『Tokyo 7th シスターズ(ナナシス)』茂木伸太郎総監督インタビュー【後編】|メモリアルライブ『Melody in the Pocket』で手を伸ばしたポケットの中身とは?
『Tokyo 7th シスターズ』(以下、ナナシス)の総監督、総合音楽プロデューサーである茂木伸太郎さん。感動に包まれた7月20日に開催された日本武道館でのメモリアルライブ『Melody in the Pocket』 の翌日、茂木総監督にライブについての話をたっぷり伺うことができました。
この『Melody in the Pocket』というタイトルに込めた本当の意味。日本武道館のステージでキャストが見せてくれたパフォーマンスの数々がどのように生まれたのか。そして今後の『Tokyo 7th シスターズ』との関わり方についても語ってくれました。
今回のインタビューを担当したのは、音楽大全本『Tokyo 7th シスターズ COMPLETE MUSIC FILE』でインタビューを行ったライターです。ライターによると、あのころの茂木総監督の情熱はそのままに、さらに何か新たな手応えを感じたとのこと。
1万8千字を超える独占ロングインタビューを前後編でお届けします。
後編は、ライブ当日の出来事を振り返っていただきました。そして、これからの『ナナシス』について、茂木さんが口を開きます。
それは自分たちで勝ち取った権利だ
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『ナナシス』武道館ライブレポート
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『ナナシス』茂木伸太郎総監督インタビュー【前編】
──話は前後してしまうかもしれませんが、“Melody in the Pocket”というタイトルに込めた思いというのを聞いていいですか?
茂木:ナナスタのライブにしようとなってから苦悩もあったんですが、その最中にも、またその前後にも苦難はあったんです。“CHAIN THE BLOSSOM”が終わってからの個人的な幸せってほんの一瞬で、せいぜい一ヶ月くらいの幸せだったんです。
その3rdライブの成功を経て、「周囲の要求のハードル」が高くなってきたんです。ファンも増えたし、関係者も増えた。これまで本当にナナシスのすべてと向き合ってきて、自分で手を動かすことがしていたんですが、本来は音楽だってシナリオだって、上がってきたものを「いいよ」「ダメ」って言うだけの振る舞いとかポジションもできたわけです。でもそれをやってこなかった。そしてやってこなかったことのツケがドカッと一気にきた。一つ一つに向き合ってきたこと、自分が手を動かしてきたこと。でも、そのやり方では物理的に時間がなくなっていく。でもお客さん含めて外からは多くを求められる。 言ってることはバラバラ。要求もバラバラ。好みもバラバラ。それぞれ自分の正義をもっている。敵意を向けてくる。あるいは斜にかまえて嘲笑している。そういう世界。
で、誰かのせいにできたらいいんですよね。みんなでやってるものだから、みんなのせいでしょって言える。でも誰かのせいにはしない、っていうのが自分の信条なので、自分で背負っていた。そしたらあるとき、つぶれた。6年間で初めて本当に「辞めたい」って思いました。
もう何のために誰のためにやっているのかわからない状況まで行き着いてしまって……。
「もうみんな好きにしたらいいから、じゃあ自分でやりなよ。やってみなよ」って気持ちに精神的にはなっていたんです。仕事としてなら、精神と身体が両方壊れるだけだから辞めますって言うこともできるわけですから。これだけの仕事量をする、あるいはこうやって世の中に顔を出すということは、個人としての生活や人生を考えたら、良いことって本当にひとつもないんですよ。
でも、それは言えない状況であり、ここで投げ出すことはできない、というところまできていた。
だから僕にとっての『ナナシス』って、感覚的にはもはや仕事ではないんです。自分でそうしてしまったし、バランス的にはこの作品で自分の命を削っているというところまできていて、その葛藤……去年の秋から冬ごろは、その葛藤で本当に辛かった……。
──どう乗り越えられたんですか?
