『LOST SONG』衝撃の第7話・第8話で一体何が起こったのか……? 振り返り&徹底解析レビュー!
現在好評放送中のTVアニメ『LOST SONG』。6話まではいい歌がたくさん流れる牧歌的なファンタジーアニメという雰囲気でしたが、第7話と第8話で展開が一変。森田と純平監督による、計算し尽くされた謎や張り巡らされた伏線が一気に収束し、6話までを見返さずにはいられない仕掛けが爆発しました。いわば、ファーストインパクトの第7話、セカンドインパクトの第8話だったのです。
監督に鈍器で殴られた!! ような衝撃を、みなさんもこの2話で感じたはず。特に第8話は世界がひっくり返され、監督に完全敗北した!! と白旗を上げたことでしょう。SNS上でも大変な話題となり、気になった方も多いはず。
そこで今回は、ターニング・ポイントとなった第7話と第8話の内容を振り返りつつ、明かされた「事実」について、ちょっとした解析をしたいと思います。
ネタバレ記事ではありますが、これまでノーチェックながらこれからの視聴を迷っている方の背中を押せればと執筆しています。この記事を読んでも、実際に目にする『LOST SONG』の衝撃は色褪せることはないと断言しておきます。
このビッグウェーブに乗るなら、今しかない!
王道ファンタジーのような6話までの『LOST SONG』
まずはこれまでの物語を振り返ります。
主人公は、「歌の力」を持ち、「癒しの歌」や「風の歌」などで奇跡を起こすことができるリン(CV:鈴木このみさん)とフィーニス(CV:田村ゆかりさん)の二人。
赤子の頃「ダンデラの村」に住む老人タルジア(CV:糸博さん)に拾われたリンは、発明好きの少年アル(CV:久野美咲さん)と二人の姉で母親代わりでもあるメル(CV:茅野愛衣さん/コルテとの二役)とともに育てられました。
しかしある日、「歌の力」を王都軍に知られ、村を焼かれ、タルジアとメルが殺されてしまいます。バズラ将軍(CV:小山剛志さん)は「歌の力」を戦争の道具にしようと考えており、力ずくでリンを捕らえようとしたのでした。
行き場を失ったリンとアルは、「王都の花形である宮廷楽団に入りたい」というリンの夢を叶えるため、死の間際にメルと交わした約束を守るため、王都へと旅立ちます。
その途中で出逢い、旅の仲間に加わるのが、自称・元宮廷吟遊詩人のポニー・グッドライト(CV:たかはし智秋さん)と、王都軍にいやいや所属していたアリュー・ルックス(CV:瀬戸麻沙美さん)、モニカ・ルックス(CV:芹澤優さん)のルックス姉妹でした。
一方、ルード王子(CV:鈴木裕斗さん)が権力をふるうゴルト王国では、戦争の影が近づき緊張が高まっていました。その中で歌姫フィーニスは「歌の力」を利用され、不本意ながら兵器として扱われてしまいます……。
フィーニスの侍女コルテ(CV:茅野愛衣さん/メルとの二役)や、フィーニスと恋仲になる王都の騎士ヘンリー・レオボルト(CV:山下誠一郎さん)が彼女を守ろうとするものの、ヘンリーは引き離され苛烈な前線に送られるなど、絶大な力を持つルード王子の前になす術は何もないように思われました。
いまだ出逢うことのない二人の歌姫、リンとフィーニス。リンは各地を走り回るレオボルトからフィーニスの存在を知らされますが、「歌の力」を使いすぎたフィーニスは、どんどん衰弱し、あと一度、力を使えば生命をなくすほどまでの危機的状況に追い詰められていました。
はたして、二人の歌姫の邂逅はいつのなのか? そして二人が出会ったとき運命はどう動くのか……!?
最初の悲劇は、そんな中で引き起こされました――。
阿鼻叫喚の視聴者!! 第7話「終滅の歌」
そして、ファーストインパクトの第7話へ……。
フィーニスの「歌の力」で快進撃を続けていたルード王子率いる王都軍は、戦争の大きな要となる城塞の攻略戦でも大勝利。戦いのすう勢が決まったその夜、祝勝の宴を催しました。
しかし敬愛するフィーニスが戦争の道具として命を削り続けていることと、このままでは愛する者同士が結ばれることが決してないという事実に、侍女コルテは深く思いつめます。そして、ついにルード王子を毒殺し、フィーニスとレオボルトを駆け落ちさせようと考えますが……。
その頃、兵器として利用されているフィーニスの状況を知ったリンたちは、彼女を救い出すためにフィーニスがいると思われる「灰の街」を訪れます。そしてそこで、「歌で世界を滅ぼした女神」の伝説を知りました。
一方、王都軍の野営地では、コルテがルード王子のテントへ最高級のワインを運びます。
ところがワインの香りを嗅いだルード王子は、「なぜお前がワインを持ってきた?」とコルテに詰め寄ります。
必死に言い訳をするコルテ。
ジワジワと追い詰めるルード王子。
こうして「くるぞ、くるぞ、でもこないで!!」と思わせる、絶妙な助走の取り方とでもいう演出は、さすが森田と純平監督。グイグイと引き込まれていきます。そして……!!
