『LAIDBACKERS -レイドバッカーズ-』公開記念リレーインタビュー 茜屋日海夏(舞坂舞役)×kz(音楽)の「音楽対談」【連載第1回】
2019年4月5日から劇場公開されるアニメ『LAIDBACKERS -レイドバッカーズ-』。京都に“逆”転生した勇者たちと魔王の、現実世界での日常と、その裏で起こる激しいバトルを描いた“平成最後”のオリジナルアニメーションです。
アニメイトタイムズでは、公開を記念して、キャスト陣を中心としたリレーインタビューを3回連続でお届け。
その第1回は、アイドルを目指してライブ活動を繰り広げる舞坂舞役の茜屋日海夏さんと、作品の音楽を担当したkz(livetune)さんによる『音楽対談』を実施しました!
作品の魅力はもちろん、キズナアイが歌う主題歌「Precious Piece」の制作秘話、舞のキャラクターとしての魅力やアイドルとしての可能性など、『音楽』を軸にたっぷり語っていただきました!!
『LAIDBACKERS -レイドバッカーズ-』は、熱くておしゃれ!
──フォトセッションの時、いい雰囲気で談笑されていましたが、お二人が初めて対面されたのはいつでしたか?
茜屋:舞のキャラソンのレコーディングです。
kz:お会いするのは今日の取材で二度目なのですが、とても話しやすい方で良かったです!
茜屋:ありがとうございます! よく言われます(笑)。
──完成した映画をご覧になっての感想から聞かせてください。
茜屋:ストーリーはもちろん、戦闘シーンを改めて見た時に躍動感がすごいなと思いました。
逆に日常のシーンはみんなのんびり過ごしているので、緩急が良いですよね。気軽に楽しんでいただける作品になったんじゃないかなと思いました。
kz: 僕は出来上がった映像をいただき、音楽制作を進めていったんですけど、クライマックスのバトルだけは制作中だったので映像が未完成な状態でした。
完成試写で初めて見て、作画のみなさんの気合を感じましたし、役者さんの声や効果音、音楽が絵に合わさって、すごいものになったなと思いました。
──『LAIDBACKERS -レイドバッカーズ-』という作品との出会いについて教えてください。設定やストーリーの第一印象はいかがでしたか?
茜屋:私が最初に出会ったのはオーディションの時です。“異世界転生”って、現実世界にいた人が異世界に行って仲間とパーティを組んで旅するのが普通だと思うんですけど、この作品は逆なんだなって。
ファンタジーの世界にいた人たちが転生して姿も変わって、日常をゆるく過ごすというストーリーだったので、どういう展開になっていくんだろうとワクワクしました。
kz:僕はキャラクターデザインがすごく面白いなというのが第一印象でした。僕らの世代が最もアニメに影響を受けていた2000年代前半の雰囲気があって、僕がまだアニメの仕事をする前の、純粋にワクワクしながら作品を見ていた記憶が甦りました。
茜屋:今のお話を聞いて、「ハッ」と納得しました。私も2000年代前半のアニメがすごく好きなんですけど、たしかに同じかっこよさが『LAIDBACKERS -レイドバッカーズ-』にはあると思います。
kz:2000年代前半はかっこいい音楽をポップなアニメにつけるのがブームになっていた時期でもあるので、じゃあ、今回も変わった音楽を作りたいなと。こういう作品にブレイクビーツあたりを被せたらかっこいいだろうなと、最初からイメージしていました。
──オープニングテーマは、疾走感があるインストゥルメンタルのジャズロックです。
▼特報映像
kz:ああいう曲を作ったのは、今回が初めてです。作品の世界観が『逆異世界転生』という設定がありながらも舞台は京都だったり、日常シーンもあればバトルシーンもあったりと、いろんな要素がmixした楽しい雰囲気なので、音楽でもそれを演出したいなと。
ごちゃまぜの音楽を表現するに当たって、「じゃあ、とりあえずトランペットだ!」と。自分で言うのもなんですけど、洒落た曲ができました。
茜屋:おしゃれでした!
kz:オープニングは映像もかっこいいので、ぜひ映画館の大画面で見ていただきたいですね。
舞は、ブレイク寸前のアイドル
──茜屋さんは、舞をどういう風に演じようと思いましたか?
