中村明日美子先生×榎田ユウリ先生による『先生のおとりよせ』トークショーをレポート！「おとりよせグルメ」にふたりも太鼓判！　

コミックス『先生のおとりよせ2』の刊行を記念して、3月17日(土)に東京カルチャーカルチャーにて、中村明日美子先生×榎田ユウリ先生のトークショーが開催されました！

本作は、実在する美味しい「おとりよせグルメ」を軸に、漫画と小説のリレー形式で紡がれるグルメ作品です。

会場では、コミックスに登場する「おとりよせグルメ」を実際に堪能しつつ、漫画担当の中村先生と小説担当の榎田先生によるトークで大盛り上がり。本コミックスの誕生秘話や、先生たちのお気に入り「おとりよせグルメ」など裏話がたくさん披露されました。

本稿では、いろいろな意味でお腹が満たされたトークショーの模様をお届けします！

“くさや”は榎田先生のセレクト！　第1巻登場の「おとりよせグルメ」を振り返る

会場内では、コミックス『先生のおとりよせ2』で登場する「農樹コシヒカリ」「富澤商店 たまごふりかけ」「HAPPY NUTS DAY（ピーナッツバター）」「North Plain Farm オホーツク おこっぺ有機ヨーグルト」を使用したメニューが注文でき、多くの方が幸せそうに舌鼓を打ちながら、中村先生と榎田先生のトークショーを待ちわびていました。

いよいよトークショーが始まり、黒と白で統一された素敵なファッションに身を包んだおふたりがステージ上に登場すると、「素敵〜！」「綺麗〜！」との歓声が飛び交います。今回のイベントは二部構成ということで、前半は『先生のおとりよせ』第1巻と第2巻を振り返ることに。

約4年ぶりに新刊（第2巻）が発売されることに対して、時間の速さを改めて実感した中村先生と榎田先生。まずは第1巻で登場する実在の「おとりよせグルメ」を振り返っていきます。
　

▲会場で振る舞われた特別メニュー

「order.4　発酵するは我にあり」で登場する“一夜干し くさや”は、榎田先生がセレクトしたそうで、よく発酵していてとても美味しいと笑顔で話されていました。そんな様子を隣で見ていた中村先生が「ニヤニヤしちゃって」とツッコミを入れるシーンもあり、おふたりの仲の良さに最初からお客さんたちのニヤニヤも止まりません。

榎田先生の日常食だという「order.6　サイン会とYO!YO!MEN!」の“養々麺 黒ごま麺”はスーパーなどで購入できることもあるそう。塩分、カロリーともにやさしいものなのでオススメだとおっしゃっていました。

▲さまざまな「おとりよせグルメ」が登場する第1巻

　

中村先生は「トーンを受け継ぐ者」!? おふたりが「おとりよせグルメ」を食レポ！

そして、会場内でも振る舞われていた第2巻の「おとりよせグルメ」について話が進みます。
「order.11 再出発はノスタルジーをのせて」のたまごふりかけ（富澤商店）は1番お求めやすい価格！　榎田先生は「1回購入するとリピーターになる」とおっしゃっていました。ここで、先生方の前にもたまごふりかけがかかった農樹のご飯が登場し、おふたりが食レポするシーンも。

▲たまごふりかけだけでもご飯が進みます……！

　
司会者からおとりよせの探し方について聞かれると、中村先生は「あじたび」というサイトをチェックしているのだそうです。他にも、「おとりよせグルメ」が掲載されているサイトを定期的に巡っているそうなので、もしかしたら今後のコミックスに登場する「おとりよせ」があるのかもしれません……！

「order.13 モチにつつまれとろける心」の“モチクリームベストセレクション”は、美味しいおもちのデザートがセットで入っているので“入門書”としてオススメだと中村先生。コミックスでは、この回から女子キャラのハセガワさんが登場します。

▲“モチクリーム”をほおばる榎村先生、中田先生、ハセガワさん

　
そこで、司会者から「どのキャラを登場させるのか打ち合わせはしないんですか？」と聞かれたおふたりは「ないです」と即答。シンクロしたおふたりに、会場から笑いが起こります。

「order.14 新年、病み上がってお雑煮でございます」では、榎田先生がインフルエンザにかかったときに、中村先生から送られてきたという“雑煮のせき亭”が登場。中村先生はレンジで温めすぎて、クリームシチューみたいになったと笑いながら語り、会場からも笑いが起こります。

「order.15 コンなビーフを超えるもの」では、漫画の中に出てくる“結婚したら借金が200万あった”という話は、中村先生の友人の実話だという暴露話を披露しました。また「order.16 桜ふるふるピーナッツつぶつぶ」の“HAPPY NUTS DAY（ピーナッツバター）」は濃厚で、バケットやトーストに塗って食べたり、そのままでも美味しくいただけるとのこと。中村先生は「美味しい」と笑顔で食レポされていました。榎田先生曰く、マヨネーズと混ぜてディップにし、野菜につけて食べるのも美味しいとのことです。