茂木:「武道館ライブどうするんですか?」って制作スタッフに言われたんですよね。途中までは投げやりな気持ちもあったんだけど、いろいろスタッフの人たちと話していたら、「茂木さん、でも日本武道館まで来たんだよ、それはすごいことだよ」って言われたんですよね。
ごめんなさい。これを話すと泣きそうになるんですけど……。
「今の茂木さんがどんな気持ちなのかを表現したいじゃん!」って言われて。「でも、俺がやってきたことが正解だと今は思えないです。今後も自分が決めていいのかもわからないし、いつ終わらせるのかもわからないんですよ」とか答えて。
「でも確かなことが、ひとつあるんじゃないの?」って言われて、「あぁ、そっか」って気づいたんです。そこで初めて、ここまで来たんだなって思えたんです。
だから本当に自信を持って言えるのは、もちろん一緒にやってきてくれた仲間たちと一緒ですけど、ここまで来るのに、誰の力も頼っていないんですよ。このプロモーション命と言われてる時代の中で、プロモーションのためにライブをやったことはないし、プロモーション費を潤沢に使って無理やり会場を埋めたこともない。ただただ作品を作ってきた。
限られた範囲で、与えられた環境で、みんなをより感動させるためにはどうしたらいいか。その答えはいつも自分でやってきたという自信はあって、そうやって俺はここまで来たんだって、そう思えたときに“Melody in the Pocket”でいこうと思ったんです。
だから最初にキャストにも言ったんです。「ここまで来れたのは僕らの実力だよ。武道館に立たせてもらったんじゃない、立つんだよ」って。
「それは自分たちで勝ち取った権利だ」と言ったんです。そこで日本武道館というものに思い入れができたんです。
それがキービジュアルのコピーになってる「ーー青空(ここ)まで、歩いてきた」なんですよ。本当に良いビジュアルになりました。虹も追加できたし。
──なるほど。
茂木:もう少し話をすると“Melody in the Pocket”の本当の意味って、実はそれまで誰にも話してなかったんですけど、当日、ライブの直前の号令でキャストとスタッフ、みんなに言ったんです。「この言葉の意味は、小さなポケットの小さなメロディです。そしてそれはナナシスのことなんです」と。
人にいろいろ言われることってありますよね? でも、それを言ってくる人も、世の中とか環境、それから他者に不平不満を漏らし続けてる人も、もしかしたらポケットの中にいる本当のその人は、違う人なんじゃないかな? って思うんです。
そして、人が泣くとき、感動するときって、ポケットの中にいるそいつに触れたときなんじゃないかなって。
──それはわかる気がします。みんな何かを気にして生きているから。
茂木:だから「モノづくり」って、人の心に触れる最終手段だと思うんです。ポケットの中にまで手を入れられるのは、人が作ったもの=作品でしかないと思っていて、その作品を作る意義。
何のためにやっているかわからないところまで落ち込んだけど、この人たちのポケットの中に届く作品を作れるのであれば、まだやる価値はあると思えたんです。考えてみたら、ナナシスってずっとそれを目指してやってきたんじゃないかって、改めて思えた。だからちゃんと言葉にしようと思ったんです。それがライブの冒頭のOPムービーでの英語の部分なんですよね。
「あなたのために来たのではない、あなたのポケットの中にある何かのために来たんだ」って書いた。
実際外への見え方を気にしているだけで、きっと誰にもポケットに素の自分はいるはずなんです。そこに届けに来たんだと。
そして最後は「君らの番です」と。あと「I did I wish」って書いたんですけど、これは責任として入れなきゃと思いました。そういうメッセージを発信しているのは誰なんだよって意味で「俺は好きなようにしたよ」って入れたんです。
だから「俺は好きにしたよ、で、君らはどうするの?」っていう意味合いで「持っていけ、そしてポケットに触れてみてくれ」。そして最後に「This is Yours」と出したんだけど、持って帰った感動はあなただけのものだから、それをどうしようが、何と言おうが俺はいいよって意味を込めました。
現場で感じた本物の感情だけを生ませたかったし、生まれたらいいなって思ってやりました。本番前の号令も、みんなにこれとまったく同じ話をしたんですけど、その時点で泣きそうで危なかったです(笑)。本当の気持ちを言うときって入っちゃうんですよ(笑)。
そしたらその時点で何人か泣きそうな顔をしていたから、今から本番なのにやばいと思って、「これまでで一番でかい声を出そう! 今日はよろしくお願いします!」って言ったのは覚えてます(笑)。
でもそれで、このタイトルに込めたものがみんなの中でも腑に落ちてくれたと思います。
──それはつまり、「キミは何がしたい」という、この作品でずっと言ってくれていることなんですよね。この感動を持って、次にあなたは何をするのかっていう。
