さくらとケロちゃんは性別を超えた関係――『カードキャプターさくら クリアカード編』木之本桜役・丹下桜さんとケルベロス役・久川綾さんにインタビュー!
2018年1月7日(日)より、NHK BSプレミアムにて『カードキャプターさくら クリアカード編』がついに放送開始!
1998年~2000年に放送された「クロウカード編」と「さくらカード編」の続編として、20年近くの時を経て、新たな物語が描かれます。
今回は、主人公の木之本桜を演じる丹下桜さんと相棒のケロちゃんことケルベロスを演じる久川綾さんにインタビューを実施! “名コンビ”でもあるお二人ならではのお話をたっぷりと語っていただきました。
マスコットキャラの専用ブースが登場!? 新作ならではの裏話を暴露!
──約18年ぶりのTVアニメということで、久しぶりにキャストが集結した収録はいかがでしたか?
木之本桜役・丹下桜さん(以下、丹下):アフレコ自体は18年ぶりですごく久しぶりでしたけど、その前に4月1日に行われたさくらのお誕生日イベントで公開生アフレコをさせていただいたんです。それがいきなりハードルが高かったのとワンクッションになったおかげで、スタジオでのアフレコは心の準備ができました。
また、今回のテレビシリーズの前に原作コミックスの特装版に付くOADの収録がありました。そのときはアニメとしての収録は久々ということもあり、音響監督さんからいろいろと指示をいただいたんです。結構時間をかけてじっくり役をつくっていきました。
──具体的にいいますと?
丹下:ほかの現場では音響監督さんからは方向性の指導を受ける程度で、自由にやらせていただくことが多いのですが、『カードキャプターさくら』では確固たるイメージに沿ってアフレコをする感じです。
自由に演じるというよりも、“いただいた指示どおりに”という点が、ほかの現場と違うところだと思います。その点が私にとっては難しいところでもありますが、「なるほど。こういう解釈もあるんだ」と思うこともあります。
──長年愛されている作品だからこそ、制作陣にもこだわりがあるわけですね。
ケルベロス役・久川綾さん(以下、久川):こだわりに応えるのは大変なこともありますが、4月のイベントのときから「(約18年ぶりでも)みんな全然いけるね!」って話をしていましたよ(笑)。
違和感も不安もまったくなく、アフレコもスムーズです。
──4月1日のイベントやOADの収録がきっかけで、キャストのみなさんも気持ちが固まったんですね。
久川:それぞれ違う現場では会いますけど、『カードキャプターさくら』という作品で一緒に同じ時間を過ごすのは久しぶりだったので、良い意味でメンバーの結束を確認できました。
丹下:また、イベントでは(久川さんの)アドリブがすごくて……。
久川:いやいやいや、最初に「アドリブしようね」って言ったよ!(笑)
一同:(笑)。
久川:会場に来ていただいたみなさんに楽しんでいただけるように「いつもと違うことをやりましょう」と言っていたんです。
しかも、『カードキャプターさくら』のメンバーはちゃんとノッてくれる人たちなので(笑)、チームワークが発揮できたと思います。
丹下:さくらは基本受け答えだったので、ケロちゃんや皆さんからきたツッコミという球を、すべてボケて打ち返さねばと頑張りました!(笑)
一同:(笑)。
丹下:あの公開生アフレコの時は「ケロちゃんチェック!」連発がもうすごくて……(笑)。
久川:そうそう!「ケロちゃんチェック!」ね(笑)。
【ニュース】丹下桜さん、岩男潤子さんがまさかの「プラチナ」「夜の歌」を生歌披露!「さくらフェス2017 ~カードキャプターさくらお誕生日会~」をレポート #ccsakura https://t.co/2xznH1G6ci pic.twitter.com/H7XjmUhzBm
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) 2017年4月2日
──お二人の会話を聞いているだけでも懐かしい気持ちなのですが、お二人は収録を始めて懐かしさを感じることはありますか?
丹下:アフレコが始まってからは、改めて懐かしいとか新しいという感覚はなくて、前作シリーズから続いている感じが強いですね。
久川:懐かしいとは逆の話ですが、今回から技術的な関係上、私だけ別のブースで収録しているんです。なので、最初は蚊帳の外のような感じが強くて、みんなと同じブースに居たら、つい長く居すぎて「久川さん、ハウス!」と言われることもあったり(笑)。
お互いの声をヘッドホンで聞きながら収録するんですが、ヘッドホンから聞こえる音とスタジオで隣り合って直接聞く音の質がまったく違うので、最初は違和感がありました。
丹下:私も、最初はケロちゃんと話すシーンだけケロちゃんの声が聞こえるようにヘッドホンをつけていましたが、それだとヘッドホンを外しているときと声が一定しないので、今はずっとつけたまま収録しています。ヘッドホンをつけているときとつけていないときでは、音質が微妙に違うんですよね。
久川:そうそう。
そのことも手伝って、別のブースでの収録を寂しく思っていたのですが、ほかの役者さんに話したら、「『ポケモン』チームは、大谷育江さんが10年前からその方法で収録していますよ!」と言われまして、育さんがやっているなら文句は言えないな! と(笑)。
そこから「何で別のブースに入らされるんだろう……?」って話していたら、「黄色くて小さいから入らされるんだ!」という結論に至りました(笑) 。
一同:(笑)。
丹下:マスコットキャラだからですよ!(笑)
久川:そうか! 黄色くて小さいキャラクターは、マスコットキャラの専用ブースに入れられるみたいです(笑)。
ケロちゃんのセリフでご飯何杯でもいけます!
