クリプトン伊藤社長、関本さんに聞く「初音ミク×KODO」の魅力

「いつも通りのセットリストの組み方ができなかった」クリプトン伊藤社長、プロデューサー関本さんに聞く「初音ミク×KODO」の魅力

東京オリンピックに向けて、日本の文化の魅力を国内外に発信していくプログラムの一環として行われる「This is NIPPON プレミアムシアター」。

日本の伝統的な和の音、バーチャルシンガーとして世界に広がっている初音ミク。この2つの音がスペシャルライブ『初音ミク×KODO』として世界へ発信されていきます。

今回は初音ミクの開発者であるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之さんと本イベントでプロデューサーを務める関本亮二さんに、「初音ミクのさらなる可能性」や「イベントの見所」について伺いました!

未来につながる最初のステージ

━━今回のプレミアムシアターは「東京2020文化オリンピアード」の一環として行われ、日本を代表する文化として発信されていきます。「日本を代表」する程、大きく成長した「初音ミク」は、いまの伊藤さんからみて、今どのように写っているのでしょうか。

伊藤博之(以下、伊藤):初音ミクは、歌を奏でる音楽ソフトウエアとして2007年8月にリリースしたものです。

同時にパッケージに描かれたイラストの二次創作を公式で認めたこともあり、音楽だけでなくビジュアル面でも数多くのクリエイターさんが初音ミクの創作に加わりました。

ネットには国境がありませんので、初音ミクの”活動”は、日本国内に留まらず世界中に拡がりました。あれから10年が経ち、ネットで作品を発表することが、いまやクリエイターにとっての”常識”になりました。

ネットで創作活動を見聞きすることが多い今の人々において、初音ミクはその象徴的な存在として国際的にも知られているのでは、と思います。ただ初音ミクは、クリエイターがあっての存在であることを忘れてはならないです。

━━ソフトウエアとして生まれた「初音ミク」が、様々な技術の手を借り、今ではステージに立って歌うことが当たり前となりました。今後も技術の進化が起こり、それを体現していくように「初音ミク」も進化していくと思います。この先、「初音ミク」はどのような存在に、またどのような可能性が秘められているのでしょうか。

伊藤:まず声の進化は、当社で引き続き進めています。日本語、英語に加えて、中国語で歌を歌える音声ライブラリーは今年中にリリースできるでしょう。

声の質や変形のバリエーションは、初音ミクの歌声に表情を与えることに繋がると思っています。初音ミクの実体化にかかる進化は、当社だけでなく各社のご協力のもとで進めていけたらと思います。

これら初音ミクの進化への取り組みは、きっと未来のコンテンツ業界に新たな方向性を示すものと思います。

━━最後に「初音ミク×鼓童」のプレミアムシアターに込めた思いと共に、楽しみにしているファンの方々にメッセージをお願いいたします。

伊藤:我々日本人は、異文化を偏見なく織り交ぜて自文化に取り込んできた歴史があります。異質なものの融和が日本文化の特徴であるとも言えます。

今回、電子に基づく初音ミクが、肉体的なパフォーマンスの鼓童さんと共演することで、きっと日本の文化面、技術面ともに新たな可能性を提起できるものと思います。未来につながる最初のステージを、どうぞ楽しんでください。

━━ありがとうございました! 続いてはイベントの見所について関本亮二さんに伺っていきます。

いつも通りのセットリストの組み方ができなかった

━━今回、初音ミクと鼓童の共演という他にはないライブになりますが、いったいどのような準備をされているのでしょうか。ライブの概要、編成などを教えてください。

関本亮二(以下、関本):ライブでお馴染みの透過スクリーンに降臨する初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカの出演と、昨年の初音ミクのワールドツアー「MIKUEXPO」で演奏していただいたミュージシャンによるバンドスタイルに加え、和太鼓の他にも笛や箏も演奏する鼓童さんのメンバーでの編成でステージを披露いたします。

今回の公演は「伝統芸能×テクノロジーの融合」と考えており、そのコンセプトにふさわしいステージデザインを一から制作し、機械的な初音ミクの動きと、動的な鼓童さんの演奏スタイルを如何に融合させるか、日々試行錯誤しております。

どちらも良い要素が欠けたり、どちらかが目立ってしまうと「共演」にはならないので、「共演」と呼ぶに相応しい全員の息遣いが聞こえるような躍動感あるステージにします。

また、初音ミクのステージにおいては、これまでにない新曲の披露があったり、過去に演奏していた楽曲で違う振付や新しい衣装での登場、初音ミクが太鼓を叩き、笛を吹く演出も入れるなど、視覚的にも楽しめる内容になっています。初音ミクのライブとしては初めての魅せ方になります。

━━様々な人気曲を詰め込んだ曲目ですが、選曲はどのように行ったのでしょうか。

関本:いつも初音ミクのライブでセットリストを組む際、1曲1曲のアレンジも頭の中で確定しており、会場の盛り上がりや全体演出などもイメージしながら、一人でDAWに曲を並べて2時間公演のセットリストを作っています。

しかし今回に関してはNHKさんから共演のお話をいただいてからすぐに鼓童さんの公演を拝見しに行ったのですが、和太鼓のピッチと初音ミクの歌を上手く共鳴させる手段であったり、和楽器と生バンドの共存の在り方など深いところまで考えるポイントがたくさん出てきて、すぐにはアレンジ面や演出面での正解が生まれなく、いつも通りのセットリストの組み方は出来ませんでした。

結果的に、選曲判断としてまず一つは「双方の音が混じり合うことで新しいシナジーが生まれる曲」を。もう一つは「和太鼓と生バンドでの相性が良くなさそうな楽曲を選び、鼓童さんと初音ミクバンドにアレンジ課題を突き付ける」という無茶ぶりな選曲もいくつか行いました。

「世界を驚愕させた二つの音が響きあう」ということですから、あえて演者同士でぶつかり合いながら曲を作らなければそのテーマを表現できないと思ったからです。

3カ月ほど前から演奏候補曲を鼓童さんへ共有し、アレンジを詰めていく中で、生バンドと和太鼓との共存の方法が見え、もう一度机に向かいセットリストを組んだところ、現在の選曲へ繋がりました。

結果的に人気曲が多くなった訳で、初めて初音ミクの楽曲を聞きに来る鼓童ファンのお客さんでも楽しめるような選曲内容になったと思っています。

前例のないダイナミックなパフォーマンスを魅せる鼓童さんと、ヴァーチャルシンガー初音ミクの共演を楽しんでいただきたいです。

━━ありがとうございました!

公演情報

2017年3月4日(土)
開場 午後6時 / 開演 午後7時

2017年3月5日(日)
開場 正午 / 開演 午後1時

2017年3月5日(日)追加公演決定
開場 午後6時 / 開演 午後7時
場所:NHKホール

初音ミク×鼓童 スペシャルライブ | This is NIPPON プレミアムシアター
URL:http://kodo-miku.com/

初音ミク×鼓童 アニメイトタイムズ特設応援サイト
https://www.animatetimes.com/miku-kodo/

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