「ほんっと親馬鹿ですいません!」――井上喜久子さんと井上ほの花さんの、やっぱりおとぼけな普段の生活【井上喜久子&ほの花連載第3回】
母娘二代で声優になった井上喜久子さんと井上ほの花さん。家でお互いの出演番組を観るときも、話す内容が最近はだんだん変わってきたようです。そして喜久子さんが一番心配していた「娘はこの業界で通用するのか」という点に関しては、まずは一安心といった様子。むしろ「すごい!」と思ってしまうところが、我ながら親馬鹿と思っているそうで……。
井上母娘の普段の生活は、やっぱりどこかおとぼけ気味で、それはこのインタビューにも滲み出ています。
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●井上喜久子(いのうえ きくこ)
9月25日生まれ。神奈川県出身。主な出演作は『らんま1/2』天道かすみ役、『ああっ女神さまっ』ベルダンディー役、『しましまとらのしまじろう』しまじろうのおかあさん役、『ふしぎの海のナディア』エレクトラ役、『おねがい☆ティーチャー』風見みずほ役、『サクラ大戦3』ロベリア・カルリーニ役、『魔法少女育成計画』カラミティ・メアリ役、『METAL GEAR SOLID』ザ・ボス、ローズマリー役ほか。オフィスアネモネ所属。
●井上ほの花(いのうえ ほのか)
2月9日生まれ。神奈川県出身。アーケード版『太鼓の達人』関連曲「恋幻想(LoveFantasy)」でデビュー。出演作は『月がきれい』田中さくら 役、『終末なにしてますか? 忙しいですか?救ってもらっていいですか?』フィラコルリビア・ドリオ役、『ダンガンロンパ3 -The End of希望ケ峰学園-絶望編』如月かれん役、ニンテンドー3DS『ぷよぷよクロニクル』アリィ役(ED曲「みんなみんなだいすき」歌唱)、ニンテンドー3DS『太鼓の達人ドコドン!ミステリーアドベンチャー』ティア役(主題歌「世界はミステリー」歌唱)、『青空アンダーガールズ!』椿瑠璃花役、8月のシンデレラナイン』河北智恵役ほか。ファーストアルバム『ファースト・フライト』クリンクレコードより発売中。オフィスアネモネ*ジュニア所属。
井上喜久子さん(以下、喜久子):井上喜久子17才ですっ!
一同:おいおい。
井上ほの花さん(以下、ほの花):井上ほの花19才ですっ!
喜久子&ほの花:よろしくお願いしますっ!
――17才の娘が19才というのはいかがなんですかね?
喜久子:それどころか、娘との年の差はこれからどんどん開いていく一方なんですよ(笑)。毎年、後ろにつける言葉を変えていくといいかもね。
――家で喜久子さんが出演しているアニメを一緒に観ることはありますか?
ほの花:ときどき?
喜久子:わりとバラバラで観る? なんか観るタイミングが違うんですよね。
――観た後に、作品について話すことはありますか?
喜久子:私は「どうだった!? どうだった!?」ってすごい聞きます。やっぱり誰かに聞いて、「面白かった!」って言われるのはもちろんありがたいんですけど、娘とか姉は「ここはいいけど、ここが良くなかった」とか、いいときも良くないときも本当のことを言ってくれるので、気になって聞きますね。
――そういう時は、どんなことを言うんですか?
ほの花:いいと思う、みたいな感じ? ナレーション的な番組はいっしょに観ることが多いんですけど、そういうのは母がどうこうっていうより、番組の話をしますね。あと、観てて「ここの言葉、気にならない?」っていうのはすごい聞かれます。
喜久子:あっそうそう! それよく言ってるね!
ほの花:自分で気になるところを挙げてきて、それについて聞かれるんですよ。
――そこでいつもどのように答えるんですか?
ほの花:だいたいは「気にならない」って言います。
喜久子:気になったら、ちゃんと「変だった」って言ってくれると思うんですよ。
――これまでほの花さんから言われて、はっとさせられたことはありますか?
喜久子:特にないです(笑)。
――ほの花さんの出演作品を一緒に観たことは?
