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西尾維新ファンだからこそ歌で表現できるクビキリサイクルの世界とは

西尾維新ファンだからこそ、歌で表現できる『クビキリサイクル』の世界とは? 三月のパンタシアのボーカル・みあさんが2ndシングル『群青世界』を語る

 ボーカル・みあさんを中心に、人気ネットミュージシャンやイラストレーターが参加する、クリエータープロジェクト・三月のパンタシア。2016年6月、TVアニメ『キズナイーバー』EDテーマ「はじまりの速度」で鮮烈なメジャーデビューを果たし、多くのユーザーを虜にした彼女らですが、12月14日(水)には待望の2ndシングル「群青世界(コバルトワールド)」がリリースされました。

 本作は〈物語〉シリーズでおなじみ、西尾維新氏が原作を手掛けるOVA『クビキリサイクル』のOPテーマ。元々、西尾氏の大ファンというみあさんですが、今回はファンの心理を理解したうえで楽曲制作に取り組んだとのこと。そこで今回、みあさんに「群青世界」楽曲制作秘話や作品の魅力をはじめ、2017年における三月のパンタシアなど、様々なお話を伺いしました。

 

ファンならではの表現で『クビキリサイクル』の世界を彩る
――2ndシングル「群青世界」が12月14日に発売されました。

みあさん(以下、みあ):OVA『クビキリサイクル』のOPテーマとして制作された楽曲なのですが……私、実はもともと西尾維新作品の読者で。

――え、そうだったんですか。

みあ:はい。なので決まったときは驚きとともに、すぐに「嬉しい……!」という感情も湧いてきました。そもそも『クビキリサイクル』がアニメ化されると発表されたときも、ファンとして喜んでいたので(笑)。

アニメで見られることを楽しみにしていたところに、そのOPテーマを私たちに担当させて頂けるというお話しをもらって、「こんなに幸せなことが続いていいのかな?」なんて思ってしまって……でも、だからこそ楽しみにしてくれている原作ファンのみなさんに向けて、絶対納得してもらえるようなOPテーマにしたいと強く思いました。

――ファン心理を理解されたうえでの制作だったと思いますが、大切にされた部分は?

みあ:とにかく、まずはアニメ本編と一緒に楽しんでもらえる楽曲を制作すること、ですね。ただ、作品に対する思い入れが強いほど、感じるプレッシャーはすごく大きくて……。だからといって、プレッシャーに負けて表現が小さくなることがないように、慎重になりすぎて大切な表現の部分が作品に負けてしまわないように、気を付けようと思いました。

――楽曲タイトル『群青世界』に込められたメッセージについて、みあさんはどのように受け止めましたか?

みあ:『クビキリサイクル』のヒロイン玖渚の髪色と、十代の青さ……このふたつの意味合いが、このタイトルには込められていると思います。歌詞でも、原作『クビキリサイクル』と最もイメージが重なるような表現があって……たとえば、冒頭の歌詞の「ぼくに足りないものはきみが全部もってる ぼくがなりたいものはきみが望むすべて」という部分からは、いーちゃんと玖渚、ふたりの姿が透けてくるようだなって思っていて。

作詞をして下さったmeg rockさん、さすがです。この冒頭の歌詞を読んだだけで感激してしまいました。主人公のいーちゃんの気持ちを、なんでこうも見事に表現できるんだろう?って。心を閉ざしがちだけど、実は真っ直ぐで強い思い……この歌詞の中から、それがしっかりと感じ取ることができました。だから楽曲の世界に浸りやすかったですね。

――ちなみに『クビキリサイクル』で好きなキャラクターは?

みあ:みんなそれぞれ個性的で素敵なキャラクターばかりなのですが、特に好きなのは哀川潤さんですね。私は強い女性に対して、途轍もない憧れがあって(笑)。すごくかっこいいと思って読んでいました。改めて原作を読み返してみても、本当に何度読んでも面白いんですよ。設定やトリックの緻密さ、情報量の多さ、個性的なキャラクター、どれも「本当にデビュー作なのかな?」と思うくらいにすごくて。

――改めまして「群青世界」ですが、1stシングル「はじまりの速度」はエモーショナルなロック・サウンドが印象的でしたが、今回はエレクトロニック・サウンドを取り入れたまったく異なったアプローチになりましたね。

みあ:すごく神秘的で、美しい曲になったと思っています。「はじまりの速度」とは込められている熱の種類が違うのですが、伝えたいこと、メッセージは真っ直ぐに伝わるような曲になったと思っています。全体的に抑制されたサウンドなのですが、だからこそ、この曲で表現したかった“静かな情熱”が伝わる曲になったかな?って。「はじまりの速度」とは違う、三月のパンタシアの世界を楽しんでもらえると嬉しいですね。