──ズバリ、新作アニメの見どころは?
久川:さくらと小狼くんの恋と、新作で新しく登場する詩之本秋穂ちゃん(CV:鈴木みのり)とユナ・D・海渡さん(CV:花江夏樹)がどのように物語に絡んでくるかですね。
丹下:そうですね。後は、第1話から出てきますが、“謎のフードの人物”も気になります。
──個人的に正体が気になりますが、ここは放送でのお楽しみということで。そんなさくらとケロちゃんは協力し合って困難を乗り越える名コンビです。せっかくなので、それぞれの好きなところを教えてください!
丹下:今回、私が大好きなケロちゃんのセリフがありまして。
久川:え~! なに、なに?
丹下:第1話にもあるんですが、ケロちゃんの「おうっ♪」という弾んだ感じの掛け声が大好きなんです。すごく可愛くて、このセリフだけでご飯何杯もいけます(笑)。
久川:(笑)。
丹下:収録中はヘッドホンから聞こえるので戦闘シーンでもなごみます(笑)。大好きなところはたくさんありますが、新作での一押しは「おうっ♪」です。安心安定のケロちゃんでもあるので。
キャラクターによっては伏線があったりちょっと秘密を持っていたりで、ストレートに演じられないジレンマを感じることがある中でも、ケロちゃんはまっすぐでブレない存在。ピカーッと黄色い輝きを放っています(笑)。
──確かに。ケロちゃんはさくらの支えであり、欠かせない存在ですよね。
丹下:そうですね。バトル中は必ず傍にいてくれるので安心します。
「クロウカード編」や「さくらカード編」ではケロちゃんがよく導いてくれていたのですけど、「クリアカード編」になってからはさくらから自主的に行動することが多いんです。
先日の収録では、久しぶりにケロちゃんについて行くシーンを収録したので、懐かしさがこみあげてきました。
──なるほど。久川さんは、さくらを見てどう思いますか?
久川:成長していますよね。前作のオロオロとした状態がなくなり、「起こるべくして起こること」とすぐに切り替えて分析に入るので、ケロちゃんはあくまでサポートをする感じです。さくらの中にある迷いがなくなっているんだと思います。
でも、1番変わったのが、スマホ、インカム、ドローンとか、作中に登場するアイテム!
一同:(笑)。
丹下:ケロちゃんはスマホ使いこなしているんですよ(笑)。
久川:そうそう(笑)。雪兎さんと食べものの写真を送り合ったりしていて、今の時代が反映されています。
丹下:“インスタ映え”も考えて(笑)。
久川:自撮りとかね(笑)。エリオルくんとも映像で話してるもんね。
丹下:そうですね。カードや魔力のこと以外、SNSでもケロちゃん先輩です(笑)。
──ケロちゃん先輩に教えてほしい……(笑)。さくらとケロちゃんはお互いに身近な存在ですが、お二人はそれぞれどんな印象をお持ちですか?
久川:さくらは正統派美少女で、心も清い女の子という感じです。曇りがないからこそ、小狼ともうまくいってほしいと“親父”目線での気持ちがあります(笑)。
ケロちゃんは二人のデートも邪魔しないようにしたりと、割とクールな感じで見守っていますね。
丹下:さくらからしたら、ケロちゃんは弟のようで、時々小さいおじさんが中に入っているようで……(笑)、やっぱり1番近しい存在です。
久川:でも、異性として意識していないよね。お風呂一緒に入ってたんだもん。
丹下:そうでした! 一緒にお風呂入ってました(笑)。
久川:一応、オスという設定なのに、一緒にお風呂に入るんだ~と(笑)。性別を超えてる関係なのかな。
丹下:それは私もびっくりしました。小さいケロちゃんなら一緒にお風呂に入りますけど、本来の姿のケルベロス(CV:小野坂昌也)になったら「キャーーー!」ってなるような気がします(笑)。
久川:小野坂さんになったら、そうなるのかな?(笑)
丹下:ケルベロス状態のケロちゃんは男の人って感じがしますから。
私、トイプードルを飼っているんですけど、カットしたときに丸くなる姿がケロちゃんに似ていると勝手に思っていて(笑)。わんちゃんは性別を感じさせないので、その感じと似ています。
でも、ケロちゃんは人格があるので、弟であり、時にはおじさんになり……(笑)。
──(笑)。本当にケロちゃんは不思議な存在ですよね。先ほど、丹下さんが好きなケロちゃんのセリフをおっしゃっていましたが、久川さんはいかがですか?
