第5章「共生」で描かれる芽心の決意とは――M・A・Oさん&徳光由禾さん、荒川美穂さん&森下由樹子さんが語る『デジモンアドベンチャー tri. 第5章「共生」』の魅力
全6章で製作されているアニメ『デジモンアドベンチャー』の続編作品『デジモンアドベンチャー tri. 』。その5作目である『デジモンアドベンチャー tri. 第5章「共生」』が2017年9月30日(土)からついに劇場上映となります。
本稿では、メインキャスト陣の中から八神ヒカリ役・M・A・Oさん、テイルモン役・徳光由禾さん、望月芽心役・荒川美穂さん、メイクーモン役・森下由樹子さんというパートナーコンビ2組にインタビューを実施! 第5章の見所を中心に、出演が決まった時のお話などもお伺いしてきました。
――まず徳光さんは『デジモンアドベンチャー』が復活すると聞いた時のお気持ちをお聞かせください。
テイルモン役・徳光由禾さん(以下、徳光):とても嬉しかったですが、当時テイルモンは私にとって挑戦の役で、凄く難しかったんです。なので、時間が経ってテイルモンをもう一度演じられるかということは凄く不安でしたし、正直迷いました。でも「やろう」と決めてからは、むしろ『デジモン』がまた始まることの方が大きなことなので、ただ一生懸命演じようと思いました。
――実際に『tri.』で演じてみて、いかがでしたか。
徳光:ずっと名前を呼び続けてきたので、やっぱりヒカリという名前を呼ぶとテイルモンになるというか、自然に自分の中にキャラクターがいるという感じがしました。
――テイルモンは挑戦と仰っていましたが、どんなところが難しかったのでしょうか。
徳光:暗い過去もありましたし、クールで強くてカッコいいテイルモンという設定だったので、自分がこれまで演じてきた役と全くかけ離れていたんです。自分自身とも全くかけ離れていて、「カッコいいってどういうふうに演じるんだろう」というところが難しかったです。
――『tri.』に参加されるとなった時のお気持ちはいかがでしたか。
八神ヒカリ役・M・A・Oさん(以下、M・A・O):「決まった」という連絡を頂いた時は喜びと同時に、私がヒカリ役で「大丈夫かな」という不安もありました。その後アフレコをさせて頂いて、「デジフェス」などでファンの皆さんと直接お会いした時に温かく迎え入れて下さったので、本当に嬉しかったです。
望月芽心役・荒川美穂さん(以下、荒川):芽心役に決まったという連絡を初めて受けた時点では、芽心は新しいキャラクターらしいという情報しか聞いていませんでした。『デジモンアドベンチャー』という子供の頃好きだった作品に携わらせて頂ける喜びはありましたが、「どうなっていくんだろう」と実感が湧かずにいました。
その後、台本を頂いたり、お話が進んでいくにつれて、“選ばれし子どもたち”のひとりとなる新しいキャラクターであるいうことで、緊張感が増しましたね。M・A・Oさんも仰ってましたが、「デジフェス」に昨年初めて参加させて頂いたときに、ファンの方々が温かく迎えて下さったので、ありがたいなと思いました。
メイクーモン役・森下由樹子さん(以下、森下):私もオーディションを受けた時は“選ばれし子どもたち”役のひとりを受けさせて頂いて、芽心とメイクーモンがいることはその時はみんな知りませんでした。その後、メイクーモンに決まった時には「私がデジモン!?」と思って、ウキウキしながらTVシリーズを観返していました。
――M・A・Oさん、荒川さん、森下さんは役作りに関してどのような所に意識されたんですか。
M・A・O:儚さがありつつも、しっかりとした芯を持っているという印象だったので、そこを崩さないように大切にして演じさせて頂こうと思いました。
――ヒカリはたまに乗っ取られたりするので大変ですよね。
M・A・O:ホメオスタシスさんがおいでになった時(乗っ取られた時)ですね(笑)。あのシーンも色々なテイクがありまして、「ヒカリじゃない声でも収録させて下さい」と指示を頂くこともありました。
――荒川さんはいかがでしたか。
荒川:第1章の時点では私自身も芽心に関して分からないところがありましたが、彼女も強さを持っているということが話が進むに連れて少しずつ見えてきました。あと、抱えているものが重くて、どうしても暗くなりがちでしたが、あまり暗くならないように意識して今も演じています。
――新キャラクターというのも意識したところはありましたか。
荒川:『デジモンアドベンチャー』から登場している他のキャラクター達がみんな魅力的なので、またちょっと違った個性を出していけたらいいなと思いました。あとは鳥取弁のキャラクターですので、そちらも指導して頂きながら一生懸命練習しました。
――森下さんはいかがでしたか。
森下:メイクーモンは謎が多くトラブルメーカーでもあるのですが、本人は赤ちゃんみたいに純真無垢なので、芽心に母親のように依存して「ママに甘える幼子!」っていう感じを意識しました。
――メイクーモンは第4章の時点でも謎が多いキャラクターですが、謎が多い分、演じることは難しいんじゃないですか。
森下:私も先の内容などやメイクーモンの詳しいことは、ほとんど教えて貰っていないんです(笑)。でもメイクーモン自身も先のことや自分のことは分かっていないので、気になるんですけど我慢して聞かないようにしています。常に心に芽心の存在を感じながら…という事は心がけています。
荒川さんと森下さんは「デジフェス」の帰りに仲が急接近!
