「FLOWはみんなでライブを作り続けてるバンドです!」 ライブ神曲一挙披露 盟友・GRANRODEOも駆け付けた日本武道館“神祭り”公演
アニメファンからも絶大な信頼を得るロックバンド・FLOWが、1月30日(水)に約10年振り、二度目となる『FLOW LIVE BEST 2019 in日本武道館 ~神祭り~』開催した。今回の公演は、メジャーデビュー15周年のアニバーサリーファイナルとして行われたもの。約2時間半、全25曲が披露された。
ライブハウス武道館へようこそ
数々の名演が繰り広げられてきた日本武道館は、多くのアーティストにとって“聖地”といえる場所だ。なかなかライブハウスに縁のなかった人までも“すべてを巻き込み”FLOWのライブへと誘った昨年の「アニメ縛り」ツアー。ツアーの最後、ドキュメンタリー仕立ての映像で武道館公演が発表となったが、まさにドラマのように、アニメのように、この15年間を歩んできたFLOWの二度目の“聖地”での単独公演。この祝祭のために、満場のファンが集結。オープニングとしてアニメ縛りの映像が短く流れ、この武道館公演が「アニメ縛り」、延いては、これまでの軌跡から通じるものだとファンに感じさせた。
武道館をモチーフにした八角形のロゴを背景にKOHSHI (Vo/G)、 KEIGO(Vo)、 TAKE(G)、 GOT'S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人が登壇すると、「いくぞ武道館、神祭り!」とKEIGOが叫ぶ。激しいイントロダクションのあと大きな爆発音。自然と定着したイメージカラーの“赤”が客席を染め上げるなか、「Break it down」で燃え盛るような熱狂を一気にぶち上げ。さらに「JOY TO THE WORLD」「7th Heaven」……とFLOWの初期衝動と言えるミクスチャーサウンドを投下。リズム隊による重低音が客席を振動させる。「JOY TO THE WORLD」でKEIGOのお面の演出があったり、モニターに歌詞の表示が映ったりということはあれど、過度な装飾は一切ない。メンバーの気迫一本で攻めてくるようなステージに、まるで地下のライブハウスにいる気分にさせられ、「ライブハウス武道館へようこそ」──という氷室京介氏の名言が脳裏をよぎる。
ライブハウスという場所と、ライブそのものが大好きだという純粋な気持ちが目いっぱいに広がったライブバンド・FLOWならではの幕開け。もちろん、オーディエンスも負けてはいない。ペンライトで、タオルで、拳で、ジャンプで。それぞれのスタイルで自由に盛り上がっていく。曲中、そんな客席の盛り上がりを目前にふと頬が緩むKEIGO、何度も客席を見つめては感慨を噛み締めるメンバーそれぞれの表情に、武道館公演に対する喜びと特別感を改めて感じ、しょっぱなから涙腺がやられてしまった。
客席にタオルが舞ったダンスチューン「Steppin'out」で客席をひとつにしたあとはMCへ。 「10年振りにきたぞ、武道館! 本当にありがとね、みんな! ど平日に、こんなに集まってくれて! その貴重な時間を武道館にくれてるわけですから、とんでもない一日にしましょうね!」とKEIGOが挨拶。さらに続ける。
「10年振りにきたよって人もいると思うし、初めてFLOWのライブに来たって人もいると思うんだよ。でもこの1月30日の日本武道館のFLOWライブは、みんなでしか作れないんだからな! ひとりでもかけたらダメなんだぞ! とことんいこうか、いける!? やれるか、武道館!?」
そんな言葉から始まっていった「赤いサイレン」と「Red Hot Riot」。KOHSHI とKEIGOのツインボーカルが高らかに伸びる。ラウドなサウンドなかでキラりとメロディが光る2曲を届けると、今度は“その景色の向こう側”へと観客を運ぶように、エモーショナルな「ブレイブルー」、爽やかな「COLORS」と、対照的な“青”の風を吹かせた。
中盤は彩り豊かな曲を
ところで、アニメ縛りのタイトルになぞるとしたら、この日は“神曲”縛りとも言えるが、実は“神”というのはそういう理由だけではない。中盤のMCで「久々にライブ来たら、FLOWが自分で神とか言っちゃってるんだけど、って思うかもしれないけど」とKEIGOが笑い、KOHSHIが「我々が神なわけではないんですよ」と繋げる。この日の客席のエリア名には必ず“神”がついていることを話し「皆さんが神なんですよ!皆さんを招いて行うライブだから神祭りなんですからね!」と客席に向かって手を伸ばす。その言葉に客席にいる“神”たちから大きな歓声が上がった。
