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『なりあ☆がーるず』最終回直前、石ダテコー太郎監督に突撃取材!

第12話放送直前に一挙放送配信! 『魔法少女?なりあ☆がーるず』石ダテコー太郎監督に突撃取材「3ヵ月を振り返って、あの3人はいま――」

 2016年7月に放送開始された『魔法少女?なりあ☆がーるず』が、9月21日24:05についに感動(?)の最終回(第12話)を迎えます。そしてその放送日の22:05から、ニコニコ生放送にて第1話~第11話までの一挙放送が決定!

 一挙放送から続けて観ればそのまま最終話に突入できるため、いままで毎週楽しんできたファンだけでなく、観ていなかった人も一気に追いつけるチャンス。

 そこで今回は、作品の監督を務めた石ダテコー太郎監督に突撃インタビュー。これまでの放送を振り返った感想など、たっぷり語っていただきました!

■石ダテ監督に聞く! 『魔法少女?なりあ☆がーるず』が目指した場所は?

――最終話直前の激務中に、本当に申し訳ありません! いまさらですが、そもそもなぜ『魔法少女?なりあ☆がーるず』を作ったのでしょうか?

石ダテコー太郎監督:「なぜ」ですか?(笑) そうですね、3DCGをリアルタイムにコントロールできる『KiLA』というおもしろいシステムができたので、それを使ってアニメができないのかと、2015年末くらいから考え始めたんです。同じようなリアルタイムCGアニメで『みならいディーバ』を作った経験があるのですが、あのときの弱点を『KiLA』ではいくつか克服できました。本作は『みならいディーバ』では不可能だったことを実現させたかったんです。

――具体的にどのような部分が不可能でしたか?

石ダテ監督:『みならいディーバ』は最大2人までしかキャラクターを動かせませんでした。今回の『魔法少女?なりあ☆がーるず』ではメインキャラが3人です。さすがに2人だけでアニメを持続させるのはなかなかシンドイですからね。

――『みならいディーバ』は2人でも放送中にトラブルがありました。あれはあれで、twitterのコメントが盛り上がって、とてもおもしろかったと思います。

石ダテ監督:そうかもしれません。ですが、『みならいディーバ』のときは「生アニメ」をウリにしていたので、パッケージとして発売したときに面白さが半減してしまいました。

――今回の『魔法少女?なりあ☆がーるず』では?

石ダテ監督:なので今回は生アニメは生アニメとして楽しみつつ、アニメ作品としても楽しめる方向性はないか……と模索しました。やはりパッケージとして販売してお客様に喜んでいただけるのは、何度見直しても楽しめる作品です。

――その通りだと思います。

石ダテ監督:だから『魔法少女?なりあ☆がーるず』の生アニメの部分は「撮影現場」ということにしました。ドラマでいうところのロケですね。なのでタイトルも『なりあ☆がーるずの生でアニメをつくるさま(アニさま)』と、地上波での放送とは変えました。

そして撮影したものを編集して、OP/EDをつけて地上波の『魔法少女?なりあ☆がーるず』を流しました。こうすれば、いちおうアニメ作品ということになります。

――“いちおう”ですか?(笑)

石ダテ監督:だから生アニメの撮影現場と、できあがったアニメ作品という二本柱でパッケージにできないかなと思ってスタートさせたんです。だって『みならいディーバ』を好きだったみなさんも、あの生放送を観て「パッケージを買おう」って気持ちにならなかったと思うんですよ。応援したい気持ちは持ってくださっていたとは思いますけど、生放送コンテンツだとお金を出して手元に置いておきたいと思わせるには「凝縮感」が足りないんです。これは僕らの作品だけじゃなくて、実写の生放送番組でも同じだと思います。生放送の番組がDVD/BDになっても、あんまり買わないですよね?

――言われてみると、そうかもしれませんね。

石ダテ監督:ですよね? 仮に「『笑っていいとも』とか『ヒルナンデス』のBDボックスが発売になりました」って言われて、買いますか? 傑作選だったら欲しいと思いますけど。それと一緒で、『魔法少女?なりあ☆がーるず』は生放送されたものを編集して、パッケージにします。作品としての凝縮感がないと、なかなかお金を出して手元に残したいものにはならないと思うんです。

■いまだから語る! 激務の連続だった3ヵ月間は楽しかった!?

