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Do As Infinity『十二大戦』EDに秘めた想い

人間誰しも心の奥底に化獣を抱えている Do As Infinity『十二大戦』EDに秘めた想い

テレビアニメ『十二大戦』のエンディングテーマを飾るDo As Infinityの『化身の獣(けしんのじゅう)』が12月6日にリリースされます。シングル『化身の獣』は、『進撃の巨人』などで知られるサウンドプロデューサー・澤野弘之さんとタッグを組んだ第三弾作品。前作とはガラりと雰囲気を変えたミステリアスなロック・チューンで、エモーショナルな歌声が憂いを引き立てています。

どんな想いで作品に挑んだか、お二人に教えていただきました。

 

「『犬夜叉』の曲をやった瞬間、Aメロから大合唱」(大渡)
――Do As Infinity(以下、Do As)は、『犬夜叉』や『FAIRY TAIL』や『ヒカルの碁 セレクション』など、数々のアニメ主題歌を担当されていますが、お二人にとってアニメはどういう存在ですか?

大渡 亮さん(Gt.Vo./以下、大渡):もはや軽視できない存在というか。僕が幼少の頃に見ていたアニメーションから比べると存在が巨大になっているような、そういう認識ですね。

伴 都美子さん(Vo./以下、伴):今年は海外でのライブに恵まれて、現地でアニメイベントにも出演させていただいたんです。亮くんの言った通り、日本の誇るべき文化の1つなんだなぁと改めて実感しました。

――アニメタイアップのオファーが多い理由について、ご自身はどう分析されていますか?

伴:ラッキーだなって。光栄だなと思ってます。

大渡:もちろんラッキーでした。でも、確かになんでだろう?(少し考えて)当時僕らのグループを作った張本人がアニメ好きだったんです。彼は僕らにとっては恩師みたいな存在なんですけど、先見の明があったんでしょうね。

語弊があるかもしれないんですけど、タイアップという意味ではアニメよりもドラマのほうがメジャーな時代だったんですけど、当時『攻殻機動隊』が面白いってずっと言っていました。この間海外に行ったあとに、そのかたにお会いする機会があったんですけど……「(アニメーションタイアップ)やっておいてよかったでしょ?」って言ってました(笑)。

――海外だとどういった反応があったんですか?

大渡:7月に南米4ヵ国まわったんですけど、日本人の音楽と認識するのにアニメは必要不可欠な存在だなと認識しました。僕らは『犬夜叉』の音楽を4曲担当しているんですが、日本で『犬夜叉』のアニメーションは2000年からの放送でしたけど、南米では2002年~2006年に放送して大ヒットしていたそうです。

今回のライブでは当時聴いてくれていたファンがきてくれて、『犬夜叉』の曲をやった瞬間、Aメロから大合唱。本当にいいタイミングでタイアップをやらせてもらったんだなって実感しましたね。アニメーションのおかげで、異国に行ける特急券を手にできていると思っています。


「(澤野さんは)天才だなぁって」(伴)

――『十二大戦』のオファーがきたときはどんなお気持ちでしたか。

大渡:これまでもアニメやゲームなどのお話をいただいているんですけど、率直に「嬉しいな」と思いました。

伴:同じような感じです。澤野(弘之)さんがアニメーションの音を手掛けられているので、これは合うのではないだろうかと。

――サウンドプロデューサーの澤野さんとは、今作で3作目のタッグとなります。澤野さんはお二人から見てどんな印象のかたですか?

伴:天才だなぁって思いますね。

大渡:ギターを弾いてて感じるのは、回を重ねるごとに作業が早くなるんです。僕もイメージしやすくなりました。澤野さん自身はミュージシャンっぽくない佇まいというか、普通の大学生みたいな感じなんです。

同じ音楽人として、こうも爽やかになれるものなんだなと。おどけるような人懐っこさはあるんですけど、天才なので、頭の中ですべての青写真と設計図ができあがっている。明確に自分の世界観をひとに掲示する仕事人的なところも垣間見られるので、頼もしい限りです。

――そんな澤野さんからはじめて曲が届いたときはどんな印象を受けました?

