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映画『ペンギン・ハイウェイ』先行レビュー

映画『ペンギン・ハイウェイ』大好きなお姉さんの“おっぱい”が好きな純情少年が、この夏、ペンギンの謎を解き明かす……その道の先にある答えとは!?

「有頂天家族」「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」など、数々のアニメ化作品を夜に送り出してきた小説家・森見登美彦先生。その作品のひとつである『ペンギン・ハイウェイ』が遂に劇場アニメ化! 2018年8月17日(金)より、全国の映画館で公開となります。

この夏公開となるアニメ映画の中でも、ひときわ注目度が高い本作。すでに気になっている方も多いことでしょう。

そこで本稿では、『ペンギン・ハイウェイ』を視聴する前に注目して欲しいポイントを3つに分けて紹介。夏の季節にピッタリな、この爽やかな物語の魅力に迫って行きます。ご視聴の際は、ぜひとも以下のポイントに注目を!

その①感情移入してしまうアオヤマ君のキャラクター性

この物語の主人公・アオヤマ君はとても勤勉な小学4年生。好奇心が強く、日常を過ごす中で気になった出来事をノートに書き記し研究しています。

そのなかには近所の歯科医院に勤めるお姉さんについての研究もあり、彼女のおっぱいについつい目線をやってしまったりすることも……!

年上のお姉さんが気になってしまう子ども心が上手く表現されており、なんだか作品を見ているこちらもお姉さんに恋や憧れのようなものを感じてしまいます。

このほかにも、アオヤマ君は友人のウチダ君(CV:釘宮理恵さん)と探検隊を結成して地図の作成を行ったり、ハマモトさん(CV:潘めぐみさん)の誘いで不思議な球体の研究を行ったりします。

アオヤマ君のように難しい勉強や研究をノートに書き記していたという方は少ないとは思いますが、好奇心の赴くまま、興味を持った本を片っ端から読んでみたり、自宅の周りを探検してみたり、そこで見つけた不思議に思った出来事を父や母に報告してみたり、誰もが経験したことがあるような描写がなんとも微笑ましくあります。

アオヤマ君の日常が、懐かしさや郷愁を誘うようなものとなっているからか、キャラクターたちへ共感しやすく、物語への没入感を高める一助となっています。

その②アオヤマ君のお姉さんへの想いは恋なのか

そんな彼が憧れるのは、近所の歯科医院に勤めているお姉さん。

アオヤマ君は研究などで頭を使うからか甘いものが大好きで、歯医者さんに通うことに。もちろん歯を診てもらうためもありますが、そこに通う別の理由が彼女なのです。

ふたりはカフェでチェスに興じるほどの間柄でとっても仲良し。

先程も少し触れましたが、年上の女性への淡い想い……この点もわかるという人は多い事と思います。やはり男の子にとって年上の女性というのは魅力的に映るものなのです。世界の秘密そのものにだって見えたりします。

女性の方は逆に、「男の子はこういうところに惹かれるのか」「私がお姉さんだったら?」と想像できるのもいいポイント。男女それぞれで抱く感情が違うため、複数人で感想を語り合うのもいいでしょう。

作中ではアオヤマ君から見たお姉さんとも言えるカットが幾度も挟まれるのですが、その目線の動きがまたグッド! お姉さんのどんな表情も見逃すまいと言わんばかりに、笑顔も無防備な寝顔も、寝息に合わせて上下する胸まで本当に細かいところまで見ているアオヤマ君。

そして、度々お姉さんの“おっぱい”に目が行ってしまうのがまた可愛らしいのです!

“おっぱい”とはいっても、本作は「おっぱいぼーん!!!」「下着見放題!!!」みたいな流れでは断じてありません。そういう作品も間違いなく面白いですし、否定する訳では断じてありません。

ですが本作に限って言うと、いやらしいのではなく、ついつい目をやってしまうとか、そういう流れなのです。作中でアオヤマ君は、「おっぱいが好きだからお姉さんが好きなんでしょ!?」と問い詰められたりもしますが、それとこれとは別のことなのです。

確かにアオヤマ君は“おっぱい”が好きだと公言して憚りません。怒りそうになったときは、おっぱいのことを考えて鎮めるくらいですし、男の子というものは得てしてそういうところがあります。

ですが“おっぱい”が好きなことと、その女性が好きなことはイコールにはならないのです。アオヤマ君は小学4年生ながらその真理を理解しています。

話がそれてしまいましたが、アオヤマ君が惹かれてやまないこのお姉さんの魅力は、劇場の大きなスクリーンで確かめるだけの価値があります。

彼女はアオヤマ君の町で起きる不思議な出来事にも深く関わっており、その謎に迫っていくことになります。

その③アオヤマ君に課せられた命題、その答えの先には……!?

筆者は実は、本作の視聴にあたってある指令を編集部から受けていました。それは「お姉さんの“おっぱい”だけが映るカットがいくつあるのかを数えよ」というもの。

これは決してやましい指令などではなく、何気なくおっぱいを見てしまう子どもならではの視点を上手く描写した、大変素晴らしいシーンがどれだけあるのかを確認するための指令でした。

確かに途中まではクソ真面目に数えていたのですが、途中で物語に没頭するあまり失念してしまいました。大変申し訳ないことをしたと思いつつも、それだけの魅力が本作にはあります。

小学生の夏の一幕を描くのはもちろんですが、アオヤマ君には“お姉さんの謎を解く”という命題が課せられるのです。

アオヤマ君はお父さん(CV:西島秀俊さん)からのアドバイスを活かして、幼いながらも自分の力でその謎に迫っていくのです!

また、ペンギンとお姉さんの謎はハマモトさんから誘われた“球体”の研究とも何やら関りがあるようで、ウチダ君やハマモトさん、スズキくん(CV:福井美樹さん)ら同級生たちとの日常も見どころになってきます。

果たしてアオヤマ君はお姉さんの謎を解き明かすことが出来るのか!? そして、お姉さんの正体や如何に!? この命題を解き明かしたとき、アオヤマ君とお姉さんの関係はどのようになってしまうのか!?

ふたりの辿る道行の先にある“答え”を見届けてください。

[取材・文/胃の上心臓]

『ペンギン・ハイウェイ』2018年8月17日(金)全国ロードショー

ストーリー

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。毎日努力を怠らず勉強するので、「将来は偉い人間になるだろう」と思っている。そんなアオヤマ君にとって何より興味深いのは歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でミステリアスなお姉さんをめぐる研究も、真面目に続けていた。 

ある日、アオヤマ君の住む郊外の街に突如ペンギンが現れ、そして消えた。さらにアオヤマ君は、お姉さんがふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」 

一方、アオヤマ君は、クラスメイトのハマモトさんから森の奥にある草原に浮かんだ透明の大きな球体の存在を教えられる。やがてアオヤマ君は、その謎の球体“海”とペンギン、そしてお姉さんには何かつながりがあるのではないかと考えはじめる。

そんな折、お姉さんの体調に異変が起こり、同時に街は異常現象に見舞われる。果たして、お姉さんとペンギン、“海”の謎は解けるのか――!?

スタッフ

原作:森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(角川文庫刊)
監督:石田祐康
キャラクターデザイン:新井陽次郎
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
音楽:阿部海太郎
制作:スタジオコロリド

キャスト

北香那
蒼井優
釘宮理恵
潘めぐみ
福井美樹
能登麻美子
久野美咲
西島秀俊
竹中直人
 
公式サイト
公式Twitter(@pngnhwy)

(C)2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
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