茂木:それで言うと、今回もお手紙をすごくたくさんもらったんです。3rdライブの3倍くらいあって、その手紙で真っ直ぐでいてくれとすごく言われました。真っ直ぐになれない自分の代わりに真っ直ぐでいてくれって言葉もあったりして、ちょっと朝からグッと来ちゃって(笑)。このライブのずっと前からポケットの中に届いていたんだなって。
手紙はその人と僕以外誰も読まない。だから本当の心だと思うんです。ポケットの中の本当のその人、からだと思う。本当に身体的にも精神的にも、命を削って作ってるつもりなので、そういうお手紙をいただけるのは本当に嬉しいです。ナナシスはエンタメだけど、人が魂を削って作っている。エンタメだけであるはずがないよ、って言われた気がしました。
たとえば高1の女の子は、カラオケで『ナナシス』の歌を歌えなかったみたいで、かわいい曲やグッと来る歌詞が好きだけど、そういうのを歌うと自分のキャラじゃないから周りに引かれると思っていたらしいんです。
そうやって周りの目を気にしてたけど、歌ってみたら全然大丈夫だった、みたいな。「好きなものは好きと言っていいんだと思った」って書いてくれていたんです。
あとは志望校に落ちて現実と理想のギャップに苦しんだけど、3rdライブを見て、「少し先は変えられるかもしれない」と思ったとか。「非常に苦しい時期、うずくまって喚きたくなるところを、歯を食いしばってこれたのはナナシスに支えられたからです」とか。
あと、「真っ直ぐでいてくれ」と書いたあと、「久しぶりに恋をしました」って書いてくれた人もいたり。そんなことまで書いてくれるなんてね(笑)。
「『ナナシス』以外にもちゃんと自分の人生を歩んでいるということを伝えたかったんです」と書いてくれていて……もうね、本当に嬉しかったんです。
本当にありがとうと思ったんですよね。
──それは日本武道館に来た人には伝わってたと思いますよ。
茂木:いや、なんかエモーショナルになってしまいましたね(笑)。泣きそうになりながら話すつもりでは全然なかったんですけど。冷静に段取りを付けて話すつもりで来たのに、全然できてないという……。
真っ直ぐな人たちがいることがわかっていたから、EDムービーで、「YOU GUYS ARE」「STRAIGHT LIGHT“S”」あなたたちはストレートライツですって言ったんです。
アルバムの「Dear Straight Lights」は777☆SISTERSの12人に向けてのところはあるけど、ライブで一緒にいるお客さんもストレートライツかなって。「真っ直ぐな光」の人たちに、真っ直ぐでいることはきついけど頑張ろうね、俺も頑張るからって言えたのが、今回のライブの総括です!
やり切った笑顔をずっと撮りたいんだ!
──少しライブを振り返りもしていいですか? まずは客入れBGM。あれにも意図があったそうですね。
茂木:いつもは特に持たせてないですけど、今回はちょっとあります(笑)。でもまぁ、気がつく人もいるかもね、くらいですよ。
──もしかして時代どおり……?
茂木:そうですね。自分がお世話になった方たちという個人的な選曲ですけど、意味は確かにそのとおりです。最後にセブンスシスターズを持ってきてるのも、そういう意味です(笑)。
──面白いですね。そこからのオープニングの演出と「僕らは青空になる」がすごく好きで、実は最初から泣きそうだったんです。
茂木:それは良かった。ちなみにあの円陣を写した天カメは当日変更ですから(笑)。当日リハの30分前に付けてもらったんです。前日のリハで付いていなくて、どうにかしてくれと頼んで付けてもらったんです。
僕はもともとカメラがあるつもりだったんですけどコミュニケーションミスで用意されてなくて。でも当日リハで付けてやったら、スタッフみんな付けた甲斐があったと言ってくれたので、「そうでしょ!」みたいな(笑)。
──あの円陣を上から写した映像、おおっ! って確かになりました。そういう演出の裏話を聞ければとも思ったのですが、そもそもバンドメンバーはどこで演奏してたんですか?(※『ナナシス』の生バンドは客席からは見ることができないようになっている)
茂木:センターステージの北側に通路があったと思うんですけど、あそこの両端にいました。熱い中、本当に頑張ってくれました。バンドメンバーとは仲良しなので、インカムで冗談を言い合ったりしてましたね。
今回演出のタイミングはお客さんのリアルタイムの反応含めて、いろいろ複雑な部分があって、バンドメンバーはモニターでしか外を見られないんですよ。でもそれではわからないから外で見てる誰かがタイミングを言わないといけないんです。
全スタッフ、全キャスト、全バンドってイヤモニを付けている人全員が聞こえるマイクがあって、それが僕のマイクでした。茂木マイク to ALLってことですね。そこでタイミングを言っていたので、あの開幕の円陣も、みんなの歓声が止むのを待ってゴーを出しました。
──もしかして「KILL☆ER☆TUNE☆R」の途中で寸劇があるところもですか?