――放送開始から3ヵ月間、ここまで続けてきていかがでしたか? 『アニさま』が放送されてから本放送されるまで時間がなくて、納品がとてもシビアだと思うのですが。

石ダテ監督:そうですね。金曜日の夜9時に生放送(収録)してから、オフライン編集が1日、MAと本編集が1日。月曜朝イチに納品してきました。そして水曜日の深夜に放送です。
で、納品した月曜日は次の収録へ向けた長い会議、木曜日は前日の準備なので、実質5日間『魔法少女?なりあ☆がーるず』に取られました。週に1日も休まないとしても、他の仕事を火曜水曜の2日間だけでやっつけなくてはいけないというスケジュールでした。7月末あたりから9月半ばくらいまでの記憶がほとんどないです(笑)。

そんな中、キャストもスタッフも様々な試行錯誤があったんですが、毎回々何かしらの結果が出て、回を重ねるごとに目に見えて充実した内容になっていくので、それが支えで走り切れたんじゃないかと思います。これは僕に限らず、関わってくれたみんなそうだったんじゃないかと思います。「内容が面白くなっていく」とか「評判が良くなっていく」っていう結果が出ることって、こういう厳しい仕事場では気力を振り絞るためにとても大事なことですね。僕のタイトルは毎回々評判が尻上がりによくなっていくものばっかりなので、キャストにもスタッフにも心労を与えて申し訳ないと感じています(笑)。

■今回起用した3人のキャストについて

――石ダテ監督の作品では、過去作品に登場した声優さんを登場させることもありました。しかし『魔法少女?なりあ☆がーるず』では新規の3人です。これには意味があったのでしょうか?

石ダテ監督:我々の会社「バウンスィ」はニコ生で声優さんの番組を制作・配信しています。そちらの方では、いままでお世話になった声優さんたちの魅力を引き出せるような番組を作り続けています。なので、『魔法少女?なりあ☆がーるず』のようなアニメでは、いままで関わらせていただいたキャストさんたちにしがみつくのではなく、新しい方向性にチャレンジしたいと思っていたんです。

・バウンスィが配信中の番組
>>『あすかりんのこぜにかせぎ』公式チャンネル

それでいて、これまでのファンの方々にも楽しんでいただける要素を作りたかったので、これまでにお世話になった声優さんたちには敵の魔獣役でゲスト出演していただくことにしました。卒業した先輩が、後輩たちの練習にふらっと顔を出して肩を貸すような感覚でしょうか。

基本的にはゲストさんは別撮りでお願いしていたんですが、約1名、対外的にはツンデレだけどとても面倒見の良い酒好きの女性声優さんが、事務所さんのご協力もあって生放送の現場にまで参加してしっかりレクチャーしてくださいました。まさにそこから一気にラストスパートができたので、とても感謝しています。

――うらら役の深川芹亜さん、はなび役の古賀葵さん、いなほ役の桑原由気さんの3人について伺います。この3人を起用したきっかけは?

石ダテ監督:いままで作ってきた作品と異なり、今回は初めてテープ審査と対面オーディションの二段構えで行いました。

――いままではテープだけだったのですか?

石ダテ監督:そうなんです。なので『魔法少女?なりあ☆がーるず』のオーディションは、2016年6月初旬だったかな? 8時間くらいじっくりかけて行いました。というのも、審査会場でいくつかのグループに分かれてもらい、エチュードをやってもらったから時間がかかったんです。そのとき、偶然なのですが深川さんと古賀さんが同じグループでした。

▲左から桑原由気さん演じる「いなほ」、深川芹亜さん演じる「うらら」、古賀葵さん演じる「はなび」

▲左から桑原由気さん演じる「いなほ」、深川芹亜さん演じる「うらら」、古賀葵さん演じる「はなび」

――おふたりの第一印象はいかがでしたか?

石ダテ監督:深川さんを見たとき、「うわっ、すげーのが来たぞ!」って思いましたね。

一同:(爆笑)

石ダテ監督:それはもう、みなさんご存知「りえしょん」並みのインパクトでした。動きがすばらしいんです。そして同じグループだった古賀さんが、そんな深川さんを上手く扱っていたんです。そのときは(笑)。

――もともと仲が良かったのでしょうか?

石ダテ監督:いや、初対面だったようです。古賀さんは3人のなかでもっとも芸歴が浅いのに、本当に上手く深川さんを扱ってました。それを見て、僕らはとても頼もしい「はなび」だと思いました。そのときは(笑)。

――もうひとり、桑原さんはいかがでしたか?

石ダテ監督:桑原さんは桑原さんで、これまたすごいんです。「いなほ役」でオーディションに参加した人が少なかったので、桑原さんには3組みくらい連続でエチュードをやってもらったんです。そうしたら桑原さんは、3回とも違った「いなほ」を演じてくれたんです。引き出しの多さに感心させられました。

――3人とも仲が良さそうなのにバラバラなところもあって、いい3人組だと思いました。

石ダテ監督:うららはキャラ芸とテンション芸。いなほは「ばぶみ」がありつつも、虎視眈々と狙ってボケに行くスタイル。そしてはなびは、他のふたりに素直に振り回されてくれる。とてもいいバランスだと感じました。典型的なお笑いトリオのバランスだなあと。そのあと大きく変化することになりましたが(笑)。

一同:(笑)

石ダテ監督: この3人が決まったとき、声のバランスがとてもよくて「これはいいぞ!」と思いました。しかも年齢もちょうど段階的に離れていたり、みなさん九州出身だったり、偶然が重なりました。複数人のキャストに出演していただくときに気をつけなければならないのは全体のバランスです。僕は個人々の演技力よりも、組み合わせたときの雰囲気に一番気を使っています。

――3人の組み合わせを見て、直感的になにかを感じましたか? いままで何作品も作ってきたので、ノウハウがあるのでしょうか?

