういう話ができたのは、1期で3人の絆がちゃんと描けていたからなんですよね。3人のイメージがお客さんのなかで「いいよね」って思ってもらえたから、2期で対比として出せたんじゃないかなと思います。これって2期だからこそやれることであって、1期でまとめちゃうとややこしいんですよ。
――そういう部分もあって、毘沙門編は1期に入れられなかったということですね。あと、毘沙門編というと、第2話の鈴巴が殺されてしまうシーンは衝撃的だったんですが……?
タムラ:あれはですね、まず「グロいシーンがやりたかったわけではない」と明言しておきたいですね(笑)。そもそも、原作やシナリオの段階では「どうやら殺されたらしい」っていう程度の匂わせかただったんです。でも、それをもとに自分でコンテを描いたとき、どうしてもオチがつかないなと思って膨らませた部分なんですよ。
――なぜオチがつかないと?
タムラ:鈴巴が殺されたシーンって目撃者がいないんです。夜トも見てないし、雪音もひよりも見てない。毘沙門だけが「どうやら死んだらしい」って感じるだけなんですけど、それってセリフで言われてもわからないんですよ。例えばあのシーンが全く無い状態で、毘沙門が「誰かが死んだ」と感じて、「鈴巴か」って言われても、ピンと来ないんですよね。そこでお客さんとズレができちゃうんですよ。「毘沙門が勘違いしてるだけじゃない?」と思いかねないというか。だから、完全に鈴巴が死んだとわからせるために、ビジュアルでも見せなければいけなかったんです。
――これをキッカケにドラマが動いていく重要な部分ですし、ハッキリ見せておく必要があったんですね。
タムラ:3話の序盤に、「鈴巴が死んだ」って雪音が知るシーンがありますけど、それもただ「死んだ」と言われたからといって、お客さんはピンとくるものではないですよね。たとえ雪音は「鈴巴が死んだ!? 許せねえ!」みたいになったとしても、お客さんの感情がついていかない。死んだという事実をハッキリ知ったからこそ、雪音の感情に乗れるんです。3話の雪音が怒り出すシーンって、死をハッキリ目撃した訳でもないのに急に感情が変わるから非常に難しくて。お客さんには事前情報を与えて“構えていてもらわないといけない”っていうのがあったんですよね。
――だからでしょうか。余計に「次回はどうなるんだろう!?」とソワソワしていました。
タムラ:2話は本当に難しくて。Aパートだけで3回泣かせどころがあるんですよ(笑)。最初に鈴巴とともこの切ない話があり、この話を聞いた雪音がひよりのことを思って泣くシーンがあり、で、直後に鈴巴が殺されるっていうシーンがあり。半パートで3カ所泣き所がある。我ながらすごい構成になってしまったなって思ったんですけど(笑)。だから「こんな難しい内容は人にコンテをお願いできないな」と思って。2話まで自分でコンテを描いています。
――そう、しかもこれまだ第2話なんですよね。
タムラ:ですね(笑)。まあでも、1話では対立する夜トと毘沙門が描かれていて、その神器同士が仲良くなっちゃうという展開なので、お客さんも「絶対何かある」と思っていたと思うんですけど。まさか次の話数の半パートもたないとは!と。
――まさしくそう感じました!
タムラ:そういうふうに、お客さんに予想させつつ、それのさらに一歩先をゆく感じにしたいなと。予想をちょっとだけ裏切るくらいのバランスを常に考えていますね。
――そういったこだわりは細部に至るまで様々あるかと思いますが、ほかにも挙げるとするなら、どんな部分でしょうか?
タムラ:ほかには……そうですねえいっぱいありすぎるんですけど(笑)、わかりやすいところで言うと、夜トと毘沙門が戦っているアクションシーンの最中に、過去を徐々に明かしていくような見せ方をして強調させているところですかね。なんでかというと、確かにアクションシーンってカッコいいんですけど、なかにはアクションに興味が無いお客さんもいるんですよ。それは僕もわからなくもない(笑)。切った張ったのバトルって1分もすると飽きてくるっていうことがあるんですよね。しかも、この戦いの場合、相手を殺せば勝ちっていうルールでもないから、どちらが強いかっていう問題だけでは引っ張れない。
だから、“戦ってる状況がいかにヤバイか”っていうのを、過去と現在とをリンクさせつつ描くっていうことをしています。4話や5話は原作からそうなっている仕掛けではあるんですけど、6話ではその流れを更に発展させて、毘沙門と妖のバトルを見せながら同時に過去の兆麻の想いと麻の一族を斬る夜ト、そして現在の毘沙門をリンクさせて作っています。
最強武神毘沙門にとって妖を斬ることそのものは造作もないことではあるのですが、それが自分の神器を自らの手で殺めなければならないという意味が加わることで一気に辛い話になる。それを同胞を殺めてくれと願った兆麻のシーンとリンクさせることで、相互に感情を補完させシーンの意図を強調しているんです。
――改めて観て確かめたくなります(笑)。
タムラ:あと、あだちとか先生の作り方だと思うんですけど、原作では誰かが何かを知る瞬間を描く前に、読者に先にわからせるシーンが多いんですよ。例えば陸巴は毘沙門の代替わりを企んでいるわけですが、そのことは物語の序盤、同じく暗躍する野良との会話シーンでさらりと明かされているんです。
これをそのまま映像にすると、兆麻が陸巴の意図に気づいたとき、お客さんは「今頃気づいたのか」という印象になりかねない。だから陸巴と野良を通して先にお客さんに伝えてしまうのではなく、兆麻が気づいたときをキッカケに、陸巴と藍巴の会話で代替わりの話が出てくるように構成し直したりしていますね。つまり、登場人物たちが「えっ!」って衝撃を受ける瞬間に、お客さんも衝撃を受けるっていうようにタイミングを調整しているんですよね。そのほうが感情がついてきて、より衝撃が強くなると思うんです。
――それって、アニメならではの見せ方なんですかね?
