キャストも内容もすべてがフレッシュ オリジナルアニメ映画『きみの声をとどけたい』メインキャラクターを演じる声優ユニット・NOW ON AIRにインタビュー
新世代声優発掘・育成プロジェクト「キミコエ・オーディション」で約3,000人の中から選ばれた6人により結成された声優ユニット「NOW ON AIR」。そのメンバーと、三森すずこさんがメイン声優として出演するオリジナルアニメ映画『きみの声をとどけたい』が、8月25日に公開されます。
本作は、言葉の持つ力“コトダマ”を信じる16歳の行合なぎさCV片平美那が、使われていないミニFMステーションを見つけることから始まる物語。夏の湘南を舞台に、女子高生人がラジオ放送をしていくうち、思わぬドラマにつながっていく──というフレッシュな青春映画です。三森さんのほか、梶裕貴さん、鈴木達央さん、野沢雅子さんらが脇を固めることでも話題となっています。
声優デビューを飾る「NOW ON AIR」のメンバーは、どんな演技を見せてくれるのか──6人にお話をうかがいました。
映画公開を前に「いままで感じたことのない気持ち」
──キミコエ・オーディション合格から、もうすぐ1年です。すでにいろいろなお仕事をされているみたいですね。
浜須賀 夕役・飯野美紗子さん(以下、飯野):今回の映画がデビュー作ですが、お写真を撮っていただいたり、イベントに出演させていただいたりする機会も多くて、「声優」のお仕事の幅広さを実感しています
龍ノ口かえで役・田中有紀さん(以下、田中):自分は声優なんだという実感が少しずつ湧いてきて、とにかく「ちゃんとしなきゃ」と思っているところです。
中原あやめ役・神戸光歩さん(以下、神戸):私の場合、オーディションの最終審査までメイクもしたことがなかったので、なおさら……。はじめのころは慣れなくて、「やったほうがひどい」状態でした(笑)。
一同:(笑)。
──『きみの声をとどけたい』は、キミコエ・オーディションと平行して制作され、最終審査では実際のコンテ撮を使ったアフレコ試験もありました。映画公開にあたっての思い入れも強いのでは?
琵琶小路 乙葉役・鈴木 陽斗実さん(以下、鈴木):私はいまだに“琵琶小路 乙葉役・鈴木 陽斗実”っていう文字を見ると、「これ本当に私なのかな」って思っちゃうときがあります。
土橋 雫役・岩淵桃音さん(以下、岩淵):すごく不思議な気持ちです。できあがった映画から自分の声がするっていうところから……まず。オーディションに合格してからは目の前のお仕事に精一杯だったんですが、改めていま、ずっと憧れだった声優のお仕事ができてる実感を噛み締めています。
行合なぎさ役・片平美那さん(以下、片平):私は本当のことをいうと、複雑な気持ちで……。すごくうれしいし、本当に素晴らしい作品になったので、いろんな人に観てほしいんですが、自分の声が世の中に出ることに緊張と不安があって……。でも、やっぱり!ぜひ観てもらいたいです!
演じるキャラクターは、メンバーのキャラの“まんま”
──みなさんが演じるキャラクターたちは、どんな子たちなのでしょうか ご自分と似ている部分などもあれば教えてください。
飯野:私の演じる夕は、とってもお金持ちの家の女の子で……まず、そこは似てません(笑)。
一同:(笑)。
田中:馬主っていう裏設定もあるくらいだからね。
飯野:クルーザーを10隻もっていたりとか、ちょっと当てはまる人がいないレベルのお金持ちなんです。でも夕は、それを鼻にかけるようなことはないし、自立している女の子。気が強くて負けず嫌いなので、それ故にすれ違っちゃったりもするんですが、根本のところはすごく友達想いで、優しくて素敵な子です。
神戸:いまの説明聞いてたら、みさみさ(飯野さん)のことみたいだった 気の強さと優しさが両立してる感あるよね。
飯野:ほんとう!? どうしよう……役にかこつけて、自分を良く言ったみたいになっちゃった。
一同:(笑)。
田中:負けず嫌いっていうのも一緒かな?
