【密着レポート第3回】『HUMAN LOST 人間失格』ヒーローが文学とSFを結びつけた!? 冲方丁さんと塩澤快浩さんらが語る「文学とSF」
「よくわからないけど、何か凄いものを見た」という気持ちにさせたかった
――本日のイベントの感想をお聞かせください。
冲方丁さん(以下、冲方):やっと塩澤さんに感想がもらえてよかったなと。途中からただただポカーンとなっていたと仰られていましたが、それがやりたくて作った映画でもあったのです、実に正しい見方なんです。
何も考えられない状態に皆を連れていって、「なんかすごいものを見た」という気持ちにさせたかったんですよね。
塩澤快浩さん(以下、塩澤):僕は太宰治の『人間失格』を読む前に映画を見たのですが、読んでないとは言ってもなんとなく知識は持っているわけです。
映画の中の世界観もどんよりとしているので、そういうイメージで見ていたら、それが最後にまさかああなるとは……(笑)。もうビックリしましたよね。
冲方:アニメーションの技術的に、本当に作れるのかという不安もあったのですが、そこはポリゴン・ピクチュアズの皆さんの底力のおかげで、素晴らしい完成度の映画になったと想います。
――今回のトークは、SFというジャンルも一つのテーマになっていましたが、本作におけるSF的な魅力とはどういった部分でしょうか?
冲方:トーク中でも話したことではあるのですが、世界の命運と一つの命が同じ価値になるのがヒーローという存在です。それを大庭葉藏という人物でやれたのが嬉しいですし、日本のSFアニメーションの一つの可能性ができたのではないかと思います。
塩澤:個人的にも「SFマガジン」でもお世話になっている、富安健一郎さんの作り上げた世界全体の統一感が素晴らしくて。日本的な世界観にSF要素が絶妙に溶け込んでいて、ここまでビジュアライズができているのが本当に凄いなと。
冲方:高田馬場駅の裏路地が、見事にSFになりましたからね。おかげ様で、今後SF作品のロケーションで困ることはないと思います(笑)。
――最後に、『HUMAN LOST 人間失格』の見所や、ファンに向けてのメッセージをお願いします。
冲方:とりあえずは最初のバイクシーンを見てほしいですね。そこを見てもらえれば、続きが気になって最後までご覧いただけるのではと思っています。あとは最終的に、一体皆さんが何を見たのかを、是非とも教えていただければ嬉しいです。
塩澤:いろいろな冲方作品の中でも、ある意味で一番濃い、ぶっとんだ冲方丁のテイストを堪能できる作品になっていると思います。是非とも劇場でご覧になっていただければと。
――ありがとうございました。
[取材・文・写真/米澤崇史]
劇場アニメ―ション映画「HUMAN LOST 人間失格」特典付き 前売券情報
<販売期間>
2019年11月8日(金)~11月28日(木)
■取り扱い店舗
池袋本店、仙台店、札幌店、名古屋店、秋葉原本館、福岡天神ビブレ店、大阪日本橋店、横浜ビブレ店、梅田店、新宿店、通販
■価格
映画前売券(ムビチケ):1,500円(税込)
アニメイト限定 缶バッジ(全1種)+アニメイト限定「キャラクター別 人間失格ボイス」(全4種/ランダム):220円(税込)
※アニメイト限定「キャラクター別 人間失格ボイス」は【大庭葉藏(宮野真守)/柊美子(花澤香菜)/堀木正雄(櫻井孝宏)/竹一(福山潤)】全4種のうちランダムにて1種のお渡しとなります。
※ボイス内容は各キャラのタイトルコールとなります。
※試聴期限は、2019年11月8日(金)より3カ月間有効です。
作品概要
劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』
11月29日(金)全国公開」
配給:東宝映像事業部
<INTRODUCTION>
全人間、失格
昭和111年・GDP世界第1位・年金1億円支給
日本文学の最高峰「人間失格」
狂気のSF・ダークヒーローアクションへ再構築
破滅に至った一人の男の生涯を描く日本文学の金字塔――太宰治「人間失格」。深い死生観、文学性が今なお、強烈な衝撃を与え続ける不朽の名作。そのスピリチュアルを内包し屈指のクリエイター陣によって再構築された、新たなるオリジナルアニメーション映画が誕生した。“日本発の世界を魅了するSFダークヒーロー”を創出すべく本作の起点となったのは、スーパーバイザー・本広克行。脚本は、太宰治と同じ小説家であり、日本SF大賞ほか数々の賞を受賞した冲方丁が担当。日本文学を大胆なSF世界観と重厚な物語へと昇華させた。
異様の日本をリアリティある映像へと落とし込むのは、海外でも多数の賞を受賞し、次々に映像革命を起こし続けるアニメーション制作・ポリゴン・ピクチュアズ。主題歌には、グラミー賞にノミネートされSpotifyにおいて世界でもっともストリーミングされたシンガーJ.Balvinをfeat.に迎えた、音楽シーンの最前線を走り続けるm-floが参加し、世界を彩る。そして、それら鋭く多彩なクリエイティブを、「アフロサムライ」において卓越したアクション描写で世界を驚愕させた監督・木﨑文智が、エモーショナルにまとめあげた。
“日本文学の最高峰×ジャパニーズアニメーション”が危うく交錯する――
狂気の“日本”を巻き添えにする、誰も知らない“ダークヒーローアクション”「人間失格」。
<STORY>
昭和111年――医療革命により死を克服し、環境に配慮しない経済活動と19時間労働政策の末、GDP世界1位、年金支給額1億円を実現した無病長寿大国・日本、東京。
大気汚染と貧困の広がる環状16号線外“アウトサイド”で薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる“大庭葉藏”は、ある日、暴走集団とともに特権階級が住まう環状7号線内”インサイド”へ突貫し、激しい闘争に巻き込まれる。
そこで”ロスト体”と呼ばれる異形体に遭遇した葉藏は、不思議な力をもった女性“柊美子”に命を救われ、自分もまた人とは違う力をもつことを知る。
暴走集団に薬をばらまき、ロスト体を生み出していたのは、葉藏や美子と同じ力をもつ男“堀木正雄”。正雄はいう。
進み過ぎた社会システムにすべての人間は「失格」した、と。文明崩壊にむけ自らのために行動する堀木正雄、文明再生にむけ誰かのために行動する柊美子。
平均寿命120歳を祝う人類初のイベント“人間合格式”を100日後にひかえ、死への逃避を奪われ、人ならざる者となった大庭葉藏が、その果てに選択するものとは――
STAFF
原案:太宰治「人間失格」より
スーパーバイザー:本広克行
監督:木﨑文智
ストーリー原案・脚本:冲方丁
キャラクターデザイン:コザキユースケ
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
企画・プロデュース:MAGNET/スロウカーブ
配給:東宝映像事業部
CAST
大庭葉藏:宮野真守
柊美子:花澤香菜
堀木正雄:櫻井孝宏
竹一:福山潤
澁田:松田健一郎
厚木:小山力也
マダム:沢城みゆき
恒子:千菅春香
公式サイト
公式ツイッター(@HUMANLOST_PR)