井上喜久子さんが声優活動30周年記念イベントを開催! 豪華ゲストにボカロ共演、茶番劇もあり!?
2018年11月17日(土)の「いい17才の日」に、井上喜久子さんが声優活動30周年記念イベント「ありがとう」を東京・品川プリンスホテル ムーンストーンにて開催しました。
井上さんの声を使った「VOCALOID 桜乃そら」の3Dモデルをスクリーンに映し、井上さん本人とデュエットする最先端の舞台演出、ボカロ曲を使った「踊ってみた動画」、衝撃の「時空超え」動画などは、いずれもネット動画文化を受けての新たなチャレンジとなりました。
また、スペシャルゲストの田中敦子さんにサプライズゲストの日髙のり子さん、愛娘の井上ほの花さんとのトークからは、井上さんとの楽しい交流の様子が伺われ、温かな笑いと感動に包まれた記念イベントとなりました。
今回のテーマは17個の「ありがとう」
井上さんの代表的キャラクターが年代順に登場するオープニング映像に続いて、キャラクターソングを歌いながら井上さんが登場。客席の間を練り歩き、30周年のお祝いに駆けつけてくれたファンのみなさんに間近で手を振り、会釈します。
ファンイベントならではの掛け合いが入る「17才です(おいおい)」フルバージョン挨拶や、17才なのに30周年、この日が「17才と13567日」といった怒涛の17才ネタで冒頭から笑わせる一方、集まったファンからの温かな拍手には「最初からじわっと来ちゃった」と感激した様子も。
井上さん自身も30周年を迎えたことには驚いたそうで、「なんか私の体感では、21年くらい」と微妙な数字を出してきます。
今回は17個の「ありがとう」というテーマでイベントを進めるため、とにかく時間がなく、さっそく最初のお題「ステキなキャラクターたち」について話します。
井上さんがこれまでに演じてきたキャラクターは260以上。2018年10月17日に文化放送でONAIRされた特番『井上喜久子の生放送! 17歳だけど声優生活30周年記念SPECIAL おいおい』内での「一番好きなキャラクター」アンケートでは、『らんま1/2』の天道かすみが第1位だったそうです。
天道かすみは井上さんが初めてオーディションで掴んだレギュラーキャラクターだけに、デビュー間もない頃から応援し続けてくれるファンがいまだに多いことには感謝する一方、「私の中ではどの子が1位とか2位とかはなくて、みんな大切な子どもみたいな気持ち」と自分では甲乙つけられない心境も語りました。
2番目のお題は「ステキな作品と番組」で、アニメと並ぶ大きな柱である外画吹き替えやナレーションの仕事について話します。
井上喜久子さん(以下、井上)「映画って、原音で聴くのももちろんいいんですけど、日本語版を作るために私たち声優がどれだけの情熱でがんばってやってるかっていうのがあるので、『原音もいいけど日本語版も聴いてね』なんて思いますね」
3番目は「身の回りの物」で、万物への感謝の心を語ります。
井上「身の回りの物、大切だよ。だって、たとえば今、もし椅子がなかったら全員立ってるんだよ。本当に『ありがとう椅子』って思うし、マイクがあるからお姉ちゃんの声が大きく聴こえるんだから『ありがとうマイクさん』って思う」
続いてスクリーンに文房具の画像が映ります。これは井上さんがいつも鞄に入れているペンケースとその中身で、三色ペン、こすると消えるボールペン「フリクション」、桜の形の消しゴム、龍角散ダイレクト、それにハンドクリーム。
龍角散ダイレクトは声優にとって大切なのはわかりますが、ハンドクリームは「私、手がぜんぜん荒れないの。でも、『ハンドクリームをつけてる自分が好き』ってわかる?」と、独特のこだわりであることを明かしていました。
井上さんが大切にしている小さな犬のぬいぐるみ「ウェンデにゃん」のために、しりとりで名前をつけて絵に描いた「おともだち」を17人作ったという話では、かなり個性的な見た目と設定を持つキャラクターがスクリーンに続々登場。爆笑を巻き起こします。
方向音痴な井上さんは「地図」にも感謝しており、いまや大いに助けられている地図アプリについて話そうとしたところで、SEが鳴って強制的に次の話題へ。本当に時間がないようです。
そして次は前半戦の見どころのひとつ、「時空超え」。揺れ動く17才として時空を操る井上さんが、時空をゆがめたり超えたりする姿を具体的に見せるコーナーです。
井上「私、17才なんだけども、ウィキペディアでほんとの歳を見るとビックリっていう。もうね、椅子から落ちそうになりますけど、年令を重ねるほどしあわせになると思っているので。別に若作りしたいわけじゃないんですよ。ただなんか時空がゆがんでるよっていうことですからね」
そんな井上さんが、時空のゆがみを可視化するべく用意したのがこちら!
