春奈るな『ゆらぎ荘の幽奈さん』を彩る「桃色タイフーン」で新たな表現方法に挑戦!「ファンのみんなと作っていける楽曲に」
アニソンシンガー・春奈るなさんの12枚目となるシングルは、週刊少年ジャンプにて連載中の人気コミックを原作としたTVアニメ『ゆらぎ荘の幽奈さん』のOPテーマ。「ライブのど定番の曲になる予感がする」というお祭りテイストのポップナンバー「桃色タイフーン」(2018年8月22日発売)のことはもちろん、カップリング曲や10月に控えているワンマンについても教えていただきました。
──『ゆらぎ荘の幽奈さん』の主題歌のお話をいただいたときはどんな気持ちでしたか?
春奈るなさん(以下、春奈):週刊少年ジャンプは、国民的教科書みたいなイメージがあって、私自身もジャンプを読んで育ってきました。自分の青春でもある本誌の作品にかかわれることはすごく嬉しいです。
──ちなみに青春時代はどんな作品を読まれていたんですか?
春奈:『BLEACH』や『Dグレ』(『D.Gray-man』)を読んでいました。
──今回の「桃色タイフーン」は祭囃子的な雰囲気のあるポップなナンバーで。前作のロックチューン「JUSTICE」とはまったく違ったテイストの作品ではありますが、作詞は同じく大塚利恵さんというのが面白いですね。
春奈:ギャップが凄いですよね(笑)。聴かれる人は戸惑われないかな?って思うくらい違った曲になっていて。ポップな楽曲に和テイストがバランスよく乗っていて、和洋折衷な曲に仕上がったなという印象があります。
──曲を聴いたとき、どういう風に歌いたいなと思いましたか?
春奈:メロラップや合いの手が入っていて、コールもたっぷりめだったので、今後のライブの定番曲にしていきたいなと思いました。
これまでも「アイヲウタエ」「君色シグナル」など、みんなが盛り上がれる曲はあったんですけど、「桃色タイフーン」はライブのど定番の曲になる予感がしています。なので、幽奈さんのイメージに寄り添いつつも、ファンのみんなと作っていける楽曲にしたいなと思いながら歌いました。
また、幽奈さんの世界観に寄り添った曲ではあるんですが、2番のAメロには<いつもおんなじ 電車に揺られ 行って帰って>って現代人の心に刺さるようなリアルな言葉も入ってきてて。いろいろな人が聴ける曲になっている印象がありました。
──音の面でいうとBメロあたりからより盛り上がっていきますよね。
春奈:そうそう! そこからいきなり盛り上がっていく感じ。アニメサイズだとほぼイントロがないので、歌がより引き立つ形になっていますが、フルで聴くとイントロも華やかです。
──サビ前の<やばいやばい 気づいて〜>など、セリフ的な歌いまわしの部分が印象的だったんですが、歌ってみていかがでしたか?
春奈:そこ、めちゃくちゃ難しくって! 歌でもセリフでもない、その中間なので。どれくらいのキーで歌えばセリフっぽくも歌っぽくも聴こえるかなって模索しながら録りました。メロラップも難しくて、<規格外のラブ・ヘクトパスカル>ってところは、もはや喋ってるんじゃないのかっていう(笑)。
──<規格外のラブ・ヘクトパスカル>をはじめ、さすが大塚さんといった印象的な言葉が散らばってますね。
春奈:そうなんです! <規格外のラブヘクトパスカル><ハートデストロイヤー>とか魅力的なワードが多いんですよね。必殺技っぽいなと(笑)。大塚さんは絶対に忘れられないワードを入れてくるんです。そんな言葉をより魅力的に聴かせるためにはどう歌ったら良いのか、ボイストレーニングの先生に相談して研究をしながらレコーディングしていきました。
──いつもは独自に言葉を解釈していくようなイメージなんですが、誰かに相談しながら言葉を突き詰めていくのは、春奈さんとしては珍しいのでは?