茂木:いや、あそこは自由な尺です。舞台上にいる人たちが演技の機微で尺を決められるという部分。脚本の通りで、バンドさんがキャストの「おー!」っていう声を聞いて、クリックに従って演奏を始めたら、キャストが移動する仕組みになっていました。
──ユニットではまずLe☆S☆Caが出てきましたが、777☆SISTERS以外のことも聞けますか?
茂木:3人共本当に頑張ってくれました。植田ひかるさんは自分が目指す最良を自分自身で考えてトライしていて、前向きに頑張っていた。すごく褒めてあげたいです。さらに吉井彩実さんも藤田茜さんも、本当に歌が素晴らしかったでしょ? 可愛いだけじゃない、なにかこう強さみたいなものが見えて、僕はとても嬉しかったです。
──ユニットだとCi+LUSのデビューはどうでしたか? ものすごく盛り上がっていたし、人気がありましたね。
茂木:いやぁ、それでいうとCi+LUSにはお客さんより先に僕らスタッフが、大分やられていましたよ(笑)。練習のときから山崎エリイさんと田中美海さんっていつも背筋をぴんと伸ばして、ニコニコしているんですよね。プロだなぁと思いました。当たり前かもなんですけど。
しかも、最初の練習から振りがほぼ全て入っているというレベルのプロフェッショナルなんです。
振り付けの動画を送ってはいたけど、それが最初から入ってるとは思わないじゃないですか。でも入っているんですよ。これはすごいと思いました。練習によっては終了予定時刻の2時間前に解散ということもありましたから。もうかないません(笑)。
それほどのプロで多くの場数を踏んでいる子たちが、そんなに緊張するんだろうかと思ったけど、当日のリハで田中さんは手が震えていたんですよね。だからそのときに、「本番では、あなた方を望んで見に来た人たちが目の前にいて、あなた方が頑張っている姿を見るだけで喜んでくれる人がいるから、大丈夫だよ」と言いました。そしたら少しは落ち着いたみたいでしたけど。まぁ、でも僕が言うのはアレですけど、みなさんも知ってのとおり、本当にお二人とも可愛いです(笑)。
──パフォーマンスは、やはりすごかったです。そしてQOPですね。相変わらず野村麻衣子さんがカッコいい!
茂木:QOPって、ひと言で言うと、声優さんに当て振りをしてカッコいいロックバンドになってくださいってことですよね。普通は、「何それ? 無理なんだけど?」なんですよ(笑)。
でもドラムを触ったことがない巽悠衣子さんやギターの山本彩乃さんがあれだけやれるという4人の努力。それしかないですね。役を憑依させて、それこそ「踊れ!」とか言って頭を振るわけですから、あのロック感ですよね。本当に頑張ってくれたと思います。
──途中で野村麻衣子さんと広瀬ゆうきさんが、すごい形相で顔を向き合って歌ってて、すごくカッコ良かったんですよ。
茂木:向き合うのを僕が演出したかどうかは覚えていないんだけど、表情をやってくれとは言ってなかったので、そこは彼女たちの機微と演技力ですよね。
役をパフォーマンスするという。だから改めてありがとう! って思いました。
──先程、当日にカメラを新たに入れた話がありましたが、そのくらいギリギリまでこだわったところは他にありますか?
茂木:やっぱりラストシーケンスの「またあした」からのMC、その後の3曲のところです。前日リハで照明のイメージが大きく違ったんです。ここだけは確実に意図を表現したかったので、徹夜してすごく頑張って仕上げてもらいました。
とはいえ、その後のチェックタイミングは本番前リハしかなくて、そこでは心許ないところではあったので、当日キャストを入れての全体リハの前に自分で「またあした」を歌って、スタッフには本番どおり進行してもらって確かめたんです。そしたら照明がもう完璧で……。イメージ通りで最高でした。これももう感謝しかないです。
ただひとつ計算違いだったのは、観客席のペンライトが明るすぎたことで、やっぱり武道館のセンターステージとなると、幕張メッセイベントホールの比ではないくらい明るかったです。
しかもこの「またあした」のところは脚本でわかるタイミングの他に、リアルタイムでのタイミング出しが1曲の中に複数回あったんです。そこまでこだわるくらい、ここを外すとライブをやる意味がないってくらいのシーンだったから。
ここが成功することで、そのあとのみんなのメッセージというか、MCの言葉が生きるし、そこが良ければ次の「スタートライン」での感動に繋がる。そこが良ければ次の「FUNBARE☆RUNNER」の感動になる。それが良ければ、最後の「STAY☆GOLD」に繋がる。
だから最初次第で全部変わるから、ここが肝だというのは全員がわかっていたし、スタッフも本当に最後の最後まで付き合ってくれました。
そして、その結果の観客のみなさんとのあの合唱です。あれが聞こえ出した途端、思わず立ち上がってしまいました。信じられないくらい綺麗な歌声だったし、嬉しいとかそういう感情を超えていました。あの一瞬で、すべてが救われたと思えたそういう瞬間でした。
──「FUNBARE☆RUNNER」「STAY☆GOLD」を見て、やっぱり『ナナシス』は走らせるんだなと思いました。
茂木:あはは、キャストは嫌がるかもしれないけど、個人的に汗をかいている女の子が好きなんですよ(笑)。
──そうなんです! ラストのみんなの顔を見て、何て美しいんだろうって思ったんです!