茜屋:他の作品で私が演じたアイドルを橋本(裕之)監督がご存知だったので、自分の経験を活かしつつ、舞ちゃんのポイントとなる腹黒さを意識して演じました。
裏表があるのが彼女の面白いところなんですけど、やり過ぎると悪い子になっちゃうので、バランスにはすごく注意しました。
▲舞坂舞(CV:茜屋日海夏)kz:イヤな子って感じは全くしませんでした。
茜屋:ありがとうございます。もともと弱肉強食の世界で生きていたから、時に鋭いセリフはスッと混ざってくるんです。
「向こうの世界からこちらの世界に来て、どれくらい経っているんだろう?」というのが、舞ちゃんを演じる上で最初に知りたかったことで、まだ数ヶ月程度と教えていただけたので、イメージしやすかったです。
kz:そうだったんだ! その設定、僕は今知りました(笑)。脚本の上江洲(誠)さんが、「この作品は裏設定がめちゃめちゃ多い」って言ってたんですけど、その一つなのかな。
茜屋:数ヶ月なのに、あれだけこの世界になじんでいるのがすごいですよね(笑)。何せ、アイドルでありながらも,YouTuberとしても活動しているというなじみ具合(笑)
のんびり暮らしている中で、ポンポンポンとテンポよく元の世界の回想シーンが挟まれていいって、そっちでは壮絶な闘いが展開しているんです。同じ作品とは思えないテイストの違いで、それも作品の魅力になっていると思います。
──舞には、ライブシーンがあるんですよね。
茜屋:ライブハウスの大きさを想像して、MCの時の声の出し方を決めました。
kz:そうか、そういう演技になっていたから、舞のステージがめちゃめちゃ自然に見えたんだ! たしかに会場の広さによって、MCの声の出し方って変わりますよね。
──舞の持ち曲、「とびっきりシンパシー☆」はkzさんの作曲です。
kz:異世界から現実世界に来てアイドルをやっていることを、地方から都会にやってきた子に置き換えて作った曲です。
メジャーから声がかかる1歩手前くらいの感じを出そうと思って、アレンジをやしきん君にお願いしました。彼なら、絶妙なラインのアイドル曲に仕上げてくれると思ったんです。
茜屋:分かります! キャッチーでドルオタのみなさんが乗りやすい曲でありつつ、メジャーには達してない感じがあって。私もアイドルらしく、ちょっとたどたどしい歌い方を意識しました。
kz:ええっ? うまいなーって思って聴いてましたけど(笑)。でもたしかに茜屋さんの歌い方にはメジャーではない感が出ていて、「とびっきりシンパシー☆」に対するイメージがしっかり共有できているなと思いました。
あれって、劇中では舞がネットで知り合ったボカロPや作曲家に依頼したことになっているんですよね?
茜屋:はい。行動力のある舞ちゃんらしいです。ちゃんとアイドル活動で生計を立てて、久美ちゃんに家賃を払ってますから。
kz:そうそう、3人の中では一番しっかりしてますよね。
茜屋:「とびっきりシンパシー☆」が収録されている「キャラクターソングコレクション」は、公開前にCDのリリースがあるので、まずはそれを聴いて、舞はこんな曲を歌うんだという余韻とともに映画館に足を運んでいただければ嬉しいです。
▼舞坂舞キャラクター紹介映像
主題歌をキズナアイが歌ったワケ
──「キャラクターソングコレクション」には、もう1曲、kzさんが作曲した曲が収録されていますよね。
kz:YuNiさんが歌う「Destination」という曲です。舞と対バンしているアイドルの曲なんですけど、こっちはメジャーに行っている子という設定で作りました。アニメのタイアップ曲を歌ってるというイメージで。
茜屋:すごく分かります! ここでアニメのタイトルが入るんだろうなとか、想像できる曲なんです(笑)。
──そして、キズナアイが歌う主題歌「Precious Piece」も、kzさんが手掛けました。
kz:親分(キズナアイの愛称)に決まったと聞いたときは僕も「なるほどー!」という感じで。逆異世界転生ってバーチャルYouTuberの存在に近い気もしますし。
「Precious Piece」は歌詞も僕が書かせていただきましたが、『レイドバッカーズ』の世界観を意識しつつ、親分らしさも共存させることができたと思っています。
茜屋:彼女らしい曲だなと思いました。私はキズナアイさんとは、別の作品でキャストとしてご一緒したことが出会いだったので、逆に今回、歌声を初めて聴くことができて新鮮でした。すごく素敵なボーカルですし、バックのサウンドもかわいいですよね。
kz:親分は、もともとフューチャーベースやEDMといったジャンルの曲を歌ってらっしゃいましたし、僕もそのジャンルの人間なので、「Precious Piece」では遠慮なく自分のカラーを出すことができました。
それに親分と『レイドバッカーズ』って、なんとなく空気感が似ているんですよね。ハラミや舞に混じって駄菓子屋にいても、違和感がないんじゃないかと思います。
茜屋:舞ちゃんの曲から主題歌までタイプが違う曲を、『レイドバッカーズ』という一つの作品の括りで何曲も作られているのがすごいです!