ルード王子「王家の人間がまず覚えることは何か知っているか?」
ルード王子「(……それは)毒の知識だ」
自ら用意した毒入りワインをルード王子に無理やり飲まされるコルテ。
茅野愛衣さんが演じるのはメルとコルテの二役。第1話で亡くなったメルに続いてコルテまで退場させるなんて……。森田と純平監督もなかなか鬼畜です。
さらに、ルード王子はフィーニスのもとへ行き、逃走しようと失敗し、自軍の兵に殺されてしまった敵の捕虜を「炎の歌で燃やして弔ってほしい」と頼みます。あの冷血で外道なルード王子が!? 嘘も甚だしい。
しかもその場には、なぜかレオボルトと共に戦った傭兵たちの亡骸が……。さらに磔にされている敵兵には、不自然にも兜がかぶせられています! これは絶対にレオボルト……!
ルード王子、いや森田と監督は、どこまで鬼畜なのか……!
この「くるぞ……くるぞ……!」感は、コルテの時と同様、真綿で首を絞められるような感覚を味わいながらも、物語に引っ張られ、絶望へのカウントダウンが視る者の心の中で始まります。
そしてついに……。
レオボルト「ぐおああぁぁぁ!」
フィーニス「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
視聴者「ぎゃああああああああ!!」
レオボルトという愛する存在を失ったフィーニス。それをあざ笑い、歌の力を使い尽くし用がなくなったからとフィーニスを見捨てるルード王子。
余裕の足取りで立ち去ろうとするルード王子を、全力で殴りたい……!! 誰もがそう思った時でした。
「終滅を、呼ぶ闇は……この身に今、宿らん……」
「全部、なくなってしまえばいい……」
絶望や激情などという言葉では到底足りない、深い深い闇に駆り立てられたフィーニスは、「終滅の歌」を歌い始めます。
ふりそそぐ隕石。隕石に押しつぶされるルード王子。
そしてひとつの「世界」が終焉を迎えたのです――。
常識がひっくり返された!! 第8話「悠久の歌」
世界が滅亡し、次回はどうなるのか!? そう思って視聴した方は、間違いなく冒頭から戸惑ったはず。
画面に映ったのは、夜のビル群。
え、現代!?
しかもレオボルトそっくりの科学者や、客席にはフィーニスっぽい美女が!?
そして唐突にエンディング(モノクロ版)。
見るアニメ間違ったかな……いや違う!
必死に頭を整理しようとするものの、この予想外の展開に戸惑うばかり。しかも「ダブル主人公」だったはずなのに、全然リンが出てこない!!
しかし、この疑問は、物語が進むにつれて少しずつ解き明かされます。
「歌の力」を使い尽くしたフィーニスは生命を失うとされていましたが、それは「死ぬ」のではなく、「永遠に生かされる」ということでした。生命とは終わりがあってこそ。その「終わり」がなくなるということは、生命本来の「カタチ」を失ってしまうということでした。
「終滅の歌」を歌い、降り注ぐ隕石で世界を滅ぼした直後、フィーニスは死ぬことのできない身体になりました。愛する人を失い、生命を失い、絶望の底で孤独に過ごす日々――。
不死の秘密がバレてバケモノ扱いされたこともありました。魔女の烙印を押されて火あぶりにされたこともありました。
文明が発展し、滅亡し、また生まれた文明が発展し、滅亡する……。
悠久の時の流れを漂いながら、フィーニスが望んだのは愛する人と再び出逢うこと。
しかしいくら外見がそっくりの「ヘンリー・レオボルト」と出逢ったとしても、フィーニスを愛した、あのレオボルトとは違います。
心から愛する人を、自らの手で死なせてしまったフィーニス。心の中に生まれた黒い刃は、フィーニス自身も傷つけ、蝕んだことでしょう。すれ違う人を見ては、その人に愛した面影を重ねて絶望する。心の中で繰り返される自傷行為。
愛ゆえに世界を滅ぼし、愛ゆえに苦しみ、それでもなお愛する人を想うフィーニス。生きる糧であった愛が、永久に自らを苦しめる毒になるなんて、私には到底見当もつかない苦しみです。
それでも自我を保ち続けるフィーニス。永遠に続く無限地獄から逃れるには、いったいどうしたらいいのか?
そこで彼女は「古の歌姫」の伝説を作り、自らが伝承者となることで、もう一度「終滅の歌」を歌おうと考えます。目的は、大地から見える衛星を「歌の力」で引き寄せるため。
隕石だけでは世界を完全に壊してしまうことはできなかったが、衛星そのものを衝突させることができれば、今度こそ何もかも終わりにできると信じたからです。
「歌の力」は多くの人間で歌えば歌った分、伴奏が伴えば伴う分、効果が増します。最初に「終滅の歌」を歌った時はフィーニスひとりだったため、隕石を降らせただけでした。
しかし次は、衛星が地上にもっとも近づくタイミングで、多くの歌声や演奏を「歌の力」の糧とし、完全に世界を消滅させる計画を立てました。
そして巡り巡ってやってきた、とある世界のとある時代。バズラ将軍のもとで戦争に加担したフィーニスは、ついに計画を実行に移すときが来たことを確信します。
そう、この世界こそ、リンがポニーたちと楽しそうに旅をしていた、あの世界……。
つまり第7話までは、フィーニスが生きていた「太古の時代」と、リンたちが旅をしていた「現代」が交互に描かれていたのです!!
