映画『薄墨桜 -GARO-』声優・雷吼役 中山麻聖さんと星明役 朴璐美さんインタビュー ――TVシリーズでやりたかったことが花開いた劇場版
『牙狼〈GARO〉』シリーズのTVアニメ第2弾として2015~2016年に放送された『牙狼 -紅蓮ノ月-』。平安時代を舞台にした和のテイストで描かれ、まだTVアニメ第1弾の『牙狼〈GARO〉 -炎の刻印-』の主要キャスト陣が役を変えて、出演していたことなど話題になりました。
そんな『牙狼 -紅蓮ノ月-』がこのたび劇場版アニメとして復活! 2018年10月6日より全国公開されます。そこで雷吼役・中山麻聖さんと星明役・朴璐美さんの対談をお届けします。劇場版の見どころやゲストキャラについてなどをおしゃべりしながら、楽しく展開する作品同様の息の合った掛け合いをお楽しみください。
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雷吼と星明の久々の掛け合い収録はなごやかに罵り合う?
――劇場版が決まった時の感想をお聞かせください。
雷吼役 中山麻聖さん(以下、中山):良かったと思いました(笑)。
星明役・朴璐美さん(以下、朴):TVシリーズ(『牙狼-紅蓮ノ月-』)で中々大変だったたけど(笑)、決まったと聞いた時には私も良かったと思いました。
――久しぶりに雷吼と星明として、掛け合いをされたご感想は?
中山:とてもなごやかに(笑)。
朴:罵り合いながら(笑)。TVシリーズの頃はこんな感じだったなと懐かしく感じました。中山君は収録の時、靴を脱ぐところも変わらなくて。セリフも丁寧に全部覚えてきて……でも間違えるんですけど(笑)。
また、芝居に真摯に取り組む姿は変わらないなと思いながらも、この子(雷吼)を(星明として)罵れるのが楽しかったですね(笑)。
真面目に勉強してきたなと感じさせる部分があって、その成長が微笑ましかったです。
中山:ありがとうございます(笑)。
――中山さんは実写版『牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-』で主役を務め、『牙狼 -紅蓮ノ月-』で声優初挑戦とのことでしたが、今作ではすっかり慣れた感じでした。
中山:TVシリーズに比べれば、多少ですけど。今回も先輩達のすごさを改めて実感しながら、楽しみながら演じさせていただきました。
小林靖子さんの脚本と『紅蓮ノ月』の世界観がマッチ! 劇場版で星明が補完!?
――今回の劇場版の脚本は『牙狼〈GARO〉』シリーズの脚本を数多く手掛けられている小林靖子さんが担当されていますが、脚本についての印象は?
中山:TVシリーズ同様に和のテイストが全面に流れて、美しくも儚くて。劇場版は悲しい物語にもなっていますが、安定の雷吼と星明、金時(CV:矢島晶子)の掛け合いが残っているので、楽しめる作品になっているなと思います。
朴:小林靖子さんと『紅蓮ノ月』の世界観が見事にマッチしたなと。日本古来の華やかさや雅な雰囲気の裏にある愛憎や狂気が表現されていて。
――ご自身の演じるキャラについて、TVシリーズから成長や変化を感じた点はありますか?
中山:『紅蓮ノ月』の最終回からそれほど月日が経っていない設定になっていますが、雷吼はよりたくましくなっているなと思いました。
朴:星明はTVシリーズでは大変な目に遭って、かわいそうな子だなと思ったし、せつなく感じることもあったけど、今回の収録後に、ご覧になった(メインキャラクターデザインの)桂正和先生に「やっと星明が補完されたよね」と言っていただいて、その言葉がすごくうれしかったです。
――『紅蓮ノ月』では黒星明になったり、ひどい目に遭っていましたからね。
朴:そうなんです! 悲しい思いをたくさんしたので今回は本当に良かったです(笑)。
――今作の星明は大活躍ですよね。画面に登場している時間も一番長かったかもと思うくらい。
中山:すごく活躍されていましたね。
朴:雷吼より出ているんじゃない?