▲[スモークハウスファイン]米沢牛コンビーフセット

▲[HAPPY NUTS DAY]ピーナッツバター

　
中村先生がいろいろな人にプレゼントしているという「order.19 愛をすくうもの」の“アイスクリームスプーン”は、普通のスプーンよりも厚みがあるのが特徴。家で作業をすることが多い中村先生は、スプーンやお皿などにこだわりがあると語ります。また、大学生時代に、男子大学生が洗面器でスパゲティを食べていたという話をし、会場を驚かせるシーンもありました。

そして、最後に登場したのが「last order さよならパーティは華麗なるカレー」。インドの小麦粉やお米、某インド映画のDVDも家に揃っているという榎田先生は、カレーを手で食べる派なのだそうです。「手で食べたら美味しいよ」と、お客さんにオススメされていました。

一方、インドと聞いた中村先生は南インドで経験した話を披露します。“辛いカレーと酸っぱいパン”を食べた際にお水を持ってきて欲しいと店員に頼んだところ、砂糖を持って来られたのだとか。なので、「南インドのカレーには気をつけてね」とアドバイスし、会場内を沸かせました。

▲アツアツのバケットにピーナッツバターは相性が抜群！

　
たくさんの「おとりよせグルメ」についてエピソードを披露しつつも熱く語るおふたりですが、第2巻はそれぞれのお仕事が忙しく、一緒に食べる機会がなかったそうです。「良い話はだいたい榎田先生が書かれている」と言う中村先生は、食べ物の絵に苦労したと語ります。

「美味しく描くコツはありますか？」との問いに、「トーンをいっぱい貼る」と答えた中村先生。トーンを削っている人が少なくなっている話になり、自ら削らなければという使命感に燃えているそうです。そんな中村先生を榎田先生は「トーンを引き継ぐ者」と表現し、笑いを誘います。

また、榎田先生は漫画の展開に対して毎回「そう来たか！」と思っていたのだそう。漫画の中に少し入っている“ダジャレ”が大好きともおっしゃっていたので、コミックスを持っている方はぜひ読み返してみてください♩

　

漫画×小説のリレー形式で贈る『先生のおとりよせ』の誕生秘話

休憩を少し挟んだ後、アンケートをもとにトークを繰り広げていきます。最初の質問は、「修羅場飯を教えてください」というもの。中村先生はご褒美として“メゾン・デュ・ショコラ”のチョコレートをオンラインショップで購入し、「今日も1粒いただきます」と向かい合って食べるのが至福の時間だと話します。

一方、榎田先生の修羅場飯は“カップヌードルのシーフード味”。少し牛乳を入れてコショウを最後にかけて食べると美味しいのだそうです。中村先生も大学時代によく食べていたそうで、会場のお客さんもカップヌードルの美味しさに共感していた様子でした。

「中田さんと榎村さん、どちらが好みですか？」という質問では、「どちらとも面倒くさい」と答え笑いを誘う榎田先生。人として付き合いやすいのは中田さんの方だと一致した中村先生と榎田先生が会場のお客さんにも尋ねてみると、ちょうど半々に。

榎田先生は榎村を選んだ人はちょっとS傾向、中田を選んだ人は実利主義と分析し、会場のお客さんも納得。女子キャラの長谷川が登場した後の榎村は“ただの恋するおじさん”になってしまったと語る中村先生に笑いが起こるシーンもあり、会場内が笑顔で包まれます。

続いて、「いつから作家になろうと考えて行動し始めましたか？」という質問に、物心ついたときからと答えた中村先生。小学生の頃は同級生のリクエストに答えて描いたイラストを配っていたそうです。

榎田先生は小説を書くようになったのはわりと遅く、高校生くらいからだそう。小学生の頃は漫画家になりたかったけれども、左向きの顔が書けなくて諦めたのだとか。それを聞いた中村先生は「第一関門だよね」と反応し、会場も「うんうん」とうなずく方がたくさんいらっしゃいました。デジタル技術がマンガ制作にも一般化された現代だったら、諦めずに続けていたかもしれないというお話もありました。

さらに、今回のアンケートで多かったという「人生最後の食事に何を食べますか？」という質問に対して「おにぎり」と即答した榎田先生。具材は梅干しやシャケではなく、たらこが良いと語り、許されるなら炭水化物ばかりを食べていたいという話も。会場のお客さんも共感する方が多くいらっしゃった様子でした。

