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ディズニー/ピクサー『リメンバー・ミー』は死を超絶ポップに描く!?

ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』共同監督が語る、超絶ポップで前向きな死者の国とは?

『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督がおくる、ディズニー/ピクサーのアニメーション映画『リメンバー・ミー』が、3月16日(金)に公開を迎えます。

今作の主人公は、ある理由から家族に音楽を禁じられた天才ギター少年・ミゲル。一年に一度の「死者の日」に、先祖たちの暮らす「死者の国」へと迷い込んでしまいます。日の出までに元の世界へ戻らないと体が消滅してしまう……。そんなミゲルに手を差し伸べたのは、陽気で孤独な骸骨・ヘクター。ミゲルの大好きな曲「リメンバー・ミー」をキーに、ミゲルとヘクター、それぞれの家族をめぐる冒険が繰り広げられます。

今回は、そんな『リメンバー・ミー』の脚本やストーリーボードなどを担った、エイドリアン・モリーナ共同監督にインタビュー。ミゲルが迷い込む「死者の国」や、そこに暮らす骸骨のキャラクターの描き方など、今作でのチャレンジについてうかがいました。

▲エイドリアン・モリーナ

▲エイドリアン・モリーナ

アニメーター、ストーリーボードアーティストとして、『レミーのおいしいレストラン』、『トイ・ストーリー3』の制作に参加。『モンスターズ・ユニバーシティ』ではストーリーアーティスト、『アーロと少年』では脚本部門に携わる。好きな日本のアニメは、7年生のときにテレビで観て以来、大ファンだという『セーラームーン』。

 

超絶ポップな死者の国はどのように作られていったのか?

――『リメンバー・ミー』の舞台「死者の国」は、カラフルでキラキラしていて、とにかく明るく楽しい世界になっていますね。

エイドリアン・モリーナ共同監督(以下、モリーナ):「死」を明るく楽天的に描くのが、『リメンバー・ミー』における重要なコンセプトのひとつでした。そのため「死者の国」の世界観は、壮大なテーマパークともいえるビジュアルになっています。このコンセプト、ビジュアルの元ネタになっているのが、メキシコに実際にある祭礼行事「死者の日」。一年に一度、故人の魂が帰ってきて、親しい人たちとの交流を楽しむとされている日です。街中にはカラフルな切り紙の旗や骸骨の人形が飾られて、仮装をした人たちが練り歩いたりする、「死者の日」という言葉の印象とは全く違った、非常に活気がって楽天的なお祭りなんです。

――メキシコの「死者の日」を、かなり入念にリサーチしたそうですね。

モリーナ:リサーチ段階では3~4回ほど、実際にメキシコに赴いて死者の日を体感しました。一年に一度の祭礼行事なので、3~4年かけたことになりますね。制作が本格的に動き出してからは、お祭りの日に限らず、諸々のリサーチで12回ほどメキシコに行っています。

また、ピクサーにさまざまな専門家をお呼びして、お話をうかがいました。メキシコ音楽、メキシコの歴史、地域ごとに「死者の日」の違いを研究されている方などですね。私たちとしては、なるべく本物に近いディテールを追求したいという気持ちでした。

――その一方で、ヘクターなどの骸骨キャラは、ほぼゼロからの創造だったかと思います。骸骨をチャーミングに描くのは、チャレンジだったのでは?

モリーナ:たしかに、映画の歴史を振り返ると、骸骨はだいたい気味の悪いものとして描かれてきたと思います。今回の『リメンバー・ミー』では、そのイメージから脱却するにあたって、骸骨それぞれの「個性」を描こうと考えました。というのも、骸骨の気味悪さって、いったい誰の骸骨なのかわからない“無名性”からくる部分が大きいと思うんですよ。なので、それぞれの骸骨に、生前の顔の特徴を反映したり、生前の職業に関係した洋服を着せたりしています。

骸骨に本来ない“眼”を入れたのも大きいですね。それによって表情が生まれるんです。また、声優さんにも、非常に活気のある元気な演技をお願いしました。

――骸骨たちは、生きている家族に忘れ去られると死者の国からも消滅してしまいます。2度目の死があるという設定は、どんなところから発想したのでしょうか?

モリーナ:メキシコの「死者の日」では、いわゆる死のあとに、いくつかの死があると信じられているんです。その一番最後にあるのが、普通に生きている人たち全員から忘れられたときに訪れる死でした。この「2度目の死」という設定は、脚本を書くなかでかなり初期に取り入れましたね。逆にいえば、生きている誰か一人でも故人のことを覚えている限り、死者の国には存在できると。

脚本には、キャラクターにとっての何らか障害、乗り越えるべきものが必要です。でも、もう死んでいる骸骨は失うものがない。対立者も骸骨となれば、失わせるものもないので、何かを勝ち取るようなドラマが成立しないんです。ただ、生きている人たち、家族や親しかった人に「忘れられてしまう」というのはあり得る。忘れ去られてしまうかどうかは、死んでいる人にとって重大なことで、キャラクターを駆り立てる強力な動機になるだろうと思いました。ミゲルとヘクターの冒険も、そこから始まります。

[取材&文・小林真之輔]

 

第90回 アカデミー賞「長編アニメーション賞」受賞

 

作品情報

2018年3月16日(金)ロードショー

2018年3月16日(金)ロードショー

『リメンバー・ミー』
同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』
3月16日(金)全国公開!

STORY

カラフルな死者の国に迷い込んだ、ミュージシャンを夢見る少年ミゲル。唯一の頼りは、家族が恋しいガイコツのヘクター。日の出を過ぎたら永遠に家族と会えなくなる、絶体絶命のふたり──彼らと家族をつなぐ鍵は、ミゲルが大好きな名曲“リメンバー・ミー”に隠されていた…。

STAFF

監督:リー・アンクリッチ
共同監督:エイドリアン・モリーナ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

 
>>『リメンバー・ミー』公式サイト

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