大家さん、家賃待ってください! 異色のシミュレーションRPG『俺に働けって言われても』
ゲーム開発者の派遣会社でもあるイースマイルが、広告的な意味も込めて制作した異色シミュレーションRPGの『俺に働けって言われても』。口コミなどで人気が広がり、PSP版の『俺に働けって言われても』はダウンロード専売ながらも3万7千本を超えるヒットになりました。
今回は、そんなちょっぴりタイトルの気になる作品の最新作「俺に働けって言われても酉」の発売が近いということで、過去作の振り返りをしてみようと思います。
『俺に働けって言われても』は、引きこもりの主人公が、家賃を大家であるリリウム・マクラツム(以下、リリウム)に支払うために、冒険者たちをお金で雇い、代わりにダンジョンを攻略してもらうといったもの(このあたり派遣会社っぽい)。
そしてダンジョン内で、モンスターを倒すことによって得た素材などを売却し、お金にして、家賃を支払っていくという流れです。
「この素材を売って、武器屋に武器を作ってもらおう。いや、でもまずは武器屋を建設しないと…。あっ、武器屋を建てるための素材が足りない…。素材を取るために、冒険者をダンジョンに派遣しないと」といった感じで、ゲームシステム的にハマっちゃいそうな仕掛けがたくさん施されており、やめどころを失うような作品なんですよね。
このように『俺に働けって言われても』の一番のウリはこの一風変わったゲームシステムだと思いますが、もちろん世界観やキャラクターも少し変わっています。続いてはその独特な世界観や、個人的に印象に残っているキャラクターを紹介していきましょう。
まずは世界観。そもそもこの世界観が、主人公が引きこもりという設定のためか、異様に狭いです。舞台はエトワールという世界ですが、主人公はその世界の大陸の一角にあるアルデバラン村の借家の一室から、一歩も外に出ません。
基本的に他人との接点は、大家であるリリウムさん以外はありません。派遣する冒険者たちとはメールでやり取りをするのが基本です。
ファンタジー的な世界観でメール? と疑問に思った方もいるはず。そこはしっかりと世界観設定で補強しており、この世界にはマナを使った通信技術「魔法塔」が存在し、それで通信などを行っているのです。
雇った冒険者たちはこの通信を介して、「このダンジョンに行って」「この素材を取ってきて」などの指示を得ているのですが、冒険者たちがダンジョンを探索している間、主人公はモニターを通して、その様子を見ているだけなのです。主人公、楽をしすぎだ…。
そして極めつけに、ファンタジーの目標の王道とも言える魔王討伐なんてものは存在しません。主人公は毎月の家賃さえ支払えばいいのです。ただ、この家賃の額は正直、魔王を倒す方が楽じゃないのかと思うほど膨大ですが…。
さてそんな世界で生きているキャラクターを紹介していきましょう。やっぱり、まずはこの人でしょうか。
大家のリリウム・マクラツム。見た目は非常にかわいらしい女性です。ただ、性格は非常に黒いです。家賃を払えない主人公を罵倒することが生きがいになっているんじゃないかと思われるほど、主人公を罵倒します(家賃を支払わないお前が悪い)。
世話焼きは世話焼きなのですけどね。
24歳という年齢設定も絶妙で、もしプレーヤーが24歳以下ならかわいいお姉さんから罵倒される気持ちが味わえ、24歳以上なら年下の女性に罵倒される気持ちが味わえます。私はなぜかプレイしている時に、『めぞん一刻』の音無響子さんを思い出しました。全然似ていないと思うのですが、なぜでしょうか。
ちなみにこのゲーム、実はゲームを始めてからの最初の4か月間は、家賃を支払えなくてもゲームオーバーにはなりません。1か月目から3か月目は、リリウムは家賃を支払えない主人公をたしなめる程度ですが、4か月目からは無言なのです…。正直、震えました…。
お次はこのキャラクター。
ロードン・プルクルム(以下、ロードン)。主人公が最初に雇うことになる冒険者で、最初の1か月間は無償で働いてくれる明るい青年。能力的にもまあまあな冒険者で重宝はしていましたが、まさかあんなことになるとは思ってもいませんでした…(後述)。
最後はこのキャラクター。
サリックス・グラシリスティラ(以下、サリックス)。恐らく、ロードンの次に仲間にすることができるキャラクターです(強制ではない)。ロングヘアで美人で、巨乳(ここ重要)、性格も真面目と、個人的に大ヒットなキャラクターでした。もちろん、すぐに雇ってパーティーに入れました。
数日後、先に紹介したロードンから一通のメールが。内容は「最近、サリックスが気になる。この気持ちが何なのか知りたい。一緒のパーティーに入れてくれ」という旨のもの。
まあ、強さか愛のどちらかが気になっているのだろうな。よしよし、パーティーを同じにしてあげよう。
これが間違いでした。
それから約1か月後、またロードンからメールが。件名を見た時に、思わず「なんだと…」と呟いてしまいました。そこには「俺たち結婚します!」の文字が。「はえーよ!」と突っ込み、「なんで、ロードンなんだ…」と思いつつ、メールを開くと、さらなる驚きが。「1か月後にふたりとも冒険者をやめる」という文章がそこには書いてありました。
いやいや、あんたらはパーティーの主力だから! と心の中で叫ぶことしかできなかったです…。
この後もイベントは続きますが、サリックスが好きなキャラクターだっただけに、この展開はつらかったですね。
どうでしょうか? 『俺に働けって言われても』の魅力は伝えられているでしょうか。
ゲームシステムだけでなく、このように世界観とキャラクターもしっかり作り込まれているというのが伝わったとしたら、幸いです。特に、メールでのキャラクター表現は本当に凝っていて、一見の価値ありですよ。
PlayStation Storeにて販売中の『俺に働けって言われても』は、2016年1月22日~2016年3月31日の間に限り、500円で購入できるキャンペーンを行っております。そして最新作「俺に働けって言われても酉」の最新情報は現在発売中の電撃PlayStation Vol.609に掲載中ですので、そちらもチェックしてみてください。
[文=Go itakura]
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