大渡:『Alive/Iron Hornet』(1作品目)が今年の6月に出たんですけど、その1年前くらいからデモテープを作ってくれていたんですよ。そのときから「なんて自分たちらしい曲を作ってくれる人なんだ」って思ってて。自分の考えるDo As Infinity像を3、4分のコンパクトな楽曲に収めてくれたっていうのが最初の印象ですね。

――大渡さんの思うDo As Infinity像は、言葉にするとどんな感じなのでしょう。

大渡:難しいんですけど……暗いと明るいの中間のグレイな感じ。黒でもない、白でもないところ。もともと僕らは作曲家のグループとしてキャリアがはじまっていて、最初に曲を作ってくれた長尾大くんもそれを表現することに素晴らしく長けていました。澤野さんもそういう憂いのある部分をうまく抽出してくれる人だなと思っています。

――『化身の獣』が上がってきたときも手ごたえを感じられましたか?

大渡:もちろん。アルバムのことを踏まえて、ざっくりと「速い曲が欲しい」とオーダーをしていたんです。「じゃあ速い曲を作ってみます」と。そしたらすぐに曲が届いて。それが『化身の獣』だったんですよね。モチベーションを持ってやっていただいているなぁって。


――そこから歌詞を書かれていったんですか?

伴:そうです。

――<己の生き様さ>という歌詞ひとつからも分かる通り、鋭い言葉が並んでいます。どのような気持ちで作詞に向かったんでしょうか。

伴:『十二大戦』の原作小説に目を通してから歌詞を書き始めたんですが……人間は誰しも、心の奥底に化獣(ばけもの)を抱えているなと思ったんです。自分の知らない自分や、毒々しいところを秘めているというか。<己><お前>と歌ってますけど、自分に対して歌ってる部分もあるんです。最近自分が感じていたことを吐露するような歌詞になりましたね。

――<嗚呼、この世は/嗚呼、欲ばかり>という一説も印象的ですが、最近感じていたことというのはどんなことでしょうか。

伴:世の中なんでこういうニュースだらけなんだろうって。もっと明るいニュースはないのか、やれやれというか(苦笑)。みんな腹の底では何を思っているか分からない。

すぐ人と繋がれる世の中で、便宜で人と繋がることは簡単だけど果たして……っていうスリルというかホラーというか。第2弾と比べるとロマンチックな雰囲気ではないけど、そういうところを表現したいなと。

――ギターに関してはどうでしょうか。

大渡:速い曲に必要だったのはやはり疾走感のあるロックというか。そういう音楽を好んで聴いてきた時期があったので、この曲のパワーに繋がるようなものを残せたらなっていう風に思いながら弾きました。

――大渡さんと言うとロックなギターのイメージが強いのですが、そういう王道感にプラスして、フレッシュな印象も感じさせました。そのあたりはどうでしょうか。

大渡:ああ、それは嬉しい。澤野さんはギターのラインをシンセで作って、それをデモテープにするかたなんです。だから自分の筆で塗らないと、シンセの音源で完成してしまうというか。それだとサラッとしすぎちゃうので……ギターで塗り替えることで、耳にひっかかるようなフックになればいいなと思っていました。

そういう気持ちの表れかもしれませんね。予定していないところにリードギターを入れたんですけど、彼も驚いたんじゃないかな。ギターが吠えないと、曲の雰囲気が増さないんじゃないかなって思ったんですよ。だからチョーキングを入れて。

具体的に言うと“キューン”っていうギターの弦を引っ張るチョーキングの曲線って、人に「ロックだな」と感じさせる力があるんです。鍵盤でも出せるんですけど、ギター特有のカーブがあって。

あれは計算されたものではなく、弦を引っ張ったときのカーブなんですよね。そういうところで人の温度をつけたほうが絶対いいと思って、ああいうラインをアドリブに近い形で乗せたんです。澤野さんにも3作目にして予想してないところでの驚きを感じてもらえてたんじゃないかなと思っています。

――カップリングの『Silver Moon』は英詞ですが、前作の『To Know You』にしかり、澤野さんの手掛けるDo Asの英詞曲は新鮮な魅力がありますよね。

