『ポケモン サン&ムーン』ゲームで人気の名ゼリフについても言及! グズマ役 加瀬康之さんインタビュー
放送中のTVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』では現在、アローラ地方一のポケモントレーナーを決める大会・アローラポケモンリーグが開催されています。
8月25日に放送された「燃え上がる炎!ライバルはひとりじゃない!!」では、主人公のサトシ(CV:松本梨香さん)とスカル団のボス・グズマ(CV:加瀬康之さん)による準決勝がスタート。さまざまな感情が渦巻く重要な1戦となっています。
本記事では、グズマ役の加瀬康之さんにインタビューを敢行。準決勝の見どころはもちろん、グズマのキャラクター性や収録時の裏話なども語っていただきました。ファンが待ち望む、グズマの“あの名ゼリフ”についても言及されていますので、ぜひ最後までご覧ください!
▼本文
意外と子どもっぽい? 1位にこだわる無敗の帝王
――グズマはどんなキャラクターだと思いますか?
加瀬康之さん(以下、加瀬):第一印象は“悪いやつ”だったのですが、少なくとも悪人ではないと思っています。彼なりの正義がちゃんとあるんです。なので、ただ悪く演じるのではなく、グズマという特別なキャラクターの個性が出るように演じています。
――確かに、どこか憎めないところがあります。
加瀬:バトルでもルール違反はしませんしね。見ている子どもたちからは「ひどい」とか言われてしまいますけど。ただ、これまでに対戦した相手は小さい子ばかりなのに、そこにも容赦はないんだな、とは思います(笑)。
――よくよく考えると普通にバトルをしているだけなのですが、なぜか威圧感がありますよね。技を指示するときのセリフがとくにプレッシャーを感じます。
加瀬:「であいがしら」とか、低い声でぼそっと言ったときですよね。どこまで声を張っていいのかとか、バトル中のテンションとの兼ね合いが難しかったです。ちなみに“であいがしら”は皆が見ている中で使ってしまったので、もう2度と使えないなと思ってしまいました(笑)。
――警戒はされてしまうかも……(笑)。グズマを演じるうえで、音響監督の三間さんからはどんなディレクションを受けましたか?
加瀬:初っ端から「怖すぎる」と言われました。子どもが見るものですから、もう少し柔らかく演じて欲しいと。
――テスト段階ではさらに威圧感マシマシだったわけですね……。
加瀬:やる前から絶対言われるとは思っていたのですが、それでもまずは自分の思うグズマを演じてみようと思いまして……。悪いやつが出てきたぞ、という演出をしたうえですこし威圧感を抑えるというのはすこし難しかったです。
――グズマといえばククイ博士との因縁が切っても切れません。アローラポケモンリーグに出場したのもやはりそれが理由なのでしょうか。
加瀬:何をやっても2番で、自分のやることが認められなかった過去がありますから、何とかククイを見返したいという思いが原動力になっているんだと思います。リーグに出場したのも、ククイが集めた腕利きのトレーナーたちをZワザも使わずに倒す様を見せつけたいからだと思います。
――グズマはチャンピオンになってリーグをぶっ壊してやると言っていますが、本当にチャンピオンになってしまったらどうなると思いますか?
加瀬:結局、いい人になるんだと思います。これまで1番になったことがない人なので、初めての優勝をきっかけにいろいろなことが見えてくるんじゃないかなと思います。
きっと熱いバトルをすると思うので、会場も大いに盛り上がるでしょう。いままで受けたことのない声援を受けて、ハッと自身の高揚感みたいなものに気付くんです。そして「こういうのも悪くないな」なんて(笑)。そうなったグズマが改めてククイ……もといロイヤルマスクとバトルする展開、アツくないですか?
――いいですね! まるでグズマが主人公のようです(笑)。
加瀬:とはいえこの問題は根が深いから、グズマもそこまで簡単に気持ちの踏ん切りはつかないのかもしれないですね……。
――グズマの抱える問題については、スカル団の中ではプルメリだけが理解しているようです。彼女が助けになってくれる可能性も……?
加瀬:解決に導いてくれることはあるかもしれませんが、いかんせんグズマも子どもっぽいところがあるので、なかなか難しそうですね(笑)。
――どういうところに子どもっぽさを感じますか?
加瀬:グズマは 2番では満足できなくて、1番になりたい人なんですよ。オリンピックに出るようなアスリートの方であればまだしも、多くの大人は「2番でも仕方ない」と諦めてしまうこともあると思うんです。でもグズマは諦めきれていない。そこが魅力でもあります。
――幾度もグズマの前に立ちはだかってきたククイという壁。そして今度は、その教え子が行く手を阻みます。準決勝のサトシ戦、注目すべきところはどこでしょうか?
加瀬:バトル全体を通してグズマが変化していきますので、そこに注目してください。ここは三間さんと入念にディスカッションを重ねながらすり合わせをした部分です。三間さんの頭の中に出来上がっているプランを僕が完璧に理解しないといけないので、何度も質問を繰り返しました。
ポケモンのアニメは基本的に子ども向けですが、とてもそうは思えないほど深いんですよね。単純に「ここをこうして」、「はいわかりました」で済むような作品ではないんです。収録の雰囲気もけっこうピリピリしていて(笑)。
――そうなんですか!? 勝手に和気あいあいとした感じをイメージしていました。
加瀬:どうしてグズマはここでこのセリフを言うんだろうとか、気になったことを質問するとその場で協議が始まることがあります。その時は空気がかなり張りつめているのを感じるので「余計なこと言っちゃったかな?」と思うこともあるのですが、僕もそこはこだわりたいところなので。
もちろん、雰囲気が悪かったり喧嘩しているわけではないですよ。キャストも含めてスタッフ全員が真剣に向き合っているからこそ、本気で話し合うわけです。
――子どもだけでなく、世代を超えて愛され続けている理由はそこにあるのかもしれませんね。それでは改めて、アローラポケモンリーグ準決勝の見どころを教えてください。
加瀬:先ほどお話ししたグズマの変化のほかに、グソクムシャとピカチュウの再戦にも注目してほしいです。“どくづき”と“じごくづき”をとにかくたくさん指示しました(笑)。技の指示は言葉こそすべて同じですが、当然その場面場面ですべて別のセリフになっていないといけません。微妙な感情の違いを同じ技で表現するのは難しかったですが、一生懸命頑張りましたので、ぜひ聞き比べてみてください。
それから、バトル決着後のグズマの退場シーンも見どころです。セリフを一言入れるか入れないか、ここも三間さんとディスカッションを交わしました。結果的に、台本にあったセリフをあえて削っています。最後に口元がアップになるシーンがあるのですが、そこだけアドリブでセリフを入れました。
そしてもうひとつ、Twitterを始め、ファンの方からメッセージをたくさん頂いています。早くグズマの“あのセリフ”が聞きたい、と(笑)。そのセリフは僕も三間さんもかなりこだわっていて、何度も録り直して満足のいくものを完成させましたので、どうか楽しみにしていてください。
[取材・文/竹内白州]
『ポケットモンスター サン&ムーン』概要
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