▼レイドバッカーズ 本予告映像第2弾
プロ二人による『舞坂舞プロデュース計画』!
──お二人の『レイドバッカーズ』の推しキャラは誰ですか? 茜屋さんは舞以外のキャラを挙げてください。
茜屋:それはもうアーネリアですよ(笑)。
kz:やっぱり、そうなっちゃいますよね(笑)。
茜屋:いい意味で、作品のすばらしいマスコットキャラになっていると思います。ワンワン吠えて、キラキラしているのもかわいくて(笑)。それなのにしゃべり方は凜々しくて、向こうの世界で姫騎士だった頃と変わらないというギャップが魅力です。
kz:アーネリアがしゃべった瞬間、「声、低っ!」って思いました(笑)。完全に勇者声ですよね。
茜屋:私も最初に聴いた時は意外に思いましたが、すぐにしっくり来ました。心は姫騎士ですから。
▲アーネリア(CV:内山夕実)
──kzさんの推しキャラは誰でしょうか?
kz:アーネリアはずるいですし(笑)、僕はやっぱり舞が好きなんですよね。
茜屋:えー、嬉しいです!
kz:茜屋さんと対談してるからってワケじゃなく(笑)、舞はなんだかんだで優しいと思うんですよ。自分の気持ちに正直に、自由に行動している子ですが、みんなのこともちゃんと考えていて。それに、今回の映画で一番成長が見えるキャラでもあるんですよね。
茜屋:確かにそうですね。舞の喜怒哀楽が、どのキャラよりも描かれていると思います。周りの子たちに助けられながら、成長している姿を見ていただきたいです。
──そんな舞を、お二人ならどうやって売れっ子にしていきますか? 題して、『舞坂舞プロデュース計画』です。
kz:茜屋さんはご自身もアイドル活動を経験されているわけですから、アイドル・プロデュースには一家言あるんじゃないですか?
茜屋:逆に尊敬しています。アイドル戦国時代を越えた今、いかにして売れるかというところで、舞ちゃんのやり方ってすごく上手だと思うんです。
kz:動画サイトの活用だったり。
茜屋:手近にあるコンテンツから配信していくというのは、すごく大事だなって。舞ちゃんはセルフプロデュースが完璧ですよね。
kz:ただ、親分(キズナアイ)にも通じるんですけど、作られたアイドル像よりも、その子の内面を知りたいというファンが増えているような気がするんです。
だから舞も、もっともっと腹黒さを出してOKなんじゃないかと(笑)。その方がもしかしたら人気が出るんじゃないかなと思います。
茜屋:今は二面性がある子のほうが面白いと思われる時代ですよね。ライブ活動を配信しつつも、今、YouTuberさんがやっているような企画だったりを自分でプロデュースして、もっともっと内面を出していくやり方はありだと思います。
──舞は、どんなコンテンツを配信すればいいと思いますか?
kz:エクササイズ系ですかね、異世界で武道家だった経験を活かして。
茜屋:女性に需要ありそうですね! 武道家の部分は出しちゃっていいと思います。
──となると、衣装は?
kz:今は、かわいらしいアイドル衣装ですよね。
茜屋:制服らしさもあって、アイドルの王道ですよね。リアルな話、衣装にはライブ会場の広さとの兼ね合いもあるんですよ。大きな会場だとキラキラしている衣装の方が目に入るんですけど、舞ちゃんのクラスだったら、今くらいがちょうどいいんです。
kz:面白い! 完全に仕事目線で参考になります(笑)。 ただ派手だったりキラキラしていればいいってものじゃないんですね。
茜屋:お客さんとの距離を考える必要があるんです。羽根のような目立つアイテムが背中にあるのもいいアイディアで、振り返った時にチラッと見えると嬉しいじゃないですか。この衣装を自分で考えて作っていると思うと、すごいですよね。
──「とびっきりシンパシー☆」の次の曲はどうしましょうか?
kz:アイドルらしさで売るんだったら同じ方向でいいんですけど、素を出していくのなら、もうちょっと暴れた曲でもいいのかなと。メジャーに行けるポテンシャルはあるので、がんばってほしいですね。僕もまた提供してみたいです。
茜屋:メジャー感がある曲をお願いします!(笑)
──最後に、今後の舞にキャッチコピーをつけるとしたら?
kz:これは難しい……。素を出すんだったら、「歌う狂犬」とかでいいんじゃないですか。リングネームに近いですけど(笑)。
茜屋:ステキ(笑)。ハラミの「狂戦士」という設定にもかかってますね。表も裏もさらけ出して武道家であることも見せていくのなら、「裏は表で表は裏、あなたのハートをアッパーカット!」とかどうでしょう?
kz:すごい! よくライブで見るアイドルの挨拶そのものだ(笑)。さすが本職です!