10年振りの武道館とあってKEIGO、KOHSHI以外もMCを。まずはこの日のために髪色を変えたIWASAKIから。
「皆さんこんばんは! あけましておめでとうございますー! 皆さんのおかげでここまで来られました。15周年の締めくくりという形でここでやらせてもらって。昨日の晩、今日のことを色々と考えていて。もっと寝られへんと思ってたら、結構寝られました(笑)。武道館ということで髪型もちょっと新しくした──っていうより、もとに戻ったって感じですけど。10年前の武道館もこんな髪型してたよ。そんな感じで……ここまでやってこれました。皆さんのおかげです、ありがとうございます。今日ばっちりやりきって、またこのあと進んでいくので、お楽しみにしてください」
次はベースのGOT’Sがゆっくりと口を開く。客席を拝みつつ、多くのファンが着ている武道館仕様の赤いTシャツにも触れた。
「10年振りの武道館。久しぶりだね。今回の赤い武道館Tシャツ。そのなかに10年前のTシャツも着てくれている人もいてくれて。だいぶ古くなったんじゃないかなと思います(笑)。見えてますよー! 後ろのほうも。今日も一日、楽しんでいきましょー!」
GOT’SのマイペースなMCに「すっごいニュートラルだね」とつっこむKOHSHI。
そしてTAKEは物まね口調で……。
「元気ですか~! 元気があればなんでもできる! 元気があったので二回目の武道館ができました!……嬉しいです。またこの地に皆さんをご招待できたことが、非常に嬉しいです。もちろん、お客さんは神様ですが……この15年間、みんなと僕らで培ってきたライブの神曲たち、これからも歌いつづけたい神曲たちをいっぱい揃えて、皆さんにぶつけにいきます!」
その宣言通り、ベストオブベストなFLOWライブの神曲が続く。そしてインディーズ時代に発表した元祖応援歌「メロス」に続いた、80’Sテイストのサマーチューン「常夏エンドレス」ではKOHSHIが<やめないで行ったろうぜこのまま/頷く武道館>と歌詞をアレンジするという粋なサプライズが。曲中にKOHSHIがあるアイドルの振付をノリノリで踊っていたような気がしたが、気のせいだろうか……?
ここでTAKEがギターを持ち換え、ピアノのミステリアスな旋律が響き渡り最新曲「音色」を。曲に合わせてモニターがセピア色へと変わる。ミディアムテンポのミステリアスなイントロダクションにも関わらず、しょっぱなから爆発的に盛り上がるのはFLOWならではと言える。さらに初のドラマタイアップとなった「Answer」、ハンズクラップが響いたポップな「Shakys」を贈る。「Answer」「Shakys」はKOHSHIもギターを持ちツインギターによる重厚なサウンドでお届け。個人的には、TAKEが三者三様のこの曲たちを同じギターでまったく違う音色を描き出していた興味深かった。
ここで少し長めのMCをKEIGOから。このステージに立てている万感の思いを語る。
「10年前にワンマンライブで武道館のステージに立たせてもらって。そのときは、みんなに連れて来てもらった武道館だなと思ってました。また必ず自分たちの力で(武道館公演を)やりたいなと思いながら、10年間かかっちゃったけれども……またこうやってこのステージに立ててることが、本当に、ほんっとうに嬉しいです。ありがとうございます。10年前と自分たちの気持ちが決定的に違うことがあって。前回の武道館は、俺たちはどんなバンドなんだろう?って感じていて。あれから10年、この5人でデビューしてから15年以上の月日が流れて。FLOWはどんなバンドですか?という質問をされたら“みんなでライブを作り続けてるバンドです”とはっきりと答えられます。それは学生だろうが社会人だろうが、男だろうが女だろうが、日本なのか海外なのか、アニメかロックか、そんなことは本当にどうでもよくて。ここに来てくれるみんなと、その日しかないライブを作り続けていきたいなと強く思って、このステージに立たせていただいています。」
そして武道館公演を決めてから「どうしてもやりたかったこと」として、この日のために作った曲をみんなで歌いたいと告げる。その曲は、事前に公開/配信されていた「ONENESS」。親交のある総勢28組計76名もの豪華なアーティスト・俳優・スポーツ選手などの著名人と共に歌った曲だ。ここで“みんなで歌うことで完成する”とKEIGOが伝える。
<僕らの持ってる力は何かを変えて来れたかな? ただ誇るべきものがたった1つ 15年歩んだ道1つ>
これまでの道のりと、これからの決意をつづった曲を丁寧に、ファンと共に紡いで届けていく。シンガロングパートでは「(声を)聴かせてくれ!」とKOHSHI。大きな合唱と温かな拍手が響いた。
ゲスト・GRANRODEOの登場!
