LiSA平成ラスト横浜アリーナ公演2日目レポート──「忘れないで。みんなは"最高の今日"を作れます」
シンガー・LiSAさんが4月29日(月・祝)30日(火・祝)に神奈川・横浜アリーナにてワンマンライブ「LiVE is Smile Always~364+JOKER~」を開催した。
本公演は"平成最後"の区切りに特別に行われたもの。本稿では2日目に巻き起こった熱狂をレポートします。
いいロックの日の祝祭!
今回の公演のテーマはタイトルから分かる通りトランプ。それをコンセプトとしたアニメーションがオープニングに流れ、1万3千人のLiSAッ子たちがモニターに集中する。
物語の舞台はスペードをかかげる騎士の国、ハートを掲げる信徒の国、クラブを掲げる農民の国、ダイヤを掲げる商人の国からなる世界。しかし、この世界から何かが欠け落ちはじめていく。その原因を究明するために選ばれた5人の冒険がはじまっていく(うち1人にLiSAさんと思われる女性の冒険者の姿が)。
アニメーションが終わるとLiSAさんがステージセンターに登壇。客席が一瞬にしてLiSA色へと変わり、怒号のような歓声が響くなか「Thrill, Risk, Heartless」で観客の心を撃ちぬくと、マントのフードを下ろして「Rising Hope」へ。満場のファンの歓喜と興奮が渦巻く"これ以上ない"ほどの最高の開幕だ。
「ようこそLiVE is Smile Always~364+JOKER~in横浜アリーナ! こんばんはー! LiSAでーす! 横浜アリーナ2日目―! ついにやってきました、平成ラストの日! そんな大事な日をココにきて大丈夫?(笑) そんな大事な日を任せてもらったからには、期待しかしないでね! みんなと一緒にすっごい平成の終わりを見たいんだけどついてきてくれる?
前回横浜アリーナをやったときはSun&Moonでしたね(※2016年「LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~」公演)。そのときよりもヤバい横浜アリーナ、待ってるよね? LiSAッ子の皆さん、平成を"JUMP!!"する準備はいい? 愛と思いやりを大切に、ここにいるみんなで最高に楽しんでいきましょう! ピース!」
その言葉から繋がっていったのは「JUMP!!」「rapid life シンドローム」。アッパーに盛り上げていき、今度はトランプダンサーと共に「アシアトコンパス」をパフォーム。平成の象徴のひとつであるプリクラをダンサーと楽しむ演出など巨大モニターや変形ステージを駆使した印象的な場面がたくさんあったが、なによりもLiSAさんの表情一つひとつに惹きつけられる。センターステージで披露されたミディアムバラード「1/f」にしかり、中盤からはその声、その表情に急速に引き込まれていった。
ここでアニメーションへ。ここでは冒険者たちの背景があきらかになっていく。「私たちこれからどうしたらいいのかな」。身の振り方を迷っている一方、冒険者LiSAは冒険者みんなが持っている"シンボル"が出ず「どうしてシンボルがでないの。私が生まれてきた意味があるのかな」と静かに苦悩していた(みんなの"普通"が自分にはない、そんな叫びが聞こえてきそうだった)。
冒険者のひとりから、この世界には、絶望の暗闇に包まれたとき、双子の姉妹(!)が平和をもたらした"陽と月の伝説"があるという話に。そんな彼女たちを導いたという占い師・シャンウェイの末柄に会いにいく……。
趣向を凝らした中盤ブロックに心奪われる
映像が終わると赤い着物で登場したLiSAさん。真っ赤な照明を浴びながらギターと共に披露した「LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」からさらに魅せていく。さらに「the end of my world」、骸骨との激しい絡みとインカメ映像でファンを魅了した「DOCTOR」……と挑戦的なパフォーマンスが続いた(特に色気たっぷりの「DOCTOR」は名演)。
そんなアダルティなムードから一転、今度はせりあがるサブステージでバラード「Blue Moon」を膝をついて熱唱。月をバックにした幻想的な背景、LiSAさん自身が月のように浮かび上がっているかのような演出に目を奪われる。
アカペラからスタートした「TODAY」を歌唱すると、「悲しいことも苦しいことも全部力に変えて、令和を進んでいく準備はいい!?」というアジテートで『鬼滅の刃』のOP「紅蓮華」が咲き誇る。圧倒的なスケール感がある演出も飛びぬけて素晴らしいのだが、力強く伸びやかな歌声は、ただただ圧巻だ。
ふたたびアニメーションへ。冒険者たちは占い師のいる町へ。LiSAは導かれるようにシャンウェイの末柄のもとへ。占い師は冒険者・LiSAを諭すようにゆっくり話しはじめ、トランプの数字を足すと364であることを伝える。「クラブ、ダイヤ、ハート、スペード、そして13の数字。すべての数字を足すと364」「364……1年間に1日足りない」。シャンウェイは冒険者・LiSAが最後の1日を完成する、あらゆる世界を凌駕するこの世界の切り札・ジョーカーであることを告げる。人生を切り開く合言葉は──。
LiVE is Smile Always?364+JOKER?
