声優

2019-09-24 17:30

TrySail ライブツアー2019 "The TrySail Odyssey"追加公演レポート｜3rdフルアルバムの楽曲を中心に新たなステージに立ったことを実感したライブ――

全20公演、約半年に渡って行われたTrySail(麻倉もも・雨宮天・夏川椎菜)のLive Tour 2019 "The TrySail Odyssey"。歌でもダンスでも、トークでも、TrySailの魅力が炸裂していた幕張メッセイベントホールでの追加公演(2019年8月3日・4日開催)2日目をレポートする。

3rdフルアルバム『TryAgain』の楽曲を中心に新たなステージに立ったことを実感したライブ

TrySail史上最長のライブツアーは2019年2月23日(土)、満杯となった千葉幕張メッセイベントホールからスタートした。

その直後に3rdフルアルバム『TryAgain』をリリース。つまり初日はまだ誰もフルで聴いたことがない新曲が披露されていたのだ。

▼3rdフルアルバム『TryAgain』

【アルバム】TrySail/TryAgain 通常盤

　
そこから約半年かけて、全20公演を駆け抜けてきたTrySail。実は途中のパシフィコ横浜でのステージも見ているが、ライブや曲が育っているのがよくわかった。

そして追加公演で、再び幕張メッセイベントホールに帰ってきたわけだが、この2DAYSで、あらためてTrySailの底力を感じた。

階段と小さな踊り場ステージで構成された今回のセット。オープニングは、最高に盛り上がる「WANTED GIRL」だ。

ステージの上段部分に一人ずつスポットが当たるように登場したTrySail。最初から超満員の会場もひとつになる。

「最初から飛ばしていくよ！」という言葉通り、勢いを止めることなく突き進んでいく3人。

クールなデジタルロックの「CODING」でさらにノらせると、一転、キュートなポップチューン「未来キュレーション」では、テクテク歩いたり、ステップを踏んで可愛らしいポーズを決めていた。

TrySailの魅力は、こういうバラエティ豊かな曲たちにもある。

その後のMCで、「まだまだ実感が湧いてないけど、悔いが残らないように最高に楽しい時間を作りたい」と麻倉ももが言うと、「このツアーを回って、ライブって皆さん一人一人の力で出来上がってるんだなとあらためて思いました。今日来たみんなが最高の時間にしたいと思えば、最高の時間にならないわけがない！」と雨宮天が続く。

そして最後は、「汗と涙と声を、ここに置いていってください！」と夏川椎菜が力強く言うと、ソロコーナーへ移っていく。ここでも3人の個性は弾けていた。

衣装チェンジして観客を魅了したソロコーナー

トップバッターの雨宮が衣装チェンジをしている間は、麻倉と夏川のいちゃいちゃトークに突入。と言っても、夏川が一方的に麻倉にメロメロになっているという関係なのだが、ファイナルでもしっかり気持ち悪がられていた(笑)。

そして登場した雨宮。『七つの大罪神々の逆鱗』のEDテーマを再び歌うことが決定したという嬉しいニュースを報告すると、自身のイベント『第2回雨宮天音楽で彩るリサイタル』のために作られた新曲「VIPER」を歌っていく。

真っ青な衣装で、妖艶さを漂わせながらのボーカルは、カッコいい以外の何ものでもなかった。

続いて登場したのは麻倉もも。「Good job!」を、みんなで声を出しながら、元気いっぱいに歌う。ひたすら真っ直ぐな歌声は会場を笑顔にしていた。

最後は夏川椎菜で「ステテクレバー」。四つ打ちのノリノリな曲で、サビではみんなでジャンプして一体感を高めていた。

こうやってソロでの楽曲を披露して、一人が衣装をチェンジしている間、フリートークをしていくのは恒例にもなってきている。

麻倉ももは、これまで全公演で髪型を変えていたそうだが、ファイナルはこれまで好評だったものにしようと、宮城公演で披露したストレートのポニーテールにした、という話をしていた。

サイコロトークで語った3人の「繊細な一面」

そして、この公演でずっと続けていたサイコロトークコーナー。

サイコロを振って、その出た目のお題について3人であれやこれや話していくという企画だったが、テーマ「繊細な一面」では、虫が苦手な雨宮のために、夏川と麻倉が、雨宮のいないところで気を使っていることが発覚。

トーク「食わず嫌いかも？」では、ピーマンが食べられるようになったという夏川の報告に、2人がリアルに驚いていたのが面白かった。

ラストのトーク「ラストだから伝えたい」では、トークのテーマが書かれたボードを毎公演夏川が書いていたことをアピール。みんなに「ナンなっちゃんありがとう」と言われて、まんざらでもなさそうな顔をしていた。

さらにもう一つ、麻倉がラストだから伝えたいこととして挙げたのは、次に歌う「またね、」のこと。

実際は、ライブで歌ってから伝えたいということで終盤のMCで伝えられたのだが、実は〈空を見つめてて〉という歌詞を歌うとき、いつか気づいてくれるかなと思いながら、ずっと雨宮を見つめて歌っていたと打ち明ける。

