『異世界チート魔術師』原作者・内田健先生インタビュー|「楽しい」からこそ、ここまで書き続けられた
「小説家になろう」からデビューするために必要なこと
――これまで長く作品を書き続けて、ファンからの意見や感想で嬉しかったものはありましたか?
内田:文章の構成や書き方が好きと言ってもらえたことでしょうか。文章力は、自分に対する自慢ポイントだと考えるようにしていて。
スランプに陥りかけた時は、そういう感想を読み返して「僕の文章力なら大丈夫だ」と言い聞かせて、自分を奮い立たせるんです(笑)
もちろん反対に、文章が読みづらいという意見もいただいていて。万人受けはしないんだと自分でも思ってはいるのですが、好きと言ってくれる人たちの存在は本当にありがたいですね。
――小説を書く上で、影響を受けたという作家の方はおられますか?
内田:それを自分の作品に反映できているかはわからないのですが、尊敬しているのは宮部みゆき先生です。
とくにすごいと思ったのが『ブレイブ・ストーリー』(※6)で、内容の素晴らしさもさることながら、難しい単語を滅多に使わずに、あれだけの文章を書かれているというのが衝撃的で。
PCを使って書くので、難しい漢字や単語もすぐに出てくるのですが、そういうのを一切使わなくても、こんなに面白い作品が書けるんだと。なぜ宮部先生が大作家と呼ばれるのかが、あの作品で分かった気がしています。
あとは、真似できないという方向性ですごいと思っているのが、京極夏彦先生です。あの空気感と文章力は、真似しようしても自分には出せないだろうなと思っています。
※6 『ブレイブ・ストーリー』
2003年に角川書店より刊行された、宮部みゆき氏によるファンタジー小説。
幻界(ヴィジョン)と呼ばれる世界に迷い込んだ少年・三谷亘が、自身の家族を救うため、願いを叶えてくれるという運命の女神を探す旅が描かれる。2006年には劇場アニメも公開された。
――お話を聞いていると、ライトノベルよりも一般文芸の作品の方を中心に読まれているのかなとも思ったのですが。
内田:いや、そういう訳ではないですね。あまり自分の中で一般文芸とライトノベルの区別はしていません。
自分でもライトノベルを書いているので、最近は同じライトノベル作品を読んでインプットすることの方が多いです。
特に「なろう」で人気の作品とかは、プロだろうとアマだろうとできるだけ多く目を通すようにしています。
――そういったインプットも含め、今までの先生の人生をすべてひっくるめて、もっとも創作に生きているのはどんな経験でしょうか?
内田:今までの話でも何度か出てきていますが、子供の頃に『ドラゴンボール』を観ていたことだと思います。
戦闘シーンを描写する時とか、自分の頭の中であのSEやエフェクトが再生されているんです(笑)。子供の頃は、とにかくあれが最高にカッコイイと思っていたので。
『ドラゴンボール』の戦闘って、一瞬キャラクターが消えて、音だけが聞こえるような演出がありますよね。あの演出を思いついた方は本当に天才だと思っていて、あの表現を目指して戦闘シーンを描写していた部分もあります。
それが自分の中でようやく描写できるようになってきたと思えたのが、10巻の戦闘シーンでしたね。
――読者の中には、小説家デビューを目指しているという方もおられると思います。「なろう」からデビューするには、どのようなことを心がけるのがいいのでしょうか。
内田:一番重要なのは、更新の量だと思います。
特に最初の投稿し始める時期は、あらかじめ書き溜めをしておいて、50~60話分までを毎日投稿するという一種の戦略が必要だ、と仰られている作家さんもおられますね。
自分はそこまでとは言わないのですが、やっぱりスタートダッシュというのは重要だと思っていて。
毎日が無理なら3日に1話とかのペースでもいいので、とにかく書き続けることが大事なのではないかなと。
――クオリティを上げるために自分の中で練り続けるよりは、とにかくまずは書いてみることが大事だと。
内田:そうですね。もし「なろう」ではなく、どこかの賞に応募したいという方場合でも、十何万文字を書くことって、やっぱり簡単なことではないので。
とくに小説を書く経験が薄い方にとっては、文章を着実に積み上げていくというのが、長い小説を書くための練習にもなると思います。
少し注目されて日刊ランキングに載れるようになれば、書籍化が狙える世界ですので、十分にチャンスはあると思います。
――今後、作家として挑戦してみたいと思うジャンルはありますか?
