津田健次郎さんが語る「海馬瀬人から溢れだす“カタルシス”」とは?ーー劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』インタビュー
現在、テレビ東京系列にて放送中のシリーズ最新作「遊☆戯☆王ARC-V(アーク・ファイブ)」から遡ること14年前、シリーズの原点である「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」(以下、遊戯王)がスタート。全国のデュエリストたちが自らのデッキを組み、デュエルに興じる引き金となり、多くのシリーズ作が放送されました。
そして「遊戯王デュエルモンスターズ」放送終了から10年以上の時を経て、原点が映画として再び登場! 遊戯と海馬の熱いデュエルが、劇場版『遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』として2016年4月23日(土)より全国の映画館で幕を開けます。
アニメ作品の中でも屈指のライバル関係である遊戯と海馬の死闘は一体どのように描かれるのか、みなさんも気になっていることでしょう。主人公の武藤遊戯もさることながら、注目せざるを得ないのは海馬瀬人。数々の名言と名デュエルを生み出した海馬の活躍は本作でも健在です。そこで本稿では、海馬瀬人役の津田健次郎さんへ行ったインタビューの模様をお届けしていきます。長年の時を経て、再度海馬を演じることになった津田さんの思いを紐解いていきましょう。
■ 『遊戯王』は「出し惜しみなく、振るならフルスイングで」
──本日はよろしくお願いします。久しぶりに海馬を演じることになったと思いますが、心境はいかがでしたか?
海馬瀬人役・津田健次郎さん(以下、津田):テレビシリーズが終了して、思い残すところがないくらいにやりきったという思いはありました。十数年の時を経てもう一度やらせていただけるとは思ってもいなかったので、本当に嬉しかったですし、とてもテンションが上がりました。もう一度さらにパワーアップして、海馬をできるんだなと思いましたね。
──十数年期間が空いて、また同じ役を演じるのはなかなかないことだと思いますが。
津田:なかなかないですね。しかも原作者の高橋(和希)先生が続編を描いていて、それを演じることができるという。今回のお話しを聞いた時からワクワクしていました。
──ファンからすると久しぶりに海馬の雄姿が見れるという期待があると思いますが、その気持ちに対してはいかがですか?
津田:やっぱりハードルが上がると思うんですよ。十数年時間が経つと。自分の中でもファンのみなさんの中にも、良いものだけが凝縮されて残っていると思っていて。それでも、今作は予想を上回るデキになっていると、自信をもってオススメできますよ。
みなさんの知っている「遊戯王 デュエルモンスターズ」そのものが目の前に現れ、さらにモンスター、海馬や遊戯などのキャラクター、新しいデュエルシステムなど、パワーアップしたみなさんの知らない「遊戯王」も登場し、、ファンのみなさんの気持ちにしっかりと応えている部分があるような気がします。
──台本を読ませていただきましたが、「どこか懐かしくも新しい「遊戯王」」という印象は、とても強く感じました。その新しさはどこから生まれていると思いますか?
津田:俊介が演じている主人公・遊戯が大人になっているというのもありますね。海馬は相変わらず海馬なんですけど(笑)。それでも、僕たちの中では何かがパワーアップしているなという感じはありますね。十数年を経て、このタイミングで改めて原作の続きを描くというのはかなりハードルが高かった作業だったと思うんです。同じことをやっても当然意味はないですし、かと言って「遊戯王」ではなくなってしまってもいけない。
台本を最初に読んだときに先生の中で熟成されたエネルギーがさく裂したものになっているなって強く感じました。想いに溢れているし、内容がすごく濃い。一番嫌なのは「エネルギー落ちたね」って言われることですね(笑)。
──今回、海馬を演じる上ではどういったスタンスで挑んだのでしょうか?
