ツキノ芸能プロダクション」所属『劇団アルタイル』ショートストーリー連載第2回! 選抜から漏れた月島ヒジリと霞サクヤの心境や如何に!?
2.5次元芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」に設立されたバラエティタレントユニット『劇団アルタイル』。歌もダンスもお芝居も……というマルチなタレント活動をする彼らの日々を、ショートストーリーと挿絵でお届けする本連載。早くも第2回が公開です。
前回から引き続き、「劇団アルタイル SPRING FESTIVAL 2017」で描かれた物語をさまざまなキャラクターの視点から掘り下げます。今回は、テレビ出演に向けてダンスレッスンに励む選抜ユニット「Rigel(リゲル)」と「Regulus(レグルス)」のメンバーの様子と、選抜から漏れてしまった「Sargas(サルガス)」のメンバーの心境が描かれます。
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【あらすじ】
音楽番組の公開収録に向けて、ダンスレッスンに臨んでいるRigelとRegulusのメンバー。ダンスが苦手な永田イツキは、口は悪いが面倒見のいい大崎イズモに指導してもらっていた。
そんな様子を眺めていたのは、公開収録に参加しないSargasのメンバーである月島ヒジリと霞サクヤ。Sargasのなかでもとくにプライドの高い彼らが抱える、複雑な心境とは……。
【ストーリー】
「イズモ~お願い! 最後のターンのとこ、もう一回付き合って!」
「ああ? またかよ……」
「あとちょっとでできそうなんだ、このとおり!」
顔の前で両手をあわせ、拝むような姿勢のイツキに対して、「しょうがねえな」とぼやいて、イズモが立ち上がった。
(イツキのやつ、まだあのターン決められないのか)
思わず舌打ちしそうになった自分に気づいて、ヒジリはゆっくりと深呼吸した。
思えば、いつも腹の底で地味に怒っていた気がする。
真っ向から取り組めば、結果は必ずついてくる。努力は決して自分を裏切らない。なのに、がんばらない連中ほど、他人の成果を羨む。
あいつは顔がいいから。
あいつは声がいいから。
あいつは運がいいから。
あいつは才能あるから。
そうやって、すぐ、不確かなものに責任を押しつけようとする。
――どうしてアイツらは、もっとがんばらないんだろう?
だけど、世の中の人間はだいたいそういうものなんだと気づいた。
適度にがんばって、適当なところで諦めて、適度に悔しがるスタイルを見せて、周りとの折り合いをつける。そのほうが他人を傷つけない。自分も傷つかない。よほど気楽に生きられるんだ、と。
(でも、俺はそれじゃ嫌だ)
俺は上へ行きたい。 上へ、上へ――もっと、上へ。努力の先にある「本物の俺」に辿り着きたい。そのためには、まだ足りない。もっとできることがあるはずだ。
どんなに細やかなことでも、誰も見ていなくても、関係ない。俺のことは、誰よりも俺が見てる。たとえ他人は欺けても、自分だけは絶対にごまかせない。もしごまかせば、あとで自分が惨めになるだけだ。
そうやって、誰よりも努力してきた。なのに。
「っとターンして、ここで、ジャーン!」
「ジャーン!」
「てか、イツキ、顔! 辛そうすぎんだろ。息、完全に切れてっし」
「ご、ごめん……!」
ダンスの技量は間違いなくイツキより自分のほうが上――そう思っていた。いまもだ。負ける気はしない。
(こいつが選抜に受かって、俺が落ちたってことは……俺の努力が足りないのか)
そんなつもりはない。たとえモデル業との二足わらじで合同練習に出られなくとも、自主練は欠かさずしてきた。
(じゃあ、才能か)
とっさに浮かんだ考えに、ヒジリは思わず笑いそうになった。
(バカか、俺は)
かつて、あれほど腹が立った不確かなものに、自分もまた、責任を押しつけようとしている。
「あんなムキになって……バッカみてえ」
隣にいたサクヤがぽつんと呟く。けれど、言葉通りには聞こえなかった。消え入りそうな声音のせいかもしれない。また、笑いそうになる。
だって、努力すればなんでもできる、なんて。まるで、おもちゃ屋の前で駄々をこねる子どもみたいじゃないか。
(腐ってるだけだよな。俺もお前も)
一番星になりたい。でも、なれない。そんなジレンマを、いま、一生分味わってる。たぶん。
「オイ、そこ。笑ってんじゃねー」
すかさずイズモから声が飛んでくる。
「見てンならちっとは手伝え、スーパーモデル」
「くだらない呼び方をするな」
言いながら立ち上がって、イツキの隣に立つ。
「イツキ、お前、もっと体幹を意識しろ。ポージングのときはもう少しマシにできてるだろ」
そう言って腰をひっぱたくと、「うひゃぁ」とイツキから気の抜けた声が上がる。
「据わりが悪いから、踊っているうちにブレて余分な体力を消耗するんだ」
「わ、わかった!」
「なんだ、まともなアドバイスできんじゃん」
「スーパーモデルだからな」
ヒジリが目を細めて言うと、イツキもまた、口端を上げた。
もう一度、最初から。同じステップを繰り返し、繰り返し。飽きるほど、夢中に、バカみたいに。
気づくとサクヤが、食い入るようにふたりを見ていた。
「今度こそ決めろよー! せーの……!」
「ジャーン!」
いつか、本物の自分に辿り着く。
誰もがその日を夢見てる。
今回登場したメンバーをご紹介!
◆大崎イズモ(CV:古畑恵介)
子役出身で芸歴が長く、目立つことが大好き。口も態度も悪いが、実は面倒見がいいという噂も…?
◆霞サクヤ(CV:荒一陽)
独特の美意識と価値観を持つ癖の強い少年。人付き合いが壊滅的に苦手で、トラブルも多い。
◆月島ヒジリ(CV:菊地燎)
現役モデルで、上昇志向と自尊心が強い自信家。ただ、それに見合った努力もしているストイックさもある。
◆永田イツキ(CV:松岡一平)
裏表のない優しい性格で、ユニット内の潤滑油的存在。困ったような笑顔が板につきすぎている苦労人。
『劇団アルタイル』最新情報
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ツキクラ×劇団アルタイル『タイトル未定(仮)』
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