――他のパートナーもパートナー同士の結び付きが強いと思いますが、初めてパートナー同士でアフレコに臨んだ時はいかがでしたか。
徳光:まずM・A・Oちゃんを見た時に凄く可愛らしい子で、マイクの前に立った時の姿が凄く綺麗でした。落ち着いた雰囲気もあって「この子はいったい何歳なんだろう」と思って、凄く安心できる人だなと感じました。
M・A・O:「ヒカリ!」と名前を呼んで頂くことに感動しました。章を経ていくごとに、だんだんとアフレコを通じて距離が縮まっていくような感じがして、凄く嬉しかったです。
荒川:見ての通り凸凹コンビで、身長が20センチも違うんです(笑)。だけど、読み合わせで初めてお会いしてから段々と、結束が深まってきていると思います。
各章の試写の上映の時も、ふたりでタイミングを合わせて一緒に行ったりですとか、プライベートでも一緒に遊んでいるので、デジモンのことはよく相談する仲ですね。お芝居しているときは、最初のメイクーモンは凄く可愛いのに、進化すると迫力のある声が出るので、ギャップが凄いなと思います。
森下:第1章収録後に、一緒に「デジフェス」を観に行ったんです。その時はまだお互い敬語で「では、待ち合わせて一緒に行きますか?」みたいな距離だったんですけど、その「デジフェス」の帰りに「私、趣味ゲームなんだー」ってみほてぃ(荒川さん)に言ったら、「いいね!じゃあこれからゲームセンターに行かない?」って言ってくれて!その後ゲームセンターに行って意気投合しました(笑)。現場でもハンカチを貸してくれたり、なにかとお世話してくれるのでもうお母さんだと思っています(笑)。
――徳光さんは選ばれし子どもたちの新しいビジュアルをご覧になった時はどのような感想を持たれましたか。
徳光:本当にお母さんみたいな気持ちですけど、「大きくなったなぁ~」って思いました(笑)。でも、それぞれあの頃の面影も残っていて、特にヒカリちゃんの声を聴いた時は、余計にあの頃のヒカリが残っているように感じて懐かしくなったのと、お姉ちゃんになったと思いました。
――面影が残っていたと仰っていましたが、M・A・Oさんの演技にも面影を感じた部分はありましたか。
徳光:別の人が演じていると分かっていても、どこか似ている懐かしい部分を感じましたね。
――森下さんはメインのデジモンのキャストとしては唯一新キャストですが、緊張などはありましたか。
森下:『デジモン』を観て育ったので光栄でしたし、「大丈夫だろうか」ってドキドキしていました。でも、アフレコに入った時にスタジオで皆さんが「よろしくね!一緒にやっていこうね!」と仰ってくださって。先輩たちが胸を貸してくださったので、すごく嬉しかったです。第1章が始まる前が一番ドキドキしていたような気がしますね。本当に素敵な現場です。
第5章ではヒカリと芽心に衝撃の展開が……?