津田:テレビシリーズからそうですが、「出し惜しみなく、フルスイングで」と思って演じています。「遊戯王」は小細工一切なし。小手先のテクニックでどうにかしようと思ったら一気に面白くなくなる作品だと思うんです。ガチンコでお芝居も体当たりでやっていく。その躍動感が熱となって、みなさんに伝わると思います。それは(遊戯役の)俊介も同じ気持ちだったみたいで、アフレコをしていて、「あ、「遊戯王」ってやっぱりそうだよね」って思いました。その分、体力をものすごく削られるんですが(笑)。でもやっぱり面白いですよね。
──声をかなり張るんじゃないですか?
津田:めちゃくちゃ張りますね。なので、喉が飛んでも大丈夫なようにスケジュールを組んでアフレコしましたよ。そこでセーブする意味はないですよね。なんとか無事に収録終えました。
──海馬の執念は狂ったようにも見えますが、どこかカッコいい印象もありました。
津田:そのカッコよさというのは、海馬の純粋性から出ているものだと僕は思っています。あまりに純粋だから、社会のルールからすると狂っているようにしか見えない。でも全く狂っているわけではなく、ただただ純粋なだけなんです。全ての財力とエネルギーを使っても「自分が最強でありたい」ということに向かっているだけなんですよね。それはとても気持ちのいい狂い方という感じはします。それに付随してどこかユーモアが漂う(笑)。そこの部分のギャップこそ、彼が愛される所以なのかなって思いますね。普通の人からしたらよくわかんないことを言ったりするんだけどね(笑)。
■ 「改めて「遊戯王」って面白いなと思いました」
──遊戯役の風間(俊介)さんとは久しぶりの共演だと思いますが、アフレコ中は何か話されたりしましたか?
津田:俊介は何も変わらないのが素敵ですね。俊介も俊介で年を取って大人にはなっているんですけど、相変わらずいい奴だし、お芝居のスタイルや遊戯と向かい合う姿勢も何一つ変わってなくて。それってとても嬉しいことですよね。逆に僕も俊介から変わってないと言われました(笑)。
デュエルシーンでの闘志をむき出しにしたような雰囲気とか、当時の16歳の俊介と同じぶつかり方で。「「遊戯王」は一切手加減なしだよね」って話してました。他の作品では絶対にないくらいのガチンコで戦うのが「遊戯王」の一番大事なことなのかもしれません。
──イベントなどでは高橋先生とお会いしたそうですね。
津田:イベントが始まる前と後に先生とお話しさせていただきました。まだ台本をいただく前だったので、先生が「海馬がさまよっているんだよ」「全財力とエネルギーをかけて遊戯を探すんだよ!」って話してくれました(笑)。十数年の時を経て改めてスタートする「遊戯王」の冒頭が、フラストレーションを抱えている海馬というのが、非常に先生らしいですよね。
先生自身もすごくパワーアップしてるなと強く感じました。以前よりも元気なんですよ。非常にテンションが高くて(笑)。先生が僕と話すときは海馬に話しかける目線になっちゃうみたいで、海馬への愛が溢れているんですよ。「海馬はね、強いんだよ!」とか仰ってて、すごく楽しい時間を過ごさせていただきました。その中でも先生の並々ならぬ意気込みを感じました。たぶん、俊介と話すときは遊戯目線になっているんだと思いますけど。
プロデューサーに聞いたんですが、先生が一番最初に書いた台本があまりにも分量が多すぎて、それをカットするのにものすごく時間がかかったそうです。重要度の低い部分を削ぎ落し、「分量を少なく、内容をより濃くする」という作業に1年から1年半かかったらしいです。普通の作品だったらあり得ないことですよね。
実際に演じてみて、それだけ濃縮された台本なんだなというのはすごく感じました。クライマックスとも言えるシーンが連続するので、どこを切っても凄いテンションなんです。とてもしっかりとしたストーリー構成をする先生なので、クライマックスへの持って行き方は、「遊戯王」を知らない方でも「カッコいい!」と思えるような展開ですね。
──今回の海馬も名言の宝庫だと思いますが、津田さんのオススメのシーンなどはありましたか? 個人的には、海馬の切り札のひとつとして有名なあのモンスターが召喚されたときの台詞が熱かったです……(笑)。
