集大成にふさわしい、『冴えカノ』のためだけに捧げる曲を──沢井美空さんとタッグを組んだ劇場版主題歌について春奈るなさんが語る
2019年10月26日(土)より全国ロードショーがスタートした劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』。TVシリーズのスタッフ、キャストが集結した完全新作であり、『冴えカノ』シリーズの“最終章”です。
主題歌「glory days」を歌うのは『冴えカノ』シリーズOP曲でおなじみの春奈るなさん。作詞(+作曲)を春奈さんと共作で手掛けたのはED曲で『冴えカノ』を支えてきた沢井美空さん。『冴えカノ』主題歌を担う二人のヒロインが手を取りあい、最終章にふさわしいブライトで感動的なナンバーが完成しました。
劇場公開に先駆け、劇場版主題歌に加えて、これまでのOP曲、さらにED曲のカヴァーをパッケージしたEP『glory days』をリリース。これまでの曲を振り返りながら、「glory days」に込めた熱い想いを語ってもらいました。
「聴くだけで今までのストーリーを思い返せるような曲に」
――劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』がいよいよ公開になりましたね。
春奈るなさん(以下、春奈):シナリオを読んだだけで感動してしまいました。同時に「終わっちゃうんだな」という寂しい気持ちもありましたが……。『冴えカノ』ファンが喜ぶ要素がたくさん詰め込まれていて、泣けるところもあるし、笑えるところもある。大満足のシナリオでした。劇場で何度も観たいですね。
――最終章の公開に先立って、シリーズの楽曲をまとめたEP盤がリリースされました。春奈さんとしてはどんなお気持ちでしょうか。
春奈:本当にありがたいなと……。「君色シグナル」「ステラブリーズ」を入れていただいたことはもちろん、エンディング曲の「カラフル。」(原曲:沢井美空)、「桜色ダイアリー」(原曲:妄想キャリブレーション)までカヴァーさせていただけるとは。
――それぞれの曲について今日はおうかがいさせて下さい。まずタイトル曲であり、劇場版主題歌「glory days」についておしえてください。沢井美空さんと春奈さんという『冴えカノ』の黄金コンビが作詞された楽曲です。
春奈:そう言っていただけると嬉しいです。
――どういう経緯でおふたりで作ることになったんですか?
春奈:制作のかたからご提案をしていただいて「ぜひ!」と返事しました。沢井さんは『冴えカノ』ワールドを隅々まで理解されているかたなので、どっしりとした安心感があって。
私自身も沢井さんの曲を歌ってみたいという気持ちがあったので、こういう機会をいただけてすごく嬉しかったです。
――どのように一緒に作られていったんです?
春奈:全体的な流れは沢井さんが作ってくださっています。私からは「こんな言葉を入れてほしい」「この言葉を入れたら恵っぽくなるんじゃないか」などを伝えさせてもらいました。
ひとつ私から提案があって……。普段、アニメのテーマソングを作詞や共作させていただくときは、「作品に寄り添いつつ、作品を観ていない方にも伝わる歌詞を」と心がけているんですが、今回は『冴えカノ』の集大成の楽曲ということもあって“『冴えカノ』のためだけの曲”にしたいなと思っていたんです。
それで「これまでのOP曲、ED曲のタイトルを入れるのはどうでしょうか?」というお話をしました。タイトルをちりばめて、聴くだけで今までのストーリーを思い返せるような曲になればいいなと思ったんです。
――自然な形で組み込まれていたので気づいたときに驚きました。
春奈:そうなんです!「ステラブリーズ」は全てカタカナなので入れられなかったんですが、そのかわり「風」(ブリーズ)という言葉を入れました。
構成もすごく気に入っています。“すぐそばのエピローグ”という歌詞が最初に出てくるのですが、自分たちでエピローグと言ってしまうという、『冴えカノ』ならではのメタ感も感じられます。『冴えカノ』の世界観を曲のなかで表現できているのが凄くいいなと思っています。2期の最終回ED曲の「青春プロローグ」からの「エピローグ」という繋がりもあります。
――個人的にはサビの<大好きだよ>の言葉に最終章であることを感じて、嬉しさと共に胸がキュッとなりました。
春奈:そうなんですよ! すごくストレートで、集大成にふさわしいですよね。プラス、未来をしっかり感じさせるような歌詞にしたかったので、<夢の向こうでも 変わらずに そばにいたいから>という言葉を入れさせてもらいました。これはOVAや3期があって欲しい!という私の願望でもあります(笑)。
この<大好きだよ>は今まで感情をあらわにしてこなかった恵が最後に想いを伝える――そんな盛大な告白をイメージしたんです。音が消えてから入るのでインパクトもありますし、歌い手としてもすごく緊張したところです。なかなかエネルギーのいる部分でした。
――<大好き>って言葉自体がエネルギーのいるものですもんね。
春奈:いりますよねぇ。でもここがいちばん伝わる歌詞だと思うので入魂しなきゃいけないなと……。私の「SU・KI・DA・YO」という曲で<好きだよ>と歌ったことはあったんですが、<大好き>は初めてだったのでドキドキしました。
でも、緊張感を持って歌うのもこの曲には合うのかなって。真剣に思いを伝えている曲なので、私自身も背筋を伸ばして歌いたいという気持ちがあります。