鏡が見せる“友情・努力・勝利”に注目!?TVアニメ『学園ハンサム』鏡蓮児役・野宮一範さんにインタビュー

　イケメンだらけの学園生活を描いたゲーム『学園ハンサム』がクラウドファンディングを経て、ついにTVアニメとして2016年10月より放送がスタート！　TVアニメでは一体どんなドキドキの展開が待ち受けているのでしょうか？

　そこで今回はアフレコ終了後の鏡蓮児役・野宮一範さんへインタビューを実施。鏡の魅力はもちろんのこと、『学園ハンサム』がどのようにパワーアップしたのか、たっぷりとお聞きしました。

それぞれのメイン回にも注目！

──TVアニメになって帰ってきた『学園ハンサム』ですが、本作に対する印象を改めてお聞かせください。

鏡蓮児役・野宮一範さん（以下、野宮）：やっぱり勢いがすごいですよね。台本を初めて読んだときにセリフの後ろがほとんど“！”でビックリしましたよ(笑)。「普通にしゃべってるシーンがあんまりないぞこれ！」って思いましたから。セリフとセリフの流れも、すごくテンポが速くて、本当にこの作品を演じるときは瞬発力がいるんですよ。家で練習するんですけど息が切れるんですよ。「ゼェゼェゼェ」って(笑)。

鏡は引っ掻き回す系のキャラクターなので、他の出演者たちのパワーに負けないように頑張っています。『学園ハンサム』の味が出たらいいなって思ってやらせていただきました。スタジオに来る前から、いかにテンション上げておくのかというのが僕の作業でしたからね。好きなアニメを見ながら「うおおおー！」って一人で（笑）。

──そのテンションを残しながら（笑）。

野宮：残しながら「そうだこのテンションだ！　テンポだ！」と気分を高めたままアフレコしました。「このボケとツッコミや」って言いながら、見ながら来たので。

──TVアニメはOVAに比べて、どういった部分がパワーアップしていると思いますか？

野宮：それぞれのキャラが話の中心となる、いわゆる“メイン回”も入ってきているので、それぞれのキャラクターのファンも特にお気に入りの回ができやすいんじゃないかっていうのは感じましたね。

お茶の間で皆さんに楽しんでいただく作品なので、OVAで言っていた“ある単語”を僕は今回一度も口にしていないんですよね(笑)。これはやっぱり健全なるお茶の間の皆さんに楽しんでいただくための番組ですので、お茶の間テイストに出来上がっています。日曜夕方6時に流しても問題はないような番組に仕上がっているんじゃないかと僕は思うんですけど（笑）。アニメを見てるときに後ろでお父さんお母さんが一緒に見てても気まずくないような感じになっているんじゃないかなと。

──そういった意味でも「あ、『学園ハンサム』地上波でも行けるじゃん」みたいな？

野宮：いや～いけるんじゃないですかね。N○Kで放送できるんじゃないですか？　ぜひとも作っていただきたい(笑)。

ギャグ作品だからこその悩み

──鏡蓮児の魅力は何でしょうか？

野宮：鏡蓮児は生徒会なので、みんなから一歩引いたところにいて、周りを見渡している印象が常にありますね。まあ、言葉を変えると“ボッチ”なんですけども(笑)。周りに話しかけているのに誰も相手をしてくれないというか……。基本的に寂しがり屋なんだろうなって思います。だからなんだかんだいっても、みんなの輪に入っていきたいっていう部分があるんだなと。

彼の魅力は、高慢というかすごく偉そうなわりに、自分にあまり自信がない、意外に冷静に自分を見ているっていうところだと思います。演じていても可愛いなって思うんですよね。ただ高慢で嫌なキャラクターじゃなく、すぐに落ち込んで「自分はダメ人間なんだ」と思ってしまうところもある。そういうところは憎めないな、見放せないなって感じますね。女性のファンの母性本能をくすぐるキャラクターなんじゃないかなって僕は思います(笑)。

──落ち込みつつ、テンションも高いとなると演じるのが難しいそうですが……。

野宮：瞬発力というか、切り替えが大事ですよね。個人的には“アダルトチルドレン”的なイメージです（笑）。

──そんな鏡を演じたわけですが、アフレコはいかがでしたか？

野宮：楽しかったですね。現場に入る前のテンションのまま演じましたから。OVAのときとは雰囲気が違うところもあって、鏡というキャラクターの新しい一面や、より掘り下げた感が出てきてよかったなと思いました。

ギャグ作品なので、どうすれば周りの方の芝居と合わさって面白くなるだろうか、どうすればリズムとかテンポを合わせられるだろうかか、といったところは難しかったですね。台本をいただいた時点では他のキャストさんがどんな風にギャグとしてのキレやツッコミを演じるのかわからないので。知っている役者さんだとある程度は想像できるところもあるんですけど、ギャグ作品だと特にそのあたりがシビアというか。