茂木:そうなんですよ、美しいんです! 曲が終わったところで、「普通は手を振るべきですよね?」って思っていた人がスタッフ含めてたくさんいたんだけど、そうじゃないんだと。
「あの曲が終わる最後の最後まで、祝福の意味でのバンドのかき回し音と、彼女たちのやり切った笑顔をずっと撮っていたいんだ!」と言ったんです。汗だくで、息を切らしているあなたの笑顔を撮りたいと。それは本物だからって。そしたらみんな普通に納得してくれました(笑)。
だって最後のキャストの表情、すごく良かったでしょ? あれを見せたかったんです。あの自信と達成感は本物なんです。そしていつだってラストは頑張った人の笑顔なんです。それでいいし、それがいい。
──素晴らしい演出でした。さて、ライブ内では次の展開もいろいろと発表されました。10月20日(土)と21日(日)の『4th Anniversary Live 2Days in 幕張メッセ』は、すぐじゃん! と思いました。
茂木:あはは、もうしんどいです(笑)。これ決まったの5月くらいなんです。出演者が最終的に決まったのが6月で。でもほとんどの人が出られるなんて、もう奇跡的なことですよ。でもやっぱり全員が毎回出られるわけではない。そこはもう本当、ファンのみなさんにも了承して欲しいです。そうでないと、規模の大きいライブそのものができなくなってしまう。
ただここで話しておきたいこととしては、さっきも言ったように、人と向き合って、作品と向き合って仕事を続けてきて、というこのスタイルはもう限界まで来ているということなんです。それはもうこれ以上やると死ぬというくらいのレベル。
だからそれに対するこれからの道として、みんなとより協力して作っていかなきゃなって思っています。それは武道館ライブで発表した新しいユニットに対してもそうだし、4thライブに関してもそう。自分の関わり方が、これまでとちょっと変わると思います。あらゆるものを隅から隅までという風には行かないという意味です。
でもやる気がなくなったとか、誰かに言われたからとかじゃない。2019年以降の仕込みを具体的にいくつもしていかなきゃならない時期でもあるし、現時点でそれだけで手一杯だったりもします。でもそれでもやり方を模索したり、前に進むことをあきらめない。あきらめたくない。できればちゃんとナナシスを終わりまでやりたい。そのための方法論です。その新しいスタンスや状況の中で自分がどうやれるかっていうのが、次のトライです。
だからはじめにも言ったけど、今回の武道館ライブはそういう気持ちがあったんです。ギリギリまで僕がガッツリ関われるライブは、“Melody in the Pocket”が最後かもしれないと思って、懸ける思いみたいなのがより強くなったんだと思います。ギリギリまでクオリティを追求する、やりたいものをやる、作品として美しいものを作るということを突き詰めることが、次はできないからこそやれたんです。そして新しいスタートラインになった。
だから4thライブはスタッフやキャストにたくさん助けてもらおうと思ってます。いろいろ考えた結果、これまでの「作品」としてのライブから、また違ったフェスっぽい、アニバーサリーの『ナナシス』のお祭りライブみたいになるような気がします。武道館ライブで得た一体感を今度はお客さんたちとみんなで共有する。それも楽しそうですよね。
そういう方法論、結果論で見えてくるものもあると思うんです。もしかしたら、そこですごいクリエイターに出会うかもしれないし、センスの良いディレクターに会うかもしれない。自分が細部まで見られなくても、自分が直接書き直さなくても、届くものを作るという挑戦をしていきたいと思っています。結局、どこまで行っても次の一歩をいつ踏み出すかどうかなんです。「踏み出さない」を選ぶことなんて本当はできないんですよ。
[取材・写真/塚越淳一]
Tokyo 7th シスターズ(トーキョーセブンスシスターズ)ゲーム概要
配信形式:スマートフォン(iOS、Android)向けアプリ
ジャンル:アイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム
対応OS:iOS6 以降Android 4.0.3以降