春奈:そうなんです(笑)。今までは想像でカヴァーできていた部分もあったんですが、さすがにラップでの表現は難しくって(笑)。でも今回挑戦してみてラップの面白さにも気付けたので、凄くいい経験をしたなと思いました。
──<やっぱり君が好きだー!>と叫ぶところは、花火や海に向かって叫ぶ姿が思い浮かぶような、そんな青春感がありますよね。
春奈:あははは。そこはライブの醍醐味としてそこに会場の名前を入れたり、タイトルを入れたり、そこでしか聴けない「桃色タイフーン」にできたらいいなと思ってるんです。たとえば大阪でのライブのときには<大阪、好きだー!>って叫んだりしたいなぁと思って。あと<やっぱり君が好きだー!>のところで<俺もー!>って言ってもらえるようにレクチャーしています。
──ライブ会場によっていろいろなバージョンが聴けるというのは楽しみですね。お客さんのあいの手が入る部分も盛り上がりそうです。
春奈:<ハイ!><ひーふぅーみぃーよぉー!>のところは、飛びながら叫んでほしいです!(笑) あと、間奏のところでタオルを回すのはどうかな?ってみんなと話しています。タイフーンを起こすイメージで、ピンクのタオルを回すとか。
──振付は高田あゆみさんが担当されているそうですね。
春奈:そうなんです~! 最初から最後までつけてくださいました。「Sweet Fantasy」(2015年)振りですね。ただ私の物覚えが悪すぎて(苦笑)。自己嫌悪に陥りながら必死に覚えました。動きが細かいので、るな充にもしっかりレクチャーできるように頑張ります!
──ところで「桃色」って春奈さんに凄く似合いますね。天然色というか。
春奈:私のテーマカラーって実は緑なんですけど、あんまり定着しなくって(笑)。いろいろな楽曲の曲のカラーがあるからかな? 「桃色タイフーン」ではきっとペンライトはピンクにしてもらえるんじゃないかな。その景色も楽しみですね。
「この曲も幽奈さんとリンクしていている」
──続いての「恋せよ乙女」「Again」はおなじみのSakuさんの楽曲で(「桃色タイフーン」では編曲を担当)。
春奈:そうなんです、おなじみの(笑)。
──「恋せよ乙女」はジャズっぽいテイストが入ったお洒落なポップナンバーになっていますね。歌ってみてどうでしたか?
春奈:リズムをとるのは難しかったんですけど「桃色タイフーン」に比べたらすんなり歌えました(笑)。ただ言葉数が多いので、一か所噛んだらバタバタと倒れていってしまう……。なので、クリックを大きめにしてレコーディングに挑みました。
──個人的には<思考回路はショート寸前>という歌詞に反応してしまうわけですが……。
春奈:これ!(笑) 私も思いました! シレッと入れ込んでくるところがオシャレですよね。サビの韻を踏んでいる感じもオシャレだなぁって。実はこの曲も幽奈さんとリンクしていているんです。<来世まで愛してあげますわ><ドキドキで死んじゃいそうよ>とか、ポップな表現ですけど死に対しての言葉も入っているので、実は「桃色タイフーン」と繋がってることに気付いてくれる方もいるんじゃないかなと。
──やはり幽奈さんのことを歌った曲なんですね。幽奈さんのことを考えながら次の「Again」を聴いたときに切なくなってしまうんですが……。
春奈:そうですね。ポップな曲が続いてのバラードなので染みる流れになっています。「Again」では生命力みたいなものを出したいなと思っていて。幽奈さんは地縛霊で、ある意味”生と死”を感じる作品でもあるので、カップリングの「恋せよ乙女」でポップな死、「Again」で生命力、原動力みたいなものを表現できたらと思って。それが裏のテーマになっています。
──しっとりというよりも力強いですよね。後半リズムも独特で。
春奈:そうですね。こういう楽曲の進行ってあんまりなくて。なので、自分にとっても新しい楽曲になりました。<ありふれた言葉も 見慣れた風景も>のあたりはボーカルをダブルに録ってるんです。メッセージ性の強い曲というか……悲しみは無駄じゃなくて、次に進むための一歩に変えることができるというか。切なさを強さに変えるような曲ですね。生命力が宿っている曲になっているので、3曲通して聴いて感じて欲しいです。
「コガラシくんがいかに罪な男かしみじみ(笑)」
──『ゆらぎ荘の幽奈さん』で好きなキャラクターは幽奈さんなんですか?
春奈:私は狭霧ちゃんが好きです(笑)。
──分かる気がします(笑)。
春奈:良いですよね(笑)。ただのツンデレとは違ってドジっこ要素も持っているというか。勘違いして一人で暴れてるんですけど、全部幽奈さんのためで(笑)。会話のなかのテンポ感も好きです。
──(インタビュー時は)ちょうど2話が放送された直後ですが、アニメを観た感想は?