――“静かな情熱”とは、まさにこの楽曲を言い表す言葉として相応しいイメージですね。

みあ:レコーディングでも、前作とはアプローチが全然違いました。意識したことは、感情を抑制しながら歌うこと。それはサウンドとのバランスを図ってのことなのですが、強く抑揚をつけたり、感情をむき出しにするように歌ってしまうと、楽曲として調和のとれていないものになり、違和感が生まれてしまうんです。

歌は歌詞を表現するものなので、当然受け取ったイメージから感情は溢れて来るのですが、それをそのまま表現するのではなく、抑制するように歌うことで、『クビキリサイクル』らしい“静かな情熱”が真っ直ぐ聴いて下さるみなさんに伝わる曲になったらいいな……そんなことを思いながらレコーディングしていきました。



――言葉で聞いているだけでも、複雑な表現方法が必要になるのだろうなと感じましたが。

みあ:確かに、頭では「こうしよう」と思っていても、実際にやってみるとすごく難しくって(苦笑)。感情を抑え過ぎてしまうと、ただ淡々とした綺麗なだけの曲になってしまって、聴いて下さるみなさんの心には届かない感じがしてしまう。でも乗せ過ぎると、サウンドや曲のムードとハマらない……まさに試行錯誤でした。

――でもその狙いは、絶妙な表現の端々から感じ取れます。

みあ:ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいですね。歌っていくうちに抑揚のコントロールは自然とできるようにはなったのですが、それでもやっぱり一通り録り終えてから、まだ歌に迷いがあった箇所を抜き出して、歌い直させていただきました。そうして完成した音源を聴かせて頂いたときには、「すごく良い曲になった!」って、心の底から思うことができました。早く『クビキリサイクル』のファンのみなさんに聴いてもらいたいって思いましたね。

――そして、カップリング曲「ブラックボードイレイザー」についてもお伺いいたします。こちらは「群青世界」とはまた違う、三月のパンタシアのエモーショナルな表現が詰まった楽曲で。

みあ:切ない恋の歌なので、一度頭の中で自分に置き換えてイメージしてみました。「もし自分の好きな人と、親友の好きな人が、同じだったらどうしよう……」って。「自分の大切な人を裏切りたくないから、自分の思いを消し去ろう」なんて考えるとすごく切ないですが、こういう経験、したことある人もきっといるだろうなって思ったんです。そうして生まれたままの感情をそのままを歌ったのが「ブラックボードイレイザー」なので、まさに「群青世界」とは真逆のアプローチと言えるかもしれませんね。



――三月のパンタシアもメジャーデビューから半年以上が経ちましたが、改めてみあさんにとって、三月のパンタシアとはどのような存在ですか?

みあ:そうですね……きっと、私が一番素直になれる場所なんだと思います。私って、自分の本心を表現することが苦手で、「伝えられなかった」「言えなかった」と、あとで後悔することがすごく多くて。でも三月のパンタシアで歌っているときは、そういう感情を解放できるというか、「本当は私、こんなこと思っていたんだ」って、自分の中に眠っている本心を発見をすることがたくさんあるんです。私を本来の姿にしてくれて、心を自由にしてくれる。そういう存在なのかもしれません。

生まれた感情は溜め込むより、ちゃんと吐き出せた方がラクだなと思うことも、音楽活動を通じて感じてきた部分です。これからさまざまな経験を通じて、三月のパンタシアも変わっていくのかもしれないけど、今はまず、自分自身と向き合うことが大切かな?と思っています。三月のパンタシアのみあとして、ここでは、素直な自分でいようって思うんです。

――そんな三月のパンタシアですが、2017年も早々に新しい展開が待っていますね。

みあ:本当に有り難いことなのですが、3rdシングル「フェアリーテイル」が2017年2月1日にリリースすることが決定しました。TVアニメ『亜人ちゃんは語りたい』のEDテーマなのですが、こちらでもまた新しい私たちの音楽と出会っていただけると思っています。これから、もっと大勢の方に三月のパンタシアを知ってもらいたいし、もっと歌を届けたいと思っています。2017年も、今年以上に素晴らしい1年にしたいですね。


■三月のパンタシア とは

終わりと始まりの物語を空想する

ボーカル「みあ」を中心としたクリエータープロジェクト。どこか憂いを秘めたボーカリスト「みあ」の歌声に、多くの人気ネットミュージシャンやイラストレーターが共感、魅了され、プロジェクトに参加。すこっぷが制作した楽曲「day break」を2015年8月に発表し活動をスタート。ネット上での活動をメインに、「青に水底」(n-buna)、「七千三百とおもちゃのユメ」(ゆうゆ)、「星の涙」(40mP)、 「イタイ」(buzzG)といった楽曲を次々と発表。参加コンポーザーの手掛けた 楽曲の総再生回数は3,000万回を越える。

