映画『スモールフット』ミーチー役・早見沙織さんインタビュー|本作のテーマは“気持ちで繋がる”ことだと思っています【連載第3回】
『ミニオンズ』シリーズを手掛けたスタッフによる新作映画『スモールフット』が、2018年10月12日より全国の映画館でロードショー。
“モジャかわ”イエティたちの姿がコミカルに描かれ、思わず歌いたくなるような楽しげな音楽がいっぱい詰め込まれている本作。
吹替え版では、木村昴さん、宮野真守さん、早見沙織さん、立木文彦さんという実力派の声優陣がキャスティングされています。アニメイトタイムズでは、吹替え版の声優陣に連続インタビューを掲載中です。
今回は、ミーチー役の早見沙織さん! 本作の魅力や見どころはもちろん、劇中歌を担当した感想、ミーチーの役どころについても語っていただきました。
▼これまでの連載はこちらから!
●映画『スモールフット』ミーゴ役・木村昴さんインタビュー【連載第1回】
●映画『スモールフット』ストーンキーパー役・立木文彦さんインタビュー【連載第2回】
ミーチーは“プリンセス感”を意識して演じていた
──まずはミーチーの収録を終えた感想からお願いします.
早見沙織さん(以下、早見):ミーチーは村長・ストーンキーパーの娘ということで、しっかりした性格のキャラクターです。
頼もしい存在でありながら、物語を引っ張っていくというか、どんどん前に進んでいくような好奇心旺盛な女性ですね。気位が高い役柄ということもあり、“プリンセス感”を意識して演じました。
──プリンセス感というのは、どのようなものなのでしょうか?
早見:全体的にキツくなりすぎないように、柔和で上品なイメージを保つようにしました。アクションシーンでもおてんばになりすぎず、ギャグシーンでも下品になりすぎないように意識したり。収録中は試行錯誤の連続でしたね(笑)。
──ミュージカルをやるというのは、いかがでしたか?
早見:今まで吹替えアニメ作品では、少し歌うことはあっても、フルコーラスで歌うことはなかったんです。ミュージカルのシーンなどは、歌っていて壮大な気持ちになれました。
「新しい世界を見せてあげるよ! 一緒に行こうよ!」と、みんなを誘い出すような歌になっていて、とても前向きな気持ちで歌うことができましたね。
──ミュージカルのシーンに向けて、どのように練習しましたか?
早見:英語版のゼンデイヤさんの歌を何度も聴きました。ニュアンスは合わせつつ、日本のミュージカル映画が持つ歌のテイストに合わせています。
──すごく伸びやかな歌でしたよね。聴いていて気持ちがすごく上がっていくようでした。
早見:ありがとうございます(笑)。サビに入るところでアングルが大きく動くなど、歌っていて世界が広がっていていく感じがあります。
曲の持つ明るさや柔らかさを意識しつつ、頭と終わりの部分を特に優しく歌うなど、緩急をつけています。
──イエティという人間の何倍も体格が大きいキャラクターを演じる難しさはありましたか?
早見:私も収録が始まる前にミーチーの恰幅の良さを見て、どう演技するか悩んだんです。ですが、ゼンデイヤさんの演技はナチュラルな声で、わざと太っている感じに演じていないのが分かって。
ただ、走る動作の息遣いなどは、人と比べてゆっくりだったと思いました。走るというよりかは、“のっそのっそ”動いている感じがありますね。
──ミーチーに共感できたところはありましたか?
早見:未知の世界に第一人者として飛び込んで行こうとしている、とてもかっこいい女性だと思います。自分の生き方をちゃんと自分自身で見つけられるというのは素敵な部分だと思いますし、私自身新しいものを見たいという気持ちがありますね。
本作のテーマは“気持ちで繋がる”こと
──本作はミーチーの他にも、同じくイエティのミーゴやストーンキーパー、人間のパーシーといった魅力的なキャラクターが数多く登場します。それぞれのキャラクターについて、早見さんの印象を教えて下さい。
早見:ミーゴは、木村さんにピッタリのキャラクターですよね。最後に麻酔銃を撃たれてヘロヘロになるシーンがあるんですけど、こういう弱い一面もあるミーゴがいるからこそ、ミーチーもいろいろ活躍できるというか。愛すべき主人公という感じがありました。
パーシーは、宮野さんと外見がそっくりですよね(笑)。元々テレビ局の人というのがあって、ペラペラしゃべるんですよ。ひょうきんで、ひょうひょうとした感じが、すごくしっくりきてました。
ストーンキーパーは、声を聴いたときに、この村を代表する存在なんだという印象がありました。ミーゴたちがピンチの時には現地に駆けつけてくるし。初めはちょっとお堅い人かなとも思ったんですけど、ちゃんと娘のことを考えてくれています。こういうパパがいたらいいなと思いました(笑)。
あと、立木さんのラップが聴けるのがめちゃめちゃ楽しみです(笑)。絶対いい声ですよね!
──吹替えの魅力はどういうところにあると思いますか?
早見:演じている役者さんならではの、文字情報にはない表現方法ですね。コミカルなシーンや、威厳を見せるシーンなど、日本語の方が伝わってくる情報が吹替えにはある気がします。
特にアニメ系の吹替えだと皆さんかなり大きく演技をつけていらっしゃいますし、私も普段よりオーバーリアクションしている方だと思います。大きく演技をして伝わることもあるので。
──特に注目して欲しいところはどこでしょう?
