映画『空の青さを知る人よ』長井龍雪 監督&若山詩音さんインタビュー|あおいは全部のハードルを倒しながら進む! 口は悪いけど嫌われないヒロインの姿
絵描きも声優の演技に負けられない
ーー若山さんの実際のアフレコ現場では、どういうアドバイスをされていたのですか?
長井:最初はどんな感じなのかなって、こちらも構えていたんですけど、一発目のアフレコをやってからは他の声優さんと同じ接し方を普通にしてましたね。
……なんかもう全然上手かった。
ーー(笑)。
若山:なんて言ったらいいかわかんないですね。恥ずかしいです(笑)。
長井:これはね、褒め殺し。
ーー褒め殺し(笑)。片や、若山さんはドキドキだったんじゃないですか?
若山:いや、ほんとにドキドキでした。「役が決まりました」ってご連絡いただいてから収録の日まで、「これ間違えてんじゃないの……?」って、実は思っていて。
長井:(笑)。
若山:名前は同じだけど、実は違う人と間違えてたり、取り間違えとかあるかもしれないって思って(笑)。
長井:そこまで不安だったんですか!?
若山:そこまで不安でした! もしくは当日行って「なんか違うな……」って思われたらどうしようって思って……。
もう収録までも不安で不安で。いろんなことに手を付けて、いろんなことにしがみついて、必死に当日アフレコ現場に行った感じがありますね。本当にいろんなものに頼って、勉強したり、練習したりしていました。
長井:ちゃんとそれが出ていたのがよかったですね。本当に上手でした。
若山:ありがとうございます。よかったです。無事に終わってよかったです。
ーー若山さんは、アフレコはどうでしたか?
若山:実際のアフレコも、自分の経験不足や力不足を補うのに必死だったんですけど、私とあおいちゃんがリンクする部分が多かったので、すごく難しいなと感じながらも、楽しんでできました。
スタッフさんやキャストのみなさんと一緒に作り上げている感じも楽しかったですし、あおいちゃんがどんどん動いていくのを追っていくのも、すごいな、楽しいなって感じましたね。
ーーリンクする部分もあったとおっしゃいましたが、あおいのどんなところが好きですか?
若山:あおいってだけで好きなんですが……しいていうなら、我が子のように好きなんです!
姉のあかねからすると、かなり歳が離れているので、自分の子供みたいな感覚が若干あるのかなって思うんですけど、でもあおいから見るとあかねは姉なんですよね。お母さんではなく姉。
お姉ちゃんなのに、なんでそんなに心配するだよって思っているところが多分あって、そういうときの反応がいかにも高校生の娘らしくて、本当に愛しいなって思います。
でも成長した物語の最後のほうのあおいも、ちょっと背伸びして大人っぽくしているあおいも、あとは最後に気持ちがあふれ出して走っていくシーンのあおいも好きですね。
……つまり全部(笑)。
一同:(笑)。
若山:細かく言っただけでしたね(笑)。
長井:ありがとうございます(笑)。
若山:本当に全部大好きです。言い表せない……。
ーー監督は、あおいのどんなところが好きですか?
長井:感情が隠せないところ、隠そうとして隠せてないところがやっぱりバカっぽくて可愛いなと。
大人っぽく頑張ろうとしているんだけど、やりきれていない不完全なところがやっぱ魅力なのかなって思いながら描いていました。
シーンによっては、若山さんの演技に合わせて田中さんが動きをかなり直したところもあるんですよ。
田中さんが若山さんからインスパイアされて、おもしろいフィルムになったなと思います。
ーーなかなかそういった作業は行われないと思うのですが。
長井:スケジュールのこともあるので、あまりやれることではありません。もちろんコンテである程度想定して、みんなが同じものを目指して作っていますし、役者さんもそれで成立するように芝居をしてくれています。
でも、そこを超えた芝居を見せられたら、絵描きも負けられないって思っちゃうことがあるんですよね。
スケジュール的に直せちゃう時期のシーンだったからっていうのもあるんですけど、良い才能がお互いに高め合いながら作れたのかなと思います。
若山:そう言っていただけると、すごくうれしいですね。アフレコの段階でかなり絵が出来ているところとかもあって、あの画のクオリティをみたら、「私が頑張らなくちゃ。そのままだと絶対にダメだな」って思ったんです。
長井:戦い負けないように。
若山:そうです。私には拙いところもいっぱいあったのに、何か影響を受けていただけたのは、すごくうれしいなって思います。