飯野:意地っ張りなところは昔からありますね。それこそ高校生のときには、ケンカして「いや私は悪くないし」って言っちゃったりもしました。でも夕は、自分が悪いと思ったらキチンと謝るシーンがあって、すごく素直だなぁ、良い子だなぁと思います。第一印象としてはお嬢様っぽいキツさがあるんですが、本当は優しい子なんだと伝わるように、アフレコでも気をつけました。
──キツいセリフでも100キツくせず、優しさが見え隠れするような演技にしたんですね。
飯野:そうですね。完全に優しい優しいした感じは、雫の役目かなと思ったので。メイン全員が優しさを持っていますが、「優しさの出し方」がそれぞれ違っているんです。夕はみんなと通っている高校が違うので別行動が多いのですが、物語の節目節目で重要な役まわりとして出てくるので、ぜひ注目してほしいです
──岩淵さんの演じた雫は、とことん優しい女の子なんですか?
岩淵:とってもほんわかしていて、みんなの癒やしみたいな存在です。いつもニコニコしていて、みんなにお菓子を手作りしてきたりする、女の子らしい子ですね。どちらかというとおとなしいんですが、周りのことをすごくよく見ていて、心の中にはちゃんと自分の考えを持っている、しっかり者なところもあります。
片平:ももちゃん(岩淵さん)も、しっかりしてます
神戸:でも、「おとなしいけど」っていうのは……ちょっと(笑)。けっこう陽気な感じだよね。
岩淵:陽気!?
田中:ノリが良い!?
飯野:雫って爆弾発言をするんですけど、ももちゃんもそんなところあるし(笑)。雰囲気とかは、雫っぽいかもしれない
神戸:ほわっとしてて、一緒にいて安心する感じはありますね。
飯野:そのへん、とっても良いと思いますよ♪
岩淵:じゃあ、もっと癒やして参りますね♪
一同:かわいい!
神戸:ははは、ありがと……。
一同:(笑)。
──鈴木さんの演じる乙葉はいかがですか?
鈴木:乙葉ちゃんの設定を見せていただいたとき、「この子は私だ……」と思いました。というのは、私も乙葉ちゃんと同じく音楽高校に通っていたんです。乙葉ちゃんは音楽が得意で、みんなでやるラジオ番組のジングルを作ったりして、音楽でみんなを支えていきます。即興で突然弾き語っちゃったり、ライブハウスで大人のミュージシャンたちと演奏したり、音楽に関連した見どころが多いですね。音楽高校に通っていた当時のことを思い出しながら演じさせていたできました。雰囲気はゆるふわな感じで、でもなんとなくミステリアスで……。
神戸:まんま、みんひと(鈴木さん)です。
飯野:出会ったころの、みんひとの印象って感じ いまは、みんひともすごくはっちゃけたりとか、ボケたり変顔したりとかするんですけど(笑)。オーディションのころ、出会った当時は、ちょっとミステリアスな感じがありつつ、おっとりしていて、しかも音楽に関してはすごい……みたいなイメージだったので。
──エンディングクレジットには「演奏協力」としても鈴木さんの名前があるそうですね。
鈴木:即興で弾き語りするシーンを、実際に私が即興ふうに作ったメロディーでレコーディングしました。指の動きの作画も、それに合わせて作っていただいてるんです。雨のイメージ、風のイメージ……というように、いろんなものを音で表現していくシーンなんですが、私のお気に入りのシーンになりました。
神戸:やっぱり乙葉ちんは、まんま、みんひとなんです。でも、みんひとみたいな変顔はやらなそうですけど……。みんなに便乗することはあっても、突然やったりはしなさそう
飯野:みんひとは突然、変顔やるんです
一同:(笑)。
飯野:「おぉ……いまそれするか」みたいな(笑)。みんひとは、予想外の行動をするところありますね。
鈴木:自分では、普通のことをしているつもりなんですけど……。
神戸:乙葉ちんも自分では普通のつもりだし、やっぱ一緒だね。
──神戸さんの演じる、あやめはいかがですか?