2016年4月から放送のTVアニメ「キズナイーバー」のエンディングテーマに「はじまりの速度」が抜擢され6月1日にメジャーデビュー。 「はじまりの速度」はiTunes、moraをはじめ各配信サイトでチャートを席巻し話題を呼んだ。

同年7月からはケータイ小説サイト「野いちご」との楽曲ノベライズコンテストをスタート。さらに、10月から発売が開始されたOVA「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」のオープニングテーマに「群青世界」(読み:コバルトワールド)が起用され12月に同楽曲をセカンドシングルとしてリリース。そして、2017年1月から放送の期待のTVアニメ「亜人ちゃんは語りたい」のエンディングテーマに新曲「フェアリーテイル」が抜擢された。

【参加メンバー】
みあ(ボーカル)/ 公式Twitter(@3_phantasia)
浅見なつ(イラストレーター)/ 公式Twitter(@72desuyo)
loundraw(イラストレーター)/ 公式Twitter(@loundraw)
bob(イラストレーター)/ 公式Twitter(@biyonbiyon)
すこっぷ(コンポーザー) / 公式Twitter(@scopscop)
n-buna(コンポーザー) / 公式Twitter(@nabuna2)
ゆうゆ(コンポーザー) / 公式Twitter(@yuuyu_ssry)
40mP(コンポーザー) / 公式Twitter(@40mP)
buzzG(コンポーザー)/ 公式Twitter(@buzz_g)

商品情報
タイトル:群青世界(コバルトワールド)
発売日:12月14日

●初回生産限定盤 [CD+DVD]
※トールデジパック仕様
品番:KSCL 2812-2813 価格:¥1,500(+tax)

[CD]
1. 群青世界 作詞:meg rock 作曲:aokado 編曲:ゆうゆ
2. ブラックボードイレイザー 作詞・作曲・編曲:40mP
3. 群青世界 -Instrumental-
[DVD]
群青世界 -Music Video-

●通常盤 [CDのみ]
品番:KSCL 2814 価格:¥1,100(+tax)

[CD]
1. 群青世界
2. ブラックボードイレイザー
3. 群青世界 -Instrumental-

●期間生産限定盤 [CD+DVD]
※描き下ろしアニメジャケット・ピクチャーレーベル・デジパック仕様
品番:KSCL 2815-2816 価格:¥1,500(+tax)

[CD]
1. 群青世界
2. ブラックボードイレイザー
3. 群青世界 -TV Size-
[DVD]
「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」ノンクレジットオープニング

>>三月のパンタシア 公式HP
>>三月のパンタシア 公式Twitter(@3pasi_official)

 
作品情報
【STAFF】
原作:西尾維新『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』(講談社ノベルス・講談社文庫)
キャラクター原案:竹
総監督:新房昭之
監督:八瀬祐樹
シリーズ構成:東冨耶子・新房昭之
脚本:木澤行人・中本宗応
キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺明夫
総作画監督:鈴木博文
イメージボード:okama
美術設定:大原盛仁
美術監督:内藤健
色彩設計:日比野 仁・渡辺康子
3DCGディレクター:越田祐史
3DCG制作:オレンジ
撮影監督:江上 怜
編集:松原理恵
音響監督:鶴岡陽太
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:シャフト
製作:アニプレックス・講談社・シャフト

【CAST】
ぼく:梶裕貴
玖渚友:悠木碧
園山赤音:嶋村侑
伊吹かなみ:川澄綾子
逆木深夜:浜田賢二
姫菜真姫:遠藤綾
佐代野弥生:池澤春菜
赤神イリア:伊瀬茉莉也
班田玲:桑島法子
千賀あかり:桑谷夏子
千賀ひかり:新谷良子
千賀てる子:後藤邑子
哀川潤:甲斐田裕子

【THEME SONG】
オープニング・テーマ:三月のパンタシア「群青世界」(読み:コバルトワールド)
エンディング・テーマ:Kalafina「メルヒェン」

【INTRODUCTION】
日本海に浮かぶ孤島、鴉の濡れ羽島。
そこに建つ屋敷には、島の主の赤神イリアによってあらゆる分野の天才たちが客として招かれていた。
だがある朝、屋敷の中で、首斬り死体が発見される。
そして事件は、それだけでは終わらなかった――

原作は、西尾維新のデビュー作にして第23回メフィスト賞受賞作『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』。
〈物語〉シリーズを手がけてきたシャフトによって、西尾維新の原点とも言える作品が映像化される。

>>『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』公式サイト
>>西尾維新アニメプロジェクト公式Twitter(@nisioisin_anime)

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