— LiSA (@LiSA_OLiVE) 2019年5月3日
シャンウェイが教えてくれた合言葉①
アニメーション 南方研究所 @task_plus9
音楽 堀江晶太@kemu8888
LiSA、シャンウェイ CV 小林ゆう@holy_kobayashi #364JOKER pic.twitter.com/O8tLGAhjiC
「たりら!たりら!」。その言葉に会場が沸く。ドレス姿のLiSAがステージに登場すると、はじまったのはもちろん「ROCK-mode'18」だ。さらに観客のシンガロングからスタートした「ADAMAS」、畳みかけるように「LiTTLE DEViL PARADE」「Psychedelic Drive」「Rally Go Round」と飛ばしていくこれまでの楽曲が点となって線で繋がっていくかのように──冒険譚の裏に込められたメッセージを改めて感じると共に、平成を駆け抜けてきた彼女の軌跡と奇跡を改めて痛感した。
本編ラスト直前に冒険者・LiSAから最後にメッセージが送られる。「ジョーカーは自分自身、ギリギリの世界で絶対にあなただけにできること。さあ、あなただけの物語の一歩を踏み出そう」。
そのまま「横浜ラストー!」とLiSAが叫び「Hi FiVE!」へ。客席が美しいピンク色に染まり"最高の瞬間"を彩っていく。
「特別な日をこんなにたくさんの人と最高の時間を過ごせて本当に幸せです! 誰かからすると今日は何気ない一日かもしれない。でも何気ない大切な一日を重ねて私たちは今日までやってきました。そんな"今日"は、たどり着いた最高の日です。一緒にきてくれて本当にありがとう!」
そんなまっすぐなメッセージを残し「ばいちっ!」とバックステージへと戻っていったLiSAさんだった。
「最後に私たちの唄、歌う!?」
大声援にこたえてふたたび登場したLiSAさんは「アンコールありがとう! 本当に君たちはすごいよ! こんな特別な今日、ここにきてくれてどうもありがとう。みんな、すごかったよ!」とLiSAッ子たちに賛辞を送る。
そして平成を振り返り「いつも無敵でいたいと思いながらギリギリのところでダメダメで、悔しくてたまらないことが平成はたくさんありました。でも"ギリギリでもいいんだよ"って助けてくれる、遊んでくれる仲間、こうやって遊びにきてくれるたくさんのひとがいて、一緒に最高の日を続けてこられたんだなと思います。ギリギリにしか生きられない私ですけど……それでもいいんだよって言ってくれたみんなに、平成、もう1曲だけ一緒に歌いたいんですけど、踊ってくれる? みんなが作らせてくれた歌なんですけど、歌ってもいい?」
そして「平成最後くらい踊ってもいいんじゃない?」とイタズラっぽい笑顔を見せ、振付とともに「スパイシーワールド」をお届け。さらに「平成ラストの横浜アリーナ、最後に私たちの歌、歌う!?」「ラスト、一緒に歌って!」と「Catch the Moment」を全員で大合唱。新しい時代に向けての決意を感じる明るく力強い歌声に思わず泣きそうになる。平成ラストにとんでもなく美しい景色を見せてもらった気分だ。
歌い終えると「本当に本当に……どうもありがとう! ピース! 最高の平成でした、ありがとう!」と万感の思いを伝えたLiSAさん。最後にバンドメンバー、トランプダンサーたちを改めて紹介(さらにアニメーションのネタバラしも)。
また、「私が生きてきた人生もLiSAとしての活動も平成にたくさんあったなと思っています」と平成を振り返り、今回のタイトル"LiVE is Smile Always~364+JOKER~"をつけた理由を話す。
「私自身もしんどいこともつらいことも色々なことがあって。楽しいことはその100倍くらいあるけど、自分の日々の変化や、毎日の気候の変化がしんどく感じることもたくさんありました。でもみんなと最高の日を1日、1日を重ねてきながら、今日にたどり着いたと思っています。
だから……今日が365日目のジョーカーの日だとしたら。364回嫌なことがあっても1日だけ最高の日があったらその1年は最高なのかなって。いろいろなことがあっても平成ラストが最高だったら"最高な平成だったな"と思えるんじゃないかなという希望を込めて"LiVE is Smile Always~364+JOKER~"というタイトルで横浜アリーナやらせてもらいました。不安も緊張もいっぱいあったけどみんなと最高の一日を過ごせたと思います。今日は力を貸してくれて、ここで遊ぶことを選んでくれて、本当にどうもありがとうございました! 忘れないで。みんなは"最高の今日"を作れます。いろいろなことがいっぱいあるし、いろいろな今日があるけど、最高な今日は自分たちで作れます。だから1日、1日を楽しんでください! 世の中の色々なこと全部楽しんでやろうぜ、オッケー!?」
一際大きな歓声が上がるなか「令和も一緒に最高の日をいっぱい作ろうね!」とメッセージを送って「今日もいい日だっ! ばいちーーー!」と叫んでバックステージへと戻っていった。
LiSAさんは7月3日に令和初のシングル「紅蓮華」をリリース。また7月から全国ホールツアーの開催も決定している。新しい時代のLiSAさんも楽しみで仕方がない。
[Photo by 青木カズロー]
[文・逆井マリ]
セットリスト
01.Thrill, Risk, Heartless
02.Rising Hope
03.JUMP!!