石ダテ監督:女子同士って、仲が良いだけじゃいけません。本人たちがキャッキャと楽しそうに話しているだけになってしまいます。女性は「共感の文化」を持っていますから、相手が「いい」と言ったものに対して「いいよね、いいよね」と同意しながらコミュニケーションを取っていきます。でもこれは、はたから見るとあまりおもしろくないんですよね。

――確かに登場人物が同意してるだけだったら、アニメの物語が進まないと思います。

石ダテ監督:特にアニメの場合は、お互いを振り回し合ってくれないと盛り上がらないと思います。このことに関しては、キャスティングするときはいつも意識しています。なので、「仲良くなれそうな3人」というだけではよくありません。お笑い芸人でも、「相方同士の連絡先を知らない」なんてことはよくあります。

――仲良しの加減が難しそうです。

石ダテ監督:僕らが希望しているのは、プライベートでべったり遊びに行く間柄より、本番までネタを温存しておいて、スタジオでお互いが用意してきたネタで勝負をしあってくれるような人たちです。もちろん仲がいいので、たまにご飯に行ったりするのは良いことですけどね。

――石ダテ監督からいまの3人を見て、3ヵ月番組を続けてきた前後で変化があったように感じますか? どのような部分が成長したでしょうか?

石ダテ監督:3人は僕のそんな当初の目論見とは大きく違うバランスに成長していきました。はなび役の古賀さんは早々に他の2人を扱いきれないことに落ち込んで、一気に開き直った結果、一番我が道を行くボケキャラになっちゃったり。うらら役の深川さんは、はなびのボケが立ちすぎて自分の振る舞いに困惑し始めてスランプになったり、そんな中で「ゲスい男役」がハマったり、最終的に「スタッフdisり芸」で起死回生したり。マイペースに虎視眈々とボケ続けていたいなほ役の桑原さんは、器用さがどんどん生きてきて、そんな2人の間に入っていつの間にかズバズバとツッコミをするようになっていたり。この3人にしか作れない絶妙なバランスを作り上げてくれました。3人が3人とも他の2人を振り回せるし、振り回されることができる、テンプレートのない、何が起こるかわからないチームになりました。実に頼もしいですね。まだ少々荒削りなところはありますが(笑)。

――いよいよ最終話の放送と、その直前にニコ生で一挙放送が行われます。いままで楽しんできたファンのみなさんと、一挙放送で一気に追いつこうとしている読者にメッセージをお願いします。

石ダテ監督:収録模様の生放送「アニさま」第12回と、そのあとの反省会生放送ラジオ「ラジさま(なりあ☆がーるずの 生でラジオもつくるさま)」第12回がとても盛り上がったもので、まるでもう全部終わったような雰囲気になってしまって困っています(笑)。でもこの『魔法少女?なりあ☆がーるず』の大きなコンセプトのひとつは冒頭でもお話しさせていただいた通り「収録風景と、出来上がった作品の両方を楽しんでいただくこと」です。編集作業の苦労や妙をエンターテイメントにしたいと思って作りました。最後も生放送の中で作ったアニメの最終話として、そこを楽しんでいただけましたら幸いです。とはいえ、僕もまだ最後まで通して見ていないので、ちゃんと話が繋がっているのかさえ怪しいところですが(笑)。

[取材・文:佐藤ポン]

<作品情報>
TOKYO MX:毎週水曜 24:05~
サンテレビ:毎週月曜 25:35~

【キャスト】
うらら:深川芹亜
いなほ:古賀葵
はなび:桑原由気
アニまる:石ダテコー太郎

【スタッフ】
監督・シリーズ構成:石ダテコー太郎
キャラクターデザイン:味噌山おかず
ロゴデザイン:i
脚本:山口正武 髙橋聡之 平間邦修
KiLAディレクター:cort
MMDディレクター:ポンポコP
主題歌作詞作曲:井上純一
主題歌編曲・生演奏:Hajime
音響効果:徳永義明
サウンドミキサー:常川総一
音響制作:ポニーキャニオンエンタープライズ
音響制作担当:野添靖人
生放送アニメシステム:KiLA
アニメーション制作:バウンスィ
企画プロデューサー:後藤裕 細字慶一
プロデューサー:西矢泰之 小菅敬至
アシスタントプロデューサー:安野文左衣

製作:なりあ☆がーるず製作委員会

>>『魔法少女?なりあ☆がーるず』公式サイト


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(C)なりあ☆がーるず製作委員会
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