喜久子:アニメのデビュー作の『しまじろう』(「劇場版 しまじろうのわお!『しまじろうと えほんのくに』」しろりん役)の演技を聴いたときは、声がスパーン!と出ていて感動しちゃいましたね。正直「ダメなんじゃないか……」って不安だったんですけど。ほんっと親馬鹿ですいません! でも、「すごーい!」と思っちゃったんですよね……。
自分が新人のときは、しゃべりがわりとフワッとしていたから、スパーン!と表現してくるのを「ああ、すごいな」って。自分にはなかったものだから。
ほの花:けど、発音とかイントネーションは、「ここがちょっと違うかもね」って言われたことはありました。
――今まで言われたことで、一番ためになったことは?
ほの花:何回も言われているのが「相手の言葉を受け取ってから返すんだよ」ってことで、本当にそうだなと思います。セリフを作り込み過ぎて、自分で「こう返そう」というのを決めちゃうと、相手がどう来てもそれで返しちゃうじゃないですか。相手がしゃべった言葉に対してちゃんと返す、キャッチボールが大切なんだよというのが一番ためになったアドバイスでした。
――喜久子さんの役の中で、憬れの役はありますか? いずれ自分で演じてみたいとか。
ほの花:んん~、男の子とかはやってみたいです。まだできないので、いずれできるようになりたいと思います。(『キャプテン翼』の大空)翼くんもそうですし、(『サクラ大戦』の)ロベリアみたいな声が低くてかっこいい女の人もやりたいです。
――『マクロスF』のグレイス・オコナーみたいな悪女役は?
ほの花:『マクロス』は、普通に出たい! ママの役はすごい好きなんですけど、歌が好きだから、悪いほうじゃなくて救う側になりたいです! でも、悪役はできたらかっこいいなって思います。
――これから作品での共演の機会も増えると思いますが、どんな関係のキャラがいいですか?
喜久子:親子はもう外画でやらせていただいたんですよ(米国映画『ノック・ノック』母・カレン、娘・リサ)。あと『スターリーガールズ』っていうゲームでは、姉妹の役を(笑)。
――さっそく来ましたね(笑)。
ほの花:姉妹なんだけど、敵味方なんです。
喜久子:そういうのもあって、面白かったね。
ほの花:あ、双子とかは?
喜久子:えーっ!? 双子は無理じゃない!? 表現が違いすぎない!?
ほの花:ママは幅広いから、ほーに似せて!
喜久子:人生経験が違いすぎるから、表現が……。もう声だけじゃないからね。
ほの花:カップルは!?
喜久子:なんでカップル!? どっちがどうなるの!?
ほの花:ママが男。だってほー、まだ男の子の声できない。
喜久子:あっ、男の子ね! 小学生のカップルとかね。「なんだよ!」とかやるの、ママが?
ほの花:やっぱりやだ! 笑っちゃってできない(笑)。
――家で仕事の話などはしますか?
ほの花:私が声優さんに興味を持つようになって、「あの声優さん、すごい!」っていう話はするようになりました。今までは「このキャラクターが好き!」とかはあったんですけど、声をやっている方のお話をすることはなかったんです。あと、「外ではちゃんとしなさい」って言われます。
喜久子:あははっ!
ほの花:今までは外で手をつないでたりとかしてたんですよ。
喜久子:べったりなんですよ。
ほの花:だから、「外でも人に見られている意識を持って」って言われて。
喜久子:前は電車の中でも「ねぇママ! ママ!」ってちょっと大変なときがあったけど、最近はおりこうにしてるよね。
――親離れ、子離れはできそうですか?
ほの花:できない。
喜久子:できな~い。
ほの花:するつもりないけど。
喜久子:どうしよう……。
ほの花:ほーのことが「足りない」ってママが言うから。
喜久子:お互いちょっと忙しくて、ゆっくり会えないと、「足りない」って思っちゃうんです。
――親離れ以上に、子離れができない感じですね。
喜久子:できないですね。
――娘から母への要望は?
ほの花:ちゃんと休んでね。
喜久子:!?
――母から娘への期待は?
喜久子:漢字の勉強をがんばってね。
ほの花:あははははっ!
喜久子:もう、ひどいときがあって。この間も練習してるのを聞いてたら、「それはすごまじい!」とか言うから、「すごまじい!?」と思って台本を見ると「凄まじい」って書いてあったんですよ。「それは、すさまじいだよ」って。ほかにも「ぎょうきゃしながら」って言うから、見ると「行脚」なんですよ。もういっぱいありますね。漢字に関してはドキドキさせられるので、いっぱい勉強してねって言ってます。
[インタビュー・文/設楽英一 撮影/Re-Zi]
>>井上喜久子 オフィシャルサイト @manbow
>>井上ほの花 公式ツイッター(@inoue_honokuma)
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