私たちが「いつリンとフィーニスが出会うのかな?」と簡単に考えていた物語は、悠久の時を経た、壮大な愛の物語だったのです。
実はいろいろと隠されていた……?
端的に言ってしまえば、フィーニスが生きていたのは何百いや何千もしかしたら何万世代も昔の過去、リンが旅をしていたのは、不死になったフィーニスがたどり着いた未来の世界ということです。
第7話で「古の歌姫」を描いた壁画が登場しましたが、あれはフィーニス本人と第7話を描いたものでした。
また考察する視聴者にとって理解が困難だったレオボルトも、実はフィーニス編とリン編ではまったくの別人物だったのです。
改めてアニメを見返してみると、微妙に言葉回しが違ったり、別人という証拠が散見されます。実は、山下さんもこのあたりの演技面で苦労されていたそうですが、別々のレオボルトが登場していたのなら当然かもしれません。
このあたりの詳しい内容は、以下の記事にて。
→『LOST SONG』森田と純平監督×茅野愛衣さん対談| 茅野愛衣さん2役の秘密に迫るーー!
深読みしすぎかもしれませんが、愛したレオボルト(フィーニスにとっては何人目のレオボルトなのか……)にどこまでも酷似しながら、けっして本人ではないレオボルトに出会ったからこそ、フィーニスは2回目の「終滅の歌」を実行する決意をしたのではないかなと予想しています。
どうやら「古の歌姫」の伝説は、この世界にかなり定着しているようです。つまり、相当以前から準備が整った状態だったと思われ、実行に移すのはいつでもできたはずです。では、なぜ今なのか。
姿形は、これまで無限の中で出会った無数のレオボルトと比べても、自分が愛したレオボルトにとても似ている。でも、本当に愛しているからこそわかる些細な違いが嫌でも目につくのではないか……。さらに思い出補正が加われば、我慢の限界にきてもおかしくはない……。
第8話で一部描かれた無限を生きるフィーニスの思いは、容易に想像することもできなければ、本当に理解に至ることはできないのでしょう。だからこそ、彼女の気持ちに思いを馳せると、何とも言えない複雑な感情が沸き起こります。
そして、ついに出会ったリンとフィーニス。壮大な運命としか表現しようがない物語と世界を構築した森田と純平監督には脱帽です。
改めて凄いぞ『LOST SONG』!!
二つの世界の構造に初めて気づいたときは全身に電撃が走ったような感覚でした!!
まさか二つの世界が交互に描かれていたなんて……。
第7話の地上波放送後は公式サイトにアクセスが殺到し、つながり辛くなったという本作。鈴木このみさんが歌唱するオープニング主題歌「歌えばそこに君がいるから」と、田村ゆかりさんが担当するエンディング主題歌「TEARS ECHO」も、今じっくりと鑑賞すれば、これまでとは違う感情がこみあげてくるはず。
最後に、そんなお二人の素敵な歌声をどうぞ……。
[構成・文/気賀沢昌志 編集/石橋悠]
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2018年5月26日(土) 24:00 ~ 5月31日(木) 23:59
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作品情報
『LOST SONG』
─ この歌は星の運命すら変える 2大歌姫による幻奏叙事詩(ファンタジーオペラ)
<配信>
Netflix先行配信 :2018年3月31日(土)より毎週土曜
Netflix全世界配信:2018年夏
<TV放送>
TOKYO MX:2018年4月7日(土)より毎週土曜25:30~26:00
サンテレビ :2018年4月7日(土)より毎週土曜25:30~26:00
KBS京都 :2018年4月8日(日)より毎週日曜23:30~24:00
テレビ愛知 :2018年4月8日(日)より毎週日曜25:35~26:05
BSフジ :2018年4月11日(水)より毎週水曜24:00~24:30
<キャスト>
リン:鈴木このみ
フィーニス:田村ゆかり
アル:久野美咲
ポニー・グッドライト:たかはし智秋
ヘンリー・レオボルト:山下誠一郎
アリュー・ルックス:瀬戸麻沙美
モニカ・ルックス:芹澤優
コルテ/メル:茅野愛衣
バズラ・ベアモルス:小山剛志
ルード・ベルンシュタイン4世:鈴木裕斗
ドクター・ヴァイゼン:小形満
タルジア・ホークレイ:糸博
オープニング主題歌:「歌えばそこに君がいるから」歌:鈴木このみ
エンディグ主題歌:「 TEARS ECHO」歌:フィーニス(cv 田村ゆかり)