大好物のバナナで作った「時空」に魔法の呪文を唱えると、「時空」がゆがみました。
案の定、客席からあがる失笑に「あれ、あんまり笑わない!? ほら、ゆがんだでしょ時空!?」と井上さん。続いて、お寿司を使って時空をゆがませますが、やはり失笑という感じに。
時空をゆがませたあとは、時空を超える衝撃の映像が流されます。
最初からイヤな予感しかしません。腰の高さに張られた「じくう」を持つのは、オフィスアネモネジュニアの藤川茜さんと井上ほの花さん。藤川茜さん、なにをやるのか説明なしに当日呼ばれ、この役だったそうです。
コースの途中にはバナナの皮や、井上さんの大好物・柿の誘惑トラップが配され、行く手を阻みます。そして本来は高跳びのように超えるつもりだと思うのですが、腿でゴールテープを切ります。やはり無茶な挑戦なのでは……?
と思ったら、「じくう」の持ち手をお菓子で買収し始める井上さん。おかげで次のアタックでは、見事に「じくう」を超えてみせました。空では収録おかまいなしにカァカァ鳴くカラスが、いい味を出します。
エンディングロールでは「出演・プロデューサー・衣裳・ヘアメイク・スチール・動画撮影・デスク・制作進行・脚本・監督」が井上喜久子さんという、若干スタッフに偏りのある動画制作体制が明かされました。
井上「ほんっとにすいません。私の茶番劇にお付き合いいただいて」
感動的な歌、自作童話の朗読、お楽しみコーナーと続く怒涛の出し物
自身で作詞作曲を行い、オリジナルアルバムを出してきた井上さんは、歌も大きな活動のひとつです。
「ステキな音符たち♪」と題する歌のコーナーでは、そんな曲の中から「Doki-Doki ウェンデにゃん」「すき」「うしろ向きのスキップ」「あなたのために出来ること」を生バンドで披露。場内に穏やかな空気が流れます。
「ステキなおはなし」という朗読コーナーでは、グリム童話『おおかみと7匹のこやぎ』をアレンジした自作童話『おおかみと17匹のこやぎ』を読み上げます。
物語の大筋は変わらないのですが、こやぎの数が17匹に増えているのがポイントで、話が進むほどにドタバタ感が増していきます。おおかみが家に乗り込んでくるシーンでは、こやぎたちがそれぞれ隠れるものの、17通りもの隠れ方ともなればどんどんおかしな方法になるわけです。
結局、こやぎを17匹もまる飲みにしたおおかみは救急車で運ばれる事態になり、緊急手術でこやぎも全員救出。一件落着というお話でした。
「たのしいこと」と題した全員参加のお楽しみコーナーでは、全員にひらかな一文字が入ったカードが渡され、井上さんがひとりでしりとりをやって、その7番目と17番目に言った言葉の最後の文字のカードを持った観客が当選。サイン入り非売品ポスターほか、豪華な賞品が貰えるというものでした。
踊ってみた動画にボカロとの共演、スペシャルゲストも登場!
井上さんの声を使った「VOCALOID 桜乃そら」のコーナーも、今回のイベントで大きな見どころとなりました。
まずは「桜乃そら」動画の中から井上さんのお気に入りのものを流しますが、いまどきのネット動画文化を受けて、井上さんも新たな試みをしています。
「作詞:畑亜貴×作曲:田中公平」という超豪華作家陣による公式デモソング「どんな言葉なら届きますか?」では、なんとスクリーンに映った3Dモデル「桜乃そら」と井上さんがデュエット! 2人で振付も揃えるなど、最先端のステージ演出には驚かされました。
井上さんの重要なキーワードのひとつ「17才教」のコーナーでは、スペシャルゲストの田中敦子さんが登場。意外に似たもの同士なおふたりのトークに癒されます。
井上「あっちゃんは、お仕事ではクールな役が多いんだけど、私がツッコミ役なんだからね!」
田中敦子さん「でもどっちかっていうと、ツッコミ不在って感じじゃない?」
さらには完全シークレットのサプライズゲストとして、日髙のり子さんがいきなり登場。井上さんが『らんま1/2』の頃から最もお世話になってきたと語る大恩人です。
日髙のり子さん「ビックリしたでしょ!? こういうことになってるから、あなたからLINEで招待状をいただいたときに中途半端な返事をしてごめんなさい」
アンコールではついに封印が解かれた!?
アンコールでは『ガールフレンド(仮)』天都かなたのキャラクターソング「はるかかなたで夢見ましょ」を披露しますが、なんと井上さん、封印していたセーラー服のコスプレで登場します。
井上「ほんっとすいません。これこそ17才でしょ? 制服っぽい衣裳はときどき着ても、セーラー服は痛いなと思って封印してたの。でも今日はお祝いなので、久しぶりにセーラー服着ちゃいました!」
続いて愛娘の井上ほの花さんが登場。ゲーム『ときめきアイドル』の立川美翠役として歌った「Twin memories W」を、母子でデュエットします。
原曲の「Twin memories」は『ツインビーPARADISE』のオープニングテーマであり、井上さんは『ツインビー』シリーズにメローラ姫として出演していた関係もあるわけで、見どころの多い1曲となりました。
イベントの最後に恒例で行ってきた、愛娘との楽しい日々を紹介するフリートーク「ほっちゃん話」は、20年目にして初めて「本人同席」のもとで行われました。
最後は代表曲「がんばって負けないで」を歌い、井上さんの感謝の想いとファンの愛に満たされた、素敵なイベントになりました。
[取材・文/設楽英一]
>>井上喜久子 オフィシャルサイト @manbow
>>井上喜久子 公式ブログ