いよいよ後半戦。ここからガラリと雰囲気を変えて、心臓音が響き、FLOW×GRANRODEOの映像が。ゲストであり盟友・GRANRODEOの登場だ。大歓声が上がるなか、KISHOWがステージ真ん中に、そしてe-ZUKAがTAKEと向き合い「Howling」「7 -seven-」の2曲をパフォーマンス(ギターソロではTAKEとe-ZUKAによるお馴染みの“釣り”姿)。7人の熱量は見るものを圧倒させるほど凄まじいが、顔を合わせては見せる笑顔から「音楽の楽しさ」を改めて感じさせるかのようであった。
MCでは「GRANRODEOとして今年初のライブです。盟友、戦友、ソウルメイトっていうんですかね。武道館にお呼び立ていただいてありがとうございます!なんか自分たちのほうが高まっちゃって(笑)」と嬉しそうにKISHOW。
e-ZUKAは客席を見ながら「こんなにいっぱいの神様に出会ったことないよ(笑)。……初めまして、“神”です。何か質問あるひと~!」と笑わせる一方、「神祭り、おめでとうございます。今日のリハのときに、TAKEちゃんが“GRANRODEOを呼べたのが嬉しいんだ”と言ってくれて。僕らも嬉しいです。ありがとうございます」とまっすぐな声で伝えた。
「そこにみんながいてくれたから」
GRANRODEOを見送り「まだまだいくぞ、神祭り!」と「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」。スカビートに合わせてダンサーがヲタ芸を打ち、KEIGO、KOHSHIもペンライトを振りまくる。メッセージソング「Sign」を挟んで、火柱が燃えるなか「HERO~希望の歌~」、スモークが漂うなかで「風ノ唄」を熱唱。キラーチューン「GO!!!」では全員でWAVE&テープのプレゼントと、後半は演出面も含めてさらに盛り上がっていく。このあたりからKOHSHIはトレードマークのサングラスを外し、「カモン!」と何度も絶叫した。
KOHSHIが再びギターを持ち<この街の雑踏の中 日々葛藤 辛い現実 噛み締めては七転八倒 かけがえのない 友と共に 立ち向かう意味は今ここに>と歌う「ANTHEM」を届けMCへ。KOHSHIが天井を見上げ、話しはじめる。
「手を上げれば届く天井、前に手が伸ばせば最前のお客さんに触れられるような、はじまりはそんなライブハウスでした。その当時からとにかく無我夢中で。進めば進むほど、その距離が遠く離れていくような感じがして、焦って突っ走るんだけど、全然届かなかったりして。でも止まることはできなくて、気づけばそこはアメリカの天井だったり、ブラジルの客席だったりして。嬉しさや悔しさを繰り返して、今夜この場所に帰ってこれました。(手を掲げて)たっけーな、天井。全然届かない……。でもこうやってライブやってると、目の前のみんながすっげぇ近くに感じられる一体感とか、本当に天井に手が届くんじゃねえかって高揚感に包まれる瞬間があって。俺たちにとってその瞬間は何ものにも代えがたいんです。本当にその瞬間だけを追い求めて、1センチでも、1ミリでもって手を伸ばして、ここまで続けてこられました。なんで続けてこれたかっていうと。それはたったひとつ。そこにみんながいてくれたから」
KOHSHIの言葉を聞いていると、直前に歌った「ANTHEM」の歌詞が改めて染みてくる。ファンや家族、関係者、アーティスト、……すべての人に感謝の気持ちを伝え、「これからもよろしくお願いします」と挨拶し、ラストナンバーへ。
本編最後の曲に選んだのは、10年前の武道館でもラストに響いた「Garden」。感謝の気持ちと未来への希望を爽やかに届けた。
アンコールでは“これから”にまつわる重大発表!