久川:新作アニメでのさくらは中学生なので「はにゃーん」を言わないようにしようとしてるんですが、そこは言ってもいいのにな、と思います。
丹下:私も内心そう思いました(笑)。
久川:さくらが大人に成長している証拠なのかな。
丹下:「はにゃーん」が禁止で「ほえ~」はまだいいんですよ(笑)。
──そうなんですね! さくらの口癖はファンにとっても聞きたいところです!
久川:お約束ですよね。
丹下:残念ながら「はにゃーん」はつい言っちゃったというときだけで、あまり言わないんです。
──さくらも成長している様子が口癖にも感じられるんですね。今回、久しぶりのアニメ化で初めてご覧になる方も多いと思います。初見さんに向けて、お二人のコンビをアピールしていただけたらと……!
丹下:ケロちゃんは基本的に大阪弁なので、日常会話でも漫才のように聞こえてくると思います。なので、シリアスなシーンの中にもコミカルさが生まれるんです。ケロちゃんの大阪弁を聞いているとツッコミたくなるところもあり、その点はこのコンビならではだと思います。
久川:年月を重ねて当たり前になっていますが、初めてみる方にとっては“ケロちゃんとさくらの息ぴったりな様子”が新鮮に感じるかもしれません。
丹下:熟年の良さを……(笑)。
一同:(笑)。
丹下:ケロちゃんとさくらは熟年の夫婦という感じがして、初々しい新婚さんのようなオーラはさくらと小狼くんが醸し出しているところがあるかもしれませんね。
『カードキャプターさくら』は“大きな存在”であり“財産”
──新作アニメが始まるにあたり、お二人にとって『カードキャプターさくら』はどんな作品だと感じますか?
丹下:さくらとは名前が一緒で、親近感があり、オーディションの頃から「この役が演じられたら嬉しいな」と思っていました。
新章が始まりますし、これだけ長い年月をかけて演じられる作品は私にとって“さくら”が初めてです。「私の声優人生=カードキャプターさくら」と言っても過言じゃないくらい大きい作品です。
ここ数年、フィギュアやCMなどさくら単体で収録する機会がありましたけど、メンバーが集まるアフレコ現場では『カードキャプターさくら』の世界観が感じられて「本家に来た!」と思いました(笑)。
ファンの方の中でも『カードキャプターさくら』の丹下桜という認識が1番強いので、私にとっては本当に大きい作品です。
久川:私の場合、大阪弁でのお芝居は、アクセントに引っ張られてお芝居のメリハリがつけられなくなっちゃうことに陥りやすいんです。当時、「なかよし」を読んだときに“この役がやりたい!”と思ったのは、関西弁でアニメのお芝居ができたら、ほかのお芝居でも通用するところがあると考えたところもあって。
関西弁で演じるお芝居の大変さから得たものはとても大きく、『カードキャプターさくら』で得たものは財産だと思います。
丹下:私たちからすると(久川さんは)“バイリンガル”ですよ。
久川:バイリンガル(笑)。未だにマイク前でも手を振ったり、ワァーッて暴れたりしながら演じているので、かえって、別ブースでよかったかも! うるさいし、うっとうしいので(笑)。
一同:(笑)。
──最後になりましたが、放送を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!
久川:私たちの中では、中盤戦のノリにノってきている段階に入っているので、これから1話が始まるのかと思えば感慨深いです。さくらを愛してくださっているファンの方はもちろん、初めての方でも十分に楽しめる内容になっています。
「1月7日の放送とリバイバル上映を楽しみに待っています!」というお手紙をたくさんいただいていまして、もうこちら側からすれば「準備してまっせー!」という勢いなので、ぜひ楽しみにご覧になってください。
丹下:2018年の幕開けにスタートして、桜の季節で盛り上がることを思うと、本当に2018年は『カードキャプターさくら』の年になりそうだなとワクワクしています。
みなさまにも同じようにワクワクした気持ちで楽しんでいただける作品に仕上がっていると思いますので、オンエアをどうぞお待ちください!
──ありがとうございました!
[インタビュー/石橋悠 文/福室美綺]
<放送情報>
2018年1月7日(日)スタート!
BSプレミアム 毎週日曜 朝7:30~7:55(全22回)
再放送:BSプレミアム 毎週金曜 夜11:45~0:10
<スタッフ>
原作:CLAMP『カードキャプターさくら クリアカード編』(講談社「なかよし」連載)
監督:浅香守生
シリーズ構成・脚本:大川七瀬
コスチューム・カードデザイン:もこな
キャラクターデザイン:濱田邦彦
音響監督:三間雅文
音楽:根岸貴幸
アニメーション制作:マッドハウス
<キャスト>
木之本桜:丹下桜
ケルベロス:久川綾
大道寺知世:岩男潤子
李小狼:くまいもとこ
詩之本秋穂:鈴木みのり
ユナ・D・海渡:花江夏樹
木之本桃矢:関智一
月城雪兎/月:緒方恵美
柊沢エリオル:佐々木望
観月歌帆:篠原恵美
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