──ギャグ作品だからこそ難しいところもあるんですね。

野宮：ギャグは難しいですねぇ～！　瞬発力とセンスだけじゃないですけど、正解があんまりないんですよね。シリアスな作品って、まあこういうものを求めてるっていうのがある程度固まってくるんですけど、ギャグ作品は具体的な正解を示すのが難しくって。

TVアニメで芸風が広がった鏡

──TVアニメになって演じる上で変えたことはありますか？　また、逆に変えずに活かしたことはありますか？

野宮：さっきも話したように今回はメイン回があって、鏡もメイン回があるんです。鏡って人との会話よりも独白のほうが長いんですよね、セリフが。独り言の方がセリフが長いんですよ。テンションが高いときとそうじゃないときのギャップを出せたらいいなとは思います。

鏡っていう二転三転するキャラクターだと思うんですよね。テンションとしても、性格としても、鏡っていうキャラクターを壊さない程度にぶれさせたいなっていうのがあって。そこはOVAのときよりも、いろんな面を出したいなっていうのは思いました。でもやっぱり、元気な鏡を見ていただけたらなって(笑)。だから今回、僕的にもアドリブが多かったんですよね。

──アドリブが多いんですね。

野宮：すごく多かったんです。まあ鏡というかだいぶ野宮が入ってる気がしないでもない感じで（笑）。

OVAのときもアドリブなものはあったんですけど、ある意味あのときよりも、鏡がいい意味で崩れているというか、はっちゃけているというか、ちょっと芸風が広がった気がするんですよね。それに合わせて鏡をもっと広げていきたいなっていう思いはあって。だからアドリブの部分とかも冒険させてもらったなって感じです。

──あくまでも鏡ではありつつも……。

野宮：そう、ありつつも、アウトラインを崩さない程度のギリギリのラインを攻めていきたいなと。OVAのときの鏡とちょっと違った鏡が見られると思いますよ。OVAのときって弱気な鏡はそんなに登場しなかったと思うんですよ。今回は、自分を卑下したり、反省したりするところが出てきていますから。

──なるほど。セリフの一言一言を聞き逃せないですね。

野宮：ええ、どこまでがアドリブでどこまでが台本なのかがすごく難しいと思うんですけど(笑)。

見どころは鏡の“友情・努力・勝利”!?

──ご自身が演じているキャラクター以外で気になっているキャラクターは誰ですか？

野宮：関係性としては志賀くんが気になっています。彼は謎めいているキャラなんですけど、唯一まともに鏡の相手をしてくれるキャラでもあるんですよ。

彼が差し伸べてくれた手のぬくもりを僕は忘れませんので(笑)。だいたい周りからは「あ、鏡だ」とか「鏡だ」しか言われないことが多くて「あれ？　扱いが……」みたいな(笑)。今回たぶん一番喋ったキャラが“女性店員”だと思うんですよね。

──（笑）。

野宮：メインの5人以外とのほうがたぶん会話をしている。というかまともな会話、言葉のキャッチボールを初めてした気がする！

──ズバリなんですが、『学園ハンサム』の魅力は何だと思いますか？

野宮：そうですね～、“友情・努力・勝利”だと僕は思ってるんですけど(笑)。

──あ、怪しい(笑)。

野宮：やっぱりイケメンだらけの学園の中で、学園といえば友情ですよ。鏡の自分というものを顧みて、成長していこうという努力。そして最後の鏡の勝利……はあればいいな(笑)。ひとつの目標に向かって学園生活を楽しんでいこうという、それはやっぱり“友情・努力・勝利”だと僕は思うんですよ。だいぶんうさん臭くなってきましたけど(笑)。いいことを言っておかないと後で怒られちゃうから(笑)。

──鏡の“友情・努力・勝利”で大丈夫ですか？（笑）

野宮：それ以外でも『学園ハンサム』は型にとらわれないところがものすごく魅力的だと思います。作ってる方たちが本当に思いっきり作ってるんだろうなっていうことが伝わってくる作品なので、役者陣もそれに応えて形にしたいなっていう気持ちを常に持っています。

──では最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

野宮：今回、まさかのテレビ放送上陸となりました『学園ハンサム』でございますが、原作ファンも、OVAからのファンも、皆さん楽しめるような主音声、副音声といった画期的なシステムも搭載しております。

『学園ハンサム』はこれからも、みんなの応援次第で展開していくんじゃないかなって思います。いずれは紅白かなと思うんですけど(笑)。今回は、特にクラウドファンディングというみなさんの応援があってのテレビ放送なので、そんな応援に応えられるように一生懸命やらせていただきました。放送を楽しみにしていただければなと思います。

[インタビュー/石橋悠]

TVアニメ『学園ハンサム』作品情報

＜放送＞
10月3日よりTOKYO MX、BSフジにて毎週月曜深夜25:00～放送スタート

＜配信＞
ニコニコ公式チャンネル「学園ハンサムチャンネル」にて
放送翌日火曜日12時配信（第1話を無料配信、最新話を1週間無料配信）