04.rapid life シンドローム
05.アシアトコンパス
06.1/f
07.LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~
08.the end of my world
09.DOCTOR
10.Blue Moon
11.TODAY
12.紅蓮華
13.ROCK-mode'18
14.ADAMAS
15.LiTTLE DEViL PARADE
16.Psychedelic Drive
17.Rally Go Round
18.Hi FiVE!
<アンコール>
19.スパイシーワールド
20.Catch the Moment
ライブ&ドキュメントBlu-ray&DVD リリース情報
★オリコンデイリーBlu-ray ランキング、DVD ランキング(5/14 付)でW1位を獲得!
LiVE is Smile Always ~ASiA TOUR 2018~[eN + core] LiVE & DOCUMENT
【発売日】2019年5月15日(水)
【商品形態】
・完全数量生産限定盤(Blu-ray+ライブCD+特製eN結び手ぬぐい+100P上製本フォトブック、スペシャルBOX仕様)
VVXL26-28 / ¥12,000+税
■完全数量生産限定盤 同梱ライブCD 収録楽曲
2018年6月30日-7月1日に大阪城ホールで開催された、「LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]」のライブ音源を収録!
01.Rising Hope
02.ASH
03.だってアタシのヒーロー。
04.No More Time Machine
05.シルシ
06.ハローグッデイ
07.ROCK-mode’18
08.Thrill, Risk, Heartless
09.LiTTLE DEViL PARADE
10.crossing field
11.Catch the Moment
12.Mr.Launcher
13.Believe in ourselves
14.best day, best way
の、14曲を収録!
初回仕様限定盤(Blu-ray、三方背ケース仕様)
VVXL29 / ¥8,000+税
初回仕様限定盤(DVD、三方背ケース仕様)
VVBL125-126 / ¥8,000+税
■映像収録楽曲(完全数量生産限定盤・初回仕様限定盤BD/DVD全て、収録される映像は同じです)
01.DOCUMENT①
02.Believe in myself
03.DOCUMENT②
04.Rising Hope
05.Brave Freak Out
06.ASH / 07.DOCUMENT③
08.EGOiSTiC SHOOTER
09.L.Miranic
10.DOCUMENT④
11.DOCTOR
12.罪人
13.DOCUMENT⑤
14.ROCK-mode’18
15.Thrill, Risk, Heartless
16.Psychedelic Drive
17.DOCUMENT⑥
18.シルシ
19.DOCUMENT⑦
20.だってアタシのヒーロー。
21.No More Time Machine
22.WiLD CANDY
23.DOCUMENT⑧
24.ハローグッデイ
25.Hi FiVE!
26.DOCUMENT⑨
27.LiTTLE DEViL PARADE
28.Catch the Moment
29.Mr.Launcher
30.DOCUMENT⑩
31.Believe in myself [eN]
32.Believe in ourselves
33.best day, best way
34.DOCUMENT⑪
35.Believe in ourselves -MUSiC CLiP-
LiSA’s Profile
LiSA (読み:リサ)
岐阜県出身、6月24日生まれ。
'10年春より放送されたTV アニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster(通称:ガルデモ)」2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、ガルデモ名義でのシングル・アルバム累計40万枚以上をセールスし、人気を集める。'11年春にミニアルバム「Letters to U」にてソロデビュー。
その後、TV アニメ「Fate/Zero」、「ソードアート・オンライン」、「魔法科高校の劣等生」など数々の人気作品の主題歌を担当し、国内のみならず世界中にてヒットを記録。2017年2月には「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」の主題歌を担当し、大ヒットセールスを記録(オリコンデイリー1位、ウィークリー4位、各配信サイト1 位など)。
2018年5月には初のベストアルバム「LiSA BEST -Day-」「LiSA BEST -Way-」を2タイトル同時リリース、オリコン週間アルバムランキング(5/21 付)にて1位・2位を独占した。
また、圧倒的な熱量を持つパフォーマンスと歌唱力、ポジティブなメッセージを軸としたライブは瞬く間に人気を集め、次々と完売公演(日比谷野外大音楽堂、日本武道館、幕張メッセ、横浜アリーナ2days、さいたまスーパーアリーナ2days など)を記録。アニソンシーンにとどまらず、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとして、その存在感を示している。
座右の銘:今日もいい日だっ。