茜屋:ありがとうございます(笑)みなさん、そんな舞ちゃんにも注目しながら、是非劇場でお楽しみ頂きたいですね!
【取材・文/鈴木隆詩、写真/相澤宏諒】
作品情報
劇場オリジナルアニメ「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」
2019年4月5日劇場公開!
※2週間限定
劇場情報
新宿ピカデリー他 全国公開(2週間限定)
劇場情報の詳細は、公式サイトをチェック!
前売券情報
第1弾特典付き 全国共通前売券(ムビチケカード)販売中!!
価格:1,500円(税込)
特典:オリジナルA4クリアファイル
(キャラクター原案・鈴木次郎描き下ろし)
※特典には数に限りがございます。
なくなり次第、前売券のみの販売となります。
音楽情報
▼主題歌:『Precious Piece』/ Kizuna AI(キズナアイ)
▼キズナアイメッセージ付 主題歌『Precious Piece』楽曲視聴動画
『Precious Piece』/ Kizuna AI(キズナアイ)楽曲情報
<発売日>2019年4月3日(水)
<価格>初回限定盤(LPサイズジャケット) :2,200円+税、通常盤価格:1,100円+税
<収録曲>
1.Precious Piece
作詞・作曲・編曲/kz
2.Cords Of Love
作詞・作曲・編曲/清 竜人
3.Precious Piece (カラオケ)
4.Cords Of Love(カラオケ)
▼「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」キャラクターソングコレクション
<発売日>2019年4月3日(水)
<価格>2,500円+税
<収録曲>
1.CRAZY ACE
歌:三乃ハラミ(CV:日高里菜)、作詞:ミズノゲンキ、作曲:渡辺未来、編曲:白戸佑輔
2.とびっきりシンパシー☆(挿入歌)
歌:舞坂 舞(CV:茜屋 日海夏)、作詞:ミズノゲンキ、作曲:kz、編曲:やしきん
3.学術的研究成果
歌:草薙・K(CV:大地 葉)、作詞:ミズノゲンキ、作曲:島崎貴光、編曲:斉藤信治
4.Chivalrous Spirit
歌:アーネリア(CV:内山夕実)、作詞:ミズノゲンキ、作曲:向井健太、編曲:白戸佑輔
5.リジェネレイト
歌:らん(ヴァルヴァラン)(CV:長縄まりあ)、作詞:ミズノゲンキ、作曲:ヤナガワタカオ、編曲:高木龍一
6.Destination(挿入歌)
歌:YuNi、作詞:ミズノゲンキ、作曲・編曲:kz
イントロダクション
京都に“逆”転生した勇者たちと魔王の、過酷な闘いが今、始まる・・・!?
祖母の駄菓子屋を継ぐため、京都に引っ越してきた美大生・本天沼久美。
だが、空き家だったはずの駄菓子屋には、ハラミ・K・舞の三人の少女と犬一匹が住み着いていた!
なんと、ハラミたちは魔王を追って、剣と魔法の世界からこちらの世界へ転生してきた勇者達だったのだ!
しかし、転生の影響で力を失った彼女たちは普通の人となり、しかもリーダーの姫騎士アーネリアは
犬の姿に変わり果てていた・・・。
身寄りも常識もない彼女たちを追いだすこともできず、久美はおかしな仲間たちと同居をすることに。
元の世界での使命感からも解放され、平和な世界にも馴染みはじめ、それぞれが自由気ままに暮らしていたある日。力を失い、小学生となった、元魔王・らんが彼女たちの前に現れ、こう告げた。
「私と一緒に、魔王の欠片を集めてもらえませんか?」
スタッフ
監督:橋本裕之
脚本:上江洲誠
キャラクター原案:鈴木次郎
チーフディレクター :佐藤清光
キャラクターデザイン・総作画監督:土屋圭
音楽:kz(livetune)
音響監督:山口貴之
アニメ―ション制作:Studio五組
配給:クロックワークス
製作:LAIDBACKERS製作委員会
キャスト
三乃ハラミ:日高里菜
舞坂舞:茜屋日海夏
草薙・K:大地葉
アーネリア:内山夕実
らん:長縄まりあ
本天沼久美:花守ゆみり
鷺ノ宮優子:藤田 咲
ロン:福山 潤
レナード:小西克幸
ほか
「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」公式サイト
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