『重神機パンドーラ』放送開始記念!前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談【役者としての生き方、進化 #3】
絶賛放送中のTVアニメ『重神機パンドーラ』(以下、パンドーラ)。『マクロス』シリーズでお馴染みの河森総監督が、近未来を舞台に新たな物語を描きます。
『パンドーラ』では、シリアスな展開も見逃せませんが、料理を食べるシーンがなんとも印象的になっています。
そこでアニメイトタイムズでは、レオン・ラウ役の前野智昭さんとジェイ・ユン役の梅原裕一郎さんに、作品にちなんだ高級中華料理とお酒を楽しんでいただきながら『パンドーラ』の魅力を語っていただく連載企画を実施!
連載テーマはこのようになっています。
【1】『重神機パンドーラ』との出会いについて
【2】河森正治総監督作品の魅力について
【3】声優として仕事に向き合う姿勢
最終回となる第3回は前野さん、梅原さんの「声優として仕事に向き合う姿勢」について。お二人は普段どのような気持ちでキャラクターに命を吹き込んでいるのか? また、どのような「進化」を遂げたいのか? お二人にとって「声優という仕事とは何か」。その胸中に迫ります。
↓第1〜2回はこちらから!
●『重神機パンドーラ』前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談【オーディション裏話に迫る! #1】
●『重神機パンドーラ』前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談【河森正治監督作品の魅力に迫る #2】
“完全無欠”ではない魅力「カッコ悪さが8割」
前野智昭さん(以下、前野):これは中々食べられないでしょう。
梅原裕一郎さん(以下、梅原):そうですね。すごく濃厚。普通のフカヒレとは違いますね。
前野:本当に美味しい。なんて表現したらいいんだ?
梅原:後味がすごくウニですよね?
前野:ウニの香りが口の中に広がりますね。口の中でとろけるというか、飲めますね。
――素敵なコメントいただきました(笑)。『パンドーラ』でお2人が行っているアフレコの準備についてお聞かせください。普段と何か違うことに取り組んでいるなどありますか?
梅原:レオンの方が特にそうだと思うんですけど、ジェイも難しい単語や量子力学の専門用語をセリフで言ったりする機会が多いんです。そこは入念にチェックして現場に臨んでいますね。
前野:そうだね。量子力学が作品としてもキーになっているところだから。「シュレディンガーの猫」や「量子エンタングルメント」みたいな専門用語がひん繁に出てくるんですよ。日常生活ではまず使わない単語ですよね。
でも、そういった言葉を科学者であるレオンは日常的に発していているんですよね。なので、自然に発声発音ができなくちゃいけない。そういったところでの自然さにはこだわっています。
それと、レオンはもっさり感が前提にあるので、あまりセリフがハキハキしすぎてもいけないなという点には気を付けていますね。でも、聞いている方には何を言っていて、何を伝えたいかは明確に届けなくていけないので。
――現実でもっさりと喋っている方って、何を喋っているか聞き取れないケースもありますよね。でも、アニメの場合は視聴者がちゃんと聞き分けできる範囲で演技しなくてはいけないと。
前野:そうですね。バランスが大切です。本当にこれまで求められてきたものと逆のものを出さなくちゃいけないので、もちろん不安になる時もあります。
――前野さんがこれまで演じられてきたキャラってクールだったり、いわゆる格好いいキャラが多い印象なので全然雰囲気が違いますよね。
前野:そういった印象が強いかもしれません。でも、レオンを演じていてとても楽しいんです。
カッコ悪さが8割くらいあるけど、ふとした瞬間に見せる真剣な表情が格好良く映るキャラクターというか。すごく彼は素敵だと思いますね。もちろん完全無欠のイケメンを演じている時も面白いんですけど。
――梅原さんもこれまでの役はクールというかイケメンの役がパッと頭に浮かびます。
梅原:ジェイは意外とクールじゃないんですよ。
前野:熱いところあるよね? セシルに関してとか。
梅原:そうですね。ホームページの紹介文には「冷血」って書いてあるんですけど、実際はそうではなくて。彼は「冷血」に見えてしまうだけなんですよ。正確に言うと「冷血」に見えなくてはいけない立場にいるというか。
彼の持っている不器用さや優しさが物語が進むにつれて出てくるので、途中から印象が変わると思いますよ。
――ちなみに、もともと最終回までの脚本を読んでからアフレコに臨んでいるんですか?
梅原:いえ、1話ごとに受け取っています。
前野:毎週いただく台本で知ることの方が正直多いですね。もちろん、役者側が知っていた方がいい情報があれば、先に教えてくださいとはお願いしてますけど。ただ、知らないほうが良い芝居ができるケースもあるので、あまり先のことは知らされていないんです。
お二人にとって声優とは?
前野:これはもう完全にデザートですね。
梅原:美味しいです。ライチ(ニッコリ)。
――では、ここからは前野さんと梅原さんのパーソナルな部分についても伺わせてください。これまでにも他作品での共演はありますが何か2人での思い出などはありますか?
