「デジモン感謝祭2018」レポート|20週年を迎えた『デジモンアドベンチャー』の今だから話せる制作秘話も
2018年7月29日(日)、ユナイテッドシネマ アクアシティお台場にて、『デジモンアドベンチャーtri.』のスペシャルイベント「デジモン感謝祭2018 ‐スペシャルミーティング in お台場‐」が行われました。
イベントにはキャストから坂本千夏さん(アグモン役)、山口眞弓さん(ガブモン役)、花江夏樹さん(八神太一役)、細谷佳正さん(石田ヤマト役)、スタッフから渡辺けんじさん(デジモンキャラクターデザイン)、関弘美さん(『デジモンシリーズ』初代プロデューサー)、アーティストから宮﨑歩さん、AiMさんが登壇。今年で20周年を迎える『デジモン』シリーズの話を中心に、ライブコーナーなどが行われました。
本稿ではこのイベントの模様をお伝えしていきます。
スタッフのふたりから過去のシリーズ製作時の苦労話が飛び出す
イベント冒頭では1999年に上映された劇場版一作目『デジモンアドベンチャー』の上映が上映されると、今回の登壇者である坂本さん、山口さん、花江さん、細谷さん、渡辺さん、関さんがステージに登場。「デジモン」作品の中から登壇者の思い出のシーンを振り返るトークコーナー「デジモンメモリーズ」へと移ります。
坂本さんは『デジモンアドベンチャー』の第33話「パンプとゴツは渋谷系デジモン」をチョイス。「パンプとゴツ楽しそうにしているのが好きで選びました」と選んだ理由を話すと、「でも、パンプとゴツの倒され方はひどすぎると思って、日曜日の朝から気分が沈みました」と衝撃的な話だったことを明かしました。
花江さんは劇場版作品の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』から、ディアボロモンに倒されたウォーグレイモンとメタルガルルモンを前に、太一とヤマトがネット空間に入るシーンを選びます。花江「このシーンは息使いだけで全ての感情を表現していて、これだけ引き込まれるこのシーンは凄いと思った」と演者目線での感想を述べました。
細谷さんが選んだのは『デジモンアドベンチャーtri. 第3章』から「いつかなんて待っていたら、あっという間に大人になっちまうよな」という太一のセリフ。「待つことに後悔した人間じゃないと出てこないセリフ。これを聞いた時に凄く刺さって、僕も後悔が無いようにしようと思った」と話しました。
・山口さんは『デジモンアドベンチャーtir. 第6章 ぼくらの未来』から、ガブモンがヤマトへ言った「世界だって救うよ」というセリフのシーン。「『デジモンアドベンチャー』の時のヤマトと洞窟にいたシーン(第51話「地獄の道化師ピエモン」)と対になるシーンができたなと思った」と理由も語られました。
そして、ファン投票で決まった「デジモン」シリーズの心に残っているシーンのトップ5も発表。結果は下記のようになりました。
・第5位 『デジモンアドベンチャー』第51話「地獄の道化師ピエモン」からガブモンとヤマトの洞窟 「たったひとりの君と出会うために、ずっとこの世界で待っていたのに」
・第4位 『デジモンテイマーズ』最終話『夢見る力こそ僕たちの未来』ギルモンとの別れのシーン
・第3位 『デジモンアドベンチャー』第21話「コロモン東京大激突!」から太一がデジタルワールドに戻るシーン
・第2位 『デジモンアドベンチャー』第37話「完全体総進撃! きらめくエンジェウーモン」からウィザーモンとの別れのシーン
・第1話 『デジモンアドベンチャー』最終話「新たなる世界」から選ばれし子どもたちがデジタルワールドから現実世界へ戻るシーン
第3位のシーンについてのトークでは、リアルタイムで観ていた花江さんから「この話の時のヒカリはアンニュイな表情をしていて、色っぽいんですよ」と当時感じたことを話すと、このシーンについて関さんも監督の描いた絵コンテを見た際に「これ(大人過ぎて)兄弟の別れのシーンじゃないよね」と注意したというエピソードも飛び出しました。
ここで、「デジモンに関わった中で忘れられない思い出」という話題が渡邉さんと関さんに振られます。渡辺さんからは、TVアニメが始まる前、まだ携帯用ゲーム機(デジタルモンスター)が売れている時期にアニメ用に玩具(デジヴァイス)を出すかどうかでアニメ制作側の関さんと、当時バンダイのデジモン担当だったボルケーノ太田さんが喧嘩をしたという玩具会議での話を披露。そんな関さんの奮闘もあって、アニメ用の玩具としてデジヴァイスは誕生したことも明かされました。
関さんからは苦労話が明かされ、『デジモンアドベンチャー02 前編・デジモンハリケーン上陸!!』の完成目前だった制作時に、スタジオの近くに雷が落ちて会社のサーバーがダウン。復旧に約3日かかることになり、上映目前だったため社員総出でフィルムを運んだという貴重な裏話が明かされました。
また、ファンからの質問を登壇者が答えるコーナーでは、渡辺さんからデジモンデザイン制作についての話もあり、花江さんからの「なんでパタモンからエンジェモンに進化させようと思ったんですか」という質問に、ゲームに入れられるデジモンの数が限られていることを前置きして、その進化を紐付ける際に渡辺さんは「パタモンも羽付いてるし、エンジェモンも羽付いているし……」という理由で決めたことを明かして、会場は笑いに包まれました。
ここで最新情報の告知コーナーへ。まずはゲーム最新作としてPS4とNintendo Switch向けソフト『デジモンサヴァイブ』のティザー映像を公開。今までのゲーム作品とは雰囲気の違う、生き残りをテーマにしたシリアスな雰囲気の作品となりそうです。
ほかにも、『デジモンフロンティア』のブルーレイボックスの発売や、『デジモンアドベンチャー』の20週年の企画のひとつとして謎解きゲーム「ダークマスターズからの挑戦状」も開催。こちらは9月21日より全国のなぞともカフェで開催されることもアナウンスされました。
そして、20週年を記念し、新たなる劇場版制作決定も発表。スタッフ陣には『デジモンアドベンチャー』から『デジモンフロンティア』までキャラクターデザインを担当していた中鶴勝祥さんがイラストとして参加。同じく、シナリオ監修にもTVアニメ初期4作品のプロデューサーを努めた関弘美さんの参加が明かされました。
もちろんデジモンキャラクターデザインは渡辺けんじさんが担当されます。久しぶりのデジモンシリーズとなった関さんは「去年『テイマーズ』のブルーレイボックス用のドラマCDのシナリオを久しぶりに書いた時に凄く楽しくて、その勢いに乗ってシナリオ監修という形で鋭意製作中です」と参加に対してコメントしました。
ここでは八神太一と石田ヤマトが22歳となったビジュアルも公開。『デジモンアドベンチャーtri.』の時よりもさらに大人になったふたりのビジュアルに、会場のファンからも驚きの声があがりました。
続いて行われたライブコーナーでは宮﨑歩さんが「brave heart」「思い出の向こう」の2曲を、AiMさんは「I wish」「アシタハアタシノカゼガフク」というエンディングテーマ2曲を披露。観客も立ち上がり、当時と変わらないふたりの歌声にペンライトを振りながら声援を送ります。イベントの最後は登壇者全員による「Butter-Fly」でイベントは幕を閉じました。