タムラ:そうです。読者それぞれのペースで読むマンガと違って映像ではテンポが強要されてしまいます。だから衝撃的なシーン、つまり物語のピークは情報を分散させず時間軸を整理して一ヶ所にまとめる必要が出てきます。しかもアニメは声と音楽が入ることによって、より感情や現実感が強調されるんです。それが映像の得意分野だと思うんですよね。だから原作の良いエッセンスをさらに倍増させるために、より感情移入させるように構成し直す必要がある。大枠は変わらないんだけど、順番を入れ替えることによってよりそのシーンが強まるんじゃないかということは常に考えていたところですね。
■ 毘沙門役・沢城さんと陸巴役・星野さん 毘沙門編に挑んだふたりの芝居とは
――では、毘沙門編のアフレコで印象的だったお話も伺えればと。
タムラ:5話の毘沙門が泣くシーンですかね。1期は雪音が泣くことが多かったんで、アフレコ現場で「2期は沢城さんの番ですよ」的なことを言っていたんですけど、そうしたら当日「私今日不機嫌かもしれないけど、ごめんね監督」みたいなことをおっしゃったんですよね(笑)。どうやら「気合いを入れると周りが見えなくなっちゃうから」ってことらしいんですけど、それを前もって言われたのは印象的でした。これは気をつけないといけないな!と(笑)。それだけ入れ込んでやる方だということで。
――実際に演じられて、いかがだったんですか?
タムラ:一発OKでしたね。毘沙門が泣くシーンは1分近くはあったと思うんですけど、さすがという感じでした。『ノラガミ』のアフレコ現場はうまい人たちが集まっていますから。いい雰囲気の中でできたということでしょうね。
――ただでさえ、毘沙門は毘沙門編でいろんな感情を見せますもんね。泣くシーンはもちろんですが、それ以外のところでもかなり繊細な表現が求められたかと。
タムラ: “神堕ち(かむおち)”っていう、神が暗黒面に堕ちることがあるんですけど、これは陸巴が神器たちを妖(あやかし)に食わせたりして毘沙門を病ませて、暴走させているんです。身につけてる神器たちを一緒に苦しめてしまうっていうのは、一見すると「おいおい毘沙門さんそれはないよ!」って思っちゃうかもしれないですけど、陸巴が裏で後押ししてるからそういう風になってるんですよね。そんな陸巴の思惑に流されて理性を失っていく毘沙門を、ナレーションもなく、沢城さんの演技で表現してもらわないといけなかった。映像があるとはいえ、沢城さんのハードルは高いよなあとは思いましたね。
――そして、陸巴役の星野貴紀さんも重要な役どころでした。
タムラ:そうですね。陸巴役が星野さんに決まったとき、赤尾さん(シリーズ構成/赤尾でこさん)から「陸巴はもっとチャラい声だと思ってました」って言われたんです。確かに、陸巴にはそういう側面もあるんですよね。常に調子いいことを言って、からかってるっていうところもあったりするので。ただ、それだけだと最後に毘沙門を追い詰めるとき、「陸巴の言っていることも正しいかもしれない」って思わせる“重み”が出ない気がしたんです。
――チャラさが強い芝居では、少し違ったんですね。
タムラ:それよりも、精神的重みがありそうというか。人を完全に言いくるめてしまえそうな“怖さ”を持っている芝居がよかった。星野さんは、それがズバ抜けていたんですよね。
――6話の毘沙門を言いくるめる場面では、自然と陸巴の言葉に納得してしまいました。あれは、星野さんの芝居と声が生んだ説得力だったんですね。
タムラ:完全にハマり役でした。ただ、星野さんご本人はすごい優しい方なんですよね。小野さん(小野大輔さん/大黒役)もおっしゃってましたけど、本人を知っているだけに悪役のハマりっぷりが不思議な感じです(笑)。星野さんは非常に穏やかな方ですし優しい方ですから、みなさんには陸巴の演技だけで星野さんのイメージを固めないでもらいたいなと(笑)。裏を返せば、それくらい芝居がうまいっていうことですね。
[取材・文/松本まゆげ/写真・アニメイトTV編集部]
■ニコニコ生放送 決定!