前野:共演はあるけど、2人で特別に何したとかはないよね?
梅原:そうですね……。最近、『パンドーラ』のみんなで火鍋を食べに行きましたよね。
前野:そうだ、『パンドーラ』メンバーで行ったよね。その時はテーブルが男女で分かれてしまって、僕と梅原くんと檜山さん(Mr.ゴールド役、檜山修之さん)で火鍋を囲むという(笑)。事務所会議みたいなテーブルになったんだよね。そこで色々話したかな。
――そこではどんなお話を?
前野:主に檜山さんからありがたいお言葉を頂戴しましたね。お芝居の話しだったりとか。仕事と向き合うスタンスだったりとか。ご指導ご鞭撻いただきました。
前野:うーーーん。これは凄い。味が濃厚だ。身体にいい味がしますね。
梅原:これは美味しいですね。中々食べられない味がします。
――アワビは滋養強壮にいいそうです。前野さん、梅原さんのお仕事に向き合うスタンスをお聞きしたいです。
前野:僕は自分じゃない誰かを演じるのがすごく好きなんです。なので、声優として、色々なキャラクターを演じられている毎日にとても感謝しているというか。自分でも天職だと思っています。
「自分以外の何かになりたくて仕方ない」。これが僕の仕事対するスタンスであり、根底にあるものです。キャラソンやイベントも作品やキャラクターを演じる延長線上にあるものだと捉えていて。そういうキャラクターを演じている自分であれば、イベント中に「愛してる」とか投げキッスとかも自然にできるんですよ(笑)。
もしも、前野智昭として同じことをやって欲しいと言われたら絶対にできない。いつもキャラクター達に助けられているという思いが僕の中にはあって。だから、いつもお芝居が楽しくてしょうがないんだろうなって。
もちろん、応援して下さるみなさんに喜んでいただきたいという思いもありますし、監督、スタッフさんが求めるものを瞬時に出したいという気持ちもあります。そういった役者魂もある中で、自分の根底にあるのは、演じることが好きだということなんだなって。
――「自分以外の何かになりたくて仕方ない」これが前野さんが声優として仕事をする上で根底にあるものなんですね。
前野:はい。できるだけ誰かを演じている自分でいたいですね。
――声優の仕事は同時期に色々なキャラクターを演じるじゃないですか。そういった意味でも前野さんにとって声優は天職ですね。
前野:そうなんです。本当に毎日楽しい。この仕事が続けられていて嬉しいです。
――梅原さんはいかがでしょう?
梅原:昔から読書や映像作品が好きだったんです。何で好きかというと、普通に生きていたら、物語のような劇的な人生って送れないから。物語の中だからこそ、体感できるものというか。
声優として役を演じていると、色々劇的なことが起こるんですよ。朝の現場では死んじゃうキャラクター、次の現場に行ったら元気に戦うキャラクターみたいに。
僕は「声優としてそれぞれのキャラクターの人生を味わっている」。例え私生活が平凡でも、この仕事をしているから楽しく生きていられるというか。ここに一番楽しみにを感じているんだと思いますね。
他人の人生を生きる。普通じゃあり得ないことです。『パンドーラ』もそうですけど、「B.R.A.I」と戦うなんて普通に生きていたら経験できないことですし。
でも、役を演じている時には、その世界の住人になっているのでそれができる。本当に小説や漫画を読んで物語に没頭しているのと、同じ感覚がありますね。
――檜山さんから素敵なお言葉があったというお話がありましたが、前野さんから梅原さんに先輩としてメッセージを伝えるとしたら、どんなアドバイスがありますか?
前野:僕からのアドバイスか……。そうですね。梅原くんはいつも素敵なお芝居をしているし、変に調子に乗るタイプでもないのは分かっているので。
梅原:(笑)。
前野:そのままでいることが大切だと思いますよ。いい経験を積んでステップアップできるのは分かっているので、僕からのアドバイスは何もないかな。
強いて言うなら、戸田恵子さんみたいな声優も顔出しの演技もできる二刀流の役者になってくれらいいなとは思います。
2031年の自分へ
梅原:(笑顔)。
前野:これは美味い!!! お肉の油がすごく甘い。
梅原:これはすごいですね。溶ける。
――(笑)。『パンドーラ』の世界では、2031年に世界が激変します。今から13年後、お二人はどんな声優になっていると思いますか?
前野:まだまだ声優として多くの役を演じられる年齢だと思います。存在感のある演技を現場で出しつつ、後輩にも優しく、時には熱く指導できる先輩になっていきたいですね。
あとは、檜山さんみたいに唯一無二のものを作りたいとも思います。イメージ的にもそうですし。「前野と言えばこれですね?」みたいな。もちろんそれ以外にも求められれば、一流のお芝居を出せる役者でいたいですし。
僕としては現役にこだわりたい。後進の育成も必要なことですし、いつかはやってみたいという気持ちもあるんですけど、とことんプレイヤーにこだわりたいと思っています。
――音響監督や講師など色々なキャリアがある中で、前野さんは現役にこだわり続ける役者を目指したい、と。
前野:そうですね。そうあり続けたいです。
梅原:僕はちょうど40歳ですね。ちょっと想像がつかない(笑)。まずは、この仕事続けられていたらいいなというのが最低ライン。
今の先輩方のように、現場にいると安心感を与えられる役者になっていると嬉しいですね。先輩方がいらっしゃるだけで、本当に場も締まるし、空気も違うし。僕がそういった立場になった時にできる自信は今はないですけど、そうなっていきたいですね。
最終回まで応援よろしくお願いします!