アンコールの声に応えて、Tシャツ姿でメンバーが登場。ここでKEIGOから次の年に向けた“アナウンス”が。
まずこの日のライブが3/3(日)WOWOWにて放送されること、3年ぶり11枚目となるオリジナルアルバム「TRIBALYTHM」(トライバリズム)を4月10日にリリースすること(!)、さらに5月26日から全国ツアーを開催することを発表。「自信作ができました!」と胸を張る。そのアルバムに収録される「PENDULUM」(PC・アプリゲーム『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』テーマ曲)を『コードギアス』の映像が流れるなか熱演した。
最後はデビューシングルの「ブラスター」。バンドとオーディエンスが一体となって、目映いメロディを響かせる。目の前の景色がやたらと眩しいのは、客電が上がっているだけの理由ではない。
武道館公演に向けたホームページの声明文にあった通り「皆とつくる“ライブ”が大好きだということ。その場所がFLOWの“宝物”であるということ。ジャンルじゃない。理屈じゃない」。そんなFLOWの生き様が眩しい。ライブハウスからはじまり、アニメとロックを繋げる稀有な存在となったFLOWの軌跡と奇跡を体現したかのようなライブであった。
テキスト:逆井マリ
カメラクレジット:柴田恵理
FLOW「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館 ~神祭り~」2019年1月30日 日本武道館 セットリスト
01. Break it down
02. JOY TO THE WORLD
03. 7th Heaven
04. Steppin'out
05. 赤いサイレン
06. Red Hot Riot
07. ブレイブルー
08. COLORS
09. メロス
10. 常夏エンドレス
11. 音色
12. Answer
13. Shakys
14. ONENESS
15. Howling
16. 7 -seven-
17. 愛愛愛に撃たれてバイバイバイ
18. HERO~希望の歌~
19. Sign
20. 風ノ唄
21. GO!!!
22. ANTHEM
23. Garden
<アンコール>
24. PENDULUM
25. ブラスター
<Release>
11th ALUBUM 「TRIBALYTHM」
発売日:2019年4月10日(水)
初回生産限定盤(CD+BD)6,926 + 税 KSCL 3143~4
通常盤(CD)3,000 + 税 KSCL 3145
▼CD 収録楽曲(初回生産限定盤・通常盤 同一)
M1.TRIBALYTHM -Intro-
M2.風ノ唄 (「テイルズ オブ」シリーズ20周年記念TVアニメ「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」オープニング主題歌)
M3.Break it down (2019年配信予定「NARUTO×BORUTO」新作ブラウザゲームタイアップソング)
M4.火花
M5.PENDULUM (PC・アプリゲーム「コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ」テーマソング)
M6.サンダーボルト
M7.INNOSENSE (「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」第2期エンディング主題歌)
M8.音色 (ドラマ「幸色のワンルーム」(ABCテレビ)主題歌)
M9.BELIEVER
M10.Smells Like 40 Spirit
M11.BURN (PS3、PS4用ゲームソフト「テイルズ オブ ベルセリア」)
M12.ONENESS (日本武道館テーマソング)
M13.アイオライト
M14.TRIBALYTHM -Outro-
▼Blu-ray Disc収録内容(初回生産限定盤のみ)
・150分を超えるライブ映像完全収録
・15th Anniversary Final「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館 -神祭り-」ドキュメンタリー
・・・等(※収録内容詳細は後日発表いたします)
<TOUR>
FLOW LIVE TOUR 2019「TRIBALYTHM」
2019年5月26日(日)神奈川県 Yokohama Bay Hall
2019年6月9日(日)福岡県 DRUM LOGOS
2019年6月15日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
2019年6月22日(土)大阪府 なんばHatch
2019年6月29日(土)愛知県 DIAMOND HALL
2019年7月6日(土)宮城県 仙台Rensa
<WOWOW>
WOWOW 15th Anniversary Final「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館~神祭り~」
2019年3月3日(日)21:00~