津田:あのシーンは熱かったですね(笑)。劇場でみなさんと一緒に見たいくらいですよ。海馬節がさく裂しているので、みなさんのリアクションがすごく楽しみです。
僕的にはネタバレを恐れずに言うなら、地面からのドローですね。流石にビックリしましたね(笑)。力が溢れすぎてますよ。「それってありなの!?」って思いました(笑)。滑稽なくらいスケールがデカい、笑ってしまう瞬間もある、でもとてもカタルシスがある。海馬を見ていると普通の感覚だと、許容量が超えてしまって笑ってしまうんでしょうね。
テレビシリーズをやっていて凄く感じたのは、「戦いの中のドラマ」と「人間のドラマ」が合致してクロスしていくことです。もちろんそのあたりは今回もあります。召喚するときに口上を述べるシーンなんかは、何とも言えない厳かな感じがあったり、しっかりとした説得力があってカッコいいですよ。改めて「遊戯王」って面白いなと思いました。
──そろそろお時間となってしましました。最後に公開を楽しみにしている読者のみなさんへメッセージをお願いします。
津田:「遊戯王」を10年前から応援してくださっているみなさん、かつて少年だったみなさん、もしくはかつて少年の心を持っていた大人のみなさん、お待たせしました。「遊戯王」が原作者の高橋先生の手によって再び動き始めました。みなさんの期待以上の「遊戯王」がスクリーンで帰ってきます。ぜひご覧ください。
あの頃の熱い想いを甦らせたり、新しい展開にテンションを上げていただいて、みんなでまたデュエルしていただければと思います。また、「遊戯王」を知らなかったみなさんも楽しめる作品になっています。劇場に足を運んでいただいて、「遊戯王」の世界に出会っていただければ嬉しいです。
──ありがとうございました。
■ 2016年4月23日公開 劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』
■クレジット
原作・脚本・キャラクターデザイン・製作総指揮:高橋和希
監督:桑原 智
キャラクターデザイン・総作画監督:加々美高浩
コンセプトデザイン・モンスターデザイン:反田誠二
美術監督:中村 隆
色彩設計:横井正人
CGクリエイティブディレクター:内田優作
撮影監督:枝光弘明
音響監督:松岡裕紀
音楽:池 頼広
出演:
風間俊介
津田健次郎
花澤香菜
日野 聡
ジャングルポケット
齊藤真紀
高橋広樹
近藤孝行
竹内順子
松本梨香
ケンドーコバヤシ
林 遣都
■作品紹介
【INTRODUCTION】
「遊☆戯☆王」その後のエピソードを描いた初の長編映画
1996年「週刊少年ジャンプ」で連載を開始。2000年にテレビアニメが放映され、 その後、最も売れたトレーディング・カードゲームとして、ブームの火付け役ともなった「遊☆戯☆王」。 連載開始から20周年となる2016年──質問劇場に登場!
原作者の高橋和希自らが製作総指揮を執り、キャストは「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」当時のメンバーが集結! 未だ誰も見たことのない、原作のその後をオリジナルストーリーで描くなど、 「遊☆戯☆王」の新たなヒストリーが世界を席巻する!
【STORY】
千年パズルを完成させたことにより、≪闇遊戯≫という、もう1人の人格を呼び覚ました武藤遊戯。 海馬コーポレーションの社長にして決闘者(デュエリスト)の頂点に君臨する海馬瀬人や、仲間たちと数々の死闘を繰り広げたが、過去との因縁により、もう1人の自分との闘いを余儀なくされ、遊戯と闇遊戯はついに決別し、別々の道へ旅立つこととなった──。
そうして、闇遊戯との最後の決闘を終えて、日常を取り戻したかに見えた遊戯たち。
その前に現れた謎の少年≪藍神(あいがみ)≫。
そして、世界中で次々と起こる謎の失踪事件。
ただひたすら千年パズルを探し求める海馬。
すべてのピースが合わさるとき、再び決闘(デュエル)の幕が切って落とされる!
>>劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』公式サイト
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