――第4章までの中で印象に残っているシーンはありますか。
徳光:私はヒカリちゃんともグッと近づいたかなと思うのは第3章で、リブートを覚悟してパートナーと離れなくちゃいけないというシーンが皆それぞれ凄く良かったんです。
今までのテイルモンだと「自分がヒカリを守らなきゃ」と思っていたんですけど、『tri.』ではテイルモンの可愛らしい部分が描かれていて、その中でもショッピングに行ったり、アイスを食べたり、「写真を撮ろう」ってテイルモンからヒカリに言うんだって思いました。
そこでM・A・Oちゃんとも気持ちが近くなったので、あそこのシーンが忘れられないし、それぞれのパートナーも凄く綺麗に描かれているので、そこが思い出に残っているシーンです。
M・A・O:私も第3章のテイルモンとのシーンは思い出深いです。リブートが起きてしまうことへの覚悟を決めて、皆がそれぞれ思い出を作っていく中で、徐々に感染が進んでいってしまうという悲しさがありました。
あと第4章で、ニャロモンがホイッスルを持っていて、「ホイッスルと同じ安心する匂いがする」と言った時は、覚えていなくても何か感じてくれるものがあるんだという嬉しさがありました。第3章から第4章にかけては印象に残っているシーンが多いです。
荒川:芽心の視点で観ていると、感染したパタモンとタケルのやりとりで「感染したらやっつけて」というセリフが後に響いてくるなと思いましたね。あと、リブート後のガブモンがヤマトのことを「ヤマト……くん」と言うところが可愛すぎて好きです。
芽心とメイクーモンのやりとりだと、第4章で「メイちゃんが良い子だったから好きだったんじゃない。どんなメイちゃんでも好き」ということを本人に言ってぶつかるシーンが好きですね。
森下:私も第4章の芽心とのぶつかり合いのシーンは思い出深いです。監督からも“母と子の喧嘩”だと思って演じて下さいと言われて、あそこからまた芽心とメイクーモンの絆が深まったかなと思います。
――第5章の台本を読んだ時の感想はいかがでしたか。
徳光:あまりの悲しすぎる衝撃の結末で、理解するまでに時間がかかりました。どこにも救いがないと思いました。
M・A・O:後半にかけて色々なことが起こる中で、ヒカリ個人として一番柔らかいところをグサリと刺されたようなところがあったので、とても切ない気持ちになりました。
荒川:芽心のセリフで凄く衝撃的なものが出てきて、そのセリフにどういう風に気持ちを持っていったら良いのかというのは台本を読みながら凄く考えました。
でも考えただけでは分からないというか、きっと収録の時にみなさんのお芝居によって変わる部分もあるかなと思って読んでいました。芽心自身もすぐにそのセリフにたどり着けるとは思わないので、乗り越えたと思ったら躓いてという感情のゆらぎがとても多い章になったと思います。彼女なりには悲しいだけじゃない、決意のようなものを感じたので、逃げられないなと思いました。
森下:芽心のことが心配になってしまいましたね。辛いだろうなあと思いました。メイクーモン自体は意識があったり無かったりで、本人は苦しんでいる状態なんですけど、それを見ている“選ばれし子どもたち”も戦うのが辛いだろうし……。そのあとの展開も衝撃でした。
――第5章の中で見逃せないシーンはどんなところでしょうか。
M・A・O: “選ばれし子どもたち”が揺れている芽心ちゃんに対して声をかけるシーンはとても素敵だなと思いました。ここまで歩んできたからこそのシーンになっていると思います。
徳光:太一と芽心、アグモンと太一との会話のシーンは本当に泣いてしまいました。芽心もどんな気持ちであの言葉を言ったんだろうと思っていると、ヒカリにもまた展開があって、今までの中でも一番つらい内容でした。そして第6章はどうなっていくんだろうって思いますね。
荒川:各章を通じて“選ばれし子どもたち”がそれぞれ壁にぶつかって、それを乗り越えて成長してきて、俯いてしまう芽心に手をさしのべてくれたので彼女は前を向くことができたのだと思います。
第5章で芽心が決意と向き合った時に太一さんが太一さんらしく引っ張ってくれるシーンは恰好良くて印象的です。デジモンたちのバトルシーンも特に後半は目が離せないので、最後まで注目して観て欲しいです。
森下:今回もデジモンたちのバトルが凄く格好良くて!バトル中でもデジモンたちが各々の形でパートナーを守っているところは胸がキュンとなりました。
――最後に、第6章へ向けての意気込みを教えてください。
徳光:必ず仲間を救えると信じているし、皆さんには幸せな未来を走って欲しいなと思うので、ハッピーエンドを信じています。
M・A・O:小さい頃から色々な壁を乗り越えて強くなってきた方たちなので、今回も皆でひとつになって乗り越えて、「あの頃はあんなこともあったよね」と話せるように明るく終わって欲しいなと思います。
荒川:私はもう全力でぶつかるのみと思っているのですが、どんな結末であれ、“選ばれし子どもたち”の皆さんなら力を合わせて乗り越えられると思っています。本当に作品を通じて色々と感じることがあって、きっと皆さんの心に残る結末が待っていると思うので、楽しみでもあります。
森下:第5章は本当に辛いことがたくさんあるのですが、みんななら乗り越えていけると信じています!敵も本当に強くてもう、はらはらします……。最終章である第6章がどうなるのかとても楽しみです。
[取材・文・撮影/イソベアラタ]
3週間限定劇場上映/劇場限定版Blu-ray先行発売/先行有料配信
2017年9月30日(土)同時スタート!
上映館:札幌シネマフロンティア、MOVIX仙台、新宿バルト9、渋谷TOEI、T・ジョイPRINCE品川
横浜ブルク13、MOVIXさいたま、T・ジョイ蘇我、シネシティザート、TOHOシネマズ浜松
109シネマズ名古屋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、広島バルト11、T・ジョイ博多、鹿児島ミッテ10
◆一般販売版Blu-ray&DVD2017年11月2日(木)発売
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【CAST】
花江夏樹、坂本千夏ほか
【STAFF】
監督:元永慶太郎
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン:宇木敦哉
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