中山:序盤の雷吼は座っていたり、横になっていた時間が多かった気がします(笑)。その間は偉大な先輩の姿を見て。
朴:本当に思っている? 思ってないでしょ? 生意気なんだから(笑)。
おなじみの雷吼・星明・金時の日常シーンにほっこり
――このインタビューでも雷吼と星明の掛け合いを見られてうれしいです(笑)。星明は戦う姿の凛々しさだけでなく、雷吼が明羅と話しているシーンでヤキモチを焼いたり、かわいいところも随所に見られて。
朴:新たなスタッフさんの手で星明を魅力的に描いていただいて、感謝しかないです。
中山:TVシリーズでは二人三脚で歩んできたけど、徐々に雷吼が一人立ちしつつあって。でも劇場版では相も変わらず金時を含めた3人で暮らしているのを見て、ホッとしました。
朴:あの日常シーンはいいよね。
中山:緊迫感があったり、殺伐としたシーンもある中で、ほっこりできるので救われる部分もありますから。
――雷吼・星明・金時の会話シーンは微笑ましくて、つい口元が緩んでしまいそうになりました。
朴:ありがとうございます。
中山:家族のような雰囲気ですからね。
朴:ような、じゃなくて、「家族」でしょ!
中山:そうでした。「家族」です(笑)。
――そして雷吼は今作でもブレないですね。
朴:雷吼はB型なんじゃない?
中山:もしそうだとしたら、だから共感できるのかも。僕もB型なので。
朴:そうだったっけ?
中山:何回もこの話、しましたよ! 「これだからB型は」ってよく言ってたじゃないですか!
朴:そうだった! じゃあ、ピッタリですね(笑)。
――その信念や信条で自分がピンチになることがわかっても曲げることなく。
中山:人を殺めないとか、全員を救いたいとか、そこが変わっていなかったこともうれしかったです。信念に真っすぐ突き進んでいくところが彼の魅力だと思っています。
ゲストキャラの明羅と時丸の背負う業と、道長の狂気に注目!
――劇場版に登場するゲストキャラの明羅と時丸も存在感が大きいですね。
中山:魔戒騎士にフォーカスを当てるだけではなく、憑依された人間にもフォーカスを当てているのが『牙狼〈GARO〉』シリーズの魅力だと思いますが、今回もそうだなと。
朴:靖子さんの筆がうなってますね。特に明羅は。私は桜が大好きなんですけど、美しさや儚さだけではなく、よく桜の下には死体が埋まっていると言われるように神秘や恐怖のエッセンスもあって。
それを明羅と時丸のゲストキャラに絡めて、グログロドロドロしたものをぎゅっと詰め込んでいてさすがだなと。
――明羅は美しさや妖艶さがありつつ、悲哀や狂気もあって。いろいろな表情や魅力が感じられるキャラだなと思いました。
朴:よくぞ生み出したなと(笑)。実は「明羅役にいい人いませんか?」と相談を受けたことがあって。あとで(田中)敦子さんが担当されると知って、「それは合わないわけがないでしょう」と納得でした。きっと妖しくて怖いんだろうなとも思いました(笑)。
10月6日(土)劇場公開「薄墨桜-GARO-」で明羅を演じさせていただきました。
— 田中敦子 (@atuwosyousa) 2018年9月15日
実写版の牙狼の頃から憧れ続けた作品にこうして参加させていただけたことは至上の喜びです。初日の舞台挨拶にも参りますので、壮大な歴史物語の世界を堪能していただけたら幸せです(*´-`) https://t.co/nq7zstEagB
中山:終盤での狂気の表情になった時のビジュアルとお芝居は確かに怖かったです。
――時丸も重い決意と悲しい過去を知るにつれて、何とも言えない気持ちになりました。
中山:そうですよね。ちなみに時丸役の東啓介さんも今回、初めて声優に挑戦されたそうですが、まったく違和感がなくて、すごいなと思いました。
朴:あとレギュラーキャラですが、(藤原)道長(CV:堀内賢雄)は何なの? と。
中山:あれも狂気ですよね。
朴:みんな、クレイジーで最高だなと(笑)。
中山:それを皆さんが楽しそうにやってらっしゃるのがおもしろいんですよね。
朴:たぶん、みんな、タガをはずしたくなるんじゃない?