▲会場の様子

「照れることなくお互いを褒めちぎってください」という質問がくると笑いがこぼれる中村先生と榎田先生。付き合いが長いおふたりが初めて会ったときは、「小さい子だな」「大きな人が来たな」とお互いに思っていたそうです。中村先生が少しお休みしていた時期は、榎田先生が遊びに連れ出してくれたという裏話も披露されました。

なんと、榎田先生が最初に連れて行ってくれたのは“狂言”。当時は中村先生が何を好きなのか分からなかったので、自分が好きな狂言に連れて行ったのだそうです。そんなおふたりのエピソードに、会場のお客さんたちも楽しそうに耳を傾けます。

質問の中には、「キャラクター2人はどのように考えられたのですか？」とコミックスに関する質問も。なんと、最初は、“BL”で実店舗を巡るグルメ漫画を企画されていたそうですが、取材がうまくいかずに現在の形になったということです。また、作中に出てくる“巨乳キャラ”について触れると、榎田先生曰く「小ネタとして出したのに、（中村先生が）メインに持ってきた」と一言。すると、中村先生は「ここでちょっとずつ巨乳の描き方を練習して……」と滅多に描くことのない巨乳の話で盛り上がります。

▲巨乳が大好きな榎村先生

　
ここで、司会者（男性）がコミックスに登場する数々のBL特有のワードの表現がすごいと感想を述べると、「これはまだまだ序の口です」と中村先生。BL初心者の司会者は、“オメガバース”を何かの必殺技かと思っていたのだとか。本当の意味を調べようか思案していた司会者に対し、「開けなくていい扉もありますからね」と中村先生が一言。会場内は今日一の笑いに包まれました。司会者自身も、意外と重い扉に開けても良いかどうか戸惑っていたそうです（笑）

最後の「今までお互いに1番予想外だったシナリオはありますか？」という質問では、やはり“巨乳キャラ”がここまで出てくるとは思っていなかったと榎田先生は語ります。中村先生は榎田先生のストーリーの締め方に感服することもあったそうです。

▲会場入り口に掲げられていたポスター。たくさんの方が記念撮影されていました。

　
『先生のおとりよせ』は、漫画と小説のリレー形式で紡がれる作品なので、どういう風に作品が生み出されているのか気になるところ。最初に、中村先生のネームが榎田先生のもとにやってきてチェックし、中村先生はそのまま作画へ、榎田先生はその次にどんなストーリーを描くのか考えるとのことでした。基本的に、おふたりは打ち合わせをせずに描かれているそうですが、季節の確認だけはしているのだとか。特に、小説は漫画のように絵で表現できないので季節感を言葉で表現するために確認すると語ります。

また、コミックスでは担当編集から案をボツにされるシーンがあるので、「実際でもボツになることはあるんですか？」と司会者から質問されたおふたり。中村先生は全ボツかOKかのどちらかだそうで、全ボツになったときは「ただただ、怒り」と笑いながら答えます。それでも怒りの気持ちをそっと別の場所に置きつつ、すぐ全く違う案を用意するのだそうです。

小説は、基本的に全ボツはなく、部分的な修正が入るだけだと榎田先生は語ります。ここでしか聞けない裏話に、会場にいた全員が聞き入っていました。

▲「おとりよせ」でテンションが上がる榎村先生と中田先生。きっとあなたも“おとりよせ”したくなる……！

　
中村先生と榎田先生のトークもあっという間に終盤へ差し掛かり、プレゼント抽選会や先生たちとのじゃんけん大会が行われた後、最後の挨拶へ。「おとりよせ」を自分のご褒美にしたり誰かに贈ったりしてほしいと、中村先生・榎田先生ともに作品への愛情を伝えます。約2時間におよぶトークショーは、とても楽しく、先生方もファンの方達も幸せそうな顔をされていたのが印象的でした。

すでにコミックスを手に取っている方は続編を期待しつつ、まだの方はこの機会にぜひ触れて、「おとりよせ」をお試しください♩

コミックス情報

クロフネDELUXE「先生のおとりよせ 2」
漫画・挿絵：中村明日美子
小説：榎田ユウリ
発売：2018年2月23日
価格：845円+税
仕様：A5サイズ
発売：株式会社リブレ
あらすじ：
タッグを組んでコラボ作品を執筆しているマンガ家・中田みるくと、官能小説家・榎村遥華。性格も外見もまるでタイプが異なる２人だったが、強力な共通点があった！　そう、「おとりよせ」である。毎回実在する「おとりよせグルメ」を軸に、漫画と小説のリレー形式で紡がれるグルメ作品第2弾！

美味しい！と大評判だった「米沢牛コンビーフとブドウのサラダ」のレシピも収録！
大人気連載に加えてかき下ろし30ページ超を収録★

pixivコミックで試し読みを無料公開中！

アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

「クロフネ編集部」ツイッターアカウント(@kurofune_editor)
クロフネ公式サイト
先生のおとりよせサイト