『かぐや様は告らせたい』青山穣さんがナレーションで手応えを感じたエピソードとは【連載】

【連載】『かぐや様は告らせたい』ナレーション・青山穣さんインタビュー前編|ナレーションで手応えを感じたエピソード

2019年1月放送中のTVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(原作:赤坂アカ/集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)。アニメイトタイムズではアニメ化・放送スタートを記念して、『かぐや様は告らせたい』のスタッフ・声優陣を招いての連載企画を実施しています。

第12回となる今回は、ナレーションを担当した青山穣さんが登場! 本作において重要な要素のひとつであるナレーションについてをはじめ、手応えを感じたエピソードなどについてたっぷりとお話を伺いました。


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キャラクターとしてナレーションを捉える

——連続インタビューのラストは前後編で、ナレーション役を務めた青山穣さんにお話をうかがいます。

青山穣さん(以下、青山):よろしくお願いします。でも正直に言えば、難しいことは何も考えないでやっているので、話せるようなことはないんですよね(笑)。

僕はそもそもナレーションとは一体何なのか、まったくわかってないですから。芝居については勉強をしてきたので「役を演じること」はわかっているつもりですけど、ナレーションに関しては「一体何が正解なんだろう?」と今も悩み続けています。


——とはいえ、青山さんは過去にもナレーションを担当されてきましたよね。

青山:ありがたいことに仕事はいただけてきましたけど、「これで正しいんだろうか?」という不安は常にあるし、その気持ちは『かぐや様』でも変わらなかったですね。

例えるなら自動車の免許しか持ってないのに、ロボットの操縦を任せられてしまったような感覚に近いのかな(笑)。「訓練は受けていないけど、やるしかないんだ!」という気持ちで毎回臨んでいます。

——ナレーションについて学ぶ機会は案外少ないのでしょうか?

青山:少なくとも僕は教わったことがほとんどなくて、いきなり実戦へ参加しましたね。ナレーションのことがあまりにわからないので、昔、声優の矢島正明さんと対談したときに思い切って聞いてみたことがあったくらいです。

――矢島さんと言えば、『スタートレック』のカーク船長の吹き替えなどでよく知られる、CMやバラエティ番組でもナレーションを数多く担当されてきた大ベテランですね。近年ではTVアニメ『スペース☆ダンディ』でもナレーションを担当されていました。

青山:でも、その矢島さんに「ナレーションの極意はありませんか?」と聞いても、「よくわからない」と言われてしまった(笑)。矢島さんがわからないんだったら、僕にわかるはずがないですよねぇ……(笑)。

でもそのときに矢島さんは「ナレーションは役だと思ってやればいい。僕はそうやってきたよ」とおっしゃったんですよ。

そこから「ナレーションをキャラクターとして捉えること」を考えるようになりましたね。あの言葉のおかげでナレーションがどんなものなのか、少しはつかめた気がします……あくまでちょっとだけですけどね(笑)。

 

ナレーションは悪魔のセリフ

——『かぐや様』の原作に触れた際も、ナレーションのキャラクター性を探りながら読まれたのでしょうか?

青山:はじめは普通に楽しみながら読みましたね。実は最初、タイトルを勘違いしていたんですよ。『かぐや様は告らせたい』じゃなくて『告られたい』だと。そのほうが普通じゃないですか? だから「告白されたい女の子の物語なのか」と読み進めていったら、なぜか恋愛バトルをしてるので「ん、なんか変だぞ?」と(笑)。

でも読んでいくうちに、タイトルを「告られたい」という受身ではなく、「告らせたい」という使役の表現にしたことが、『かぐや様』のポイントなんだなと感じるようになってきたんですよ。

——「告られたい」と「告らせたい」は一文字違うだけですが、意味合いはかなり変わってきますね。

青山:でしょ? つまり『かぐや様は告らせたい』という作品は、「他人を自分を意のままに動かしたい」という欲望について物語なんだな、と個人的に解釈したんです。もしかしたら現代っ子は、人間を機械のようにコントロールしたいという、ちょっと薄暗い気持ちがあるのかもしれないなと。

でも人を自由に動かすなんて、そんな簡単なことじゃない。かぐやと白銀会長もいろいろな計画を企てるけれども、実際は失敗ばかりなわけで(笑)、だから『かぐや様』は相手を支配したいと考えていた二人が、人間は思い通りにはいかないことを悟るまでを描いたお話になるんじゃないか、と僕は勝手に想像していますね。


——そういった作品解釈は、ナレーションを演じる際にも反映されているのでしょうか?

青山:ありますね。小説には「僕」や「私」が物語を語る一人称と、「彼」や「彼女」で物語を綴る三人称の文体がありますけど、『かぐや様』は三人称の作品だと思っていて。たとえば原作で「かぐやの勝ち」という風に、神様の視点から恋愛頭脳戦のジャッジが下されるところも三人称っぽい。

そう気付いたときに「もしナレーションが“神様”じゃなく、“悪魔”の視点だったら面白いかもしれない」と閃いたんですよ。神様より悪魔がしゃべったほうが面白いだろうし、かぐやの他人をコントロールしたいという欲望はどこか悪魔的でもある。それで二人の恋愛頭脳戦を悪魔がニヤニヤしながら見守っているニュアンスを出してみたんです。


——あのナレーションは悪魔のセリフなんですね。

青山:そうそう。もちろん原作の読者はナレーションを悪魔がしゃべっているとは考えていないでしょうけど、やっぱりアニメにはアニメならではの面白さがあったほうがいいですからね。それであっさりした感じではなく、ちょっとネットリと読んでみるようにしたんです。言ってみれば「三人称悪魔視点」のナレーションですね(笑)。

 

アフレコ現場は20代だらけ

——ナレーションを悪魔の視点にするという方針は、畠山守監督や音響監督の明田川仁さんとも相談されたのでしょうか?