神戸:あやめちゃんは、一見すると真面目風なメガネっ娘でなんですが、実際はラジオを愛するオタク気質な女の子です。ラジオ愛が深すぎて、なぎさたちのラジオについて説教をするくらい。
普段はそんなに積極的ではないんですけど、好きなことになると行動力を発揮して、言葉が次から次へと出てきて止まらないようなところは、本当に尊敬できるなぁと思います。私もちょっとオタク気質というか、好きなことについて語りだすと止まらない節はあるんですけれど……。
──神戸さんは、アニメが大好きなんですよね。オーディション合格時のインタビューでも「小さいころから『ガンダム』シリーズや『デ・ジ・キャラット』を見る英才教育を受けた」と話していらっしゃいました。
飯野:みっちゃん(神戸さん)も、話し始めると止まらないです……。
田中:しかもマニアック!
神戸:でもバーっとしゃべったあとで、「あ……あんまりみんなついてきてない……」みたいなときがあります(笑)。
飯野:まんま、あやめじゃん!
神戸:最初は全然、自分があやめに似てると思ってなかったんです でもメンバーには、そのへんが似てるよと言われて……。思い返すと、確かにあのときすごく語ったけど、「ふーんそうなんだー」「すごーい」みたいなリアクションだったなとか、ちょっと納得してしまいました。
一同:笑。
──田中さんの演じる、かえではいかがですか?
田中:かえではちょっと男勝りで、強いこともポンポン言ってしまう女の子です。でも基本的には気軽に話せるし、ノリも良くて、やっぱり優しさはもっています。
ただ、夕とはちょっと確執があって、素直になれない……ちょっとツンデレなところがあるんです。夕は相手のためを思って言っていることがちょっと空回りするタイプだと思うんですけど、かえではいけないことを言っているっていう自覚があるタイプ。それを汲んだうえで素直な優しい言葉を話すのが難しくて、私としては苦労したところです。
飯野:芯の強さはかえでと似てるかも でも、ゆっきー(田中さん)はイケメンだけど、男勝りではない気がします。
神戸:性格は本当に女の子らしいよね。
田中:なよなよしてるんです(笑)。
神戸:でも、かえでを演じてから、口調が似てきた気がする
田中:うそ!?
岩淵:「○○だよな」とか。
神戸:「○○だろ」とか。出会った当時は言わなかったけど、かえで成分が出てきてる(笑)。
田中:全然気づかなかった……。
飯野:でも、ゆっきーはかえでと違って、すべての言葉を選んでる感じあるよね。
田中:選びすぎて、うまく言葉が言えないんです……。動きで出てしまって、ジェスチャーが激しくなったりします。
──片平さん演じるなぎさはいかがでしょう?
片平:なぎさちゃんは太陽みたいにみんなを照らす、明るくて元気な女の子なんですけど、かえでちゃんとは逆に、言いたいことを言えないようなところがあります。おばあちゃんの影響で“コトダマ”をすごく信じているので、悪いことを言うと悪いことが起きるんじゃないかって考えちゃうんですよね。普通の女の子なんですけど、行動力はすごいと思います。
──そのあたり、みなさんから見て片平さんとの共通点はありますか?
一同:うーん……。
飯野:どこが似ているかと言われると、わかんないんですが……
岩淵:でも似てるんだよねぇ……。
片平:家でゴロゴロしているところとか……(笑)。
──そこで良いんですか(笑)。
神戸:なんというか……「ぽい」
一同:(笑)。
片平:音響監督さんにも、「お前はなぎさだな」って何回も言われました。褒め言葉なのか、そうじゃないのかわからないんですけど。
鈴木:喜怒哀楽が素直なところとか、なぎさだなぁって思う!
飯野:笑ったときの感じとか似てるかも!
田中:だからなのかな、私、みなみーのこと何回もなぎさって呼んでる気がする……。
神戸:今日は「なぎさ」って言おうとして、「みなみー」って言っちゃってたよね。
飯野:やっぱり何か、深いところで似てるんじゃないかなって思います。
「言葉の力、コトダマの力を感じる映画」
──6人と同じメインキャストとして三森すずこさんも出演されますが、アフレコはいかがでしたか?