梅原:これは安心する味ですね。
前野:うん。美味しい。
――最後に『パンドーラ』を視聴しているみなさんへメッセージをお願いします。
梅原:1話から見ていただいた方はぜひとも最後まで見届けていただきたいですね。河森監督やこの作品が伝えたいことを感じ取って欲しいですし。「人間って何だろう?」、「家族って何だろう?」って考えるキッカケになっていただければいいかなと思います。
内容としては難しい単語が出たりもするのですが、人間関係は今生きている僕たちと何も変わらないので、最後まで夢中になって楽しんでいただきたいですね。
前野:これからも「もうダメだ」という出来事の連続です。パンドーラチームが最善の策を講じて状況を打破していくという展開が続く中で生まれていく、キャラクター同士の関係性や家族契約の中身だったり。『Hyper drive』の秘密が明らかになっていくと思います。
先程もお話した「進化」が本当にいいことなのか? 悪いことなのか? という強いメッセージのシーンが描かれていきます。見ていただければ何かを感じていただけるでしょう。
僕たち役者やスタッフ一丸となって、アフレコに臨んでいますので、『パンドーラ』を最後まで応援よろしくお願いします!
前野:やっぱり美味しいよね。
梅原:そうですね。優しい味です。本当に美味しい。
――本日はありがとうございました!
[取材・文/川野優希 写真/アイザワヒロアキ]
作品情報
TVアニメ「重神機パンドーラ」
<放送・配信情報>
2018年4月4日より
TOKYO MXに毎週水曜23:30~
4月6日より
WOWOWにて毎週金曜21:30~
4月6日より
BS11にて毎週金曜23:30~
4月7日よりMBSにて
毎週土曜27:38~
2018年3月29日より
Netflix にて日本先行独占配信/全世界展開決定
<INTRODUCTION パンドーラ編>
2031 年、次世代エネルギーとして開発されていた量子リアクターの暴走事故「翔龍クライシス」により世界は激変した。突如、地下から広がったその閃光は都市ビル群を呑み込みながら大地を覆い尽くし、やがて生物、機械、植物を超越・融合した未知なる特異進化生物「B.R.A.I」が出現した。
7年後、翔龍は絶対防衛都市「ネオ翔龍」へと生まれ変わっていた。驚異的スピードで進化を遂げ人類を滅亡の危機に陥れたB.R.A.I に対抗する、人類最後の希望の砦である。運命に導かれネオ翔龍に集う、レオン、クロエ、クイニー、ダグ。彼らを防衛軍へと迎え入れる、セシル、ケイン、ジェイ、グレン。そして、人類の存亡をかけて戦う特殊部隊「パンドーラ」が誕生する。契約の時、希望は彼らに託された――
<STAFF>
原作:河森正治・サテライト
総監督:河森正治
監督:佐藤英一
シリーズ構成:根元歳三
キャラクター原案:江端里沙
キャラクターデザイン:安彦英二
重神機デザイン:河森正治
色彩設計:林可奈子
美術監督:伊藤聖
美術設定:青木智由紀、森岡賢一
撮影監督:久保田淳
編集:兼重涼子
CG ディレクター:後藤浩幸
CG スーパーバイザー:原田丈
重神機モデリング:小川朗広、渡邉健人、忽帥
モニターグラフィックス:影山慈郎
特殊効果:飯田彩佳
音響監督:濱野高年
音響効果:中島勝大
音響制作:マジックカプセル
音楽:得田真裕、眞鍋昭大
音楽制作:フライングドッグ、ワンミュージック
オープニング主題歌:BUMP OF CHICKEN「シリウス」(TOY'S FACTORY)
エンディング主題歌:BUMP OF CHICKEN「Spica」(TOY'S FACTORY)
挿入歌:西沢幸奏「Meteor」(フライングドッグ)
制作:サテライト
<声優>
レオン・ラウ:前野智昭
クイニー・ヨウ:花澤香菜
ダグ・ホーバット:津田健次郎
クロエ・ラウ:東山奈央
グレン・ディン:内田雄馬
ケイン・I・ハサン:石塚運昇
ジェイ・ユン:梅原裕一郎
セシル・スー:茅野愛衣
Mr.ゴールド:檜山修之
ジーク:中村悠一
ワン:近藤孝行
フォー:石川界人
ロン・ウー:石田彰
???:瀬戸麻沙美
???:能登麻美子