“愛してる”は特別で、別格な言葉 でも、今この言葉をすごく伝えたい――斉藤朱夏さんの1stシングル『36℃/パパパ』に込められた思いを紐解く
自分を応援してほしかった 3曲目「ハイタッチ」
――3曲目「ハイタッチ」は温かな応援歌です。改めて応援歌を作りたいと思った理由を教えてもらえますか。
斉藤:アーティストを目指した時から「歌を通して聴いてくれた人の背中を押したり、その人の人生の一部になれたらいいな」と思っていたんです。
あと、私自身が人に相談することがあんまりできない、自問自答タイプなんです。特にミニアルバムはお話している通りひとりでたくさん悩んでいたんですが、そんな私の話を聞いてくれるスタッフに、すごく心が救われて私もそういう立場になりたいなと思いました。
最初は「そういう気持ちがあるからそういう楽曲が欲しい!」っていう、またもやストレートな理由でした(笑)。でもいま改めて思うと、私はだれかを応援したいんじゃなくて、自分を応援してほしかったんだなと気づきました。相当苦しかったんでしょうね、きっと(笑)。
――斉藤さんは“応援”ってどういうものと捉えています?
斉藤:私が人を応援するときって“頑張れ”とか“共感”とか、そういう言葉は使わないんです。そのひとは頑張ってるし、私自身が頑張れって言われるのがちょっと辛いというか。
――もう頑張っているわけで。
斉藤:そう! だから頑張れって言われたら「え?」って思っちゃうんですよね。じゃあ“応援”って言葉にするとなんなんだろうってすごく考えました。
そこで出た答えが……その人がまっすぐに進むことを見守ることだなと。もし道の途中に私がいたらちょっとした小話でもして、息抜きして、ゆっくり前に進んでいってくれたらいいかなって。
――振り向いてくれたらハイタッチしたるぞ!くらいの、そういう温かさがありますよね。「ハイタッチ」という言葉はどこから出てきたんです?
斉藤:ダンスや部活をやってたときに手を使うことが多かったので、「ハイタッチ」というキーワードを入れたかったんです。あと、<未来に向けた約束>が入ってたら嬉しいなと思っていて、それは最初にケイさんに伝えていたんです。
未来への約束があれば、それに向かって走り続けられるし、たとえ転んだとしても、その約束は消えることなく待ってるから。そんな思いを綺麗な言葉でケイさんが書いてくれました。
これを聴いたときに、自分もこうやって応援されたかったんだなということプラス、自分もこうやって応援すればいいんだなって思いました。ライブで早くやりたいなぁと思っています。
みんなが手をあげてくれている景色が見えているし、もしみんなが全然知らないひととハイタッチとかしてくれたら、すっごく嬉しいです。そういう光景が見たいなぁ。でも「ハイタッチ、見たいです」とか言っちゃうと、みんな絶対にやっちゃうんで(笑)。やりたかったらやろうねってくらいですけども。
――「ハイタッチ」はケイさんから斉藤さんに贈ったエールでもあるのかもしれないですね。
斉藤:もしかしたらそうかもしれない……。ケイさんは凄いんですよ。心を見透かしてる。斉藤朱夏の人となりを一生懸命見てくれて、ケイさんの優しさや愛をすごく感じています。
だから私もケイさんの言葉を読み取ろうと思って。最近話している途中に時々「今それ、ケイさん言うと思った~」ってことがあって、それを言ったんですが「え……違う言葉言えばよかった……」ってボソボソ言われました(笑)。「反応薄!」と。