2月13日(土)19:00~
ニコニコアニメスペシャル「ノラガミ ARAGOTO」全13話 一挙放送
■TVアニメ『ノラガミ ARAGOTO』
【スタッフ】
原作:あだちとか(「月刊少年マガジン」連載/講談社)
監督:タムラコータロー
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:川元利浩
アニメーション制作:ボンズ
【キャスト】
夜ト (やと):神谷浩史
壱岐ひより(いきひより):内田真礼
雪音(ゆきね):梶 裕貴
毘沙門(びしゃもん):沢城みゆき
兆麻(かずま):福山 潤
囷巴(くらは):井上和彦
陸巴(くがは):星野貴紀
藍巴(あいは):東城 日沙子
恵比寿(えびす):置鮎 龍太郎
小福(こふく):豊崎愛生
大黒(だいこく):小野大輔
野良(のら):釘宮理恵
他
黒いジャージにスカーフ姿の“夜ト”は、祀られる社の一つもない貧乏でマイナーな神様。
自分の社を築くべく、賽銭〈5円〉で人助けをする、自称“デリバリーゴッド”である。
交通事故に遭いそうになった夜トを助けようとしたことがきっかけで、
“半妖(魂が抜けやすい体質)”となった
良家の令嬢・壱岐ひより、さらに、夜トに拾われ、
神様が使う道具“神器”となった少年“雪音”と共に、
人間に害を与える“妖”と戦いを繰り広げながらも、その三人の絆は深まっていった。
一方で、七福神の一柱(ひとり)で最強武神である“毘沙門”から命を執拗に狙われ続けている夜ト。
ふたりの間に秘められた過去、そして、因縁の対決の行方は…
<パッケージ情報>
◆ノラガミ ARAGOTO 1 初回生産限定版
発売日:BD/DVD 2月19日
価格:BD 7,344円(税込) / DVD 6,264円(税込)
[初回特典]
・あだちとか描き下ろしマンガ
・イベント優先販売申し込み券(第1部)
<神谷浩史、内田真礼、梶裕貴、福山潤、置鮎龍太郎 他 出演決定!!>
・川元利浩描き下ろし特殊パッケージ仕様
・どこでもデリ貼リーステッカー
・ブックレット(12P)
◆ノラガミ ARAGOTO 2 初回生産限定版
発売日:BD/DVD 3月4日
価格:BD 7,344円(税込) / DVD 6,264円(税込)
[初回特典]
・川元利浩描き下ろし特殊ケース仕様
キャラクターデザイン・川元利浩が第2巻ジャケット用にイラスト描き下ろし!
・イベント優先販売申し込み券(第2部)
Blu-ray&DVDの発売を記念したスペシャルイベントを開催!
//出演//
夜ト:神谷浩史/壱岐ひより:内田真礼/雪音:梶 裕貴
兆麻:福山 潤/ 囷巴:井上和彦/陸巴:星野貴紀/恵比寿:置鮎龍太郎/小福: 豊崎愛生/ 藤崎浩人:石川界人/天神:大川 透 /真喩:今井麻美(※昼の部のみ)
<イベント内容:出演者によるトークショーほか>※詳細は随時更新予定
日程:2016年5月14日(土)
場所:都内近郊
・どこでもデリ貼りーステッカー
スイッチやコンセント、壁などに貼れちゃうステッカー
第2巻は毘沙門
・ブックレット(12P)
設定や各話紹介等をまとめたオリジナル冊子。
夜ト役:神谷浩史のインタビューも掲載!
【特典映像】
・番宣PV & SPOT映像
放送前に解禁した番宣PVとSPOTを特典映像として収録
◆ノラガミ ARAGOTO 3 初回生産限定版
発売日:BD/DVD 3月25日
価格:BD 7,344円(税込) / DVD 6,264円(税込)
【初回特典】
・あだちとか描き下ろしイラストポストカード(3枚)
・特典CD「花の見た夢」
夜トや毘沙門たちのお花見のエピソードを収録した新作オリジナルドラマCD!
・川元利浩描き下ろし特殊ケース仕様
・どこでもデリ貼りーステッカー
・ブックレット(12P)
◆ノラガミ 1期 Blu-ray BOX 初回生産限定版
発売中!
価格:27,000円(税込)
>>『ノラガミ ARAGOTO』公式サイト
>>『ノラガミ ARAGOTO』公式Twitter(@noragami_PR)
(C)あだちとか・講談社/ノラガミ製作委員会