早見:やっぱり歌の部分ですね。劇中では同じ曲が何度か流れるんですけど、私ひとりで歌っているバージョンと皆さんと掛け合って歌っているバージョンがあるんです。2人でハモリで歌ったパートは、すごく気持ちが良かったですね。初めて誰かと一緒に歌えたという喜びがありました。
あとは、ミーチーが人間の文明に触れていくシーン。スマホのライトにビックリするなど、自分が生活をしている当たり前の部分を、再度見つめ直すキッカケになります。言葉は全く通じてないんですけど、身振り手振りで相手の言いたいことが伝わるなど、心が通じ合っていく過程が素敵だなと思いました。
──早見さん自身、日本語が通じない相手とコミュニケーションで苦労した経験というのはありましたか?
早見:海外からの観光客の方から、「ここどこだ!?」と思ってしまうぐらい、よく分からない場所を聞かれたことがあって(笑)。
言葉が通じず、相手に細かく伝える手段がないので、とにかく私も必死でスマホやジェスチャーを使ったりして道案内をした経験があります。その後、たどり着けたかどうかは分からないですけど(笑)。
──言葉が通じない人と会話をする必要ができたらどうなるか、というのは考えさせられますね。
早見:本作のテーマは“気持ちで繋がる”ということだと思っています。ミーチーのように人間と通じ合いたいという思いもあれば、ストーンキーパーのように関係を閉ざすべきだという思いもある。同じ種族なんだけど、はじめはそういうズレがあったりして。
最終的には気持ちで通じ合っていくというのは、どこの誰でも変わらないんだなというのは感じましたね。
悠木碧さんとグアムに行った時に起きた、不思議な体験とは……?
──本作はイエティが主人公として描かれていますが、早見さんはUMAの存在についてどう思いますか?
早見:イエティに限らず、未知の存在はいて欲しいと思いますね。ミーゴたちが手をふっているシーンとか可愛いと思いましたし、友好的だったらより嬉しいです。
──もしご自身がイエティと遭遇した時に、パーシーのように仲良くなれると思いますか?
早見:ちょっと怖いかもしれないですが、ミーゴのようなイエティだったら仲良くなれると思います。逆に、すごく臨戦態勢で構えたようなイエティだったら怖いですね(笑)。
──ちなみに、今まで不思議な経験をしたことってあります?
早見:これは不思議でもなんでもなく、運がいいんだって思ったことなんですけど……。今日タクシーに乗った瞬間に激しい雨が降り出したんです。目的地まで着いた時にはすっかり止んでいて、「ラッキー!」と思いました(笑)。
──そういうことってよくあるんですか?
早見:わりと晴れ女なところがあります。昔ラジオ番組を悠木碧ちゃんとやっていたんですが、悠木ちゃんすっごく雨女なんです(笑)。番組の企画でグアムに行ったことがあるんですけど、途中でスケジュールを中止せざるをえないぐらいの大雨が降ってきて(笑)。
でも、翌日は雲一つない快晴で。別に私たちがどうこうしているわけではないですけど、「面白いね」って二人で笑ってました(笑)。
──(笑)。今回パーシーは映画の中で様々なことに挑戦していましたが、早見さんは挑戦していきたいことなどありますか?
早見:挑戦というか、家族で海外旅行に行きたいという話をしています。京都や大阪など国内の旅行はあるんですけれども、海外の旅行というのは私が小学生だった頃以降なんですよ。来年あたり予定に入れてみたいなと思っていますね。
──仕事面で挑戦してみたいことはありますか?
早見:声優のお仕事は思ってもみなかった作品との出会いが多いですが、恐れずに何でも挑戦していきたいですね。それこそ、こんなに素敵なミュージカル映画に出させていただけるなんて、全然想像できなかったですし。
そういう時って始めはドキドキするじゃないですか。「私にうまくできるかな、大丈夫かな」みたいな緊張があるんですけど、恐れず頑張ろうと思います。
──最後に、本作を楽しみにしているファンの皆様へメッセージをお願いします。
早見:大きなスクリーンで観ると、本作の舞台である雪山の中に入っているような気持ちになると思います。時期的にも冬に向かうちょうどいい時期だと思いますし、観終わったあとは心が温かくなるので適温ですね(笑)。ぜひ楽しんでください!
──ありがとうございました!
[取材・文・写真/島中一郎]
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●映画『スモールフット』ミーゴ役・木村昴さんインタビュー【連載第1回】
●映画『スモールフット』立木文彦インタビュー【連載第2回】
公開情報
<STORY>
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人里離れた雪深い山頂に住む、おっちょこちょいだけど心優しきイエティのミーゴ。ある日、偶然にも伝説のスモールフット(人間)と出会うが、この話を誰も信じてくれない。しかし同じ村に住むミーチーの「雲の下には不思議な世界が広がっている」という言葉を信じ伝説のスモールフットを探す冒険の旅に出る。そして、出会った人間のパーシー。この出会いがイエティと人間を巻き込む大騒動を巻き起こす―!
◆タイトル:『スモールフット』
公開:10月12日(金) 新宿ピカデリー他 ロードショー! ※US公開9月28日(金)
監督:キャリー・カークパトリック、製作:ボニー・ラドフォード、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:ニコラス・ストーラー、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ジャレッド・スターン、セルジオ・パブロス、キャリー・カークパトリック
キャスト:チャニング・テイタム、ジェームズ・コーデン、ゼンデイヤ、コモン、レブロン・ジェームズ ほか
吹き替えキャスト:木村昴(ミーゴ)、宮野真守(パーシー)、早見沙織(ミーチー)、立木文彦(ストーンキーパー) ほか
エンドソング:ナイル・ホーラン「Finally Free」
配給:ワーナー・ブラザース映画