中山:「そこまでやっていいんだ」と思うくらい、全開でやられていましたね(笑)。
リアルで美しい映像と強大な炎羅(ホラー)との迫力のバトルをぜひスクリーンで
――映像をご覧になった感想は?
朴:収録の時から絵がほぼある形だったので、その時点でも映像の美しさやスピード感に驚きました。
中山:更に完成した映像はリアルすぎるくらいリアルな感じでビックリしました。
――『牙狼〈GARO〉』シリーズと言えば、立ち塞がる魔物の火羅(ホラー)で、絶望感を感じさせるほどの強さも今作も同様ですね。
中山:でかいし、強いし……。
朴:美しいし。
――アクションシーンも目で追えなくなるくらいのスピード感と迫力で。
中山:あのスピード感はアニメならではのクオリティですよね。そこにアフレコで声が入ると臨場感が増して。映像美や音声の素晴らしさを感じるためにもぜひスクリーンで見てほしいですね。
――バトルシーンは見ている側も息が付けないくらいでしたが、キャストの皆さんもかなり消耗度が高かったのでは?
中山:だからバトルシーンの収録は後半にさせていただいています。本気で声を張るので、バトルシーンの後は声がとんでしまうんですよね。朴さんはどんなに声を張った後でも枯れないのがすごいなと。何度でもできるじゃないですか?
朴:私、張れば張るほど出てくるの。だから、「そんなに張らないで」と言われると困っちゃう(笑)。
中山:隣りで見ていて心配になるけど、張れば張るほど元気になるんですよね。
朴:カラオケでも2時間後くらいから本スタートだし。
中山:絶対一緒に行かない(笑)。
朴:行こう! 行こう! 私、8時間くらい行けるから(笑)。
――バトルシーンの後も朴さんが元気というのは伝わってきました(笑)。
中山:そうですね。それを受けて、こっちも声が出てきて。でも収録が終わった後は枯れ果ててブースを出ました(笑)。
朴:自分だけ弱ぶるのはよくないよ! この子もたいがい元気ですよ。若いなって思います。
2人が語る見どころとお気に入りシーンは?
――本作の見どころや注目ポイントを教えてください。
中山:『紅蓮ノ月』からそうですが、バトルの白熱したシーンや雷吼・星明・金時のほのぼのとした掛け合い、炎羅(ホラー)になった人間のドラマなど、いろいろな魅力が詰まっています。
そして劇場版になって、絵の美しさやクオリティが更に上がっていると思います。大きな桜のシーンは壮大で圧巻ですが、牙狼が登場するシーンとか。個人的には、初めて雷吼が明羅と出会うシーンは、すべての始まりであり、雷吼・星明・金時のほっこりした会話に、明羅の妖艶さやゾクっとするところなど、魅力が詰まったシーンで一番好きです。
朴:全体的な見どころは中山君が言ってくれたので、星明的な見どころを挙げれば、明羅と対峙するシーンで、明羅の苦しみや悲しみを誰よりも共感できるのが星明だったと思うんですけど、その中で明羅を説き伏せなくてはいけないと必死になってしまう。
だから私は星明を好きなんだと思ったし、彼女は本当は寂しがり屋だし、すごく暗闇や悲しみを抱えている子で、TVシリーズでもどう演じていこうか悩んだこともありましたが、芯の部分は守って演じようと頑張りました。
劇場版でも星明の大切な部分を描いてくださったし、相変わらず情緒不安定ですけど、理由があることも描かれていると思うので、そこも見て魅力を感じていただけたら。
――TVシリーズで星明が好きだった人、雷吼が好きだった人は今作でもっと好きになると思います。
中山:ありがとうございます。
朴:そうだったらいいな。
中山:星明はTVシリーズ以上にきれいになったと思います。絵的な美しさだけでなく、内面的な部分の成長が美しさやかわいらしさが増して。
朴:良かった。今回、劇場版を作ってくださって、感謝しかありません。
――あとTVシリーズで蘆屋道満役を演じた関智一さんも梟師(たける)役で出演されていますね。
朴:あれはゲスト出演って言っていいのかな?
