集大成にふさわしい、『冴えカノ』のためだけに捧げる曲を──沢井美空さんとタッグを組んだ劇場版主題歌について春奈るなさんが語る
「『冴えカノ』でしかできない楽曲になった」
――春奈さんのこれまでの『冴えカノ』曲にはセリフが織り込まれてきました。今回のラストのサビ前にある<ねぇ、聴いて>というセリフは春奈さんのアイデアですか?
春奈:みんなで決めた感じです。プリプロで歌詞の最終調整をしたんですが、「どんなセリフにしようか」という話になって。(これまでの曲のセリフの)<あのね><いつかきっと>に繋がるセリフにしたい気持ちがあったので<ねぇ、聴いて>にしました。そこから<大好きだよ>に繋がるという……。
――いい……!
春奈:(笑)。いいですよね!
――「glory days」、歌われてみていかがでしたか?
春奈:難しさはあったんですけど、沢井さんの曲は音程がジャンプする場所がたくさんあって感情を乗せやすいんです。計算しつくしたうえで曲を作ってくださっていて。
特にサビの<もうきっとずっと忘れない>とか、すごく気持ちのいいリズムなので、自分自身も訴えかける気持ちになれる。歌っていてグッときます。『冴えカノ』らしい、『冴えカノ』でしかできない楽曲になったんじゃないかなと……。
――ストリングスも豪華で、すごくブライトな曲ですよね。
春奈:MVでドレスを着てるから余計それを感じさせますよね(笑)。
――MVで着られているドレスは春奈さんがプロデュースしている「LUNAMARIA」の今秋発表第5弾新作ドレスだそうで。「glory days」の雰囲気にピッタリです。
春奈:「君色シグナル」が制服、「ステラブリーズ」でありのままの自分、「glory days」はドレス……ということで一連の物語にもなるし、ジャケットからも時の経過がうかがえるなって。
ミュージックビデオをドレスで撮影したことも、外でずっと撮影したのも初めてだったんです。景色も気持ちも解放的で。壮大な景色を眺めながらリップシンクできるのは新鮮な経験でした。
――恵を意識されたであろうシーンもありますよね。
春奈:そうなんです! 花柄のワンピースを着ているシーンでは、ヘアスタイルが恵を意識したボブカットになっています。あのウィッグは私物なんです。
過去イベントや雑誌の撮影でウィッグを被ったことはあったんですが、ミュージックビデオでボブをかぶるのは初めてだったので新鮮でした。実は楽曲タイトル「glory days」の“glory”には、“恵み”という意味合いもあったりするんです。
――ちなみに今日のベレー帽は恵を意識されたんですか?
春奈:そうです! 実はこのあと聖地巡礼をしにいくんですよ~。すごく楽しみです。
▼『glory days』MusicVideo YouTube EDIT
新しい自分に出会えた「君色シグナル」
――2曲目にはテレビアニメ『冴えない彼女の育てかた』OP曲「君色シグナル」(2015年)が収録されています。改めて聴かれて思われることなどありました?
春奈:自分にとってターニングポイントになった曲です。ここから明らかに音楽への価値観が変わっていきました。
この曲を歌うまでは「空は高く風は歌う」(『Fate/Zero』2ndシーズンED曲)や「Overfly」(『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編ED曲)などシリアス調の楽曲が続いていたんですが、ポップではじけた楽曲がきて。新しい自分に出会えたような気がしました。
MVもここから表情が変わったんです。去年出したベストアルバム『LUNA JOULE』に全曲のMVを入れさせてもらったんですが、それを自分で見たときに「君色シグナル」からすごく変化があるなと思いました。「楽しそうに歌ってるなぁ」って。
――実際に歌うことが楽しくなった時期だった?
春奈:そうですね。ポップな曲を歌って「リアルな気持ちを表現するのってこういうことなんだ」って気づいたところがあったというか……。等身大の気持ちや、恋する気持ちを歌うことの楽しさに気付いた時期でした。