青山:してないしてない(笑)。僕が勝手にやっているだけですね。僕は指名だったので、オーディションで受かったんだったら、「あのときの芝居と同じようにやればいいんだな」と指針ができますけど、それがないわけですから、どんなテイストにするのかは自分で考えるしかない。

監督たちは何も言ってくれないし(笑)、僕を信頼してくれたということなのでうれしい話ではありますけど、手探りで役作りをしなければいけない難しさはありましたね。

——『かぐや様』のナレーションで苦労された具体的なポイントをうかがえますか。

青山:序盤はナレーションの量に対して時間の尺が短くて、早口でどんどん詰め込んでいかなければいけないところは大変でしたね。尺が短いとセリフを読むだけで精いっぱいになるので、細かいニュアンスを含ませる余裕がなくなってしまう。

後半のエピソードではナレーションの量が落ち着いてきて、尺に余裕が出てきたおかげでいろいろな遊びも試せるようになりましたけど、特に第1話はきつかったですね。

——あの文量を噛まずに演じるだけで大変ですよね。

青山:そのうえアフレコ現場では後輩たちが見ているわけなので……そりゃ間違えられないですよ(笑)。手本を見せようなんてつもりはないですけど、生徒会のキャストはみんな20代ですからね。石上会計役の鈴木崚汰さんなんてハタチだというし「この間まで高校にいたじゃん!」と(笑)。僕は自分の高校の時代なんて完全に忘れてるくらいなのに。

——演じていて手応えがあったエピソードはありますか?

青山:ナレーションの聴きどころは……全部だよ(爆笑)。実際のところ、手応えなんて自分じゃわからないものなんです。現場では上手くいったと思っても、オンエアを見たら全然そうじゃなかったなんてときもありますからね。

強いて上げるなら、最終回の締めのナレーションは爽やかに絞めてほしいというオーダーがあったので、悪魔とはちょっと違ったテイストでやりましたね。

僕としてはずっと悪魔のままでも面白いんじゃないかと思ったんですけど、やっぱりラストは清々しく終わりたいよねと(笑)。そんな風に、話数によってナレーションのテイストが微妙に違うところもあるので、そこを楽しんでもらえたらうれしいですね。

<連載バックナンバー>
□第 1回:原作者・赤坂アカ
□第 2回:A-1 Pictures 山田賢志郎P×アニプレックス 石川達也P
□第 3回:四宮かぐや役・古賀葵[前編]
□第 4回:四宮かぐや役・古賀葵[後編]
□第 5回:白銀御行 役・古川慎[前編]
□第 6回:白銀御行 役・古川慎[後編]
□第 7回:藤原千花 役・小原好美[前編]
□第 8回:藤原千花 役・小原好美[後編]
□第 9回:石上優役・鈴木崚汰[前編]
□第10回:石上優役・鈴木崚汰[後編]
□第11回:早坂愛役・花守ゆみり
□第12回:ナレーション・青山穣[前編]

 

パッケージ情報

■アニメイト全巻連動購入特典
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※イラストは制作途中のため、内容は変更となる場合がございます。
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作品情報

TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』

<放送情報>
MBS:毎週土曜26時08分~
TOKYO MX・群馬テレビ・とちぎテレビ・BS11:毎週土曜23時30分~
中京テレビ:毎週土曜26時29分~
テレビ新潟:毎週土曜25時55分~
AT-X:毎週月曜21時00分~
 リピート放送:毎週水曜13時00分~/毎週金曜29時00分~/毎週日曜7時30分~
※放送開始日・放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます。予めご了承ください。

<STORY>
家柄も人柄も良し!! 将来を期待された秀才が集う秀知院学園!!
その生徒会で出会った、 副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は互いに惹かれているはずだが…
何もないまま半年が経過!! プライドが高く素直になれない2人は、 面倒臭いことに、 ”如何に相手に告白させるか”ばかりを考えるようになってしまった!?
恋愛は成就するまでが楽しい!! 新感覚”頭脳戦”ラブコメ、 開戦!!

<STAFF>
原作:赤坂アカ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:畠山 守
シリーズ構成:中西やすひろ
キャラクターデザイン:八尋裕子
総作画監督:八尋裕子 矢向宏志 針場裕子
プロップデザイン:木藤貴之
美術監督:若林里紗
色彩設計:ホカリカナコ
撮影監督:岡﨑正春
編集:松原理恵
音楽:羽岡 佳
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
制作:A-1 Pictures
製作:かぐや様は告らせたい製作委員会

<主題歌情報>
◆オープニング・テーマ
鈴木雅之「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」(EPIC RECORDS JAPAN)

◆エンディング・テーマ
halca「センチメンタルクライシス」(SACRA MUSIC)

<CAST>
四宮かぐや:古賀葵
白銀御行:古川慎
藤原千花:小原好美
石上優:鈴木崚汰
早坂愛:花守ゆみり
ナレーション:青山穣
柏木渚:麻倉もも
男子生徒:八代拓
白銀圭:鈴代紗弓
白銀の父:子安武人

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(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
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