内田:真っ先に書きたいと思っているのは現代ファンタジーなのですが、最近は設定を作っていて、自分の中でSFの素養を満たしていないことを実感しまして。
少し言い方は悪いのですが、異世界ファンタジーって多少設定にツッコミどころがあっても、「異世界」ということでごまかせるんですが、SFの場合はそうはいかない。
僕はどちらかというと、とにかく「作品を形にして出したい」という欲を抑えきれないタイプなので、予め緻密な設定を作り上げる必要のあるSFに、敢えて挑戦してみるのも良いのかなと。
読むのは大好きなんですが、書くのは本当に大変なジャンルだと思います。プロでもアマでも、SFを書ける方というのは尊敬していますね。
――最後に、アニメや原作を楽しみにされているファンの方々に向けて、メッセージをお願いします。
内田:アニメは原作を土台にして、すごくいい感じに料理してもらっていると感じています。
原作に沿ってはいるのですが、原作とは違う側面が見れたり、今まで視覚化されていなかった部分が映像化されることで、原作とは違った魅力が出ているのも面白いところなのかなと。
そうした原作からの変化にも注目していただきながら、楽しんでいただければと思います。
――ありがとうございました。
[取材・文/米澤崇史]
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◆小説家になろう作品ページ
◆内田健先生Twitter
TVアニメ「異世界チート魔術師」放送中!
放送情報
AT-X:毎週(水)22:00~
《リピート放送》
毎週(金)14:00/毎週(日)26:00/毎週(火)6:00
※週1話ずつ4回放送。
TOKYO MX:毎週(水)25:35~
KBS京都:毎週(水)25:35~
テレビ愛知:毎週(木)26:05~
サンテレビ:毎週(水)26:00~
BS11:毎週(金)25:00~
※放送日時は編成の都合により変更となる場合がございます。予めご了承下さい。
【配信情報】
dアニメストア:毎週(水) 22:30~
俺たちが守る。
それが、この力(チート)の宿命―
イントロダクション
どこにでもいる普通の高校生・西村太一と、運動神経抜群でモデル体型の美少女・吾妻凛。
平和な高校生活を送っていた二人はある日突然、不思議な魔法陣の光に包まれ、見知らぬ土地へ迷い込んでしまう。
そこは恐ろしい魔物が生息し、獣人やドワーフ、エルフといった多様な種族が存在する、まるでファンタジーのような世界。異世界へと導かれた太一と凛は、ここで生き抜くために「冒険者」になることを決意するが、その適性検査で、二人が“チート”な魔力を持っていることが判明して……。
「小説家になろう」発! シリーズ累計200万部を突破! チート魔術師による異世界ファンタジー英雄譚が遂にTVアニメ化!
STAFF
原作:内田健(ヒーロー文庫/主婦の友インフォス刊)原作イラスト:Nardack
監督:筑紫大介
シリーズ構成:伊神貴世
キャラクターデザイン:丸山修二
サブキャラクターデザイン:渋谷秀寒川歩
アクション監修:追崎史敏小澤和則
モンスターデザイン:由利聡(バーンストーム・デザインラボ)
プロップデザイン:小澤円
美術設定デザイン:
大山裕之(バーンストーム・デザインラボ)
島村大輔(バーンストーム・デザインラボ)
美術監督:空閑由美子(スタジオじゃっく)
色彩設計:のぼりはるこ(緋和)
撮影監督:塩野修平(いなほ)
編集:岡祐司
音響監督:立石弥生
音響効果:風間結花
音楽:藤澤慶昌
音楽制作:KADOKAWA
アニメーション制作:エンカレッジフィルムズ
製作:「異世界チート魔術師」製作委員会
CAST
西村太一:天﨑滉平
吾妻 凛:高橋李依
ミューラ:田中美海
レミーア:大原さやか
エアリィ:久保ユリカ
カシム:下野紘
グラミ:日笠陽子
アナスタシア:真野あゆみ
ミロ/メロ:木野日菜
ロドラ:平川大輔
ジルマール:家中 宏
シャルロット:末柄里恵
アルセナ:大西沙織
スミェーラ:井上麻里奈
ドルトエスハイム:斉藤次郎
公式サイト
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