神戸:三森さんはキミコエ・オーディションでも“見届け人”として関わってくださったんですけど、アフレコ現場で長時間お会いするのは初めてだったので、やっぱり緊張しました……。でも、本当に気さくに話しかけてくださって、うれしかったです。
飯野:「お菓子食べる」「休みは何してるの」 みたいに、普通に話しかけてくださって。でも本番になると、立ち姿や仕草からもすごく役に入っているのがわかって、いっぱい勉強させていただきました。梶さん、鈴木さん、野沢さんの演技に関しても、メンバー全員で囲んで見学してしまいました。セリフをしゃべっているときのオーラがすごくて、私たちももっと頑張らないといけないなと刺激をたくさんいただきました。
──それでは最後に、改めて映画の見どころをお一人ずつお願いします。
飯野:もう見どころしかないというか、本当にみんなかわいくて、鮮やかでまぶしい映画になっていると思います。女の子たちの夏休みらしい過ごし方、かわいく動いている姿に注目していただければと思います
鈴木:私としては、音楽にもぜひ注目してほしいです。なぎさが一生懸命走るシーンに使われている曲だったり、本当に映像と音楽がピッタリ合っている感が良いなぁと思いました。グッと感情移入ができて、響いてくるものがきっとあると思います 私が演奏している部分にも……ちょっとだけ注目していただければうれしいです。
神戸:高校生の女の子たちが頑張っている姿、キラキラした姿が見どころなんですが、私は背景のきれいさにも注目してほしいです 湘南の海、商店街、喫茶店の雰囲気などなど、すべてがキラキラしている作品ですので、ぜひ映画館の大画面で観てください
岩淵:SNSがすごく普及して、声で直に伝えることが少なくなったいまだからこそ、まさに観てほしい映画なんじゃないかなと思います。改めて“声の力”を感じられるような物語なので、何かを言えなくて悩んでいる人はもちろん、迷っているけど一歩を踏み出したいという人みんなに観てほしいです
田中:私はやっぱり、大勢の人を巻き込んで奇跡が起こるラストシーンが素晴らしいと思います。私はみんなで何かをするのが本当に大好きで、声優さんのお仕事でも近いものを感じていたので、このシーンでは熱いものがこみ上げてきました……。本当にあったかい映画だなぁと思います。
片平:7人の女の子たちがひと夏を駆けるお話なんですけれど、その一人ひとりが、悩みや願いを持っていて……。どれも誰もが一度は感じたことのある悩みや願いだと思うので、キャラクターに共感して観てもらえるんじゃないかなと思います。この映画を観て、ぜひ言葉の力、コトダマの力を感じてもらえたらうれしいです。
[取材・文/小林真之輔]
映画『きみの声をとどけたい』
8月25日(金)TOHO シネマズ新宿ほか全国ロード―ショー
【ストーリー】
舞台は湘南・鎌倉―。女子高生たちの悩み、葛藤、そして夢。届けたい“声(想い)”-。海辺の町、日ノ坂町に暮らす行合なぎさは将来の夢が見つからず少し焦っている16才の少女。
『言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね――』
小さいころ祖母から聞いたコトダマの話をなぎさはある出来事から信じていた。 ある日、なぎさは何年も使われていないミニFMステーションに迷い込み、出来心からDJの真似事をする。すると、偶然にも放送されたコトバは 思いもかけない人に届いていた―。
【キャスト】
片平美那/田中有紀/岩淵桃音/飯野美紗子/神戸光歩/鈴木陽斗実/三森すずこ/梶裕貴/鈴木達央/野沢雅子
【スタッフ】
監督:伊藤尚往
脚本:石川学
キャラクターデザイン:青木俊直
アニメーションキャラクターデザイン:髙野綾
音楽:松田彬人
制作:東北新社 マッドハウス
製作:「きみの声をとどけたい」製作委員会
イメージソング「この声が届きますように」(NOW ON AIR)
http://kimikoe.com/movie
>>「きみの声をとどけたい」公式サイト