大渡:もともと澤野さんが劇伴などでボーカル曲を書く際は、英詞が多いそうなんですよ。メロディを作る際も英語でイメージしているそうです。それで、彼が仕事で組んでいるひとを紹介してもらって。それが作詞に表記のあるBenjamin & mpiのお二人です。

Benjaminさんはイギリスのかたで、お二人には『Iron Hornet』や『To Know You』でも理想的な英詞を書いていただいて大満足だったので、今回もお願いしたいなと。でも今回の曲はちょっと(伴さんが)大変そうだったね。

伴:初期の頃から英詞は歌ってきていますが、大変ですね(笑)。『Silver Moon』は曲を聴いたときに、花びらがハラハラと舞っていくような情景が見えたので、それをお二人にも話しました。曲を覚えるために自分でも言葉を書くので、その日本語で書いたものもをお渡ししたりして、いろいろなディスカッションをしながら手掛けていただきました。すごくスマートな方たちなので、やりやすかったです。

大渡:うちとのカップリングがすごくよかったんです。サクサク進んでいきました。

――打って変わって、ボーナストラックの『Lovely Day』はクリスマスソングのような明るい雰囲気の楽曲です。まさに渋谷の雰囲気で。

大渡:渋谷マークシティさんからオリジナルキャンペーンソングを作って欲しいというお話をいただいて、「ならば」ということで、自分が通ってきた渋谷系の曲を作って、マークシティさんに花を添えたいなと思ったんです。それで久しぶりに作曲しました。90年代初頭に流行っていたこういう(渋谷系の)サウンドを敬愛しているんです。今の若い子は知らないと思うんですけど、ハードロック、ギターソロがカッコ悪いみたいな時代があったんですよ。

僕はハードロックの終焉を肌で感じていて──と言ってもまた復活しますし、そのシーンは常にあるんですけど。ジャミロクワイが出てくる前のこういうサウンド、もしくは出てきたあとの(カーディガンズのプロデューサーの)トーレ・ヨハンソンみたいなサウンドをDo Asでやってみたいなと思って、作ってみました。


2019年には20周年 今までと、そしてこれからと
――Do As Infinityは来年で再結成をされてから10年経つと思うんですけども。

伴:そんな経ちますか。

大渡:そうか、再結成で10年か。すごいね。今、僕らが解散していた3年間も含めて、もうすぐ20周年だという話をしているところなので、再結成で10年というのは考えたことがなかった。新鮮だね。

――改めてこの10年を振り返るといかがですか?

大渡:再結成してよかったなって改めて思いますね。……いいことしかないな。いろいろな国に行ったり、作品を作ったりして、自分の音楽生活は素晴らしいものになってると思います。これだけ良い10年を送れたんだから、次の10年もより良い音楽生活ができるんじゃないかなって予感がしますね。

伴:そうですねぇ……。ありがたいなぁという気持ちですね。貴重な経験をたくさんさせてもらって感謝でしかないです。

――20周年も楽しみにしています。ありがとうございました!

[インタビュー・文/逆井マリ]

リリース情報
■New Single「化身の獣」2017.12.6 RELEASE
Sound P roduced by 澤野弘之


・通常盤【CD+DVD】¥1,800(tax out) AVCD-83949/B

・通常盤【CD only】¥1,200(tax out) AVCD-83950

[CD]
M1. 化身の獣
M2. Silver Moon
M3. 化身の獣 -テレビアニメ「十二大戦」ED ver.-
M4. 化身の獣(Instrumental)
M5. Silver Moon(Instrumental)
※CD only盤にはBonus Track「Lovely Day」を収録
[DVD]
化身の獣 -Music Video-


>>Do As Infinity OFFICIAL WEBSITE
>>テレビアニメ『十二大戦』公式サイト

 
■テレビアニメ『十二大戦』放送情報
2017年10月3日(火)より絶賛放送中!
AT-X毎週(火)23:30~
※リピート放送:毎週(木)15:30/毎週(日)7:00/毎週(月)7:30
MBS 毎週(火) 26:30~
TOKYO MX毎週(木) 24:00~
BS11毎週(木) 24:30~

(C)西尾維新・中村 光/集英社・十二大戦製作委員会
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