中山:あれはズルいですよね。ある意味、さすがです(笑)。(藤原)保輔や(源)頼信なども登場していて、『牙狼〈GARO〉』シリーズは芯の部分ではつながっているんだなと実感できたし、うれしかったです。
朴:こよなく『牙狼〈GARO〉』を愛した人達が集っているんだなと思います。
TVシリーズでやりたかったことが花開いた劇場版! 『牙狼〈GARO〉』シリーズに込められたメッセージも受け止めてください
――では最後に皆さんへメッセージをお願いします。
中山:今回の劇場版はTVシリーズの続編という形ですが、『紅蓮ノ月』を知らない方、もしくは実写版しかご覧になっていない方も、この劇場版を入口に、いろいろな『牙狼〈GARO〉』を見てみたいと思ってもらえるくらい魅力的な作品になっていると思うし、映像もきれいで、迫力もあるし、音声も素晴らしいし、朴さんの声も素敵ですし。
朴:やめて!(笑) じゃあ雷吼の声もすごく素敵ですよ。
中山:ぜひ劇場のスクリーンで見ていただきたいです。TVシリーズをご覧になってくださった方も、再び雷吼や星明達がスクリーンで活躍する姿を楽しんでください。
朴:TVシリーズでやりたかったことが、今回の劇場版で花開かんばかりにやり尽くせたのかなと。キービジュアルからも素晴らしさが伝わってくるように、日本独自の美しさとその中に潜む妖しさにすごくエロスを感じるし、その魅力が爆発していると思います。
『牙狼〈GARO〉』は西洋・中世の世界観で描かれてきた中で、『紅蓮ノ月』では平安時代を舞台に、和のテイストを詰め込みながら、『牙狼〈GARO〉』と合致させた画期的な作品だったと思ったし、こんなに『牙狼〈GARO〉』と和がすごく合うということを、この劇場版でも感じつつ、楽しんでいただけたらと思っています。
そして『牙狼〈GARO〉』シリーズでずっと描いてきた人間の悲しみや負の感情を自分に照らし合わせて、「炎羅(ホラー)になってはいけない」と心に刻んでいただきたいです(笑)。
皆さんそれぞれいろいろと思うときもあるけど、雷吼のようにバカ正直に頑張っているヤツもいるし、人生捨てたものではないですから。ご覧になってくれた方が生きていくパワーの源、元気を少しでも感じてもらえたらうれしいです。
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作品情報
劇場版『薄墨桜-GARO-』は2018年10月6日
新宿バルト9ほか全国ロードショー!
CAST
雷吼:中山麻聖
星明:朴璐美
金時:矢島晶子
明羅:田中敦子
時丸:東啓介
藤原道長:堀内賢雄
藤原保輔:浪川大輔
源 頼信:野村勝人
稲荷:鵜殿麻由
天狐:中田譲治
梟師(たける):関智一
STAFF
原作:雨宮慶太
監督:西村聡
脚本:小林靖子
メインキャラクターデザイン:桂正和
アニメーションキャラクターデザイン:横山愛・海老原雅夫
美術監督:橋本和幸
撮影監督:魚山真志
色彩設計:堀川佳典
CG監督:高橋将人
編集:神宮司由美
音楽:高田龍一・MONACA
音響監督:久保宗一郎
劇場版『薄墨桜-GARO-』公式サイト
http://garo-usuzumizakura.com/
(C) 2018「薄墨桜」雨宮慶太/東北新社
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