艦長・秋津竜太は特殊な"クーデレ"!? キャスト全員が女性声優の『空母いぶき』ボイスドラマで主人公を演じた上坂すみれさんにインタビュー!
いぶきの艦長は狼狽えちゃいけない
——今回演じた主人公である秋津竜太という人物について、上坂さんから見ていかがですか?
上坂:映画や原作では、一見表情が読めなかったり、「アジア最強」などのパワーワードを使用する、色んな意味で周りを巻き込んでいくタイプの人だと思います。
でも芯には国民を守るという気持ちを人一倍強く持っていて、空自のエースでもあり、《いぶき》の艦長でもありと、パイロットの気持ちと艦乗りの気持ちが両方わかる、超人的なキャラクターだなと感じました。
このボイスドラマでも、周りのキャラクターが不測の事態に動揺していても秋津さんはすごく冷静で。私はこういう役をやることがあまりなく、どちらかというと「大変です。もうヤバいっすよ!」みたいなキャラのほうが多かったので(笑)。
こういう抑えるお芝居はすごく学ぶものが多かったですし、《いぶき》の艦長は狼狽えちゃいけないんだというのを演じながらよく再認識しました。
——先ほど超人的なキャラクターというお話をされましたが、対して、一部人間味溢れるシーンもあると映画を拝見していて思いました。その辺はいかがでしょうか?
上坂:そうですね。映画ならではの味わいがあるというか。原作漫画では心情を語るシーンがすごく限られているんですけど、映画だと新波さんとのやり取りなどが描かれているんです。
そこが、ボイスドラマにも使われていたのがすごく良かったです。秋津さんはずっと淡々としてるのかと思ってたんですが、「あ、私と同じ人間だった。良かった」と感じるところが描かれています。
自分の想像の中でキャラクターを思い描いていたんですが、ざっくりアニメ的なキャラ分類をすると、「クーデレ」に属するんですかね(笑)。
——随分デレが少ない気もしますが(笑)。
上坂:そうですね。“特殊クーデレキャラクター”かもしれないと演じていて思いました(笑)。
命令がいっぱいできて気持ち良かった
——上坂さんは、ミリタリーものがお好きですよね。今回演じてみて楽しかったところ、萌えを感じたところがあればそれもお伺いできればと。
上坂:やはり「総員衝撃に備え!」と言いたかったので、言えて良かったです(笑)。
「対空対潜警戒を厳となせ!」とか「対空戦闘用意!」といった命令をたくさん言うことがてきて気持ち良かったです。
あと、ミグ35(敵軍に配備されているジェット戦闘機)が出てくるんですけど、「あぁ、ミグはやっぱり丈夫で今でも現役で働いていて偉いな」と思ったりしました(笑)。
——上坂さんにとってのミリタリージャンルの魅力というのはどういうところにあると思いますか?
上坂:私はずっとソ連陸軍史みたいなものが好きなんですが、ミリタリーにハマるポイントは人それぞれだと思うんです。
私の場合だったら、ソ連の戦車の歴史=ソ連の歴史ですし、戦車の特徴によって当時の人たちが何を求めていたのかみたいなことが分かったりするんです。
今はもう戦車も完成形のようなものになって、戦車戦というのが特殊なものになってますが、過去の戦車を調べていくと「歴史とともに戦車はあるな〜」というロマンを感じられるんです。
戦車を含めたミリタリーを掘り下げていく楽しみと歴史を知る楽しみがありますね。
そしてお国柄が戦車に出るというこの萌えが私にとってのポイントです。
——上坂さんは護衛艦「やまゆき」の一日艦長をやられたことがありますが、その時はいかがでしたか?
上坂:はい。あの時はもうほんとに楽しくて一日艦長だと言ってるのに、誰よりも携帯で写真をいっぱい撮って、ちょっと職務を放棄していた節があるんですけど(笑)。
号令をかけたり、いろんな催し物を間近で見させていただいたり、すご〜くテンションが上がっていました。
——当時はまさか護衛艦の艦長役を演じるとは思っていなかったかと思います。その時の経験は作品に落とし込めましたか?
上坂:いや、そのお仕事の時は個人的な楽しみという側面が大きくて(笑)。「やまゆき」とは違って《いぶき》は、戦闘機が発着できたりする、「やまゆき」より進化した近未来護衛艦のような感じですから。
「やまゆき」の楽しい思い出は一回忘れて演じました(笑)。