春奈:うーん、やっぱりみんな可愛いなぁって! 声があることによってコガラシくんがいかに罪な男かしみじみ感じました(笑)。1話の時点である意味プロポーズみたいなことをしてるじゃないですか。そのあざとさのない正義感というか……これはモテるな!って。天然のハーレム主人公だなと思いました。
──幽奈さんには幸せになってもらいたいなと思うんですが……。
春奈:どうなっちゃうんですかね。あ~……でもそうなったら……考えたくないな、ヤダヤダ……。1話のはじまりが謎な雰囲気だったじゃないですか。もう私が(成仏するのを)阻止したいです!
──「桃色タイフーン」で嵐を起こしてください!(笑)
──ミュージックビデオの撮影はどうでしたか?
春奈:楽しかったです! 「桃色タイフーン」は、ドラマ仕立てのミュージックビデオになっているんです。信号の向こう側に好きな人がいるんですけど、まったく気づいてもらえなくて。
そしたら信号の桃色の押しボタンが現れて。早く渡りたいからボタンを押すと妄想の世界に飛んでいって。それで好きな人と妄想夏祭りを楽しむっていう……突飛的な内容です(笑)。
──(笑) ジャケットの大きなリボンも可愛いです。ここまでピンク色を押し出したジャケも珍しいような……。
春奈:確かに一色バン!という形は珍しいかもしれません。しかもピンクっていう。ここまで大きなリボンもあまりないですし。このリボンは色味や大きさをみんなで悩みました。
──毎回、楽曲やPVで様々な「可愛い」を見させてもらってるんですが、春奈さんはご自身の「可愛い」の世界観……みたいなものは意識されているんでしょうか?
春奈:あ、それに関しては……歌詞のなかに出てくる主人公を自分のなかで作って、それを毎回演じているような気持ちなんですよ。実は自分のなかに女の子らしい要素ってあんまりないような気がしていて。だから作らないと歌えないぞっていうか。
──へぇ! ちょっと意外です。
春奈:そう、わりと(笑)。ある意味ぶりっこしないと歌えないところもあります。なので、曲の主人公を演じるような気持ちでいつも歌っています。私はもらったものを自分なりに解釈して、音楽のなかでもうひとりの自分になることを楽しむことが好きなタイプなんです。
毎回違う主人公を演じていますけど、そんな曲たちを「春奈るならしいな」って思ってもらえるのは凄く嬉しいことですね。今後もいろいろな曲に挑戦していきたいなと思っています。
──分かりました。では最後に10月に開催されるワンマンライブ“LUNAtic Typhoon”に向けてメッセージをお願いします。
春奈:1年ぶりのワンマンになります。まだセットリストとかは決まってない状態なんですけど、「桃色タイフーン」はもちろん、アニメのタイアップ曲やカップリング、アルバムの曲……MCを削ってでも曲を多めに届けたいなと思っています。
最近歌えていなかった曲、日の目を浴びていない楽曲も披露したいなと。ありがたいことにSNSなどで“あの曲を聴きたい”って声もいただいているんです。その期待にも応えたいですね。
──「桃色タイフーン」、ワンマンはもちろんこの夏のイベントでも絶対盛り上がりますね!
春奈:「桃色タイフーン」は、みんななしでは完成しない楽曲だと思っているので、みんなと一緒に作っていきたいです。夏はまだまだ続きますし、イベントも沢山あるので、みんなと一緒にるな充したいなと思っています。
──ありがとうございました!
[インタビュー・文/逆井マリ 撮影/Re-Zi]
リリース情報
■春奈るな ニューシングル「桃色タイフーン」
~TVアニメ『ゆらぎ荘の幽奈さん』オープニングテーマ~
2018年8月22日発売
★収録楽曲★
M1. 桃色タイフーン
(作詞:大塚利恵/作曲:藤井万利子/編曲:Saku)
M2. 恋せよ乙女
(作詞・作曲・編曲:Saku)
M3. Again
(作詞・作曲・編曲:Saku)
M4. 桃色タイフーン[Instrumental]/※期間生産限定盤(アニメ盤):M4. 桃色タイフーン[TV Size]
イベント情報
■春奈るな LIVE 2018 “LUNAtic Typhoon”
2018年10月7日(日) 17:00開場/18:00開演 品川インターシティホール
【Official Site 先行第2弾決定!】
http://www.harunaluna.jp/
8月22日(水)12:00~8月28日(火)23:00迄
8月24日(金) Animelo Summer Live 2018 "OK!"(さいたまスーパーアリーナ)
9月16日(日) Madman Anime Festival(オーストラリア・メルボルン)
10月13日(土) Anime Music Live 2018(メキシコ・メキシコシティ)
11月16日(金) Anime NYC2018(アメリカ・ニューヨーク)
公式サイト
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