これに夏川がいじけるところまでセットで楽しかったのだが、3人揃ったときのトークの面白さ、止まらなさも彼女たちの魅力だろう。

トークパートを終えてからの後半も、アルバム曲を中心につなげていく。

まず、このツアーは見せるだけではなく、聴かせることもテーマにしていたということで、バラードの「またね、」では、小さなステージを活かし、3人が別の場所で歌いながら、最後に一列に並ぶという演出で、ライティング含めて見ていても聴いていてもジーンと感動したし、「Make Me Happy?」は、雨宮と夏川が手をつないだり、麻倉が夏川を抱きしめたり、3人の楽しさ、仲良しさが伝わってきた。

かわいい振り付けの「ｗhiz」、そして「BraveSail」「バン！バン!!バンザイ!!!」ではトロッコで会場の隅々まで回って歌う。一番うしろ、さらにセンターにトロッコを3台並べてミニステージを作ったり、会場全体で楽しさを共有していた。

さらに聴かせるというテーマらしく、「コバルト」をハモリ曲にリアレンジして披露。3人で目線を交わしながら歌っていく感じは新鮮だった。

ジャジーなアレンジで大人っぽさのあるおしゃれポップス「Take a step forward」をスタンドマイクで、「Truth.」では、3人の力強い歌声を響かせる。「声出せー！」と歌った「Believe」の激しさも凄まじかった。

そしてMCを挟み、このツアー最大のアゲアゲ曲「Sunset カンフー」へ。

初日、アルバム発売前に歌っても、めちゃめちゃ盛り上がっていた曲だったが、アルバムリリース、ツアーを経ても、その強烈なインパクトは変わらない。

新たにMVも撮り下ろしたのだが、おそらく今後もライブで欠かせない大事な曲になるだろう。

スペシャルメドレーで、盛り上がりはさらに加速。やはり「adrenaline!!!」は強力だな！としみじみ感じた。

最後は「azure」。〈忘れない　決して忘れない　どんな出会いも　さよならも〉という歌詞は、ライブの最後にあまりにぴったりで、少し泣きそうになってしまった。

▼「azure」ミュージックビデオ

感謝の気持ちを形にして――

アンコールで再びステージに戻ってきた3人。

「全部出し切りました！　このツアーでTrySailはパワーアップできたと思います。これからも受け取った感謝の気持ちを形にして、どんどんお返しできるように頑張りますので応援よろしくお願いします！」(雨宮天)

「みなさんの近くに行ける機会もあって、顔を見ていたら安心して、心から楽しむことができました。たくさんの声援と笑顔を私たちに送ってくださってありがとうございます！　皆さんに支えられてTrySailがいるんだなと実感しました。これからも高みを目指して頑張っていきますので、ついて来てください！」(麻倉もも)

「どこに行ってもTrySailの味方ばかりで、大好きという気持ちが伝わってきました。私たちもそれを受け取って、毎公演幸せな気持ちで帰ることができました。もっともっと幸せになりたいと思いますので、これからもTrySailのことを応援してくれますか？　私たちももっともっと幸せにしたいと思っていますし、もっともっと楽しいライブをしたいなと思っています。また会える日を楽しみにしています」(夏川椎菜)

3人が熱い言葉をファンに贈ったアンコール。1曲目は毎回くじで歌う曲を決めるという企画をしていて、この日歌う曲は「Baby My Step」に決定。

最後にふさわしく、声を出せる曲を引き当てると、2番からはトロッコで再びファンの近くまで行き、幸せを共有する。そしてラストはアルバムのリード曲「TryAgain」。

2番ではトロッコからステージに戻り、3人で半年に渡り駆け抜けたツアーの最後を祝うように抱き合い、ライブを締めくくった。

すべての歌が終わり、場内ではアナウンスも流れたが、鳴り止まないアンコールの声に3人がダブルアンコールをするために登場！

最後は「WANTED GIRL」。最初に歌った曲を最後に再び歌う………何だかずっとこのライブの余韻に浸れるような、ライブがまた始まるような気持ちになれる良いセレクトだった。

そしてこの曲で見せた3人の最高の笑顔は、このツアーの成功を表していたと思う。

〔文・塚越淳一〕

セットリスト

01. WANTED GIRL
02. CODING
03. 未来キュレーション
04. VIPER / 雨宮天
05. Good Job! / 麻倉もも
06. ステテクレバー / 夏川椎菜
07. またね、
08. Make Me Happy?
09. whiz
10. BraveSail
11. バン!バン!!バンザイ!!!
12. コバルト
13. Take a step forward
14. Truth.
15. Believe
16. Sunset カンフー
17. メドレー（「Sail Out」「primary」「Youthful Dreamer」「adrenaline!!!」）
18. azure